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太田述正コラム#1844(2007.6.30)
<太田述正・有料メルマガ更新時期です!(最終x2)>
1 始めに
昨夜、更に1名の入金が確認できたので、次期会費納入者は90名になりました。このほか、納入意思を伝えてきておられる今期の有料読者が4名、新規申し込み者が2名おられることに変わりはありません。
もう一声、何とか100名にならないものですかね。
2 読者とのやりとり
<無料読者Q>
こんにちは。
理系の学位を持つ、65歳男性です。
購読者が減った理由は分かりませんが、何回も心を動かされたにもかかわらず私が有料購読をしない理由は、内容が今ひとつニーズに合わないためです。
私はアングロサクソン論も、武器論議も必要なく、必要なのは、イラク・イラン・イスラエル・アメリカの出来事と行方、国外重要人物の寸描、国内主要書籍の評論です。
エネルギー、環境、人口、通貨にも関心があります。
これらの点が充実すれば迷わず有料購読をします。
ご検討を祈ります。
<太田>
>ご検討を祈ります。
なるほど、「検討」と「健闘」の掛詞ですか。
>私はアングロサクソン論も、武器論議も必要なく、必要なのは、イラク・イラン・イスラエル・アメリカの出来事と行方、国外重要人物の寸描、国内主要書籍の評論です。エネルギー、環境、人口、通貨にも関心があります。
イラク・イラン・イスラエル・アメリカは十分とりあげています。
国外重要人物の寸描も随所で行っています。
環境、人口についても何度もとりあげています。
ご不審とあらば、ブログのバックナンバーでお調べになるか、3,000円でバックナンバー(主要投稿つき。1万3,000頁余だそうです)をお買い求めになってご自分でお確かめ下さい。
エネルギーや通貨問題については、言及はしつつも、正面からはとりあげていませんが、これらについては、いくらでも別の情報源を探すことができるでしょう。
国内主要書籍の評論は、私にはお求めにならないでください。
日本語の本を買うカネはありませんし、第一、最近の日本の人文科学書、とりわけ社会科学書に読むに値するものはほとんどないと思っているからです。
なお、私のアングロサクソン論と軍事論(安全保障論)は、上記の諸問題を分析する私の手法を解説したものであり、本来、私の手法をご理解いただけないと、私の分析もまた的確にはご理解いただけないはずです。
このように見てくると、私のコラムは、貴殿のニーズにほぼぴったり合致しているように思われます。
有料読者になられることを強くお奨めします。
<有料読者R>
太田様、アマゾンギフト券で注文させていただきました。
多忙が続き、メールをチェックする時間がありませんでした。
コラムも落ち着いて毎日読む時間がありません。
旬のものにざっと目を通す程度です。
もったいないことだと思っています。
メールマガジン形式にすると、仕方がないのかも知れませんが、個人的には分割した文書が毎日送られてくるより、まとまったものが週に一、二回の頻度で送ってきてもらったほうが都合がいいです。
週末にメールチェックし、ジャンクメールの中のコラムを順番どうり読むのは結構わずらわしいものです。
最後になりましたが、コラムの内容に不満はありません。
<太田>
>ジャンクメールの中のコラムを順番どうり読むのは結構わずらわしいものです。
G-mail(グーグル)のメルアドを取得された上で、既にお持ちのメルアドにグーグルのサーバー経由でメールが届くようにされれば、スパム(ジャンク)メールはほぼ完全に除去されます。
ただし、強力すぎる除去機能なので、時々、スパムメール・フォルダを覗いて、非スパムメールを救出する必要がありますが・・。
3 冷泉彰彦氏の自己撞着的議論
巨大メルマガのJMM(『from 911/USAレポート』第309回)で、冷泉彰彦氏が次のように書いています。
「・・今回のいわゆる「従軍慰安婦問題」のように明らかに名誉を傷つけられた被害者がおり、それが女性の尊厳に関わる性的な問題を含んでいる、そのような真剣な論議において「タテマエ」では謝罪するが、「ホンネ」の部分では「声高に非難に屈するのはイヤ」というような姿勢を見せていては、理解のしようがないのだと思います。どうしてもそのような「心情」について理解を得たいのならば、思いきりホンネの部分を吐露する、例えば「生まれながらにして戦争犯罪という負の遺産を相続させられた」人間の怒りを説明する、というアプローチは可能でしょう。・・<ところが、そうはせずに>、感情に流されるままに「非公式の決定」へ依存するような流れが<日本で>出てきている、今回の<米下院外交委員会における>「慰安婦決議」に関してはそうした流れの警告も含まれているようにも思うのです。・・<かかる観点から>奇怪なのは、・・年金記録の問題<で>・・社会保険庁全体の不祥事だとして、現在ないし過去の職員に賞与の「自主返納」を求めている、またそれを世論が後押しするよう報道機関が煽っている<こと>です。明らかに事務処理上の過失や、大局的な判断ミスがあったのですから、その責任を個別に全て告発し、責任のある人間には立法措置による賞与ないし給与の「強制的返納」を求めるのが筋でしょう。逆に勇気をもって告発を行った人物、明らかに創意工夫に富んだ問題解決への実務能力をもった人物は抜擢して優遇すべきでしょう・・。」
私は、安倍内閣も冷泉氏も、いずれも米下院外交委員会を含む米国に対し、片や政治的計算から、片や心理的引け目から、卑屈になっていることが残念なのですが、そのことはとにかくとして、冷泉氏の議論は、日本人によく見られる自己撞着的議論の典型です。
冷泉氏は、年金記録問題を例に挙げて、タテマエとホンネが合致した法的アプローチの必要性を叫んでいながら、慰安婦問題ではそのアプローチを擲っているのですから・・。
なぜか。
慰安婦問題の核心部分は、「名誉を傷つけられた」と主張している「被害者」がいるけれど、その名誉が国家によって傷つけられたのか私人によって傷つけられたか、です。
前者であれば、それは戦争犯罪・・しかも、極東裁判によって採り上げられなかった(採り上げ忘れられた)戦争犯罪・・であるということになるわけです。
言うまでもなく、安倍内閣の立場は後者であり、それは、安倍首相の初期の国会答弁や、その後に発出された政府答弁書から明らかです。
他方、「名誉を傷つけられた」と主張している「被害者」や米下院外交委員会の立場は前者です。
冷泉氏が本当に、タテマエとホンネが合致した法的アプローチが重要だと考えるのなら、慰安婦問題こそ、法的アプローチをとることがふさわしい問題であると言えるでしょう。
この場合の法的アプローチとは、日本官憲による慰安婦の強制的連行があったという物的証拠ないし(「被害者」以外の)証言の有無によってこの問題の決着を図る、ということです。
ところが、冷泉氏は、全く証拠・証言を提示することなく、「感情に流されるままに」慰安婦問題が戦争犯罪であると断定しています。
これを自己撞着と言わずして何でしょうか。
4 呼びかけ
日本経済新聞編集委員の鈴置高史氏による思いこみ的誤報(コラム#1835)や、この冷泉氏の自己撞着的議論を見るにつけ、また、田中宇氏の陰謀論的国際情勢分析、というより陰謀論的国際情勢小説(コラム#236)を見るにつけ、更には、元外務官僚の原田武夫氏の空疎な米国論(コラム#1280〜1282)を見るにつけ、彼らのものほど読まれてこそいないけれど、私のコラムの使命の大きさを改めて思わざるを得ません。
皆さん、お疲れかも知れませんが、ぜひとも太田述正コラムをご支援下さい。
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