太田述正コラム#8347(2016.4.20)
<皆さんとディスカッション(続x2969)>

<太田>(ツイッターより)

 <昨>日はNYで大統領予備選。
 クリントンとトランプがどの程度勝つかくらいが見どころ。残った候補者中この2人だけはNYの住民なんで今回は投票もするんだね。
 その後で、クリントンはシェラトンホテル、トランプはトランプタワーでパーティだとさ。
http://www.nytimes.com/2016/04/20/us/politics/new-york-primary-preview.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&clickSource=story-heading&module=first-column-region®ion=top-news&WT.nav=top-news&_r=0

<太田>

 予定通り、クリントンとトランプがぶっちぎりで勝利。
 で、この二人の候補者の全米ベースでの不人気ぶりが改めて取り上げられている。↓

 ・・・Trump is, by far, the furthest underwater: The latest Wall Street Journal-NBC poll puts his net favorability rating at minus-41. A breathtaking 65 percent of registered voters see him negatively, versus 24 percent with a positive view, making him the most unpopular major party presidential candidate ever recorded.・・・
 <クリントンの不人気度はトランプを急追中。↓>
 Clinton, by contrast, has a healthier (and more volatile) history with voters. Polls showed her favorables slightly ahead of her negatives when she formally launched her campaign last April. But her trajectory is unnerving. The new WSJ-NBC numbers have Clinton minus-24 (with 56 percent viewing her unfavorably and 32 percent favorably), almost double the gap just one month earlier. ・・・
 <どっちも、過去5回の米大統領選の時の全候補者より不人気。↓>
  All three candidates <・・including Cruz・・> are more unpopular than the losing presidential candidate at any point during the past five election cycles,
・・
https://www.washingtonpost.com/opinions/an-unpopularity-contest-for-the-ages/2016/04/19/7e1d25a2-0663-11e6-a12f-ea5aed7958dc_story.html

<太田>(ツイッターより)

 「…国連人権理事会が任命した特別報告者(表現の自由担当)のデビッド・ケイ米カリフォルニア大アーバイン校教授<は、>… 放送事業者に「政治的公平」を求めた放送法4条の規定を根拠に、高市早苗総務相が放送局の電波停止に繰り返し言及した問題について「大いに懸念を抱いている。4条を廃止すべきだ」と述べた。
 日本は政府が放送免許を認可し、放送行政を監督していることに関し、政府ではなく独立行政機関が監督すべきだとの考えを示した。
 特定秘密保護法を巡っては、特定秘密の定義があいまいで範囲が広がること、報道機関が萎縮する恐れがあることを挙げ「法を根本的に変えるべきだ」と語った。
 <更に、>…ヘイトスピーチの定義があいまいなまま規制すれば表現の自由に悪影響を及ぼす可能性があると指摘した。」
http://mainichi.jp/articles/20160420/ddm/041/030/139000c
 一番最後の指摘からも慰安婦の特別報告者よりはまともな人物のように見えるだけに、大論議生起は必至かも。

<平均的な日本人>(同上)

 特定機密法を無くすなら、スパイ防止法を制定しましょね。
 でないと国家機密がダダモレですから。

<太田>

 ま、そうねえ。
 なお、放送法の話の論点は、下掲コラムを読むと分かる。
http://www.shigo45.com/entry/2016/02/11/210529
 ただし、「法律になじみのない人から見れば、法律に書かれている文言には全て法規範性がある(何がしか法的に強制しうるもの)と考えてしまいがちだが、そうではない。例えば、最高法規である憲法にも「義務」として規定されているが具体的な法的義務を課しているわけではないと一般に解されているものがある。」というくだりは、私が、日本の憲法には基本的に規範性がない・・最大限の柔軟な解釈が許されている・・という立場に立っていることもあり、法律には規範性がある、もっとも、法律の規定ぶりにおいても、一般には、行政官や裁判官に大きな裁量権を与える配慮がなされる、というのが私の見解。
 従って、ケイ教授のこの2点についての見解には不同意だ。
 彼、日本人の法意識の特異性、戦後日本における安全保障意識の欠如、についての認識が不十分なんだろうな。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 インテリアデザインスタジオ「nendo」の佐藤オオキの紹介記事だ。↓
http://www.wsj.com/articles/minimalist-master-nendo-studios-oki-sato-1461077812

 恒例の中共当局・人民の日本礼賛の声だ。

 では、当局から。↓

 「・・・参考消息・・・記事はまず、長い歴史を誇る日本のランドセルには伝統的な赤や黒の色に加えて、最近では青やモカ、ピンク、紫色などもあって、見た目が「おしゃれ」と紹介。中国でもインターネット上で紹介されているほか、中国人ガイドによる宣伝もあり、日本を訪れる中国人旅行者にお土産としてよく売れているという。
 人気の秘訣は、職人が1つ1つ手作業で製作する、その質の高さだ。ある有名工房のランドセルは0.1ミリの誤差も許されない職人技で、100個以上のパーツを300もの工程を通して組み合わせ、6年間の使用に耐えるランドセルを製作している。
 記事は、美しく見えるように計算され尽くした側面のカーブや、0.5ミリ幅での縫製、歪みがないか念入りに確認が行われることなど、日本の職人のこだわりぶりを紹介。多くの製造業が海外移転を進めるなかで、「工程が複雑すぎる」ため、ランドセルだけは日本の職人にしか作れないと称賛した。」
http://news.infoseek.co.jp/article/searchina_1607690/
 「・・・今日頭条・・・記事は女性らしい観点で日本の様々な面に対する感想を述べているが、例えばファッションについて日本の若い女性たちの着こなしを絶賛している。日本の若い女性たちは欧米人に比べてスタイルが良いとは言えないが、160cm以下の身長でも足を長く見せる美しくバランスのとれた着こなしをしていると指摘。

 また日本人の若い女性たちは決して服の引き立て役になっておらず、むしろ服によって自分の美しさを引き出すことができる人びとだと絶賛している。中国では近年、韓流ブームが起きており、韓国のファッションを好む女性も多いのだが、この女性のように日本のファッションを評価する女性もいるようだ。・・・
 記事は、日本人の若い女性たちは自分たちの体形に合わない欧米のファッションに無理やり自分を合わせようとするのでなく、むしろ自分たちの美しさを引き出すことのできるファッションを選択していると指摘。その結果、逆に日本の若い女性たちの美に感化された欧州のファッションには「日本らしさ」が入り込んでいると記事は論じている。」
http://news.infoseek.co.jp/article/searchina_1607779/
 「・・・環球時報・・・記事は、記者の親戚にもちょうど日本を訪れたばかりの人がいたと紹介し、その親戚が日本を訪れた感想として「自分が生きている間に中国が日本に追いつく 日は来ないだろう」と述べていたことを紹介。日本と中国には今なお圧倒的な差が存在することを、訪日して目にしたという意味だ。この中国人記者の親戚の言 葉について、記事は「多くの中国人が訪日旅行で実感した感想とほぼ同じ」であると指摘した。
 さらに、中国人にとっての日本のイメージが「日本人の礼儀正しさ」、「日本製品の品質の高さ」といったもので構成されつつある現状を指摘したうえで、「中国人の日本に対する印象が一変するかはまだ分からない」としながらも、1つだけ確かなことがあると主張。
 それは、日本政府が中国人向けの査証(ビザ)発給要件を緩和しているのは、経済効果だけを狙ったものではないことだと指摘し、日本側にも中国との関係改 善に向けた意思があるのではないかと考察。さらに、多くの中国人が日本を訪れている現状に対し、「中国人はようやく本当の日本を知り始めた」と伝えた。」
http://news.infoseek.co.jp/article/searchina_1607805/

 当局が人民を誘導していることが分かるのが次の二つだ。↓

 「・・・今日頭条・・・記事は、「『きれい』や『清潔』は日本の代名詞である」とし、いくつかの例を挙げている。日本の小中学校では生徒は必ず上履きに履き替えて教室内 に入ること、日本では水道水が直接飲めること、ごみの分別を細かく行っていること、子どものころから掃除をする習慣を身に付けることなどを写真付きで紹介 した上で、「何と日本は世界で最も清潔な国だった」と評している。
 この記事に、中国のネットユーザーからはさまざまなコメントが寄せられている。
 「日本は、外見は清潔だが心の中は肥だめのよう」
 「(上記のコメントに対して)自分の外見も清潔にできないのに、心のきれいさが語れるのか?」
 「中国も噴子(ネット上に罵詈雑言を書き込む人たち)がいなくなればきれいになるんだけどな」
 「『何と』だって?何を今さら」
 「きれいなことは良いことだ」
 「全体的に民度が高い。私たちは日本に学ぼうじゃないか」
 「差を認めなければ進歩はない」
 「環境が良い国は、人の心も人格も道徳も素養も同じように良い」
 「日本は中国ほどの豪華なビルはないが、中国には日本の清潔さや快適さはない」
 「(日本では)雨の日に靴ひもが解けても、靴ひもが黒くなることはない。本当に何も言えなくなる」」
http://www.recordchina.co.jp/a132194.html
 「・・・今日頭条・・・記事では、日本人は行列を作るのが好きで、列に並ぶのが得意であることは世界が認めるところだと紹介。もしみんなが並んでいる所で列に並ばない人 がいると、大声で文句を言うことはないが「きわめて特異な目で見られる」と伝えた。また、災害に面しても秩序正しく、救援物資の毛布などもきれいに畳まれ て置かれていると紹介した。
 これに対して中国のネットユーザーからさまざまコメントが寄せられた。
 「日本の良いところは学ばないとな」
 「以前は日本のすべてをボイコットしていたが、今はちょっと大人になって冷静に考えたら、少しも反日にはならなくなった」
 「俺も列の割り込みをする人のことが非常に頭にくる。いつになったら中国人の民度は上がるのだろう」
 「中国は汚職役人があんなに多いんだから社会が良くなるわけがない」
 「民度の向上には何代もかかる。中国人は今努力しいているんだ」
 「中国ではルールを守りすぎて臨機応変さに欠けるとやってはいけない」
 「中国人にもいいところはある。むやみにおとしめるべきではない」
 「奇襲することが文明的なことか?本質的に劣っているだろ」
 「自分は日本に行ったことがないが、日本人に接触したことのある人はみんな礼儀正しいという。そんな日本人がなぜ侵略戦争を起こしたのか、理解に苦しむ」
http://www.recordchina.co.jp/a133927.html

 人民の自発的な声をどうーぞ。↓

 「・・・中国の掲示板サイトに、「なぜ同じ儒教文化なのに中国人の民度は日本人に及ばないのか?」と題するスレッドが立った。
スレ主は、中国人旅行客によるマナーの悪さが世界各地で指摘されているのに対し、日本人はマナーが良いとの評判なのは強烈な対比であると主張。タ イでは公衆トイレに「使用後は水を流してください」と中国語で書かれていることなどを紹介し、「毛沢東時代以降、伝統文化の破壊と信仰への迫害が、信仰の 欠如をもたらし、今の中国人の民度の低下をもたらした」という学者の意見を伝えた。
 これに対して中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。
 「毛沢東時代の人々の民度は世界が称賛するレベルだった。現在の道徳低下は誰に責任があるんだ?」
 「明らかに改革開放がもたらした問題なのに、責任を毛沢東時代に押し付けるのか?」
 「毛沢東時代は海外に行く中国人などいなかったからな」
 「えっと、文化大革命って聞いたことがありますか?」
 「中国だけではなくて、社会主義の国はどこも同じようなもの」
 「民度と信仰は関係がある。党と政府は共産主義を信仰するよう呼び掛けたが、結果は芳しくないね」
 「同じ儒教文化といっても、日本はその後、西洋から学んだからな」
 「日本は儒教文化だけではなく、西洋文化も吸収した。中国はスターリンに始皇帝を加えた文化で、儒教の衣を着たマルクス主義だ」」
http://www.recordchina.co.jp/a130968.html
 「・・・今年の花見シーズンも多くの 中国人観光客が日本を訪れたが、日本で花見をする際の注意点として「ポリ袋を持参してごみはその中へ入れよう」と呼び掛ける例も見られた。今回報じられた 黄河川辺のごみ散乱に関しても「あまりにもひどい」「これが中国だ」「人口を減らしてそれぞれの品格を上げるべき」といった声や「大人は子どもの手本。だ から私はごみのポイ捨てなんかしない」「自分が登山する時は他人が捨てたごみも拾うように心掛けている」「子どもを連れてバーベキューに行く時、自分はい つもごみ袋を持参する。バーベキューにはマイカーで行くことが多いと思うが車でごみを持ち帰ることがどうしてできないのだろう」などのコメント、さらに 「日本との差は大きいな。日本ではごみマナーをどうやって教育しているんだろう」と日本と比較して考える意見も見られた。」
http://www.recordchina.co.jp/a133251.html

 今次熊本大地震関係の人民の声だ。↓

 「・・・中国ネットでは、「日本頑張れ!」「地震発生後数時間で被害状況のデータが公開されるのか、日本人の作業効率はすごいな」「日本と日本国民が無事であ ることを願う。日本は世界に必要な国だ」「震度7でこの程度の被害か、中国の交通事故より少ないな。犠牲者に冥福を祈る」「日本製品を買って日本を応援し よう」と日本を心配する声やエールが届いている。
 さらに、在日中国人と思われるユーザーからは、「携帯電話には地震発生前に予報が届いた。地震が発生する30秒くらい前だった気がする。日本の地震警報は本当に速い」と驚きの声が寄せられた。」
http://www.recordchina.co.jp/a133428.html
 「・・・くまモンがツイッターを停止したことについて、熊本県は「地震に見舞われた方々の事を最優先に行動しているところであり、SNSでの情報発信につい ては控えております」と発表している。・・・
 くまモンは中国人にも人気があり、地震直後には中国版ツイッター・微博(ウェイボー)に、被災者と共にくまモンを気遣うコメントも数多く寄せ られていたほど。日本のあるネットユーザーは、ツイッターで中国人観光客と見られる人がくまモンと記念撮影をする写真と共に、「中国の多くの人がくまモン を通じて熊本を知り、地震の報に接して無事を祈っている。キャラの国境を超える力、改めてすごい」とつぶやいている。
ネットユーザーからは、「くまモン、どうかご無事で」「早く復活することを祈っています。頑張れ」「熊本、頑張れ!くまモン頑張れ!」などのコメントが寄せられている。」
http://www.recordchina.co.jp/a133977.html
 「・・・中国の作家・海菱(ハイ・リィン)氏は日本に対する自身の見解を語っている。「日本は尊敬に値する国である。日本人の高い素養や政治への低い関 心、友好的で親切、礼儀正しく包容力があり向上心が高い。日本には中国人が学ぶべき優れた点が非常に多い。歴史にとらわれず今を見よう。日本は地震が多い 国だが、地震の被害を最小限に抑えている。今回の熊本県の地震でもその実力を示している。頑張れくまモン」と熊本にエールを送っている。」
http://www.recordchina.co.jp/a133906.html
 「・・・中国のネットユーザーからは「どうか、被害が最小限でありますように」「天災の前に国境はない、日本国民の無事を祈りま す」「日本から帰ってきて偏見は変わった。私が一番感じたのは日本人の友好と民度の高さ。彼らが無事であってほしい」といった声が寄せられている。
 また、地震を喜ぶ心ないコメントに対しては「頭がおかしいのか?」「国民に罪はない。そういうことを言うやつには必ず相応の報いがあるからな!」「どうりで香港人も韓国人も日本人も中国人を見下すわけだ」など、厳しい批判の声も上がっている。
 このほか、「マグニチュード7.3で被害がこれだけとは。日本は確かにすごい」「日本の建物は本当に頑丈。もし中国ならどれだけの命が失われていたことか…」などの驚きの声も寄せられている。」
http://www.recordchina.co.jp/a133419.html
 
 同じ地震に関し、ついでに、他の隣国の声もど−ぞ。↓

 「・・・いま日本と台湾は、不幸中の幸いと言うべきか、地震への支援がつなぐ「恩返しの連鎖」とも言える状態に入っている。・・・」
http://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20160419_114375/
 「・・・韓国・聯合ニュースは、連続する地震により数十人が死亡し、16万人以上が避難生活を余儀なくされている熊本県を取材し、避難所の様子を伝えた。
 最大震度7の最初の地震が発生してから4日目の17日、被災者らは「自給自足」の厳しい生活を強いられていた。正式な避難所となっていない場所で は、自宅から持ってきた非常食と上下水道局から配給される水で過ごさなければならないという状況だ。しかし、そのような中でも、日本人1人1人の体に染みついた秩序意識と他人への配慮を確認することができたという。
 熊本県庁では、食べ物を求める1人のおじいさんの元に数人が走り寄り、持っていた食べ物を分け与える姿が見られた。また、正式な避難所となってい る砂取小学校では、おかゆの配給が行われ、4人家族までは1杯、それ以上は2杯と、家族の人数分に応じた量が配られたが、かなり少ない量にもかかわらず、 おかわりを要求する人はいなかったという。
 さらに、上下水道局には長蛇の列ができ、2〜3時間は待たなければならない状況だったが、割り込みをする人などはおらず、秩序維持に当たる公務員 の姿もなかった。その他にも、みんなが使うトイレに流す水を汗だくになりながら運ぶ高校生の姿や、アルミホイルに包んだ料理を無料で道行く人に配る居酒屋 店主の姿も見られたという。
 この報道に、韓国のネットユーザーからはたくさんの称賛コメントが寄せられた。
 「つらい状況の中でも秩序を守る日本人の市民意識を韓国人も見習うべきだ」
 「韓国だったら、お互いにののしり合い、水や食べ物を奪い合ってけんかしていただろう」
 「割り込みする人すらいないなんて…」
 「韓国の街より熊本の避難所周辺の道の方が、ごみが落ちていなくてきれいかも」
 「日本のそういうところが本当にうらやましい」
 「日本のパワーを感じる。日本は恐ろしい国」
 「日本の市民意識はやっぱり世界最高。韓国が日本に追いつくには、あと100年はかかるだろう」
 「韓国で悪天候のために飛行機が欠航になった時と全然違う。人々は大声で文句を言い、他人への配慮などなかった」
 「韓国人だったら、『おかゆが少な過ぎる!』と集団で大統領府へ押し掛けるだろう」」
http://www.recordchina.co.jp/a131661.html

 なお、参考までに、福島香織サンのコラムからの関連部分をどーぞ。
 (全体としてのコラムのトーンは、完全なピンボケだが・・。)↓

 「・・・今回は多くの中国人が、インターネット の微博などのSNSで熊本への心配と応援を文章やイラストで表現しているのを見て、失礼ながらちょっと意外な気がした。
 というのも、2011年の東日本大地震のときは、中国でこういった被災地応援のネットブームは、すぐさまは起きなかったと記憶しているからだ。あの時は、むしろ先に「ざまあみろ」式の揶揄がネットの話題となり、良識のある中国人記者や中国人知識のそれを諌めるコメントが散見された。これに対して台 湾が外国の中で最高額の義援金を寄せてくれたことが、いかにも中国人と台湾人の違い、と言う形で日本人に印象づけられたのだった。
 熊本地震に関しては、中国で「小日本が大地震に襲われたので宴会を開いた」といった意地悪なSNS投降もないわけではないが、それを上回る勢いで、傷ついた熊本県の“ゆるキャラ”くまモンを慰めるイラストやメッセージが流れたのである。・・・
 熊本県のくまモンは、中国語で“熊本熊”“熊萌”と呼ばれ、ダントツの人気である。実際、くまモンは、中国や香港でも“営業”しているし、それが熊本のキャラだと知らなくても、あの“ほっぺの赤い熊”といえば、見たことがあると答える人は多い。
 もともと、中国語の“熊”には、おバカな人、無能、といったニュアンスがある。北海道の道路標識の「熊出没注意」などは、中国語では「おバカな人に 気づきません」といった意味に取れ、このステッカーを北海道土産に買って帰ると大ウケする。車に貼れば、「注意力が足りない無能な運転手」という意味になり、若葉マークのない中国では、運転初心者が周囲への注意喚起で貼ることもあるとか。
 このちょっと愛すべきおバカなイメージは、くまモンのキャラと完全に重なり中国人の琴線に触れたようでもある。だが、くまモンは無能そうな見た目と違い、2012年には周辺グッズの売り上げ300億円近くある“稼げる男”であり、こういうギャップも、中国人がくまモンが好きな理由かもしれない。
 中国人は基本、無能者よりは“有能で稼げる男”が好きである。なので、今回の大地震の被災地が熊本というと、くまモンの故郷だ、くまモンが被災した、と中国人にとっても非常に身近に感じることになった。実際、くまモンブームの影響もあって、中国人には阿蘇山ツアーなども大人気で、今回も南阿蘇の温泉地で中国人団体客20人が孤立し、ヘリコプターで救出された事態があった。
 日本、そして熊本に対するこうした中国人の親近感は、SNS上に、傷ついたくまモンや悲しんでいるくまモンを、パンダが慰めたり励ましたりするイ ラストや、くまモン頑張れ、といったメッセージの形であふれるようになった。イラストの中には、パンダが「私たち、みんな熊だもの」とキャプションがついていた。この慰めの言葉を素直に受け取りたい。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/218009/041900042/?n_cid=nbpnbo_mlp
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太田述正コラム#8348(2016.4.20)
<一財務官僚の先の大戦観(その10)>

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