太田述正コラム#7885(2015.9.2)
<皆さんとディスカッション(続x2738)>

<monnkunoooihito>(ツイッターより) ‏

 柏木博氏は佐野氏を擁護している。

<太田>(同上)

 組織委武藤事務総長の記者会見がネット配信されていたのを全部見ちゃった。
 今は法律がある以上、守らなきゃならないけど、近い将来、あらゆる基本的なデザインがAIによって生み出されるようになるだろうから、そんなものに著作権を認めることはなくなるのではないか。

<太田>

 補足する。(図は過去コラムを参照されたい。)
 AIがあらゆる基本的なデザインを生み出す時代にはまだなっていないが、世界でどんどん基本的なデザインが生み出され、しかも、それらを簡単に誰でも検索できる時代に我々は既に生きている。
 記者会見の際に武藤事務総長が引用していたところの、永井一正エンブレム審査委員会委員長の、コンセプトが違っていれば、近似するデザインでもパクリではない、という主張はその通りだと思い、私の考えを若干改めた次第。
 というのも、そう割り切らない限り、既に、例えばアルファベットの基本的なデザインなんて、独創の余地はなくなっているからだ。

 この改められた考え方を踏まえ、原案は、2013年の展覧会のポスターの右下隅の「T」と「●」の組み合わせ部分を切り取った上で、拡大し色を変え、その際、「T」の「|」と「ー」が離れているのをくっつけたものである、と言ってよいところ、この原案は、「●」が名前のイニシャルの「ドット」だったものを、(「T」と●が離れていたのをくっつけた上で、)日の丸を思わせる赤に変えた・・なお、「●」はTokyoの「o」にも見える(太田)・・ものであるとの理解の下で、原案は、2013年の展覧会のポスターとはコンセプトが異なるのでパクリではない、との永井の言はその通りだと私は思うに至った。
 むしろ、決定エンブレムとベルギーの劇場のロゴの近似の方が、前者が後者の一部を切り取ったものではないことだけからしても、より微妙ではなかろうか。
 それに加えて、後者が劇場名のTheatre LiegeのイニシャルのTLを一本化したものであるのに対し、前者はTokyoのTだと説明しても、どうして、無関係なLまであるのだと反論されてしまうだろうし、悪いことに、どちらにも二つの円が描かれている、ときている。
 つまり、両者のコンセプトは同じであるどころか、前者は後者のコンセプトに無理やり自分を合わせている、と言われても仕方がない。
 他方で、幸いなことに(?)、「T」(と「L」の)「|」と「ー」が後者は離れているのに前者はくっついていること、前者が後者の白黒を反転させていること、新たに赤、金、銀色も使用していること、等から、かろうじて両者は近似デザインではない、と言えるかも、といったところだ。
 ちなみに、武藤事務総長の見解は、このような私の見解とは逆で、決定エンブレムより原案の方がアブナイと思った旨のことを言っていたが、これは必ずしも本心ではなく、(裁判が継続中であることに伴う)法的配慮、そして、(組織委、審査委員会、佐野研、3者の責任をいずれも回避したいとの)政治的配慮、に基づく発言だったのではないか。

 さて、今回、佐野研に第一義的な責任があることは間違いない。
 早い段階で、彼が、決定エンブレムはベルギーのロゴに「「まったく似ていない」、<そもそも、今まで>「模倣は一切したことがない」という・・・感情的な発言」を行ったことが、「明らかに他者の著作権を侵害している<ケースは、>トートバッグと<プレゼンテーション資料>の2件だけ<で、しかもそれら>は簡単なマネジメントで防げたはず<なのに、彼が>その簡単な作業を怠った」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/090100076/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt
ことによって、墓穴を掘ることになった点だ。
 
 次に、審査委員会にも責任はある。
 博報堂人脈の問題(後述)はともかく、問題がありそうな応募作品を選択してしまったという眼力のなさだ。
 エンブレムに関しては、近似品がありそうな、換言すればオリジナリティに乏しい作品を選んでしまったわけだが、主競技場に関しては、オリジナリティは十分過ぎるくらいあったもののべらぼうにコストのかかる作品を選んでしまったことになり、日本のデザイン界の劣化が、主競技場とエンブレム選考過程を通じて露わになった
http://webronza.asahi.com/culture/articles/2015082500003.html?iref=comtop_fbox_d2_01
という誹りを受けても仕方があるまい。

 最後に、その上で、本件に関する組織委の責任も極めて重い、と言いたい。
 第一に、(上述したように、)原案と決定エンブレムとのコンセプトが全く異なっている
http://blogos.com/article/131525/
のに、審査委員8名中4名が佐野研の原案を推していて、残りの4名はそれぞれ異なった人の案を推していたからとして、次点の案に乗り換えずに、原案の修正・・しかも2度の修正・・にこだわったことだ。
 第二に、この修正のプロセスに半年以上もかけていることから、この間、原案作成者が佐野研であることが、委員達に知られないままであったとは考えにくい上、遡って、原案審査時に既に作成者が佐野研であったことが審査員中原案を推した人々の全部または一部等に知られていた可能性すら取沙汰されている。
 その背景として、審査員の構成が、佐野研もその一員であるところの、博報堂人脈に偏っているらしいこと
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070410
を指摘せざるをえないが、そのような審査員構成にしたのは組織委であることだ。
 第三に、トートバッグ問題は関知しないとし、かつ、原案の近似問題をプレゼンテーション資料の背景の近似問題と同程度に深刻な問題であるとした、組織委(事務総長)の言によって、原案と決定エンブレム双方に関してはパクリではないものの、それ以外の諸事実から佐野研なる人間の信頼性が揺るいだ、との組織委自身が描いたストーリーのもっともらしさに傷を付けてしまったことだ。
 これは、裁判の今後に悪影響を及ぼすのではないか。
 第四に、トートバッグ問題を軽視したこともあって、決定エンブレムの取り消しが著しく遅れ、各方面において金銭的等の損害が嵩んでしまったことだ。

 よって、組織委の森会長と武藤事務総長の両名は辞任すべきだろう。
 そして、主競技場白紙撤回問題も併せ、下村文科相も辞任すべきだろう。

 参考までに、英米の主要メディアの反応のいくつかを紹介しておく。↓

 ベルギー劇場問題だけにしぼったもの。↓
http://www.bbc.com/news/world-asia-34115750
 種々の問題を羅列的に取り上げたもの。↓
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/f8ca2aa8-5091-11e5-b029-b9d50a74fd14.html?siteedition=intl#axzz3kXRjBzE1
 ベルギーの劇場問題のほかはプレゼンテーション資料の背景問題だけにしぼったもの。↓
http://www.nytimes.com/2015/09/02/world/asia/2020-olympics-logo-is-discarded-after-plagiarism-accusations.html?ref=world&_r=0
 
<globalyst>

≫出自なんて問わないはずだよ。≪(コラム#7883。太田)

 とは言え、2013年に宅見組(山口組系)入江禎組長ら幹部の個人資産が凍結されたとき、 4人のうち3人は所謂在日だった。

Individual: IRIE, Tadashi
DOB: December 9, 1944
POB: Uwajima, Ehime, Japan

Individual: HASHIMOTO, Hirofumi
AKA: KYO, Hirofumi
AKA: KANG, Hong-Mun
Date of Birth: January 8, 1947

Individual: MASAKI, Toshio
AKA: PARK, Nyon-Nam
DOB: January 13, 1947

Individual: ISHIDA, Shoroku
AKA: PARK, Tae-joon
AKA: BOKU, Taishun
AKA: PAK, Tae-Chun
DOB: October 30, 1932
http://www.treasury.gov/press-center/press-releases/Pages/jl2250.aspx

<太田>

 「2015年8月下旬に山健組らと共に山口組から離脱した」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%85%E8%A6%8B%E7%B5%84
側ですから、『Daily Beast』の「分析」が正しければ、被差別部落出身のメンバーが多いはずのところ、組長の入江禎はそうなのかもしれないけれど、いずれにせよ、在日韓国・朝鮮人たる組員も大勢いることが推認できるのであり、まさに、「出自なんて問わないはずだよ」との私の主張を裏付けるものです。

<Y1wVieqI>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 韓国人がかつて奴隷に・・
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150831-00000016-xinhua-cn

 こんな調子で、日本統治時代が語られ、理解されるのだから、朝鮮日報が、まれに頑張ろうとも、アメリカ人が歴史観を変えようと、日本人が事実を語っても無駄だろうね。
 難しい国ですわな。

<太田>

 ビョーキなんで、憐れに思い、慈しむよう心掛けましょう。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 買春する男は性的暴力性向がある場合が多いんだって。
 (だから、買春を合法化することで、性的暴力の実行を抑制できるんだよ。(太田))↓

 Men who buy sex are more prone to sexual coercion and are more likely to report a history of sexual violence・・・
http://time.com/4018575/men-who-buy-sex-are-more-prone-to-sexual-violence-study-says/

 男性ホルモンの一種であるテストステロンを脳に投与すると女性の特徴である言語能力の優位が失われる(言語能力を司る脳領域が委縮する)ことが分かった。
 男女の脳の違いは、受容化学物質の違いだけによる可能性が出てきたってこと。↓

 ・・・After just four weeks of receiving testosterone, participants had lost gray matter (which mainly processes information) in the regions of the brain that are used for language processing. ・・・
 ・・・these findings may suggest that the genuine difference between the brains of women and men is substantially attributable to the effects of circulating sex hormones.・・・
http://www.slate.com/blogs/the_slatest/2015/08/31/testosterone_and_the_brain_new_study_suggests_sex_hormones_change_the_way.html
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太田述正コラム#7886(2015.9.2)
<米国人の黙示録的思考(その3)>

→非公開