太田述正コラム#7700(2015.6.1)
<アンドリュー・ジャクソン大統領のおぞましさ(その8)>(2015.9.15公開)

 (7)ジャクソン弁明論(投稿より)

 投稿の中には、以下のような、ジャクソン弁明論も散見されます。

 「多分、マサチューセッツからの二人の紳士達<(注15)>を除いて、建国の父達のことごとくが「全ての人は平等に創られている」なる<米国の世界に喧伝されてきたところの、>遺産群に関して、若干の深刻な諸欠陥(warts)を有していた。

 (注15)サミュエル・アダムスとジョン・アダムスのことを指している、と思われる。
 前者(1722〜1802年)は、ハーヴァード大卒、「イギリスに対する抗議行動、例えば1773年のボストン茶会事件を組織化し、大陸会議に出席し<、>・・・第二次大陸会議で独立宣言の採択を主導し」、その後、マサチューセッツ州知事を務める、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%A0%E3%82%BA
という人物ですし、後者は何度も既出しています(コラム #91、503、504、518、896、1630、2079、2890、2897、3327、3329、3423、3654、3706、3802、4049、4303、4308、6263、6589、6597)。

 何と言っても、彼らは奴隷達を所有していた。
 そういうわけで、我々の過去の指導者達の諸貢献と諸問題点(failings)の双方を認識することなく、米国史について誠実に議論することはできない。
 アンドリュー・ジャクソンについても、同じく、例外ではない。
 私は、彼の反知性主義、マニフェスト・デスティニー、アメリカ原住民に対して行ったジェノサイド的作戦、彼の奴隷達に対する謀略性及び北部の奴隷廃止論者達に対する好戦性(belligerence)、その他、に対しては嫌悪感を抱きつつも、彼による(当時の特権的、そして庶民的な全ての白人男性達に対してだけではあったとはいえ、)選挙権の拡大は、それにもかかわらず、米国が爾来どうなったかへ通じる入口(gateway)となった。」(B)

⇒「庶民」出身のジャクソンとしては、自分自身の政治的基盤をより強固なものにすべく、「庶民」への選挙権の拡大を実施した、というだけのことであったと思われます。(太田)

 「人類が、アフリカ以外へ進出してからというもの、技術的により進歩した人々が、次第に、相対的に大胆でなかったり文明的(sophisticated)でなかったりした人々よりも上位に立ってきた。
 このパターンが何十万年も維持された。
 その延長のおかげでアメリカ大陸は暗黒物語を紡ぎ出し続けることを免れたのだ。」(D)

 (8)弁明論への反論(投稿より)

 しかし、このような弁明論に反発する投稿者の方がはるかに多い、という点で、米国人達が若干なりとも進歩した、いや、相当程度、自信喪失するに至っていること、が分かります。

 「当時<、米国>には野蛮人達がおり、ジャクソンはこういった輩達を率いていた。・・・
 1800年代初頭までに、東部の諸部族のいくつかは、多くの「欧米の」諸習慣・・例えば、住宅、学校、等々・・を採用していた。
 その時点では、彼らは、決して「石器時代」ではなかった。
 <いや、それどころか、>若干の南西部及びメソアメリカ(Meso-American)<(コラム#7360)>の諸部族の農業的諸営為(practices)についても・・・認めるべきだ。
 特に、チェロキー族についてだが、最高裁が彼らに有利な判示を行ったにもかかわらず、ジャクソン大統領が、要はこの判示を(現在の大統領が移民諸法を都合よく無視しているのと大いに似ているが、)無視し、とにかく、焼畑的<白人>入植者達に西のチェロキー族の土地に移住するのを認めたこと、を忘れてはならない。・・・
 <いずれにせよ、>アメリカ原住民の農業<なかりせば、我々の食事は、>・・・トウモロコシ、トマト、じゃがいも、胡椒、カボチャ(squash)、なし、ということにあいな<っていたことだろう。>」(D)

 「私に言わせれば、<インディアン5部族から>盗まれた土地の全てが、関連諸部族に返還されるべきだ。
 彼らは、それを売ることも、持っておくことも、好きなようにすればよい。・・・
 <また、インディアン達が移住した後、>何世代にもわたって、この土地の上で働いたアフリカ系の人々についてはどうか。
 彼らの子孫達もまた、補償されるべきだ。・・・
 チェロキー族は、最上の諸便益を受け取ったところ、それは、種々の諸部族を通じて語られたように、彼らが白人の諸法/諸やり方に適応したのに対し、他の諸部族は相対的にそうすることに「熱心で」なかったからだ。
 米国政府が、原住諸部族の歴史、血、及び人種の一切合財を薄め/消し去るために、薬物/アルコール飲料/白人女性、を彼らに与えたこともまた事実なのだ。」(E)

⇒まことにご立派な言葉がつづられていますが、絶対そうはならないことを知っているからこそ、彼らは、抜け抜けとこんな風に書けるのでしょうね。(太田)

3 終わりに

 もはや、多言を要さないでしょう。
 フーヴァーとオバマ以外に、一体、まともな大統領が米国に何人いるのだろうか、ということです。

(完)