太田述正コラム#7956(2015.10.7)
<中共が目指しているもの(その7)>(2016.1.22公開)

 現時点においてさえ、いかに、中共当局が、軍事面で日本に劣等感を抱いているかがはっきり分かるのが、下掲の記事群だ。

 日中の地上兵力が日本列島上ないし支那本土上であいまみえる可能性などまず考えられない以上、航空兵力と海上兵力が問題になるわけだが、海上においては、どちらが制空権を確保できるかが決定的に重要であるところ、その要たる制空戦闘機の日中比較は次の通りだ。

 「<中共>の主力戦闘機「J−11B(殲−11B」は現状では、日本の航空自衛隊の「F−15」への対抗が難しい・・・。・・・
 航空自衛隊のF−15<は、>・・・空対空ミサイルの中でも新型の「AAM−5」を搭載している・・・。
 AAM−5は<中共の>J−11Bが搭載している「PL−8B(霹靂8−B)」よりも優秀・・・。ただしJ−11Bも、新型空対空ミサイルの「PL−10」を搭載できるように改良すれば、AAM−5を搭載するF−15に対抗できる・・・。
 <更に、>早期警戒管制機の「KJ−500(空警−500)」と最近になり試験発射に成功したとされる空対空ミサイルの「PL−15」をJ−11Bに組み合わせれば、・・・周辺国と地域の現有作戦機を完全に圧倒できる・・・
 9月15日に「PL−15」の試射を実施。無人機1基を撃墜するなど、成功を収めた・・・。」
http://news.infoseek.co.jp/article/searchina_1590026/
(9月28日アクセス)

 つまり、現状においては、日本の方が優位にあることを認めてしまっているわけだ。
 しかも、この記事中に登場するPL-15が、実はコケ脅しであることを、別記事で認めている。↓

 「「PL−15」空対空ミサイル・・・戦闘機の空戦には使えない、標的は早期警戒機・・・」
http://news.infoseek.co.jp/article/searchina_1590128/
(10月6日アクセス(以下同じ。なお、10月6日アクセス記事については、※(昨年末の記事)を除き、全て今年に入ってからの記事))

 となると、PL-10の話だって相当割り引いて聞かなければならない、ということになろう。
 念のためだが、海上兵力の日中比較に係る記事群も見ておこう。

 「<中共>海軍の技術力は著しく低く、法律の制約がある日本の海上自衛隊にすら及ばないと・・・ロシア・メディアの「ブズグリャド」が<8月>24日付で報じた・・・」
http://news.searchina.net/id/1586961?page=1

 要するに、海上兵力については、航空兵力の場合とは違って、無条件に白旗を揚げている、と言えよう。
 そして、下掲のように、こと細かにその理由を挙げている。↓

 「・・・<我が中共>については、海軍の規模は大きいが、レベルは低い・・・。一方の日本は、・・・世界で最も優れた装備の海軍力・・・。例としては、米国から導入した「イージスシステム」や、自主開発による護衛艦、ヘリコプター空母、非大気依存推進の潜水艦<が>挙げ<られる>。
 <また、>艦載用対潜ミサイルの「アスロック」の保有数で日本は米国についで世界第2位であるなど、日本の対潜能力<は>突出している・・・。  
 保有する艦船についても、<中共>海軍は数は多いが5000トン以上の大型艦船は13隻、日本の自衛隊は28隻と、倍以上の差がある・・・。
 日本は装備だけでなく、人員のレベル、戦術面でも<中共>の上を行く・・・。  
 互いに本土を(通常弾頭による)ミサイル攻撃をする事態になった場合には、日本のミサイル迎撃システムは充実している<一方で、中共>の迎撃力は日本よりも劣<り、中共>の損失の方が大きい・・・。・・・」
http://news.searchina.net/id/1567245?page=1

 なお、このように、錬度、戦術面での中共側の劣勢を挙げているということは、(海上兵力に限らないが、)この両者の点で日本に追いつくのは不可能であることを、正直に告白したもの、とさえ言えそうだ。
 こういう言い方をする場合もある。↓

 「・・・海上戦力の点で日本には、対潜水艦戦の能力および掃海能力、通常動力型潜水艦の作戦能力という3つの世界一がある・・・」
http://news.searchina.net/id/1581892?page=1

 今度は、要となる主要海上装備についてだ。
 まず、潜水艦について。

 「日本の<国産最新型>潜水艦『そうりゅう』は・・・潜航航行」で、4ノットという低速ならば3週間程度の行動が可能<で>・・・原子力潜水艦に匹敵<するとさえ言える。>・・・<しかも、>敵に探知される危険性を<、静粛性を高めることで、現有の潜水艦よりも>50〜75%も低減<した。>・・・
 オーストラリアに売る意向があることに<ついては、>建造費が高額であり、コストを引き下げるためには、外部への売却は必然的な選択・・・。・・・
 <解説:これが良い例だが、中共では、>最近では、日本の兵器のレベルの高さを紹介する記事が目立つようになった。・・・」
http://news.searchina.net/id/1555096?page=1 ※

 ホンネだと思うが、まるで日本の武器輸出を奨励するかのような記述ぶりだ。
 (中共当局は、日本の最近の武器輸出再開を、「独立」につながる動きとして歓迎しているのだろう。)
 次に、対潜哨戒機について。

 「・・・「<日本が導入寸前の国産の>P1はP3Cの次期哨戒機として“革命的な”進歩を遂げている・・・
 日本が沖縄周辺の監視に向けてP1を大量に投入すれば、<中共>をはじめとする国の潜水艦にとっては大きな脅威になる・・・」
http://news.searchina.net/id/1580652?page=1

 P3Cにさえ、追い付けないのに、P1になったら追い付く展望は全く持てない、という含意の記述だ。
 以上のように、中共は、対潜能力において日本より格段に劣っている以上、より静粛で、原潜並とまでは言えないにしても、飛躍的に長期間潜水したまま行動することができるようになった自衛隊の潜水艦・・在来型潜水艦は原潜より本来的に静粛・・を撃破できるわけがないことを認めてしまっていることになる。
 これは、中共側の(潜水艦を含む)艦艇は、(制空権を日本側から奪えない状況下ではなおさらだが、)屋台の標的並に、自衛隊に一方的に撃破されるのを甘受せざるをえない、と言っているに等しい。

(続く)