太田述正コラム#9409(2017.10.19)
<定住・農業・国家(その3)>(2018.2.1公開)

 我々が火の技術を余り重視していないのは、人間の歴史の95%を占め、その間、我々の種の大部分が狩猟採集者達であったところの、長い期間を通じた、彼らの創意工夫(ingenuity)を、重視していないからであることを示唆している。
 「人間が、我々の歴史についての諸説明の中で、火を風景建築工学として記憶(register)すべきなのにしないのは、その諸行為化が数十万年に渡っていることと、それが、「野蛮人達」としても知られている「文明前の」人々によって成し遂げられたからでは多分なかろうか」、と著者は記している。
 火の重要性を示すために、彼は、南部アフリカの特定の諸洞窟の中で我々が何を発見したかを指摘する。
 最初期、最古、の諸洞窟の諸地層は、肉食獣達の全身の諸骨、と、彼らが平らげたところの、我々を含む諸物、を食べた跡が残っている沢山の骨片群、を含んでいる。
 次いで来るのは、我々が火を発見した頃の層であり、諸洞窟の持ち主が転換する。
 すなわち、人間の諸骸骨は全体であるのに対し、肉食獣達の骨は断片群になるのだ。
 火は、昼食を食べること、と、昼食にされること、を分かつものだったのだ。」’B)

 (3)狩猟採集社会

 「ブッシュマン(Bushman)<(注8)>達は、長く、人類学者達や科学者達の関心の対象であり続けている。

 (注8)サン人(San)。「南部アフリカのカラハリ砂漠に住む狩猟採集民族・・・。・・・3000〜2000年前くらいまでは、南部アフリカから東アフリカにかけて広く分布していた。しかし、バントゥー系の人々や白人の進出により激減し、現在はカラハリ砂漠に残っているだけである。・・・言語はコイサン語族」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E4%BA%BA
 「アフリカ言語の大カテゴリであるバントゥー語群に属する多様な言語を使用しつつ1つの大きな言語集団を成す多くの民族の総称である。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E7%B3%BB%E6%B0%91%E6%97%8F
 「コイサン諸語はアフリカの言語群。吸着音を共通の特徴として持つ。歴史的にコイとサンの人々によって話されてきた。・・・話者のコイサン人種は現生人類最古の系統とされ、吸着音は現生人類最古の言語の特徴を今に伝えるものと考えられている。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%B3%E8%AB%B8%E8%AA%9E
 コイ人=コイコイ人。「以前はホッテントット(Hottentot)と呼ばれていた。・・・
 女性に・・・小陰唇伸長が見られ・・・さらに臀部が極端に突出している特徴があ<る。>・・・
 1905年には南西アフリカのドイツ支配に対してホッテントット蜂起と呼ばれる戦争が起こり、ドイツ軍による大虐殺の被害を受けた。ドイツ本国ではこの戦争の是非をめぐって、国会が解散、総選挙となった。この選挙はホッテントット選挙と呼ばれた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%82%A4%E4%BA%BA

 約15万年前、つまり、最初の解剖学的な現代人類が出現してから5万年後、ホモ・サピエンスの一集団が南部アフリカに住んでいた。
 ブッシュマン、或いは、コイサン(Khoisan)<だが、彼ら>は、今でもそこにいる。
 <彼らは、>人間の家族樹における最古の植生だ。
 (「ブッシュマン」という言葉は蔑称だったが、現在では「それが、一連の、肯定的、というか、ロマンティックなステレオタイプ群<というイメージ>を喚起する」というわけで、彼ら達自身や諸NGOによって、今や用いられている、とスズマン(Suzman)<(注9)>は記すが、コイサンの若干は、「サン」という言葉を用いることをより好む。)・・・

 (注9)Helen Suzman(1917〜2009年)。南アの反アパルトヘイト活動家、政治家。ユダヤ系リトアニア人移民の両親の下に生まれた女性。University of the Witwatersrand卒(統計学、経済学)。
https://en.wikipedia.org/wiki/Helen_Suzman

(続く)