メルマガ登録・解除
 

日本帝国の敗戦まで(その1)
宗教を信じるメリット?(その5)
反米に転じた台湾
日本人のアングロサクソン論(その1)
米国の相対的衰退

日本の記事一覧

2007年10月16日
太田述正コラム#2127(2007.10.16)
<日本帝国の敗戦まで(その1)>

1 始めに

 英国の著名なジャーナリストにして歴史家であるヘースティングス(Max Hastings。1945年〜)の『復讐の女神--日本のための戦い 1944〜45(Nemesis: The Battle for Japan, 1944-45)』をご紹介しましょう。
 (以下、特に断っていない限り、この本の書評である
http://books.guardian.co.uk/reviews/history/0,,2189851,00.html
(10月13日アクセス)、
http://thescotsman.scotsman.com/critique.cfm?id=1634822007
http://entertainment.timesonline.co.uk/tol/arts_and_entertainment/books/history/article2583903.ece
http://www.waterstones.com/waterstonesweb/displayProductDetails.do?sku=5780974
http://www.spectator.co.uk/the-magazine/books/223341/the-worst-of-friends.thtml
http://www.telegraph.co.uk/arts/main.jhtml?xml=/arts/2007/09/29/bohas129.xml
(いずれも10月18日アクセス)、及びこの本からの抜粋である
http://www.dailymail.co.uk/pages/live/articles/columnists/columnists.html?in_page_id=1772&in_article_id=482589&in_author_id=464
http://www.dailymail.co.uk/pages/live/articles/columnists/columnists.html?in_page_id=1772&in_article_id=481881&in_author_id=464
(どちらも10月16日アクセス)による。)

 この本は、第一次世界大戦及び第二次世界大戦で侵略を行い敗北して占領された諸国の中で日本においてのみ反政府活動がなかったのはなぜか、どうして日本がすぐに占領者であった米国の忠実な、ただし時としてグズな同盟国になったのか、どうしてドイツが戦後犠牲者に(選別的にせよ)補償を行ったというのに日本は過去と向き合うことすらしないのか、に答えようとしたものである、というのですが、残念ながら、この本の部分的抜粋や、書評からは、著者がいかなる回答を示しているのか、その全貌が必ずしも明らかではありません。
 そこで、将来この本を読む機会があった時に、もう一度この本を取り上げることにし、まずは、現時点で分かる範囲でこの本の内容の一端をご紹介をすることにしました。
 
2 1944年から日本帝国の敗戦まで

 1944年には6月6日に欧州で米軍を中心とする総兵力152,500人でノルマンディー上陸作戦が開始されたが、その5日後に太平洋で米軍だけの総兵力130,000人によるマリアナ諸島上陸作戦が開始された(注1)。

 (注1)この日付と兵力は、6月15日に兵力71,000人で開始されたマリアナ諸島サイパン島上陸作戦と符合しない(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%91%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84
。10月16日アクセス)。どなたかご教示いただきたい。

 
 米国の対日戦争にかける決意のほどが分かろうというものだ。
 このマリアナ諸島攻防戦は、1942年のミッドウェー海戦に次ぐ、対日戦争の転換点となった。
 1944年後半までにドイツでは先の大戦全体で生じることになる死者数の半分の300万人が既に死んでいたが、日本の死者はほとんどがこの時期以降に生じたものだ。
 この時点では、対日戦の当事国は、どの国も幻想を抱いていた。
 英国は日本に勝利すれば、インドの支配を継続できるし、ビルマとマラヤも再支配することができると思っていたし、米国は支那を日本の占領から解放すれば支那を自由な社会へと変貌させることができると思っていた。
 しかし何と言っても日本の幻想は一番ひどかった。まだ勝利できると信じ込んでいたのだから。
 世界の三分の一の広さがある太平洋・アジア地域に米国は125万人の兵力を投入し、英国は40万人近くの英軍と200万人以上の英印軍を投入した。
 そして米国は103,000人の兵士を失い、英連邦は、30,000人以上の英国人、インド人、オーストリア人等の兵士を失った。
 米軍の対日戦における死傷率は欧州におけるそれの3.5倍に達した。
 とにかく、日本の兵士達の戦いぶりは凄まじかった。
 日本人達は、1941年の開戦時、ドイツ人達が1939年に開戦した時よりはるかに熱狂的だった。アジアにおいて領土を拡大し、それに反対するいかなる者にも立ち向かうとの考えは、大半の日本人達の支持を得ていた。
 これに対し、連合国側はバラバラだった。
 米国人達は、自分達達自身破壊しようと決意していたところの英帝国を、英国人達は取り戻したいだけがために戦っていると軽蔑していた。まさに当たらずといえども遠からずだが・・。
 また、米海軍は、英海軍を太平洋における戦いに加えないように努めた。
 米陸軍は、英国によるビルマ戦役は、援蒋ルートを確保することにより、中国国民党軍を助け、同軍が支那本土を日本軍から解放し、米軍が日本本土に侵攻するする根拠地を得る、という意義しか認めていなかった。
 東南アジア地域の米陸軍司令官であったスティルウエル(Joseph Warren Stilwell 。1883〜1946年)とその次のウェデマイヤー(Albert Coady Wedemeyer。1897〜1989年)は、どちらも英軍の同僚達への嫌悪と支那人への侮蔑を隠そうとしなかった。
 また、米国は蒋介石が偉大な民主主義的指導者であって戦後の四つの世界の警察官役の一つたりうるとという幻想を抱いていたのに対し、英国は蒋介石を、自分の利益だけを考えている、暴虐で腐敗した軍閥であると見ていた。
 オーストラリアは、自分達を棄てた英国と自分達を蔑ろにする米国に憤りを覚えており、英米両国との協力を最小限にとどめた。
 米軍内のいがみあいもひどいものだった。
 海軍は日本に海上封鎖だけで勝利できると信じていたし、陸軍航空部隊は日本に空爆だけで勝利できると信じており、それが空軍を陸軍から独立させる契機になると期待していた。
 誇大妄想狂のマッカーサーは全く独自に、フィリピン解放という自らの誓約の実現と個人的栄光の追求に血道を上げていた。
 米参謀本部は、米国の富と生産力のおかげで、全く優先順位をつけることなく、これらすべての希望を充足させてやることができた。
 この間、スリム(William Joseph Slim。1891〜1970年)は、辺境のビルマで日本に対する勝利とはほとんど関係のない、シンガポールでの降伏という英国の屈辱を晴らすための戦いを続けていた。もっとも、この戦いも米航空部隊の支援があったからこそ遂行できたのだ。

(続く)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 有料版のコラム#2128(2007.10.16)「日本帝国の敗戦まで(ペリリュー島攻防戦)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
 コラム全文を読みたい方はこちらへ↓
http://my.formman.com/form/pc/3NwnFLCP76BGd3Ij/
 ・・
 ヘースティングスの本の中から、ペリリュー島攻防戦を描いた部分を抜き出してご紹介し、それを若干補足しましょう。
 ・・
 1944年9月15日に開始された米軍のマリアナ諸島ペリリュー・・島上陸作戦は、日本本土に至る飛び石作戦の最初のものだ。
 ・・
 ・・数日で終了すると考えられた戦いは、珊瑚礁にトンネルを縦横無尽に掘って陣地とした日本軍を相手に6週間も続き、組織的抵抗が終わった後も日本兵の散発的抵抗が続いた。
 ・・
 この小さい島を占領するまでの間に米軍は小銃で弾を1,500万発、迫撃砲弾を15万発も撃ち、手榴弾を118.262個も投げた。日本兵1人を殺すのに1,500発の火砲の弾を使った。そして米軍兵士1,950人が死んだ・・。
 ・・
 このペリリュー島上陸作戦のパターンはその後何度となく繰り返されることになった。
 それは、日本軍が動くと米軍に一方的に殺戮されるが、日本軍が陣地内にとどまっている限り、掃討するのは著しく困難、というものだ。
 ・・
 戦後、日本人が中心になって再建されたペリリュー神社の境内に建てられた碑に、「諸国から訪れる旅人たちよこの島を守る為に日本軍兵士が いかに勇敢な愛国心を持って戦い玉砕したかをつたえられよ。・・米太平洋艦隊司令長官C.ニミッツ」と掘り込まれています。
 ・・
 名越自身が指摘しているというのですが、この詩文は、古典ギリシアの・・テルモビレーの戦い・・の・・碑の詩文を彷彿とさせます。
 ・・
 ペリリュー島攻防戦は、後の硫黄島攻防戦等とともに、まさにこのテルモピレーの戦いに勝るとも劣らない、敗者の戦いの金字塔であると言えるでしょう。

 コラム全文を読みたい方はこちらへ↓
http://my.formman.com/form/pc/3NwnFLCP76BGd3Ij/


ブログランキング防衛省へ投票|
防衛省21:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
2007年10月12日
太田述正コラム#1734(2007.4.15)
<宗教を信じるメリット?(その5)>(2007.10.12公開)

4 私の見解

 (1)日本の社会科学者への期待

 そこで、私の見解ということになるのですが、私はもとより、専門家ではないので、日本の社会科学者に、ぜひ宗教を信じるメリットの最終的な解明を成し遂げて欲しいと思っています。
 なぜなら、日本の社会科学者しか、それはできないと考えるからです。
 現在社会科学が最も進んでいるのは米国ですが、米国におけるこの種研究には限界があるからです。
 どうしてか?
 ここで重複を厭わず、もう一度いかに米国が宗教的に異常な国であるかを再確認しておきましょう。
 2005年の世論調査によれば、米国の10人に6人は悪魔と地獄の存在を信じており、10人に7人は天使・天国・奇跡・死後の生活の存在、を信じていますし、2006年の調査によれば、米国の92%の人が唯一神の存在を信じています。
 つまり、米国はいわゆるアブラハム系宗教の信者が圧倒的に多い国であり、しかもすこぶるつきの「敬虔な」アブラハム系宗教の信者が多い国である、という点で、世界でも稀な異常な国であるということです。(強いて言えば、サウディアラビアが米国に似ているかもしれません。)
 そしてこの関連でと申し上げてよいと思いますが、上記の2005年の世論調査によれば、米国の成人の54%は進化論が誤りだと思っており、1994年の46%より比率が上昇しています。
 つまり、このところ、「敬虔」な信者の割合が増えつつあるという意味でも、米国は世界の潮流に反する異常な国なのです。
 こんな米国で、宗教・副産物説であれ、宗教・適応説であれ、社会科学者達が、進化論の立場から、宗教のメリットを解明し、宗教の神秘のベールをはがそうとしていることには敬服せざるをえません。
 しかし、あえて申し上げますが、宗教・副産物説のリーダーであるアトランが、ミシガン大学という比較的有名な大学の教授ではあっても臨時教員(Adjunct professor)に過ぎず(注7)、また、宗教・適応説のリーダーであるウィルソンが余り耳にしないビンガムトン(Binghamton)なる大学の教授に過ぎないことが大変気になります。
 これは、米国で、この種の研究が市民権を得られないことを示唆していないでしょうか。

 (注7)ただし、パリの研究所の所長を兼務している。

 また、同じアングロサクソンとは言っても、米国と違って世俗的な国である英国の社会科学者は、世界では宗教を信じる人が大部分であることから、世界中を敵に回しかねないこの種の研究は敬して遠ざけているのではないでしょうか。
 だからこそ、私は、世界で最も世俗的な国であり、しかもアブラハム系の宗教の信者が極めて少ない国であり、かつ、アングロサクソンなるグローバルスタンダード文明に属さないことから英国の社会科学者のような配慮が必ずしも必要でないところの、日本の社会科学者に期待するのです。
 もっとも、その前に、まず日本の社会科学全体の水準を引き上げる必要があります。

 (2)私の見解
 
 このシリーズを読んでこられた方には想像がつくでしょうが、私自身は、宗教・適応説より宗教・副産物説の方に軍配を上げたいと思っています。
 ただし、それはアトラン自身のウィルソン批判のように、宗教・副産物説が、宗教とイデオロギーを区別せずに論じていて、宗教固有のメリットを説明できていないからではありません。
 そもそも私は、アトランのように、マリアが母であると同時に処女であるとか神は人間の姿をしているけれど身体を持たない、といった非常識な物語を人間に信じさせる宗教と、政治的・経済的・科学的に一見説得力のある理論を人間に提供するところのイデオロギーとを截然と区別する考え方をとらないのです。
 確かに、総じて言えばイデオロギーの方が宗教より逸り廃れが激しいといった違いはあるけれど、私は、「非常識」に立脚する宗教も、ある時代のある場所における「常識」に立脚するイデオロギーも、どちらも人間の思考や行動を制約したり歪めたりするドグマであるという点で同類だと思っているのです。

 まず、どうして私が、宗教・副産物説の方の方がもっともらしいと思っているかをご説明した上で、宗教、とりわけアブラハム系宗教の「危険性」について私見を申し述べることにします。

 (以下、特に断っていない限り、世界の主要宗教については、
http://www.adherents.com/Religions_By_Adherents.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Major_religious_groups
(どちらも4月15日アクセス)による。また、アブラハム系宗教と欧州文明のイデオロギーの「同根性」と「危険性」については、
http://www.csmonitor.com/2006/1121/p09s01-coop.html
(2006年11月21日アクセス)、及び
http://www.mises.org/journals/rae/pdf/rae4_1_5.pdf
http://en.wikipedia.org/wiki/Eschatology
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%82%E6%9C%AB%E8%AB%96
(2007年4月15日アクセス)による。)

(続く)

ブログランキング防衛省へ投票|
防衛省09:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
2007年10月10日
太田述正コラム#2053(2007.9.9)
<反米に転じた台湾>(2007.10.10公開)

1 始めに

 台湾で反米感情が急速に高まっています。
 韓国といい、台湾といい、日本の裏庭とも言うべき所で地滑り的変化が起きているわけです。

2 ブッシュ政権の台湾政策の変更

 ことの起こりは、台湾の陳水扁(Chen Shui-bian)総統が、(中華民国ではなく)台湾という名前で国連加盟を申請することの可否を問う住民投票を行う意向であることに対し、8月27日、ネグロポンテ(John Negroponte)米国務副長官も台湾という名称で国連加盟を申請する可否を問う住民投票に向けての動きを、独立宣言への布石であって反対であると批判していたところ、8月30日に、米国の国家安全保障会議の上級東アジア担当官のウィルダー(Dennis Wilder)が「国連に加盟するためには国家である必要があるが、台湾または中華民国は、現時点においては国際社会における国家ではない」と述べたことです。
 これは、米国のこれまでの台湾政策の変更を意味すると同時に、米国の国内法である台湾関係法(Taiwan Relations Act)で台湾を実質的に国家とみなしていることとも齟齬を来す話なのです(注)。

 (注)台湾の国際法的地位については、コラム#182、188、200、247、260、267〜269参照。なお、
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2007/08/09/2003373386
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2007/08/17/2003374626
もよくまとまっている。

 ブッシュ政権は、当初台湾寄りの姿勢を打ち出していたのですが、9.11同時多発テロ以降対イラク戦争を目前にして、中共の協力を得る必要があることから、中共寄りに軌道修正し、その後、北朝鮮の核問題やスーダンのダルフール問題等、中共の協力を得る必要がある案件が続出していることもあり、中共寄りの姿勢のまま現在に至っています。
 思い起こせば、2004年10月に当時のパウエル(Colin Powell)米国務長官が、香港のTVのインタビューで「中国は一つしかない。台湾は独立しておらず、国家としての主権を保有していない(does not enjoy sovereignty as a nation)」と答えたことがあり、当時は、アドリブで答えてとちったのだろうと考えられていたのですが、今にして思えば、ウィルダーの述べたことは、当時から一貫してブッシュ政権の公式見解となっていたわけです。

 (以上、
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2007/09/08/2003377770
http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2007/09/08/2003377813
(どちらも9月9日アクセス。以下同じ)

3 台湾朝野の反発

 このウィルダー発言に対しては、台湾政府、最大与党の民進党、最大野党の国民党がいずれも非難声明を出しました。
 国民党がどこが違うかと言えば、陳水扁総統が中華民国名ではなく、台湾名で国連加盟申請をする可否を問う住民投票を口にしてきたことが、ウィルダー発言をもたらした、ということを言っている点だけです。
 (以上、
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2007/09/01/2003376690
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2007/09/02/2003376880
による。)

 陳水扁総統は、国民党の言う、中華民国名での国連加盟など、台湾名での加盟よりもっと米国の賛同を得られないと国民党を批判しつつ、米国政府に対しては、米国が、蒋介石の独裁政権を支え、しかも住民の多数によって選ばれ、民主主義・自由・人権・平和・正義の実現を目指している台湾政府の方針を支持しないのはもってのほかである、と批判しました(
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2007/09/02/2003376879
)。
 台湾の有識者達も、次々と米国を批判しており、これまでほとんど反米感情が存在しなかった台湾の世論が急速に変化しつつあり、このまま行けば、台湾は反共・反米国家になるかもしれない、という声が出てきています(
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2007/09/02/2003376881
)。
 8月30日から9月2日にかけて台湾で実施された世論調査によると、米国が一番好きと答えた人は17%と、昨年の32%から15%も激減しました。また、日本と答えた人は38%(昨年は35%)、韓国と答えた人は10%(昨年は11%)、中共と答えた人は7%(昨年は9%)でした。分からないと答えた人と答えなかった人は29%でした。
 ちなみに、中共が嫌いな人が一番多かったのは20歳から29歳までの年齢層であり、これに次ぐのが50歳から59歳までの年齢層です。
 要するに、もともと日本好きより少なかった米国好き人間が若年層を中心に激減し、日本好き人間は微増し、中共好き人間は消滅に向かいつつある、ということです。
 (以上、
http://www.taipeitimes.com/News/taiwan/archives/2007/09/07/2003377582
による。)

4 終わりに

 東アジアで反自由民主主義勢力勢力に肩入れする米国を見ていると、米国が戦前犯した過ちを思い出すのは私だけではありますまい。
 米国は、戦前、ファシズムの中国国民党とスターリン主義の中国共産党に肩入れして自由民主主義の日本の足を引っ張ったのですが、戦後は引き続きファシズムの中国国民党に台湾で肩入れを続け、今では中共、すなわち中国共産党に再び肩入れする一方で自由民主主義の台湾の足を引っ張っているわけです。
 米国のアジアにおける自由民主主義の推進は、戦前も戦後も現在も口先だけであることがよく分かりますね。
 自由民主主義の台湾は、戦前台湾において文明開化を推進した日本の努力の結晶です。
 だからこそ、現在台湾の熱い目が日本に注がれているのです。
 しっかりせよ、日本。

ブログランキング防衛省へ投票|
防衛省07:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
2007年09月27日
太田述正コラム#1689(2007.3.12)
<日本人のアングロサクソン論(その1)>(2007.9.27公開)

1 始めに

 私が自分のアングロサクソン論の発信を積極的に始めてから、早くも6年経ちましたが、読者の皆さんの中から、同じようなことを他の人も言っているよ、というご指摘が出てこないところを見ると、私の見解はかなりユニークであるようですね。
 これは、必ずしもうれしい話ではないのであって、ひょっとすると、私の見解は箸にも棒にもかからない誤りである可能性があります。
 もちろん、私自身は自分の見解が誤っているとは思っていませんが・・。
 さて、今まで余りやったことがないのですが、これまでの日本人のアングロサクソン論の月旦を試みることにしました。
 日本人のアングロサクソン論といっても範囲が広いので、まずは経営学的な観点からのアングロサクソン論から始めましょう。

2 橋本久義教授

 橋本氏は、元通商産業省技官、埼玉大学教授を経て現在政策研究大学院大学教授をされている人物です。
 たまたま目にした同教授のコラム、「外資系の企業倫理はこんなに厳しい」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20070226/119785/
。3月9日アクセス)の要旨は次のとおりです。
 なお、橋本氏は、○○社という外資系企業の話をされているのですが、外資系企業イコール米国系企業とみなし、橋本氏はアングロサクソン論を展開されている、と勝手に解釈させてもらいました。

 外資系○○社では、入社するとすぐに、役員だろうが普通の社員だろうが、「○○社の倫理規定に従います。反した場合には解雇されても異議を唱えません」という誓約書にサインする。日本の会社でも誓約書にサインするということはあるが、○○社は2年に1度これをやる。
 その内容だが、例えば「私は会社の秘密を外部に洩らしません」という項目がある。日本と違うのは、「よその会社の秘密を聞きません」という項目があることだ。要するに談合に対してものすごく厳しく考えているのであって、米国では同業者の会合には必ず弁護士を立ち合わせて、談合のような事実がないように監視する。
 倫理規定には、「法令違反であるようなテーマが議題になったら、それに対して、『その議論をしてはいけません』ということを議長に対して言いなさい」とも書いてある。「もし、会議メンバーがその話をやめないならば退場しなさい」とも書いてある
 更に、「我が○○社の機械を買ってくれたら、貴社の何かを買います」とか「おたくに委託します」という、いわゆる相対取引は絶対やっちゃいけないとも書いてある。この規定に違反した社員がいて当然クビになったが、その上司も責任をとらされてクビになったという。
 はたまた、顧客からの贈答品は決してもらってはいけない、どうしても拒否できなかった場合は会社に持参せよ、会社の方で送り返す、という規定もある。
 残業に対する考え方も日本の会社とは全く違う。○○社では残業しないことに価値があるのであって、評価の基本は、「あなたがやっている仕事を、何時間かけて完成させたか」だ。だから、残業を減らす。○○社に入った時に成績を上げるために部下に残業をどんどんやらせて人物は怒られたという。

 さあ、これを読まれてどう思われましたか。
 私には、面白くも何ともありませんでした。
 ○○社は米軍や自衛隊そっくりだからです。
 大変失礼ながら、戦後育ちの日本人の通弊で、橋本氏も軍隊のことを全くご存じないな、という感想を私は持ちました。
 軍隊においては、将校や兵士が敵(企業の場合で言えば、競争会社や購入/販売相手)に内部情報を漏らすことは厳禁ですし、敵と通謀するなどということはもってのほかです。
 また、市民生活においては許されないところの、殺傷等を主たる仕事にしているだけに、将校や兵士は逆に規則でがんじがらめにされています。
 そして軍隊においては効率性・効果性が重視されるのであって、むやみやたらに敵を殺傷すればよいというわけではなく、敵の戦意をくじいたり敵を制圧するため以上の殺傷は控えますし、自分達の側の損害やコストを最小に抑えるようにも努めます(注1)。

 (注1)自衛隊は、各幕僚監部こそ、日本の中央官僚機構とお付き合いしなければならないことから、残業が普通だが、部隊へ行けば、5時には一斉に勤務棟から人影が消える。在日米軍は、司令部も含めて、4時半には勤務棟の大部分の灯りが消える

 つまり、アングロサクソン式企業とは、(全世界共通であるところの、)軍隊式の管理を行っている企業なのです。

3 糸瀬茂教授

 以上のことを念頭に置いて、糸瀬茂宮城大学教授が助教授時代に上梓された『アングロサクソンになれる人が成功する――なぜ彼らのビジネス・スタイルが最強なのか』(PHP研究所1998年)を俎上に載せて見ましょう。
 なお、糸瀬教授(1953年〜)は、第一勧業銀行に入行し、同行から派遣されてスタンフォード大学でMBAを取得し、その後ソロモン・ブラザース・アジア証券、DBモルガン・グレンフェル証券(東京支店副支店長)、長銀総合研究所研究員などを経て宮城大学助教授となり、教授に昇格されてから2001年になくなられています(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B3%B8%E7%80%AC%E8%8C%82
。3月12日アクセス)。

(続く)

ブログランキング防衛省へ投票|
防衛省16:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
2007年09月18日
太田述正コラム#2003(2007.8.16)
<米国の相対的衰退>(2007.9.18公開)

1 始めに

 タイトルを見て、また米国経済の相対的衰退の話かと思われた方が多いかもしれません。
 そうではなくて、米国民の平均寿命と平均身長の相対的低下の話をしたいのです。

2 平均寿命の相対的低下

 この20年間で米国人の平均寿命は、世界で11位から42位に落ちました。
 ちなみに、米国の黒人の平均寿命は73.3歳であるのに対し、白人は77.9歳であり、黒人男性だけとると69.8歳でしかありません。
 しかも、米国人の健康体であり続けられる平均年齢は60歳という驚くべき低さです。

 その最大の原因は、米国には医療保険に入っていない人が4,500万人もいる(コラム#1784)ことであり、保険に入っている人も、保険でカバーされない部分が多々あることです。実に、上位1%の富裕層を除き、米国人は誰でも事故に遭ったり病気に罹った結果破産するリスクを抱えているのです。
 肥満も米国人の平均寿命の相対的低下をもたらしている大きな原因です。米国のほとんど三分の一の成人は肥満体であり、これは世界最悪です。(ちなみに、米国人の喫煙率は低い方です。)
 このほか、米国の乳児死亡率も新生児1,000人あたり6.8人と決して少なくありません。

 (以上、特に断っていない限り
http://www.guardian.co.uk/usa/story/0,,2147617,00.html
http://www.nytimes.com/2007/08/12/opinion/12sun1.html?pagewanted=print  
(どちらも8月13日アクセス)

3 平均身長の相対的低下

 米国の成人の平均身長は、かつては男女とも世界一高かったけれど欧州諸国に抜かれてしまい、今では男性は9位、女性は15位に落ちてしまいました。
 男性はオランダ人男性より平均で約2インチ(1インチ = 2.54cm)も低いのです。
 ただし、上述したように、米国は肥満体の人の割合が世界一高いだけに、平均体重では男女とも世界一を維持しています。

 ちなみに、独立戦争の頃は、英領北米植民地の人々の平均身長は英本国の人々より約2インチ高く、1850年代頃の米国人の平均身長はオランダ人を始めとする欧州諸国の人々より約3インチ高かったのです。
 そして米国は、平均身長世界一の座を第二次世界大戦後まで維持し続けるのです。
 米国の富と力、それと米国人の身長は完全に相関していた、ということです。

 ところが、米国人の平均身長の伸びは1950年代から停滞を始め、1970年代には欧州諸国に次々に抜かれ始めました。その後再び米国人の平均身長は伸び出したけれど、欧州諸国の伸びには追いついておらず、差は開くばかりです。
 現在でも米国は実質世界一の平均所得を誇っていますが、身長では欧州諸国にかなわないわけです。
 この原因としては、西欧や北欧諸国は福祉国家であり、全国民的な社会経済的セーフティネットが完備していて、米国の自由市場志向経済に比べて、子供達や青年達により生物学的に高い生活水準を提供できているからであると考えられています。
 また、欧州諸国に比べて、米国の子供達がTVを見過ぎており、スナックやファーストフードを食べ過ぎていることも原因として指摘されています。
 このほか、欧州諸国に比べての米国の、乳児死亡率の高さ(上述)、低体重新生児の多さ、貧困家庭で育つ子供の多さ、予防接種率の低さ、も原因として指摘されています。
 とはいえ、まだはっきりとした原因は分かっていません。

 (以上、
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2007/08/12/AR2007081200809pf.html  
(8月13日アクセス)による。)

4 感想

 米国の相対的衰退は、意外な所にまず現れましたね。
 米国の識者は、寿命や身長の相対的低下に危機感を募らせており、このこともあって民主党大統領候補の多くが国民皆医療保険制度の導入を唱えていると承知しています(典拠失念)。
 それにしても、日本人の平均寿命は世界一だというのに、平均身長は、データが得られる国々との比較では、中共、シンガポールよりは高いけれど、依然世界最短水準にとどまっている(
http://en.wikipedia.org/wiki/Human_height
)のはどうしてなのでしょうね。

ブログランキング防衛省へ投票|
防衛省14:56|PermalinkComments(0)TrackBack(2)

太田述正ブログについて
人気ブログランキング
はじめての方へ
テレビ出演動画まとめ
千葉英司とは
RSS
メルマガ(まぐまぐ)
携帯メルマガ(ミニまぐ)
有料メルマガ

YouTube公式サイト
相互リンク
掲示板
mixi(マイミク)
Yahoo!カテゴリ登録サイト
ミニまぐ発行中
QRコード
カテゴリー別
タグクラウド
逆アクセスランキング
ブログパーツ