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太田述正コラム#8269(2016.3.12)
<皆さんとディスカッション(続x2930)>

<太田>(ツイッターより)

 「「グーグルは謝罪せよ」=韓国人棋士の2連敗受け、韓国の弁護士が主張…
 <彼>は約1カ月前…にSNSで「グーグルが進めるこの対戦はインチキ。
 イ九段が5局すべてで負けるのは決まっている」と指摘していた。 …
 「アルファ碁は相手の手を予測して打つのではなく、相手の手を見てから次の一手を計算するため、本当の意味での人工知能ではない」としている。
 また、アルファ碁はネットを通じて無限に情報を収集できる点も指摘。
 「グーグルは アルファ碁にブルートフォース(すべてのパターンを計算して答えを出す方法)は使用しないとしているが、ブルートフォースを使用するプログラムがアルファ 碁に情報提供をしている。これは反則だ」と主張した。…」
http://news.infoseek.co.jp/article/recordchina_RC_130927/
 どなたかAIに強い人、この言い分(いいがかり?)の意味とその当否を教えてたもれ。
<bonkers_blunder>(同上)

 AIも碁もお手上げですが、グーグルが棋士さんを引き立て役にして大勝利ということでしょうか。
 Showdown | The Economist
http://www.economist.com/news/science-and-technology/21694540-win-or-lose-best-five-battle-contest-another-milestone

<aNQpkwqY>

 AI(人工知能)の原点は計算機でしょうね。
 計算はより高度化し、ファジーだの並行処理だの高度なプログラミングが作成されたが、どう考えてもAI(人工知能)とは言い難かった。
 一方で、AI(人工知能)は、人間の脳や神経を模倣すべきという考え方も古くからあったのですが技術的に困難で、研究は停滞していたのですね。
 ところが、顔認証などの研究でディープラーニングと呼ばれる技術革新が起こった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1507/27/news067.html
 要するに、人間が学習すれば、学習効果で頭が良くなるように、データを放り込めば、勝手に、新しい回路が出来て新しいソフトが自動で出来るようになったということでしょう。
 囲碁の場合は、選択肢が他のゲームより多いし、全部の選択肢を解析するタイプ(これをやるのもきつい)のAIではないのなら、まだAIより人間に分があると思われていたんでしょうが、
http://gigazine.net/news/20160128-computer-win-human-at-igo/
現実は名人を人間離れした手で圧倒してしまった。
 理屈からから言えば、ネット上で大量の(名人クラスのデータを含む)対戦データを放り込めば勝手に最強ソフトが出来上がるわけで、しかも、データは大量であればあるほど良いわけです。
 多分、韓国人の弁護士が言いたいのは、ネットから大量のデータを取り込むソフトがあり、それが結局、全部の選択肢を解析するタイプのAIと同じではないのかと言いたいのではないでしょうか?
 これは、素人考えですが、言いがかりとみなすべきでしょう。
 今回のAIは従来の延々と情報入力されてつくられたソフトではなく、AIが対戦データを取り込んで勝手にソフトを作ったわけで、それが予想以上の力を発揮したわけですから、アルファ碁にブルートフォース(すべてのパターンを計算して答えを出す方法)は使用しないという規約をグーグルは守っているとみなすべきかと思います。
 あくまで素人考えです。

<太田>

 なるほど、よく分かりました。
 関連記事だ。

 なおさら、こりゃアカンわ。↓

 「人間対AI:李世ドル九段、夜通し「復碁」で反撃準備・・・
  復碁の最中、李九段は「『アルファ碁』はうまい手を打つ」と何度か言った。当初の「1回も負けずにすべて勝つ」という考えは欲張りすぎだったことをはっきり認めた。しかし、それと同時に、「3局は勝てる」という確信も持ったという。全体的な力量を考えれば、決して自分が劣っているとは思えないというのだ。・・・
 李九段が第3局を前に下した結論は「序盤に勝負をつける」だった。何としてでも先制リードを取らなければ、それ以降は覆すのがほぼ不可能だと李九段は判断したのだ。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/12/2016031200589.html

<から>

 グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48137

 「浮かび上がってきたのは「他者への心遣いや同情、あるいは配慮や共感」といったメンタルな要素の重要性だった。
 つまり成功するグループ(チーム)では、これらの点が非常に上手くいっているというのだ。」
 原文は2/25に出てたみたいですが…、グーグルが人間主義の効能に気付いたということでしょうか。
 人間主義を世界に広げるのは、日本や中国ではなく、実はグーグルかも?

<太田>(ツイッターより)

 「日本人観光客がタイで全裸でダンス、中国人が濡れ衣に…タイの<某>新聞…は…「どの国の観光客かはっきり判断できない状態で、観光客は中国人などと断定してしまった。全ての中国人に心から謝りたい」という英語のコメントを掲載した。…」
http://j.people.com.cn/n3/2016/0311/c94473-9028669.html
 「…中国のネットユーザーはそれに対し「日本人だからご立派という訳ではない。黒髪の黄色人種は中国人だけではないということを忘れないでもらいたい」…」(上掲)と涙声だ。
 自業自得とはいえ、その大部分の住民が人間主義者であるところの、日本を隣国に持つ中共国民に、心から同情しちゃうよなあ。

<太田>

 関連で、中共当局の日本礼賛記事をここでどーぞ。

 「日本の漁師の家に民泊、思いやりで心の交流・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2016/0311/c94473-9028611.html
 「外国人観光客絶賛の個性あふれる日本のプチ土産・・・」
http://j.people.com.cn/n3/2016/0311/c94473-9028737.html

<EChH.Mik>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 シジュウカラ、「文を作る能力」あった 新発見、言語進化を読み解く鍵に
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1603/09/news078.html

 こうやってアブラハム系一神教が主張する人間の特別性が次々と事実により否定され、AIに性能でも遅れをとるようになり、最終的には人間と自然を区別しない人間主義の世の中に戻るといいね。

<ymZb5KDE>(同上)

 習主席スローガン「中国夢」に日本の新幹線 新聞広告
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/international/international/1-0244895.html

...鉄道に疎いデザイナーが写真素材の提供サイトから引用したとみられる。...

からの

...広告には「心と力を合わせて創新しよう」などと添え書きされている。...

 これ中共から日本へのメッセージかなぁとか思ってしまうのは考えすぎだろうか?

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 literateをどうやら「文人的」チックなニュアンスで捻じ曲げることによって、ここでも、北欧諸国を上位に日本等を下位に落とし込もうという陰謀が・・。↓

 Finland ranked world's most literate nation ・・・
 <読解能力だけをとれば、日本は実質2位だとさ。↓>
 The report discovered that if it only ranked nations on their reading assessment results, the final tables would have been very different. When this is the only factor considered, Singapore comes in top, with South Korea, Japan and China in second, fourth and fifth places respectively. Finland is the only non-Pacific Rim country to make the top five, in joint second place. The UK is 26th.・・・
 <(だけど、(図書館の充実ぶり等の)その他の要因を考慮すると、順位は大幅に入れ替わる、とさ。↓>
  “When factors other than test scores are included, there is not a single Pacific Rim country among the top 25,” says the report.・・・
http://www.theguardian.com/books/2016/mar/11/finland-ranked-worlds-most-literate-nation

 むしろ問題は、韓国籍がまだそんなに残ってることだよ。
 何度も言うように、彼らに特別扱いするのは止めようぜ。↓

 「日本で暮らしている在日韓国・朝鮮人のうち「朝鮮籍」を持つ人の数が、昨年末の時点で3万3939人まで減っていることが分かった。・・・韓国籍を持つ在日韓国人は46万人いる。・・・日本政府が推定する朝鮮総連のメンバーは8万人だが、朝鮮籍保持者の数はその半分にもならない、という点も注目される。・・・総連幹部の中にも、組織に内緒で韓国籍を取った人が多い・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/03/12/2016031200572.html

 どっちもスゴーイことじゃん。↓

 「奈良くるみ、ビーナス・ウィリアムズ破る BNPパリバ・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASJ3D462CJ3DKTQ200T.html?iref=comtop_6_03
 「ペットボトルを食べる細菌発見 「分解できぬ」定説覆す・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASJ3B5QK4J3BPLBJ003.html?iref=comtop_6_05

 さすがに米大統領選予備選関係記事も、質量とも、ウスーくなってきちゃったな。↓

 <降りたばかりのカールソンがトランプ支持を表明したが、これ結構大きい、とさ。↓>
 Ben Carson's endorsement of Trump may be more impactful than you think・・・
http://www.theguardian.com/us-news/2016/mar/11/ben-carson-donald-trump-endorsement-impact-republicans
 <クリントンにトランプは政策論争を戦わせるようなレベルの人間じゃないから、ひたすら、キレイな人格攻撃に徹せよ、とさ。
 (そんな、うまくいくワケないだろ。(太田))↓>
 How Hillary Should Debate Donald・・・
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/politics/2016/03/how_hillary_clinton_should_debate_donald_trump.html
 <トランプの活躍等もこれあり、東欧諸国の欧米に対するかつての理想視はゼロどころかマイナスに、だとさ。↓>
 ・・・ It might be a reasonably safe bet that the West will weather the rise of the Trumps, Farages, Corbyns, Le Pens, and others. But the revival of this ugly brand of populism, deployed against the central tenets of liberal democracy, is already doing irreparable damage in the East.・・・
http://foreignpolicy.com/2016/03/11/why-were-not-looking-up-to-the-west-anymore/
 「無神論の起源」シリーズ(コラム#8226〜)で取り上げた本の書評がまた出てた。↓
http://www.theguardian.com/books/2016/mar/09/battling-the-gods-atheism-ancient-world-review

 ブレア元英首相に対する罵倒的な伝記本が出た。↓

 <クイズ番組の悪辣芸人並みの男だと。↓>
 ・・・ Blair was nothing more than a gameshow con artist.・・・
 <ムツカシイことを理解する能力も歴史についての素養もない男だと。↓>
 Throughout the narrative, Bower portrays Blair as a charlatan, a man who is easily bored and cannot think through complex issues of public policy. The party leader who won three elections and, for a time became the poster boy for the international centre-left, had little interest in books or history, Bower asserts.  “He lacked any hinterland regarding politicians, social movements and conflicts before 1939. He was uneducated about the Reformation, the French Revolution, the eruption of European nationalism and socialism during the 19th century, the causes and conduct of the first and second world wars … he was even uninformed about the Labour party’s history and its leaders”.・・・
http://www.theguardian.com/books/2016/mar/11/broken-vows-tony-blair-tragedy-power-tom-bower-review
 <百歩譲って、首相在任中の「業績」には弁護すべき点があるかもしれないが、辞めてからのカネの亡者ぶりはどうしょうもない、とさ。↓>
 ・・・even Blair’s dwindling band of supporters have had to avert their eyes from their hero’s behaviour since leaving Number 10, his property port¬folio getting larger as his reputation shrinks. It is in the dissection of Blair’s political afterlife・・・.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/1be910f0-e49c-11e5-bc31-138df2ae9ee6.html

 ロシアじゃ、スターリンは英雄として復活した、とさ。↓

 Stalin, Russia’s New Hero・・・
http://www.nytimes.com/2016/03/13/opinion/sunday/stalinist-nostalgia-in-vladimir-putins-russia.html?ref=opinion

 中米がいかに無法地帯であるかを描写した本が出た。
 (トランプの壁発言が人気を博すワケだ。(太田))↓

 ‘A History of Violence: Living and Dying in Central America’, by Oscar Martinez・・・
 Every day, in an endless stream, more than 1,000 people flee Guatemala, El Salvador and Honduras -- or as Salvadoran journalist Oscar Martinez puts it, “this terrifying little corner of the world” -- staking everything on a perilous journey north to escape a peacetime now proving more deadly than civil wars that ended two decades ago.・・・
 ・・・it paints offer a chilling portrait of corruption, unimaginable brutality and impunity.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/aa31476a-e6ae-11e5-bc31-138df2ae9ee6.html
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 一人題名のない音楽会です。
 クラシック・ギタリストのミロシュ(Milos Karadaglic)の演奏をお聴きいただきます。
 彼は、1983年にモンテネグロに生まれ、イギリスのロイヤル・アカデミーで学び、爾後、イギリス在住、
https://en.wikipedia.org/wiki/Milo%C5%A1_Karadagli%C4%87
という人物ですが、現在のこの分野での最高峰だと思います。

Piazzolla Libertango(コラム#3235、3428、3504、3631)
https://www.youtube.com/watch?v=G_hFTw64jns

Yepes Jeux interdits(コラム#5751)
https://www.youtube.com/watch?v=y4r8CBY2f74

Tarrega Lagrima(注)
https://www.youtube.com/watch?v=XFHW3JmEddQ

(注)「この「ラグリマ(涙)」はタレガの娘、コンチータの死に由来するそうです。1891年12月、タレガはマジョルカでの演奏旅行から帰宅した際、妻から娘が3日前に亡くなった事を知らされます。甘美で優しいホ長調の主題に悲劇的、又はメランコリックな中間部が同主短調で交代して現れるところに、タレガの娘に対する愛情と、その死に対する悲しみが表現されているのかも知れません。」
http://www.kazu-classicalguitar.co.uk/blog/ja/content/francisco_tarrega_lagrima

Tarrega Recuerdos De La Alhambra(コラム#3448、4527)
https://www.youtube.com/watch?v=5qTjxf_BjVE

Albeniz No.1 Granada(コラム#4569)
https://www.youtube.com/watch?v=yuyxhXwTvgU

Albeniz No.5 Asturias(コラム#3452、4569)
https://www.youtube.com/watch?v=nIoCh6V_F-Y

Granados Oriental(注)
https://www.youtube.com/watch?v=pPXKxus1sck

(注)「作曲年は・・・はっきりしません。・・・スペイン舞曲集のそれぞれのタイトルはグラナドス自身が 命名したのではありませんが、出版社によって決められた<オリエンタル(東洋)> という題名は曲想にぴったりだと思います。
 オリエンタルとは長い間(8世紀〜15世紀まで)スペインを支配していたイスラムのことを指しています。
 国土回復運動というキリスト教徒たちによる巻き返しの戦いに敗れて、スペインを 追われていった彼らの悲痛な思いが表わされているように思えてなりません。」
http://members2.jcom.home.ne.jp/yukine/y/html/Granados4.htm

Quizas, quizas, quizas(注)
https://www.youtube.com/watch?v=ULJy6yHadUg

(注)「キューバのオスバルド・ファレス (Osvaldo Farres) 作曲の1947年発表の曲である。題名は「たぶん、たぶん、たぶん」という意味である。歌詞は「自分(男)が恋人の女性にいろいろと問いかけるが、女性はいつも『たぶん』としか答えてくれない」といった内容。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%82%B9

The Beatles Michelle(コラム#7181)
https://www.youtube.com/watch?v=pZlNuKZ-O_M

The Beatles Blackbird(注)
https://www.youtube.com/watch?v=OmKCb9LcEoM

(注)「1968年に発表されたジョン・レノン/ポール・マッカートニーのナンバーである。実質上はポール・マッカートニーの単独作品である。・・・歌詞は、女性を「鳥」になぞらえて、「傷ついた翼のまま、夜の闇の中にある光を目指して飛んでゆく」などと描写した内容であり、ポール本人は「黒人女性の人権擁護や解放について歌った内容」と言っている。」
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太田述正コラム#8270(2016.3.12)
<20世紀欧州内戦(その4)>

→非公開

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