太田述正コラム#8154(2016.1.14)
<映画評論47:スター・ウォーズ/フォースの覚醒(その3)>(2016.4.30公開)

4 日本趣味

 以下は、肩の力を抜いて、気楽にお読みください。

 スターウォーズ・シリーズが日本趣味だらけなのは、よく知られたことです。
 下掲は、ある日本人によるまとめです。
 (この中には、都市伝説めいたものも入っていそうですが・・。)

「・C-3PO と R2-D2 は、黒澤 明監督「隠し砦の三悪人」の2人の足軽がモデル
・「隠し砦の三悪人」からは、冒頭と結末も踏襲
・ライト・セイバーは、時代劇の殺陣を意識
・ダース・ベイダーとオビ=ワン・ケノービは、黒澤映画に出演している三船敏郎に出演交渉したが断られた
・ヨーダは、黒澤明と並んで国際的に評価の高い脚本家の依田義賢(よだ よしたか/代表作「山椒太夫」)に由来 ◦1976 年、依田はサンフランシスコで講演会を行い、その後のパーティーでルーカスと会った。後に、ルーカスから依田にヨーダの人形が送られてきた
・「ジェダイ」は、日本語の「時代劇」に由来
・「エピソード III シスの復讐」の「シス」は、日本語の「寿司」に由来 ・・・」
http://h-english.net/starwars/japan.html

 また、ある米国人が、黒澤明がスターウォーズ・シリーズ生みの親であるジョージ・ルーカスに与えた影響について、動画にまとめています。
 (私は冒頭部分だけをチラ見しただけですが、もともと黒澤が欧米かぶれだったので、ルーカスが、真の意味で日本趣味であるとは必ずしも言えない、というのが私の見解ですが、ここではそれくらいにしておきます。)↓
https://www.youtube.com/watch?v=_pU6B2zEFeg&hd=1
 なお、この動画を日本人向けに解説したブログもあります。
http://gigazine.net/news/20140528-star-wars-jidaigeki-influence/

 以上は、これまでのスターウォーズ・シリーズ全体にあてはまることですが、ジョージ・ルーカスが抜けた(A)今回の映画でも、日本趣味はきっちりと受け継がれています。 アダム・ドライバー演じるカイロ・レンの衣装等は、「黒澤明監督の映画や侍の衣裳など・・・を参考にしている」(パンフレット)ですし、「アダム・ドライバー<自身、>「黒澤明監督の『七人の侍』などを参考に役作りをした」
http://www.sankei.com/entertainments/news/151211/ent1512110018-n1.html
と語っているところです。
 また、「エイブラムス監督は「・・・作品に『タカダノ』という惑星が出てくるが、その名は僕が初来日のときに泊まった場所、高田馬場にちなんでつけたんだ」と話し」ています。(上掲)

5 その他

 (1)英国への憧憬。

 今回の映画では、「主役」的だが実は引き立て役のハン・ソロ - ハリソン・フォード、最後にちょっと出るだけのルーク・スカイウォーカー- マーク・ハミル、刺身の褄程度の役のレイア・オーガナ将軍 - キャリー・フィッシャー、実質準主役のカイロ・レン - アダム・ドライバー、実質主役のレイ - デイジー・リドリー、最重要脇役のフィン - ジョン・ボイエガ、が主要登場人物です。(A)(主役云々は私の判断。)
 このうち、リドリーとボイエガは英国人です。
 実質主役と最重要脇役を英国人にやらせていることに注目してください。
 まず、ボイエガ(John Boyega。1992年〜)についてですが、彼は、ナイジェリア移民の両親の下に英国で生まれた黒人であり、困窮者向け奨学金を得て、South Thames Collegeで演劇を、University of GreenwichでTVと映画を学ぶ、
https://en.wikipedia.org/wiki/John_Boyega
という人物です。
 リドリー(Daisy Ridley。1992年〜)は、演劇の才能を認められ、奨学金を得て9歳から18歳まで演劇学校に通った後、ロンドン大で古典文明を専攻するも中退、
https://en.wikipedia.org/wiki/Daisy_Ridley
という人物ですが、今回の映画に関し、米国人のJ・J・エイブラムス(J.J. Abrams。1966年〜)
https://ja.wikipedia.org/wiki/J%E3%83%BBJ%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%B9
監督と共に脚本を担当した、同じく米国人のローレンス・カスダン(Lawrence Kasdan。1949年〜)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%80%E3%83%B3
は、リドリーに対して、「彼女は見事な身体的能力を持っていながら、常に向上心溢れる素晴らしい若い女優だ。だから、レイ役に彼女を抜擢したのはまさに幸運と言ってもいいだろうね。この世界に開放的であり、演じるストーリーのみならず、演技そのものにも心を開いている。身体能力も非常に優れている。役柄上、フィジカルな面を要求されことが多いんだ。同時に、彼女は素晴らしく美しく、僕らが愛してやまないイギリス人女優特有のウィットに富んでいる。彼女には、この女性だったら厳しい環境下でも生き残れる、と観客に感じさせることが出来る能力がある。」(パンフレット)と、歯の浮くような賛辞を送っています。
 これは、米国の知識層に、いい意味では「母国」英国への憧憬、悪い意味ではコンプレックスがあることの反映である、と私は思うのです。

(続く)