・海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その5)
・海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その4)
・海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その3)
・海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その2)
・海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その1)
インド洋
2007年10月12日
太田述正コラム#2119(2007.10.12)
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その5)>
(3)アフガニスタンかイラクか
海自が給油した米艦艇が対イラク戦に従事したのではないか、という問題については、既に一度コラム#2066で取り上げたところですが、国会におけるその後の議論の進展も踏まえ、再度この問題に触れておきましょう。
米国防省は10月10日、海自補給艦「ときわ」から2003年2月25日、米補給艦ペコスが80万ガロンの燃料を補給され、ペコスはその直後、米空母キティホーク(母港は横須賀)に67万5,000ガロンを給油したところ、ペコスからキティホークへの67万5,000ガロンがすべて、「ときわ」から補給された分だったと仮定しても、キティホークの当時の航行速度や作戦行動と照らし合わせると、3日間で消費し尽くす量だとした上で、同艦はこの間、海上阻止活動のための監視などのOEFに従事しており、その後の同28日夜になって、ペルシャ湾北部で、イラク南部の飛行禁止区域を監視する「南方監視作戦(OSW)」の支援活動に入ったという声明を出しました。
2003年5月にテロ特措法の最初の延長が論議された頃、当時官房長官だった福田首相は、「ときわ」が米補給艦に給油したのは20万ガロンであり、これは空母が1日に消費する量に過ぎず、ペルシャ湾に入る前に使い果たしたはずなので、イラク作戦への転用はありえない、と説明したのですが、上記米国防省声明は、この福田答弁を訂正したものです。
これについて朝日新聞は、10月11日付の社説で、
「確かに空母はペルシャ湾に入ったが、日本の燃料を使っていたと思われる3日間はあくまでアフガン作戦だけに従事していたというのだ。空母の艦載機がペルシャ湾内からアフガンまで飛ぶには、国交のないイラン上空を経なければならない。それは無理だろうから、大きく迂回して飛んだことになる。事実なら、なんとも不自然だ。そもそも、空母がイラクに向かってペルシャ湾を航行すること自体が、イラク作戦のための行動であり、テロ特措法の目的から外れているように見える。 」
と疑問を投げかけています。
(以上、
http://www.asahi.com/politics/update/1011/TKY200710100383.html、
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
(10月11日アクセス)による。)
また、これに関連し、「ときわ」が、ペコスに補給したのと同じ日に米イージス艦ポール・ハミルトンにも燃料を直接提供しており、そのペコスがイラク戦争に参加した可能性があるという指摘もなされており、防衛相は、そのポイントは、ポール・ハミルトンが巡航ミサイルのトマホークを搭載していた艦艇なのかどうかだとして、その点を米側に照会したいと国会で答弁しました(
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007101101000609.html
。10月12日アクセス)。
アフガニスタンかイラクかの問題については、私は次のように考えています。
私は、コラム#2066で、
「こんなことが政治問題化するなんて噴飯ものです。・・インド洋でパキスタン沖に展開している米艦等の行っている業務は、アフガニスタンにもイラクにも共通する、いわば汎用性のある業務ばかりであり、特定の艦艇がアフガニスタン用に業務をしているのかイラク用に業務をしているのか、本来その艦艇に聞いたって分からないはずだからです。それに、この海域に所在する米艦は、すべて米第5艦隊、及びその上級司令部である米中央軍の指揮を受けており、中央軍司令官または第5艦隊司令官の命があれば、ただちに業務を変更したり、パキスタン沖海域を離れて別の海域、例えばペルシャ湾、に赴かなければならないのであり、そんなことを日本が詮索できる立場ではないことを考えればなおさらです。」
と記したところです。
この際、誤解がないように補足しておきますが、これは米艦がペルシャ湾に入ったらイラク用の業務だけをしているとみなされる、という趣旨ではありません。
パキスタン沖にいようとペルシャ湾内にいようと、米艦はアフガニスタンにもイラクにも共通する業務を行っているはずであり、このことは、タリバンやアルカーイダがスンニ派の過激派であって、スンニ派の住民が多数を占めるところのペルシャ湾西岸諸国(湾岸諸国)とヒトやカネ等の面で密接なつながりがあり、アフガニスタンやパキスタン北西部と湾岸諸国とを海上ルートで行き来する可能性があることを考えれば当然のことでしょう。
米国防省が、キティーホークが、ペルシャ湾南部及び中部を北上中は対アフガニスタン業務を、ペルシャ湾北部に到着してからは対イラク業務を行った、と説明したのは日本政府と口裏合わせをしたものであって、この空母は、実際には常に両方の業務を行っていて、ペルシャ湾の北部に行けば行くほど対イラク業務の比重が大きくなった、というのが本当のところでしょう。
なお、これまで対アフガニスタン業務、対イラク業務といった言い方をしてきましたが、テロ特措法の正式タイトルが、「・・アメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置・・に関する特別措置法」である(
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO113.html
。10月12日アクセス)ことからお分かりのように、特段この法律が、海自の行える業務を「アフガニスタン」に係るものだけに限定しているわけではない、ということも付言しておきましょう。
なお、以上の議論は、米艦が(攻撃機を艦載しているところの)空母であろうと、空母以外の艦艇であろうと、またその艦艇がトマホークを搭載していようといまいと何ら変わりはありません。
興味深いのは、朝日が、アフガニスタンに係るものであれば、米艦の活動が狭義の不朽の自由作戦(狭義のOEF)に係るものであるか海上阻止行動(OEF-MIO)に係るものであるかの違いは問題視していないことです。海上阻止行動にあたらないところの、「空母の艦載機がペルシャ湾内からアフガンまで飛ぶ」ことを特段問題視していないのことから、このことは明らかです。
これは私の認識と同じく、朝日の認識も、狭義のOEFだって米国による単なる自衛権の行使ではなくて国連によってオーソライズされた作戦であることから、狭義のOEFに従事している米艦に対する海自の給油に関して日本による集団的自衛権の行使云々の問題は生じない、というものであるということを推測させます。(ただし、2003年2月時点で既にオーソライズされていたという認識か、その後でオーソライズされたので遡って2003年2月時点でもオーソライズされていたとみなされるという認識かは定かではありません。)
(続く)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
有料版のコラム#2120(2007.10.12)「集団自決問題と沖縄(その1)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その5)>
(3)アフガニスタンかイラクか
海自が給油した米艦艇が対イラク戦に従事したのではないか、という問題については、既に一度コラム#2066で取り上げたところですが、国会におけるその後の議論の進展も踏まえ、再度この問題に触れておきましょう。
米国防省は10月10日、海自補給艦「ときわ」から2003年2月25日、米補給艦ペコスが80万ガロンの燃料を補給され、ペコスはその直後、米空母キティホーク(母港は横須賀)に67万5,000ガロンを給油したところ、ペコスからキティホークへの67万5,000ガロンがすべて、「ときわ」から補給された分だったと仮定しても、キティホークの当時の航行速度や作戦行動と照らし合わせると、3日間で消費し尽くす量だとした上で、同艦はこの間、海上阻止活動のための監視などのOEFに従事しており、その後の同28日夜になって、ペルシャ湾北部で、イラク南部の飛行禁止区域を監視する「南方監視作戦(OSW)」の支援活動に入ったという声明を出しました。
2003年5月にテロ特措法の最初の延長が論議された頃、当時官房長官だった福田首相は、「ときわ」が米補給艦に給油したのは20万ガロンであり、これは空母が1日に消費する量に過ぎず、ペルシャ湾に入る前に使い果たしたはずなので、イラク作戦への転用はありえない、と説明したのですが、上記米国防省声明は、この福田答弁を訂正したものです。
これについて朝日新聞は、10月11日付の社説で、
「確かに空母はペルシャ湾に入ったが、日本の燃料を使っていたと思われる3日間はあくまでアフガン作戦だけに従事していたというのだ。空母の艦載機がペルシャ湾内からアフガンまで飛ぶには、国交のないイラン上空を経なければならない。それは無理だろうから、大きく迂回して飛んだことになる。事実なら、なんとも不自然だ。そもそも、空母がイラクに向かってペルシャ湾を航行すること自体が、イラク作戦のための行動であり、テロ特措法の目的から外れているように見える。 」
と疑問を投げかけています。
(以上、
http://www.asahi.com/politics/update/1011/TKY200710100383.html、
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
(10月11日アクセス)による。)
また、これに関連し、「ときわ」が、ペコスに補給したのと同じ日に米イージス艦ポール・ハミルトンにも燃料を直接提供しており、そのペコスがイラク戦争に参加した可能性があるという指摘もなされており、防衛相は、そのポイントは、ポール・ハミルトンが巡航ミサイルのトマホークを搭載していた艦艇なのかどうかだとして、その点を米側に照会したいと国会で答弁しました(
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007101101000609.html
。10月12日アクセス)。
アフガニスタンかイラクかの問題については、私は次のように考えています。
私は、コラム#2066で、
「こんなことが政治問題化するなんて噴飯ものです。・・インド洋でパキスタン沖に展開している米艦等の行っている業務は、アフガニスタンにもイラクにも共通する、いわば汎用性のある業務ばかりであり、特定の艦艇がアフガニスタン用に業務をしているのかイラク用に業務をしているのか、本来その艦艇に聞いたって分からないはずだからです。それに、この海域に所在する米艦は、すべて米第5艦隊、及びその上級司令部である米中央軍の指揮を受けており、中央軍司令官または第5艦隊司令官の命があれば、ただちに業務を変更したり、パキスタン沖海域を離れて別の海域、例えばペルシャ湾、に赴かなければならないのであり、そんなことを日本が詮索できる立場ではないことを考えればなおさらです。」
と記したところです。
この際、誤解がないように補足しておきますが、これは米艦がペルシャ湾に入ったらイラク用の業務だけをしているとみなされる、という趣旨ではありません。
パキスタン沖にいようとペルシャ湾内にいようと、米艦はアフガニスタンにもイラクにも共通する業務を行っているはずであり、このことは、タリバンやアルカーイダがスンニ派の過激派であって、スンニ派の住民が多数を占めるところのペルシャ湾西岸諸国(湾岸諸国)とヒトやカネ等の面で密接なつながりがあり、アフガニスタンやパキスタン北西部と湾岸諸国とを海上ルートで行き来する可能性があることを考えれば当然のことでしょう。
米国防省が、キティーホークが、ペルシャ湾南部及び中部を北上中は対アフガニスタン業務を、ペルシャ湾北部に到着してからは対イラク業務を行った、と説明したのは日本政府と口裏合わせをしたものであって、この空母は、実際には常に両方の業務を行っていて、ペルシャ湾の北部に行けば行くほど対イラク業務の比重が大きくなった、というのが本当のところでしょう。
なお、これまで対アフガニスタン業務、対イラク業務といった言い方をしてきましたが、テロ特措法の正式タイトルが、「・・アメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置・・に関する特別措置法」である(
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO113.html
。10月12日アクセス)ことからお分かりのように、特段この法律が、海自の行える業務を「アフガニスタン」に係るものだけに限定しているわけではない、ということも付言しておきましょう。
なお、以上の議論は、米艦が(攻撃機を艦載しているところの)空母であろうと、空母以外の艦艇であろうと、またその艦艇がトマホークを搭載していようといまいと何ら変わりはありません。
興味深いのは、朝日が、アフガニスタンに係るものであれば、米艦の活動が狭義の不朽の自由作戦(狭義のOEF)に係るものであるか海上阻止行動(OEF-MIO)に係るものであるかの違いは問題視していないことです。海上阻止行動にあたらないところの、「空母の艦載機がペルシャ湾内からアフガンまで飛ぶ」ことを特段問題視していないのことから、このことは明らかです。
これは私の認識と同じく、朝日の認識も、狭義のOEFだって米国による単なる自衛権の行使ではなくて国連によってオーソライズされた作戦であることから、狭義のOEFに従事している米艦に対する海自の給油に関して日本による集団的自衛権の行使云々の問題は生じない、というものであるということを推測させます。(ただし、2003年2月時点で既にオーソライズされていたという認識か、その後でオーソライズされたので遡って2003年2月時点でもオーソライズされていたとみなされるという認識かは定かではありません。)
(続く)
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有料版のコラム#2120(2007.10.12)「集団自決問題と沖縄(その1)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
2007年10月11日
太田述正コラム#2117(2007.10.11)
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その4)>
以前(コラム#1998で)、
「「軍隊(armed forces)」について、英語版のウィキペディアでは、「国家の軍隊は、・・その政府(governing body)の外交及び内政を推進する(further)ためのものである」としています。・・防衛省が沖縄の普天間基地移設計画に伴い、移転先とされている辺野古の海で実施される事前調査に海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を出動させたことに対し、防衛庁は明確な法的根拠を示すことができないことを問題視する声があるが、困った話だ。法的根拠がなければ動いてはいけない警察とは異なり、本来軍隊は法的根拠なくして動けなければ存在意義はない。」
と申し上げたところです。
海軍について申し上げれば、一般国際法により、いかなる国の海軍であれ、公海上で自国の艦船等はもちろんのこと、他国または国籍不明の艦船等であっても、その緊急事態に遭遇した時には、自らの艦艇や航空機を使って救援の手を差し伸べることができます。
つまり、海軍は、自国の領域外で、海賊等の海上犯罪に対処する国際警察的役割を果たすことが認められているのです。
(以上、
http://ww2.pstripes.osd.mil/01/may01/ed052101a.html
(10月11日アクセス)による。)
さて、(コラム#2113で、)
「・・2002年1月16日、国連安保理決議1390が採択され、全国連加盟国に対し、上記両勢力に係る資金凍結と要員の入国/通過の防止を求めるとともに、上記両勢力に対する軍事物資や軍事に係る技術的助言・支援・訓練の直接的間接的提供が国内から行われたり自国民や自国船舶・航空機によって行われることの防止を求めました。」
と申し上げたように、2002年1月16日以降は、タリバンやアルカーイダに係る資金・要員・軍事物資等の移動が違法となったのですから、各国海軍は、一般国際法に則り、違法行為であるところの、それらのインド洋の移動を、国際警察的に取り締まることができるようになったわけです。
ですから、海上自衛隊は、この国際警察的取り締まりを給油等によって後方支援することはもとより、国際警察的取り締まりに直接従事することも国際法的には可能なのです。 これは個別的ないし集団的自衛権の行使とは全く関係ないので、日本国憲法に抵触することもありえません。
日本だけの問題として、国際法上も憲法上も可能な活動が、国内法上の根拠がないと自衛隊はできないという問題があるわけですが、既に前年の11月2日からテロ特措法によって活動根拠が与えられていたことはご承知の通りです。
そうだとしても、一、11月2日から1月16日までの2ヶ月半に行われた海自による給油等をどう考えるか、ということと、二、海自が給油等を行った艦艇が、アフガニスタン本土における不朽の平和作戦に関与した場合にこれをどう考えるか、という問題は残ります。
この2ヶ月半は、厳密に言えば更に、2001年12月5日の(カルザイ(Hamid Karzai。1957年〜) を暫定大統領とする)アフガニスタン移行政府(Transitional Administration) 成立(
http://en.wikipedia.org/wiki/Hamid_Karzai
。10月11日アクセス))以前と以後に分かれるのであって、「以前」については、米国だけは個別的自衛権を発動し、その他の国々は米国のために集団的自衛権を発動してアフガニスタンのタリバン政権打倒のために戦い、「以後」については、(国連軍であるISAFは別として、)米国も含めてアフタニスタン政府のために集団的自衛権を発動してタリバンやアルカーイダ等と戦ったということになり、インド洋で各国海軍が行った海上阻止行動等もそれぞれの一環に位置づけられことになります。
いずれにせよ、まず一についてですが、「以前」にせよ、「以後」にせよ、この間に行われた海上阻止行動従事艦艇への給油等(「等」は給水です。念のため)が仮に日本による集団的自衛権の行使であって許されなかったとしても、海上阻止行動が国連のオーソライズを得た1月16日をもって遡って許されるものとなった、と私は考えます。
次に二についてですが、海自が給油等を行った艦艇による海上阻止行動と、アフガニスタン本土に係る個別的ないし集団的自衛権発動の軍事活動・・艦載機による作戦または巡航ミサイルによる攻撃・・とのためにそれぞれどれだけの燃料が使用されたかを見極めることが理論的にも実際的にも不可能である以上、仮に当該艦艇がかかる作戦または攻撃を行ったとしても、海自による給油等の(集団的自衛権行使なる)憲法違反性は阻却される、と私は考えます。
なお、空母だけが問題になっていますが、空母以外の水上戦闘艦艇の多くもトマホーク巡航ミサイルを搭載しており(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AF_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
。10月11日アクセス)、事情は基本的に同じであることに注意する必要があります。
(続く)
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有料版のコラム#2118(2007.10.11)「ナチスの犯罪と戦後ドイツ(その2)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その4)>
以前(コラム#1998で)、
「「軍隊(armed forces)」について、英語版のウィキペディアでは、「国家の軍隊は、・・その政府(governing body)の外交及び内政を推進する(further)ためのものである」としています。・・防衛省が沖縄の普天間基地移設計画に伴い、移転先とされている辺野古の海で実施される事前調査に海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」を出動させたことに対し、防衛庁は明確な法的根拠を示すことができないことを問題視する声があるが、困った話だ。法的根拠がなければ動いてはいけない警察とは異なり、本来軍隊は法的根拠なくして動けなければ存在意義はない。」
と申し上げたところです。
海軍について申し上げれば、一般国際法により、いかなる国の海軍であれ、公海上で自国の艦船等はもちろんのこと、他国または国籍不明の艦船等であっても、その緊急事態に遭遇した時には、自らの艦艇や航空機を使って救援の手を差し伸べることができます。
つまり、海軍は、自国の領域外で、海賊等の海上犯罪に対処する国際警察的役割を果たすことが認められているのです。
(以上、
http://ww2.pstripes.osd.mil/01/may01/ed052101a.html
(10月11日アクセス)による。)
さて、(コラム#2113で、)
「・・2002年1月16日、国連安保理決議1390が採択され、全国連加盟国に対し、上記両勢力に係る資金凍結と要員の入国/通過の防止を求めるとともに、上記両勢力に対する軍事物資や軍事に係る技術的助言・支援・訓練の直接的間接的提供が国内から行われたり自国民や自国船舶・航空機によって行われることの防止を求めました。」
と申し上げたように、2002年1月16日以降は、タリバンやアルカーイダに係る資金・要員・軍事物資等の移動が違法となったのですから、各国海軍は、一般国際法に則り、違法行為であるところの、それらのインド洋の移動を、国際警察的に取り締まることができるようになったわけです。
ですから、海上自衛隊は、この国際警察的取り締まりを給油等によって後方支援することはもとより、国際警察的取り締まりに直接従事することも国際法的には可能なのです。 これは個別的ないし集団的自衛権の行使とは全く関係ないので、日本国憲法に抵触することもありえません。
日本だけの問題として、国際法上も憲法上も可能な活動が、国内法上の根拠がないと自衛隊はできないという問題があるわけですが、既に前年の11月2日からテロ特措法によって活動根拠が与えられていたことはご承知の通りです。
そうだとしても、一、11月2日から1月16日までの2ヶ月半に行われた海自による給油等をどう考えるか、ということと、二、海自が給油等を行った艦艇が、アフガニスタン本土における不朽の平和作戦に関与した場合にこれをどう考えるか、という問題は残ります。
この2ヶ月半は、厳密に言えば更に、2001年12月5日の(カルザイ(Hamid Karzai。1957年〜) を暫定大統領とする)アフガニスタン移行政府(Transitional Administration) 成立(
http://en.wikipedia.org/wiki/Hamid_Karzai
。10月11日アクセス))以前と以後に分かれるのであって、「以前」については、米国だけは個別的自衛権を発動し、その他の国々は米国のために集団的自衛権を発動してアフガニスタンのタリバン政権打倒のために戦い、「以後」については、(国連軍であるISAFは別として、)米国も含めてアフタニスタン政府のために集団的自衛権を発動してタリバンやアルカーイダ等と戦ったということになり、インド洋で各国海軍が行った海上阻止行動等もそれぞれの一環に位置づけられことになります。
いずれにせよ、まず一についてですが、「以前」にせよ、「以後」にせよ、この間に行われた海上阻止行動従事艦艇への給油等(「等」は給水です。念のため)が仮に日本による集団的自衛権の行使であって許されなかったとしても、海上阻止行動が国連のオーソライズを得た1月16日をもって遡って許されるものとなった、と私は考えます。
次に二についてですが、海自が給油等を行った艦艇による海上阻止行動と、アフガニスタン本土に係る個別的ないし集団的自衛権発動の軍事活動・・艦載機による作戦または巡航ミサイルによる攻撃・・とのためにそれぞれどれだけの燃料が使用されたかを見極めることが理論的にも実際的にも不可能である以上、仮に当該艦艇がかかる作戦または攻撃を行ったとしても、海自による給油等の(集団的自衛権行使なる)憲法違反性は阻却される、と私は考えます。
なお、空母だけが問題になっていますが、空母以外の水上戦闘艦艇の多くもトマホーク巡航ミサイルを搭載しており(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AF_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
。10月11日アクセス)、事情は基本的に同じであることに注意する必要があります。
(続く)
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有料版のコラム#2118(2007.10.11)「ナチスの犯罪と戦後ドイツ(その2)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
2007年10月10日
太田述正コラム#2115(2007.10.10)
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その3)>
(コラム#2113の「3(2)ア」の最終段落を全面的に差し替えたものをブログに再掲載してあります。)
ISAFは、集団的自衛権を発動してアフガニスタンに駐留していた多国籍軍のうち、カブール周辺の治安維持を担っていた部隊を切り離す形で、国連が安保理決議1386(2001年12月20日)でオーソライズしてスタートしたものです。
このISAFの司令部機能は国別に6ヶ月交替で担われていましたが、2003年8月からはNATOが恒久的に司令部機能を担うことになりました。これは、NATOが史上初めて欧州・北米以外に配備されたことを意味します。
そして、安保理決議1510(2003年10月13日)により、ISAFの管轄(Area of Responsibility)がカブール周辺からアフガニスタン全土に拡大されます。
管轄がインド洋にまでは拡大されていないことに注意が必要です。
(以上、
http://en.wikipedia.org/wiki/International_Security_Assistance_Force、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%B2%BB%E5%AE%89%E6%94%AF%E6%8F%B4%E9%83%A8%E9%9A%8A#.E8.A8.AD.E7.AB.8B.E6.A0.B9.E6.8B.A0
(どちらも10月9日アクセス。以下同じ)による。)
2006年1月からは、ISAFが、米軍に代わってアフガニスタン南部で不朽の平和作戦に従事し始めます(
http://en.wikipedia.org/wiki/War_in_Afghanistan_%282001%E2%80%93present%29)。
更に2006年10月からは、ISAFが、アフガニスタン全土における不朽の平和作戦に従事し始め、これに伴い、この作戦に従事していたアフガニスタン残留米軍の指揮権も掌握します。
ここでも、ISAFがインド洋における海上阻止行動には従事していないこと、従って海上阻止行動に従事しているいかなる国の艦船にも指揮権を持っていないことに注意が必要です。
(以上、
http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Enduring_Freedom
による。)
ウ 小沢氏が言っていること
国連軍(国際連合軍=United Nations force)とは、本来、これまで組織されたことがない国際連合憲章に基づく正規の国連軍を指すのですが、現実には、在韓国連軍等の、国連のオーソライズの下で各国が自発的に組織する多国籍軍を指します。
ISAFは、このような意味における国連軍です。
(以上、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%80%A3%E8%BB%8D、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%B2%BB%E5%AE%89%E6%94%AF%E6%8F%B4%E9%83%A8%E9%9A%8A#.E8.A8.AD.E7.AB.8B.E6.A0.B9.E6.8B.A0
(上掲)による。)
同様、やはり国連憲章に基づく正規の国連軍ではありませんが、国連自身が組織し、国連事務総長が(原則として)指揮し、国連からも経費が支弁される(典拠省略)軍隊が、平和維持活動(PKO=Peace-Keeping Operations)に従事するところの平和維持軍(PKF=Peace Keeping Force)です。
ちなみに、強制措置の実施は、平和維持軍ではなくて高度な軍事力を持つ国連軍の役割であると考えられています。
(以上、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%92%8C%E7%B6%AD%E6%8C%81%E8%BB%8D
による。)
他方、不朽の自由作戦の海上阻止行動(OEF‐MIO)は、このどちらでもなく、国連のオーソライズはあるけれど、組織されていない、各国がバラバラに参加している軍事的活動です。(組織されているか否かのメルクマールは、単一の指揮官・司令部の存否です。) 日本の給油活動は、この海上阻止行動の後方支援なのです。
さて、小沢氏は、国連によってオーソライズされているISAFへの参加は許されるけれど、オーソライズされていないOEF‐MIOへの参加は、その後方支援を含め、許されないという主張をしています。
しかし、以上見てきたように、OEF‐MIOだって国連によってオーソライズされている点では何ら国連軍であるISAFと変わりはないのですから、オーソライズ云々の部分に関しては小沢氏の主張はナンセンスです。
それでもなおかつ小沢氏は、ISAFに参加した場合の自衛隊部隊の行動は、日本による軍事指揮権の行使、すなわち日本の主権の行使ではないので集団的自衛権の行使にはあたらないのに対し、OEF‐MIOに従事している自衛隊部隊の行動は日本による軍事指揮権の行使、すなわち日本の主権の行使であって、集団的自衛権の行使にあたるので許されない、と抗弁することでしょう。
私自身は、日本の憲法第9条は集団的自衛権の行使を禁じていないという見解なのですが、仮に集団的自衛権の行使が禁じられているとしても、海上自衛隊がインド洋でやっていることは、個別的自衛権の行使か集団的自衛権の行使かを論ずるまでもなく、そもそも自衛権の行使ではないと考えています。
要は、軍隊・・自衛隊も軍隊です・・とは何ぞや、ということです。
(続く)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
有料版のコラム#2114(2007.10.9)「魔女狩り(その1)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その3)>
(コラム#2113の「3(2)ア」の最終段落を全面的に差し替えたものをブログに再掲載してあります。)
ISAFは、集団的自衛権を発動してアフガニスタンに駐留していた多国籍軍のうち、カブール周辺の治安維持を担っていた部隊を切り離す形で、国連が安保理決議1386(2001年12月20日)でオーソライズしてスタートしたものです。
このISAFの司令部機能は国別に6ヶ月交替で担われていましたが、2003年8月からはNATOが恒久的に司令部機能を担うことになりました。これは、NATOが史上初めて欧州・北米以外に配備されたことを意味します。
そして、安保理決議1510(2003年10月13日)により、ISAFの管轄(Area of Responsibility)がカブール周辺からアフガニスタン全土に拡大されます。
管轄がインド洋にまでは拡大されていないことに注意が必要です。
(以上、
http://en.wikipedia.org/wiki/International_Security_Assistance_Force、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%B2%BB%E5%AE%89%E6%94%AF%E6%8F%B4%E9%83%A8%E9%9A%8A#.E8.A8.AD.E7.AB.8B.E6.A0.B9.E6.8B.A0
(どちらも10月9日アクセス。以下同じ)による。)
2006年1月からは、ISAFが、米軍に代わってアフガニスタン南部で不朽の平和作戦に従事し始めます(
http://en.wikipedia.org/wiki/War_in_Afghanistan_%282001%E2%80%93present%29)。
更に2006年10月からは、ISAFが、アフガニスタン全土における不朽の平和作戦に従事し始め、これに伴い、この作戦に従事していたアフガニスタン残留米軍の指揮権も掌握します。
ここでも、ISAFがインド洋における海上阻止行動には従事していないこと、従って海上阻止行動に従事しているいかなる国の艦船にも指揮権を持っていないことに注意が必要です。
(以上、
http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Enduring_Freedom
による。)
ウ 小沢氏が言っていること
国連軍(国際連合軍=United Nations force)とは、本来、これまで組織されたことがない国際連合憲章に基づく正規の国連軍を指すのですが、現実には、在韓国連軍等の、国連のオーソライズの下で各国が自発的に組織する多国籍軍を指します。
ISAFは、このような意味における国連軍です。
(以上、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%80%A3%E8%BB%8D、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E6%B2%BB%E5%AE%89%E6%94%AF%E6%8F%B4%E9%83%A8%E9%9A%8A#.E8.A8.AD.E7.AB.8B.E6.A0.B9.E6.8B.A0
(上掲)による。)
同様、やはり国連憲章に基づく正規の国連軍ではありませんが、国連自身が組織し、国連事務総長が(原則として)指揮し、国連からも経費が支弁される(典拠省略)軍隊が、平和維持活動(PKO=Peace-Keeping Operations)に従事するところの平和維持軍(PKF=Peace Keeping Force)です。
ちなみに、強制措置の実施は、平和維持軍ではなくて高度な軍事力を持つ国連軍の役割であると考えられています。
(以上、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%92%8C%E7%B6%AD%E6%8C%81%E8%BB%8D
による。)
他方、不朽の自由作戦の海上阻止行動(OEF‐MIO)は、このどちらでもなく、国連のオーソライズはあるけれど、組織されていない、各国がバラバラに参加している軍事的活動です。(組織されているか否かのメルクマールは、単一の指揮官・司令部の存否です。) 日本の給油活動は、この海上阻止行動の後方支援なのです。
さて、小沢氏は、国連によってオーソライズされているISAFへの参加は許されるけれど、オーソライズされていないOEF‐MIOへの参加は、その後方支援を含め、許されないという主張をしています。
しかし、以上見てきたように、OEF‐MIOだって国連によってオーソライズされている点では何ら国連軍であるISAFと変わりはないのですから、オーソライズ云々の部分に関しては小沢氏の主張はナンセンスです。
それでもなおかつ小沢氏は、ISAFに参加した場合の自衛隊部隊の行動は、日本による軍事指揮権の行使、すなわち日本の主権の行使ではないので集団的自衛権の行使にはあたらないのに対し、OEF‐MIOに従事している自衛隊部隊の行動は日本による軍事指揮権の行使、すなわち日本の主権の行使であって、集団的自衛権の行使にあたるので許されない、と抗弁することでしょう。
私自身は、日本の憲法第9条は集団的自衛権の行使を禁じていないという見解なのですが、仮に集団的自衛権の行使が禁じられているとしても、海上自衛隊がインド洋でやっていることは、個別的自衛権の行使か集団的自衛権の行使かを論ずるまでもなく、そもそも自衛権の行使ではないと考えています。
要は、軍隊・・自衛隊も軍隊です・・とは何ぞや、ということです。
(続く)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
有料版のコラム#2114(2007.10.9)「魔女狩り(その1)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
2007年10月09日
太田述正コラム#2113(2007.10.9)
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その2)>
3 給油はダメでもISAFへの自衛隊派遣はできる?
(1)始めに
小沢民主党代表は、国連決議に基づく国連の活動であれば、海外での武力行使でも憲法に違反しないという考えであるところ、10月に入ってから、インド洋での給油活動は国連活動でもない米軍等の活動に対する後方支援であって憲法が禁じる集団的自衛権の行使にあたるので許されないが、政権を担う立場になれば、アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF=アイザフ)への参加を実現したいと言い出しました。
(以上、
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071003k0000m010162000c.html
(10月3日アクセス)、及び
http://www.asahi.com/politics/update/1006/TKY200710060001.html
(10月6日アクセス)による。)
この小沢氏の意向を受け、民主党執行部は、ISAFへの後方支援のための自衛隊派遣等の検討を始めました。
これに対し、石破防衛相は、「国連が決めたら突如として日本の主権が消えて憲法9条に反しないという理論が本当に党内で賛同されているのか」と、また高村外相は「陸上でのアフガニスタンはすべて戦闘地域みたいなもの。憲法解釈上難しいのではないか」と批判しました(
http://www.asahi.com/politics/update/1007/TKY200710070091.html
。10月8日アクセス)。
民主党内からも、疑問の声が出ています。
例えば枝野幸男元政調会長は、「国連軍(への自衛隊派遣)なら国の主権を離れる。だが(ISAFのような)国連のオーソライズに基づくものは、(憲法が放棄した)国権の発動(たる戦争)の側面も残る。石破氏の言う通りだ」と語っています。
(以上、
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071007/plc0710071946003-n1.htm
(10月8日アクセス)による。)
一体この問題はどう考えればよいのでしょうか。
まずは事実関係を押さえておく必要があります。
(2)給油活動の位置づけとISAF
ア 給油活動
9.11同時多発テロを受け、2001年10月、米国は、他の国々とともにアフガニスタンのタリバンとアルカーイダ勢力を殲滅するための戦争を開始します。
これがアフガニスタン不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom - Afghanistan=OEF-A)です。
この不朽の自由作戦は、米国に関しては個別的自衛権、他の国々に関しては集団的自衛権の発動として開始されたのです。
翌2002年1月16日、国連安保理決議1390が採択され、全国連加盟国に対し、上記両勢力に係る資金凍結と要員の入国/通過の防止を求めるとともに、上記両勢力に対する軍事物資や軍事に係る技術的助言・支援・訓練の直接的間接的提供が国内から行われたり自国民や自国船舶・航空機によって行われることの防止を求めました。
(以上、
http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Enduring_Freedom、
http://en.wikipedia.org/wiki/War_in_Afghanistan_%282001%E2%80%93present%29、
http://72.14.235.104/search?q=cache:xd_KrW_5DJQJ:www.fatf-gafi.org/dataoecd/44/13/34346121.pdf+UN+Security+Council%3Bresolution%3BJanuary+16,+2002&hl=ja&ct=clnk&cd=2&gl=jp
(どちらも10月9日。以下同じ)による。)
日本が2001年11月2日に施行されたテロ特措法に基づいてインド洋に派遣した海上自衛隊の補給艦と護衛艦は、この不朽の自由作戦の海上阻止行動(OEF‐MIO:Operation Enduring Freedom-Maritime Interdiction Operation)に従事する米国等の艦船に対する支援活動を行ってきたわけです(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B4%8B%E6%B4%BE%E9%81%A3)。
なお、私の指摘のように、海自艦艇が給油(給水を含む)以外の監視等の活動を行っているとしても、それらも支援活動の範囲であると言えるのではないでしょうか。
とまれ、海自の給油活動は、2002年1月16日の上記安保理決議までの間こそ、各国の自衛権に基づく海上阻止行動への支援活動であったけれど、決議採択以降は、各国の海上阻止行動も、海自の海上阻止行動支援活動も、どちらも国連にオーソライズされた行動なのです。
他方、不朽の自由作戦については、安保理決議において累次言及され(典拠省略)、オーソライズされてきていたところ、この作戦の一環であるインド洋での海上阻止行動については、その部分だけ取り出した形での言及がありませんでしたが、2007年9月19日の安保理決議1776中でわざわざこの行動に言及した上でこの行動に貢献した諸国に対する感謝の意が表されました。
海上阻止行動が、念押し的に国連によってオーソライズされるに至ったと言っても良いでしょう。
(以上、特に断っていない限り
http://www.undemocracy.com/S-RES-1776(2007).pdf
(10月10日アクセス)による)。
この安保理決議の文面は、日本政府が米国等を通じて入れさせたと指摘するむきもあることはご承知の通りです。
イ ISAF
次に、ISAF(International_Security_Assistance_Force)についてです。
(続く)
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有料版のコラム#2114(2007.10.9)「魔女狩り(その1)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その2)>
3 給油はダメでもISAFへの自衛隊派遣はできる?
(1)始めに
小沢民主党代表は、国連決議に基づく国連の活動であれば、海外での武力行使でも憲法に違反しないという考えであるところ、10月に入ってから、インド洋での給油活動は国連活動でもない米軍等の活動に対する後方支援であって憲法が禁じる集団的自衛権の行使にあたるので許されないが、政権を担う立場になれば、アフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF=アイザフ)への参加を実現したいと言い出しました。
(以上、
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071003k0000m010162000c.html
(10月3日アクセス)、及び
http://www.asahi.com/politics/update/1006/TKY200710060001.html
(10月6日アクセス)による。)
この小沢氏の意向を受け、民主党執行部は、ISAFへの後方支援のための自衛隊派遣等の検討を始めました。
これに対し、石破防衛相は、「国連が決めたら突如として日本の主権が消えて憲法9条に反しないという理論が本当に党内で賛同されているのか」と、また高村外相は「陸上でのアフガニスタンはすべて戦闘地域みたいなもの。憲法解釈上難しいのではないか」と批判しました(
http://www.asahi.com/politics/update/1007/TKY200710070091.html
。10月8日アクセス)。
民主党内からも、疑問の声が出ています。
例えば枝野幸男元政調会長は、「国連軍(への自衛隊派遣)なら国の主権を離れる。だが(ISAFのような)国連のオーソライズに基づくものは、(憲法が放棄した)国権の発動(たる戦争)の側面も残る。石破氏の言う通りだ」と語っています。
(以上、
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/071007/plc0710071946003-n1.htm
(10月8日アクセス)による。)
一体この問題はどう考えればよいのでしょうか。
まずは事実関係を押さえておく必要があります。
(2)給油活動の位置づけとISAF
ア 給油活動
9.11同時多発テロを受け、2001年10月、米国は、他の国々とともにアフガニスタンのタリバンとアルカーイダ勢力を殲滅するための戦争を開始します。
これがアフガニスタン不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom - Afghanistan=OEF-A)です。
この不朽の自由作戦は、米国に関しては個別的自衛権、他の国々に関しては集団的自衛権の発動として開始されたのです。
翌2002年1月16日、国連安保理決議1390が採択され、全国連加盟国に対し、上記両勢力に係る資金凍結と要員の入国/通過の防止を求めるとともに、上記両勢力に対する軍事物資や軍事に係る技術的助言・支援・訓練の直接的間接的提供が国内から行われたり自国民や自国船舶・航空機によって行われることの防止を求めました。
(以上、
http://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Enduring_Freedom、
http://en.wikipedia.org/wiki/War_in_Afghanistan_%282001%E2%80%93present%29、
http://72.14.235.104/search?q=cache:xd_KrW_5DJQJ:www.fatf-gafi.org/dataoecd/44/13/34346121.pdf+UN+Security+Council%3Bresolution%3BJanuary+16,+2002&hl=ja&ct=clnk&cd=2&gl=jp
(どちらも10月9日。以下同じ)による。)
日本が2001年11月2日に施行されたテロ特措法に基づいてインド洋に派遣した海上自衛隊の補給艦と護衛艦は、この不朽の自由作戦の海上阻止行動(OEF‐MIO:Operation Enduring Freedom-Maritime Interdiction Operation)に従事する米国等の艦船に対する支援活動を行ってきたわけです(
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B4%8B%E6%B4%BE%E9%81%A3)。
なお、私の指摘のように、海自艦艇が給油(給水を含む)以外の監視等の活動を行っているとしても、それらも支援活動の範囲であると言えるのではないでしょうか。
とまれ、海自の給油活動は、2002年1月16日の上記安保理決議までの間こそ、各国の自衛権に基づく海上阻止行動への支援活動であったけれど、決議採択以降は、各国の海上阻止行動も、海自の海上阻止行動支援活動も、どちらも国連にオーソライズされた行動なのです。
他方、不朽の自由作戦については、安保理決議において累次言及され(典拠省略)、オーソライズされてきていたところ、この作戦の一環であるインド洋での海上阻止行動については、その部分だけ取り出した形での言及がありませんでしたが、2007年9月19日の安保理決議1776中でわざわざこの行動に言及した上でこの行動に貢献した諸国に対する感謝の意が表されました。
海上阻止行動が、念押し的に国連によってオーソライズされるに至ったと言っても良いでしょう。
(以上、特に断っていない限り
http://www.undemocracy.com/S-RES-1776(2007).pdf
(10月10日アクセス)による)。
この安保理決議の文面は、日本政府が米国等を通じて入れさせたと指摘するむきもあることはご承知の通りです。
イ ISAF
次に、ISAF(International_Security_Assistance_Force)についてです。
(続く)
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有料版のコラム#2114(2007.10.9)「魔女狩り(その1)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
2007年10月08日
太田述正コラム#2111(2007.10.8)
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その1)>
(本篇は、コラム#2062、2066の続きです。)
1 始めに
海自艦艇インド洋派遣問題は迷走を続けています。
二つの論点を取り上げてみました。
2 給油活動は無意味
防衛省は9月28日、海上自衛隊の補給艦の多国籍軍の補給艦に対する給油実績について、105回、計26万7,000キロリットルに上り、給油量全体(777回、計48万4,000キロリットル)の55%占めていることを初めて明らかにしました。
補給艦への補給の相手国は米英だけで、米国が大部分を占めると考えられますが、同省は、海上自衛隊から給油された米英の補給艦が給油した艦船名や時期は相手国の同意が必要として公開しませんでした。
(以上、
http://www.asahi.com/politics/update/0928/TKY200709280364.html
(9月29日アクセス)、及び
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B4%8B%E6%B4%BE%E9%81%A3
(10月9日アクセス)による。)
このような形で給油された燃料が、目的外のイラク戦争に転用されていたとの疑惑が浮上している問題(注)で、米国防総省は、日本政府の照会に対し、10月6日までに「目的外に用いたことはない」と明確に否定する回答を寄せました。
(注)「米補給艦「ペコス」が2003年2月25日朝に補給艦「ときわ」から、約83万ガロンの給油を受けたが、ペコスはその後ペルシャ湾方面に移動、同日午後に米空母「キティホーク」に「ときわ」からの燃料を含むディーゼル燃料を給油していた。キティホークは補給後ペルシャ湾に入り、イラクに対する「サザン・ウォッチ作戦」(イラク戦争開戦前)に従事したとみられている。」(ウィキペディア上掲)
ただし米当局者は、米艦船の運用では、対テロ戦、イラク戦を問わず、気象データを含むさまざまな情報収集や偵察、調査活動、艦船同士の警護などの任務を複数の艦船が同時にこなすのが通例で、航海中の艦船の活動をテロ対策の海上阻止行動という単独任務に限定することはできないと言明しています。
(以上、特に断っていない限り
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100601000542.html
(10月7日アクセス)、及び
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100701000182.html
(10月8日アクセス)による。)
要するに、これは私が以前(コラム#2066で)指摘したように、インド洋の米艦船の任務を対テロ戦とイラク戦に截然と分けることなど不可能だと言っているのであって、日本国内での議論の非常識さを嗤っているのです。
さて、各国別の給油回数(ウィキペディア前掲)や以上のことから、燃料の約半分は米艦船に(、しかもその大部分は米補給艦への給油の形で)提供されてきた、と考えられます。
ここでまず問題になるのは、日本が米艦船(艦載ヘリを含む)に無償で燃料を提供してきたことです。
これは、事実上日本の米国に対する思いやりの一環であるととらえる必要があります。
米国がそう受け止めている可能性を示唆しているのが、現在本格化している日米両政府の思いやり予算に関する新特別協定締結協議において、米側が軍事負担増を理由に電気、ガス、水道代など光熱水料・・2007年度予算は253億円・・の大幅増額を求めている(
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100701000464.html
。10月9日アクセス)ことです。
これは、テロ特措法の失効でインド洋で米艦船が日本から給油を受けられなくなることを見越して、思いやり予算総額の減少を類似項目で補填しようとしている、と勘ぐられても仕方のない動きです。
私はそもそも、思いやり予算全廃論者ですが、在日米軍基地の従業員の人件費であれ光熱水料であれ、日本が全額負担することがいかに米軍において無駄遣いを生むかを指摘してきました(拙著『防衛庁再生宣言』参照)。
インド洋で燃料を全額日本側負担で海上自衛隊の補給艦が米艦船に提供することは、やはり米軍において無駄遣いを生むだけでなく、その間米軍の補給艦を一隻遊休化させるという無駄も生んでいます。
このような無駄を回避するためには、日本が米国に対し、対アフガン戦の戦費の一部として、燃料代見合いのカネを提供した方が良いのです。
次に問題になるのは、日本が米国以外の国の艦船(艦載ヘリを含む)に無償で燃料を提供してきたことです。
日本が給油してきたパキスタン・フランス・カナダ・イタリア・英国・ニュージーランド・ドイツ・ギリシャ・スペインのうちパキスタンは発展途上国であり、燃料を提供する代わりに燃料代見合いの無償資金協力をした方がよいと以前(コラム#2062で)申し上げたところです。
それ以外の諸国は先進国であり、給油するとしても、代金をもらってしかるべきです。
これら諸国は、米国と違って、日本の安全保障に関し条約上の義務を負っているわけではないのですから、米国に対してすら行うべきでない「思いやり」のようなことを、日本がこれら諸国に対してやってやる必要は、全くありません。
フランスはこれを快しとはしなかったのでしょう。
日本からインド洋で給油を受けていることへのささやかな返礼として、2005年にフランスを訪れた日本の練習艦隊の3艦に寄港先のブレストで3,300万円相当の燃料を無償提供しています(ウィキペディア前掲)。
このように、海上自衛隊補給艦による多国籍軍への無償給油の意義は経済的に見て全くありませんし、あえて言えば軍事的に見てもほとんどないのです。
ですから、こんなべらぼうな給油活動など、補給艦に同行している海上自衛隊の護衛艦の隠された任務(コラム#2062)のカムフラージュのためにやっているのでなければ、決して行うべきではないのです。
(続く)
------------------------------------------------------------------
有料版のコラム#2112(2007.10.8)「完全なスパイ(その2)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
<海自艦艇インド洋派遣問題(続)(その1)>
(本篇は、コラム#2062、2066の続きです。)
1 始めに
海自艦艇インド洋派遣問題は迷走を続けています。
二つの論点を取り上げてみました。
2 給油活動は無意味
防衛省は9月28日、海上自衛隊の補給艦の多国籍軍の補給艦に対する給油実績について、105回、計26万7,000キロリットルに上り、給油量全体(777回、計48万4,000キロリットル)の55%占めていることを初めて明らかにしました。
補給艦への補給の相手国は米英だけで、米国が大部分を占めると考えられますが、同省は、海上自衛隊から給油された米英の補給艦が給油した艦船名や時期は相手国の同意が必要として公開しませんでした。
(以上、
http://www.asahi.com/politics/update/0928/TKY200709280364.html
(9月29日アクセス)、及び
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E8%A1%9B%E9%9A%8A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E6%B4%8B%E6%B4%BE%E9%81%A3
(10月9日アクセス)による。)
このような形で給油された燃料が、目的外のイラク戦争に転用されていたとの疑惑が浮上している問題(注)で、米国防総省は、日本政府の照会に対し、10月6日までに「目的外に用いたことはない」と明確に否定する回答を寄せました。
(注)「米補給艦「ペコス」が2003年2月25日朝に補給艦「ときわ」から、約83万ガロンの給油を受けたが、ペコスはその後ペルシャ湾方面に移動、同日午後に米空母「キティホーク」に「ときわ」からの燃料を含むディーゼル燃料を給油していた。キティホークは補給後ペルシャ湾に入り、イラクに対する「サザン・ウォッチ作戦」(イラク戦争開戦前)に従事したとみられている。」(ウィキペディア上掲)
ただし米当局者は、米艦船の運用では、対テロ戦、イラク戦を問わず、気象データを含むさまざまな情報収集や偵察、調査活動、艦船同士の警護などの任務を複数の艦船が同時にこなすのが通例で、航海中の艦船の活動をテロ対策の海上阻止行動という単独任務に限定することはできないと言明しています。
(以上、特に断っていない限り
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100601000542.html
(10月7日アクセス)、及び
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100701000182.html
(10月8日アクセス)による。)
要するに、これは私が以前(コラム#2066で)指摘したように、インド洋の米艦船の任務を対テロ戦とイラク戦に截然と分けることなど不可能だと言っているのであって、日本国内での議論の非常識さを嗤っているのです。
さて、各国別の給油回数(ウィキペディア前掲)や以上のことから、燃料の約半分は米艦船に(、しかもその大部分は米補給艦への給油の形で)提供されてきた、と考えられます。
ここでまず問題になるのは、日本が米艦船(艦載ヘリを含む)に無償で燃料を提供してきたことです。
これは、事実上日本の米国に対する思いやりの一環であるととらえる必要があります。
米国がそう受け止めている可能性を示唆しているのが、現在本格化している日米両政府の思いやり予算に関する新特別協定締結協議において、米側が軍事負担増を理由に電気、ガス、水道代など光熱水料・・2007年度予算は253億円・・の大幅増額を求めている(
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100701000464.html
。10月9日アクセス)ことです。
これは、テロ特措法の失効でインド洋で米艦船が日本から給油を受けられなくなることを見越して、思いやり予算総額の減少を類似項目で補填しようとしている、と勘ぐられても仕方のない動きです。
私はそもそも、思いやり予算全廃論者ですが、在日米軍基地の従業員の人件費であれ光熱水料であれ、日本が全額負担することがいかに米軍において無駄遣いを生むかを指摘してきました(拙著『防衛庁再生宣言』参照)。
インド洋で燃料を全額日本側負担で海上自衛隊の補給艦が米艦船に提供することは、やはり米軍において無駄遣いを生むだけでなく、その間米軍の補給艦を一隻遊休化させるという無駄も生んでいます。
このような無駄を回避するためには、日本が米国に対し、対アフガン戦の戦費の一部として、燃料代見合いのカネを提供した方が良いのです。
次に問題になるのは、日本が米国以外の国の艦船(艦載ヘリを含む)に無償で燃料を提供してきたことです。
日本が給油してきたパキスタン・フランス・カナダ・イタリア・英国・ニュージーランド・ドイツ・ギリシャ・スペインのうちパキスタンは発展途上国であり、燃料を提供する代わりに燃料代見合いの無償資金協力をした方がよいと以前(コラム#2062で)申し上げたところです。
それ以外の諸国は先進国であり、給油するとしても、代金をもらってしかるべきです。
これら諸国は、米国と違って、日本の安全保障に関し条約上の義務を負っているわけではないのですから、米国に対してすら行うべきでない「思いやり」のようなことを、日本がこれら諸国に対してやってやる必要は、全くありません。
フランスはこれを快しとはしなかったのでしょう。
日本からインド洋で給油を受けていることへのささやかな返礼として、2005年にフランスを訪れた日本の練習艦隊の3艦に寄港先のブレストで3,300万円相当の燃料を無償提供しています(ウィキペディア前掲)。
このように、海上自衛隊補給艦による多国籍軍への無償給油の意義は経済的に見て全くありませんし、あえて言えば軍事的に見てもほとんどないのです。
ですから、こんなべらぼうな給油活動など、補給艦に同行している海上自衛隊の護衛艦の隠された任務(コラム#2062)のカムフラージュのためにやっているのでなければ、決して行うべきではないのです。
(続く)
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有料版のコラム#2112(2007.10.8)「完全なスパイ(その2)」のさわりの部分をご紹介しておきます。


