太田述正コラム#7953(2015.10.6)
<皆さんとディスカッション(続x2772)>

<太田>(ツイッターより)

祝「ノーベル医学生理学賞に大村智氏…」
http://www.asahi.com/articles/ASHB551Q4HB5ULBJ009.html?iref=comtop_6_01
 山梨大卒、理科大修士、東大薬学博士、理科大理学博士、北里大薬学部教授、学校法人北里研究所所長、北里大名誉教授、という経歴だが、いかに地方国立大学が重要かが分かる。
 裾野広からずば山高からず、だよ。

<太田>

 関連記事が多過ぎるが・・。

 人間主義のカガミ、ここにあり。↓

 「・・・薬の売り上げによる特許収入を、大村さんはさらなる研究や医療の発展に注ぎ、埼玉県内に新病院も建てた。「研究を経営する」と称し、資金難に苦しむ北里研究所の経営改革にも尽力した。・・・」
http://mainichi.jp/feature/news/20151006k0000m040040000c.html

 個人的趣味も人間主義的に昇華。↓

 「・・・北里研究所名誉理事長でありながら女子美術大理事長も務める大村さんは、絵画や陶器、彫刻など美術品の著名な収集家として知られています。特許料の大半を購入に充てた約3500点にのぼる作品群は「大村コレクション」とも呼ばれています。
 薬の開発関連の特許料は北里研究所に入った分だけで250億円。しかし、本人は「食べるだけで十分」と、研究所の経営再建や病院建設にも巨費を投じました。
 <日本の女性美術に入れ込むってのも一見識。↓>
 残りを上村松園や三岸節子ら女性画家を中心とした美術品の収集に充ててきました。
 そのうち1500以上の作品が2007年、これらを収蔵する新築の美術館ごと、生まれ故郷の山梨県韮崎市に寄贈されました。
 美術館は大村さんの生家近くにあり、鉄筋コンクリート造り2階建て。喫茶室も兼ねた部屋を含め、展示室は3室あります。敷地面積は2627平方メートル、延べ床面積は478平方メートル。同じ敷地には日帰り温泉施設もあります。
 展示・所蔵品の購入費だけで総額5億円にのぼり、美術館の建設費も2億円以上。大村さんは開館当時、「この美術館は、若い人たちへの投資でもある」「美術品は人類の共有財産。美術品を鑑賞する喜びを皆さんと分かち合いたい」と説明。地元を選んだ理由は、「人として大事なことは恩返しすること」と語っていました。」
http://news.livedoor.com/article/detail/10672127/

 全くもってその通り。↓

 「・・・野依良治<いわく、>・・・大村博士の信念、人生観の表れで、人格への授賞でもあり、ノーベル平和賞であっても不思議ではない。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASHB56H1KHB5ULBJ01D.html?rm=467

 文科省の政策批判として、実にまっとう。↓

 「・・・福岡伸一さん 生物学者、青山学院大教授。・・・京都大助教授などを経て・・・現職<いわく、>・・・どこから芽が出るか分からない。最初から選択と集中はできない。広く浅く基礎研究の芽をはぐくむことが大切。大村先生も大量のものから宝をさがした。日本の基礎科学は、スモールサイエンス、役に立つかわからないけれども、広く浅く研究資金を与え続けないと次の芽が見つかってこないのでは。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASHB54SVQHB5ULBJ007.html?rm=772 

 ご当人の大村サン、この発言だけはいただけませんねえ。
 フツーの研究者は、あなたのような万能のスーパーマンじゃないんだし、学問分野によっては全くカネに結びつかないものだってあるんですからね。↓

 「・・・「資金がないから研究ができないというのは言い訳」「研究で世の中に貢献すれば、必ずまた研究費は入ってくる・・・」
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO92470530V01C15A0000000/?dg=1 

<太田>(ツイッターより)

 祝、中共初の自然科学分野でのノーベル賞受賞。
http://blogs.wsj.com/chinarealtime/2015/10/05/chinas-first-nobel-laureate-in-science/
 日本より早く、女性が受賞したという意味でも画期的。
 「博士でもなく、留学経験もな<い>」
http://mainichi.jp/select/news/20151006k0000m030073000c.html
のは化学賞受賞の田中耕一と同じだけど。

<太田>

 関連記事だ。

 14:00過ぎ現在、いまだに人民網に彼女(周さん)の授賞の記事が出ていない!
 その背景を探ってみた結果だが、これを皮切りに中共から受賞者が輩出していくことにはならない、と見た方がよさそうだ。↓

 <彼女がラスカー賞を2011年に授賞した時、そもそも大した研究成果じゃないのに、或いは、チームの一員に過ぎなかったのに、という反応が中共国内の科学者の間から出た。↓>
 ・・・After Ms. Tu won the Lasker prize in 2011, local media quoted anonymous scientists saying that she was taking unfair credit for a drug that had been discovered and developed by a large team. Her supporters credited her with her breakthroughs in the research while others disputed that hers were the critical findings. ・・・
 <漢方医仲間からも、特定の成分を抽出した彼女のやり方は、漢方の精神に反するとの批判が出ていた。↓>
 The impact on traditional Chinese medicine could also be mixed・・・. While most advocates would welcome the exposure, it would irritate the purists・・・: “A lot of Chinese traditional medical practitioners actually hate this approach of extracting chemical compounds from a plant. They believe you need to take the herbs all together.”・・・
http://blogs.wsj.com/chinarealtime/2015/10/05/chinas-first-nobel-laureate-in-science/
 <彼女が中国科学院などの会員でもないことも話題になっているけれど、(今回の受賞に中国科学院は取材を拒否しているとの一部報道もあるところ、)入れてもらえなかった可能性が・・。(太田)↓>
 ・・・Perhaps more curious is that Tu had never been named a fellow at one of China’s major state-run research academies, the backbone of scientific research in the country, instead remaining at the little-known China Academy of Traditional Chinese Medicine. ・・・
 <中国科学院等は、権力とカネがあって宣伝上手な「科学者」を優遇してきた、と2011年に人民日報が批判したが、その後も改善が見られていない。↓>
 The 2011 People’s Daily article, widely circulated again in the wake of the Nobel announcement, suggested that the academy system did not reward exceptional researchers who “work silently, do not excel at social relations, and dare to speak directly,” but rather promoted those “with power and money” and who “excel at public relations.” That article ended with a call to “review and improve” selection criteria and processes for academy fellows.
But four years later, many online believe that change hasn’t come. ・・・
http://foreignpolicy.com/2015/10/05/china-nobel-prize-youyou-tu-chinese-traditional-medicine-cultural-revolution/

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 ホントだったらエライこっちゃが・・。↓

 「京都大学名誉教授の研究グループが、炭酸ガスと水を使い効率的に石油を合成することに成功したと発表しました。・・・」
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:http://webnews.asahi.co.jp/abc_2_005_20150918008.html

 (米議会を通るかという大問題が残されてはいるが、)韓国は大ショック。
 (韓国は、今回の日中ノーベル賞受賞で、もう一つ大ショックだろうねえ。(太田))↓

 「韓国抜きの「スーパー経済同盟」TPPが大筋合意・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/10/06/2015100600711.html

 そりゃそうだろうなあ。↓

 「日本の国会前のデモがうらやましい中国人「政府に反対するデモなんて中国では考えられない」・・・
 与野党が対立して国会が混乱しても、国全体が乱れることはない。首相が交代しても同じだ。・・・」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44908?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top