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太田述正コラム#7543(2015.3.15)
<皆さんとディスカッション(続x2567)>

<太田>(ツイッターより)

 「… 日本のアニメは「ヒーローが必ず勝つ」という単純なストーリーでは決してない。
 主人公に内在するさまざまな感情や心理が非常に上手く描かれている。…
 いかにしてこのような内在的なストーリーを表現できるのかだが、…日本のアニメは音楽や画面の細部にまで、さまざまな意味が込められている。
 また、セリフだけでなく、風景にもキャラクターの心理状態が反映されている。
 これは、日本人の四季を愛し、自然を重視し、自然と共生するという特徴が反映されていると言える。
 ここからも、日本の高度な文化性を感じ取ることができる。…
 このほか、多くの人が評価するのは、日本のアニメのファッション性だ。…
 フランスの高級ファッションデザイナーが作ったファッションスタイルとは異なり、日本のファッションは簡単に手に入る上、個性も突出している。…」
 日本ヨイショに猫の手も借りたい中共当局、今度はドイツ人を起用。
 もっとも、今回僕が一番興味を覚えたのはここだ。↓
 「ドイツ人はドイツ文化と民族の誇りを非常に重視している。一方、フランス人は他国の文化を取り入れ、それを発展させながら自国のものとして吸収し、それに対して誇りを抱いている。…この点において、フランスと日本は非常に似ている。」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0313/c94473-8862603.html
 一、日本は支那の一部であったことはないが、フランスはローマの一部だったので、昔、他国の文化を取り入れた点で似ているのはむしろ日(支那)独(ローマ)。
 二、後にイギリスの文化を取り入れた点では日独仏全て似たようなもの。
 三、独仏はどちらもフランク王国の主要構成地域だったというのに、しかも、現在、EU内で二人三脚関係にあるというのに、仏との違いを随分強調してくれたもんだ。
 以上が僕の直観的感想。
 このドイツ人の意識が平均的なものだとしたら、やっぱ、ドイツ人の唯我独尊性は今でも変わってないなと改めて思ったねえ。
 ギリシャ人が反発し、イギリス人が侮蔑するのも当然だな。


 「ポスコが危機に陥ったとき、彼は日本に向かったー過去を忘れない日本人は惜しみなく韓国を助けた…もちろん、当時も確執はあった。しかし、大きな流れは大物たちが胸に抱く「大義」を基準に動いた。
 豊かさを手に入れ、切実さがなくなったせいだろうか。
 国が老いて包容力がなくなったせいだろうか。
 あの時代の記録を読むと、今の韓日関係は小さく薄っぺら、幼稚で拙劣だ。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/14/2015031400953.html
 避雷針立て過ぎ。
 日韓双方に疑念を呈し、かつ、疑念に止め断定していない。
 韓国のみを批判するところまで踏み切らない限り、朝鮮日報は社会の木鐸たりえないぜ。

<太田>

 関連記事だ。
 これもそうだ。

 「ドイツがナチス時代の過去とどう向き合ってきたかについて発言した」だけだというのがドイツ政府の公式見解(コラム#7541)なのであり、日本政府がメルケル首相の日本滞在中のこの種発言について何も言っていない一方、中韓の政府筋や朝鮮日報が、我田引水的に取り上げたことを反省し批判すべきなのに、ドイツ紙を引用することで逃げている。↓

 「・・・ドイツの権威ある日刊紙フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングは「メルケル首相は東京で北京とソウルのメガホンになったわけではない。むしろ反対だ」と評した。重点は「被害国の和解しようとする気持ち」にあったというのだ。
 メルケル首相は発言の意図を直接明らかにしていない。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/14/2015031400884.html

 その更に「関連」記事だ。
 内容は面白いが、被害妄想だっての。
 歴史認識じゃ、米韓がほぼ同じことは明らかなんだから、韓国が敗けることはありえんさ。↓

 「米国をめぐる韓日の外交戦、勝敗は明らかだ--過去1年間、日本はワシントンを舞台に巨額資金を投じロビー活動--連邦議会での安倍首相の演説まで推進--韓国の予算額は日本の1財団にも及ばず戦略もなし・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/03/14/2015031400972.html


<NFwle2sk>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 「インド独立運動を指導したマハトマ・ガンジーの銅像がロンドンの国会議事堂横の広場に設置され、英政府は14日、除幕式を行った。キャメロン首相は式典の演説で「歴史に残る傑出した人物の1人だ。(この銅像はガンジー氏に)英国での永遠の居場所を与えるだろう」と語った。」
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201503/2015031500006&g=int
 いつになったらチャンドラ・ボースの像が出来るのかね〜。
 ガンジーの孫が出席したようだが、インドの闇は深いままだ。

<太田>

 確かにインドの闇は深いが、ちょっと違った意味においてだ。

 ヒンドゥー原理主義的なモディ政権系の人々はガンディーには批判的。↓

 ・・・there is some irony in the fact that even as Gandhi is being so warmly embraced by the British establishment that once mocked him, his legacy in India is more ambivalent.
 Hindu hardliners in India, emboldened perhaps by the sweeping national election victory last year of the pro-Hindu nationalist party, the BJP, are increasingly vocal in criticising Gandhi.
 <ガンディーはイスラム教に甘過ぎ、その結果がインド亜大陸分断と累次の印パ戦争だった、と。↓>
 They accuse him of having betrayed Hindus by being too pro-Muslim, and even for the division of India and the bloodshed that marked partition.・・・
 <上掲記事中には孫の話は出てこないし、また、孫が何人いるのかも知らないが、在米のある孫は、ガンディーは銅像設立を喜んでいないだろうと語る。そうじゃなく、彼の考えを実践して欲しいはずだ、と。↓>
 ・・・his surviving grandsons, Arun Gandhi, who was a schoolboy of 14 when his grandfather died, doubts he would be pleased.
 Speaking to me from his home in the US, he described it as the wrong tribute.
 "My grandfather didn't want people to erect statues," he said.
 "He wanted people to follow his message."
http://www.bbc.com/news/world-asia-31847578

<komuro>

 ・・・なんだか<自分が>呼ばれているようなので、コメントします。

≫<一>昨日、大学時代の同級生達と年一回の会合を持ち、…購入時価格で、外国製のそれぞれ、400万円くらいと300万円くらいの2つのシステムを保有している、と言い出したので、目を丸くした、…≪(コラム#7540(未公開)。太田)

 400万円のオーディオシステムは、太田家の1階のシステムよりは高いですが、驚くほどのものではないですよ。
 私から見ると、グランドピアノを弾く人の方がよっぽど「目を丸く」しますね。
 ・・・
 
≫この前、映画を見に行った際、老眼鏡を持参したところ、老眼鏡を使うとかえってパンフレットが霞んで読めなくなってしまって困ったということがありました。・・・この話を<会合で>したところ、白内障の懼れだってあるぜ、と白内障になって手術をしたことがある出席者が、私に言うのです。≪(同上)

 ・・・<その後、回復している、とのことですが、>近所で良いので、眼科医に行って<みて>ください。
 診察を受けると、やれ眼精疲労だとかドライアイだとか言われるかも知れませんが、たいしたことはないので受け流せば良いです。
 では、お身体をお大事に(笑)。

<shihouen>

 <コラム#7540(未公開)での眼の話についてですが、>・・・一度眼科で診察されては如何ですか。
http://mieru.jpn.com/

<太田>

 皆さん、ご心配いただき、ありがとうございます。
 眼については、体感温度がかなり寒い日、夜、速足で歩いていると、必ず眼がしょぼついて、開けているのも一苦労、という感じになる、という問題も抱えています。
 眼を水洗いすれば、一発で回復するのですが、外ではそうもいかず、ハンカチをあてて目ヤニを取り、だましだまし歩行を続けています。
 とにかく、一度、眼科医にかかった方が良さそうですね。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 だんだん、スポーツ中継みたいになってきたな。↓

 「大塚家具、助言大手2社とも社長支持に 委任状争奪戦・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH3G539FH3GULFA004.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3G539FH3GULFA004

 これからも、どんどん出てきそうだな。今のうちに辞任しておいた方がエーのちゃう?

 「NHKの籾井勝人会長が今年1月2日、私的にゴルフに出かけた際、ハイヤーを利用し、その代金がNHKに請求されていた・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20150315k0000m040121000c.html

 衝撃!コンピューターソフトが敗れるなんて。↓

 「斎藤五段がコンピューターソフト破る 将棋電王戦第1局・・・」
http://www.asahi.com/articles/ASH3F7GNTH3FPTFC01T.html?iref=comtop_list_cul_n01

 さっそく予想された動きが・・。↓

 「中国主導のアジアインフラ銀に仏も加盟検討 外相会見・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH3G5HS8H3GUHBI013.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH3G5HS8H3GUHBI013

 アジアインフラ銀行で中共に焼きもちを焼きつつも、その中共に頼らざるをえない米国。↓

 「・・・「アフガンの資源開発を狙うだけでなく、和平にも貢献してほしい」。内情を知る米国の援助関係者によると、米政権は中国に、重ねてこう要請しているという。中国とアフガンの高官を引き合わせるため、昨年末、米国がひそかに3カ国会合をお膳立てしたとの情報も流れる。
 残りの任期が2年を切るオバマ氏にとって、来年末までにアフガンから米軍を撤収させ、戦争を終わらせることが大きな優先課題だ。中国としても、米軍なき後、現地が混乱するのは困る。そこで米中が手を握り、和平の工作を進めることにした――。そんな筋書きが浮かび上がる。
 南シナ海などでの中国軍の行動やサイバー攻撃をめぐり、米国は中国と対立している。だが、日々、死傷者が出ているアフガンでは、中国は「問題児」どころか、頼らざるを得ない大切なパートナーなのだ。・・・」
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO84411980V10C15A3SHA000/?dg=1

 もっとも、そんなこたあ常識であり、対Isisじゃあ、米中は前から同志。
 そこに、カトリック教会も一枚加わったぞー。対Isis武力行使を肯定した。
 それにつけても、戦後日本の、戦争絶対反対論者たる過半の日本人達が自分達の異常さを自覚するのは一体いつのことなのか、と嘆息しちゃうねえ。↓

 The Vatican says force may be necessary to stop attacks on Christians and other Middle East minorities by Islamic State (IS) if no political solution is found.・・・
 The Vatican traditionally opposes military intervention in the region.・・・
http://www.bbc.com/news/world-europe-31893351

 他方、ロシアすぐそばの東欧諸国では、ポーランドを含め、対露防衛意識が高まっている。
 自ら射撃訓練に参加しているポーランドの11歳の少年の言を聞け。↓

 ・・・“I think it is highly probable that Putin will do something against Poland,” Grzegorz later said. “I know from history that Russia has always been a totalitarian state. Now it is trying to regain the territory it lost at the end of the Cold War.”・・・
http://www.nytimes.com/2015/03/15/world/europe/poland-steels-for-battle-seeing-echoes-of-cold-war-in-ukraine-crisis.html?ref=world&_r=0

 この種事故がこれまで実際に起こらなかったことの方が奇跡に近いと思った方がいいね。↓

 「「沖縄部隊 核攻撃を」 キューバ危機で米軍誤命令 現場が回避判断・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2015031502000138.html

 日本の反原発運動はまるで静かだねえ。↓

 「台湾各地で反原発デモ 台北では1万人超・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2015031502000129.html

 米国の例外主義(世界の模範)のコインの半面がアメリカ原住民や黒人や黄色人種やメキシコ人、更には女性の差別・収奪であったことを力説する出色のコラムだ。↓

 ・・・The ideals of freedom that underpin the American Revolution evolved in counterpoint to the practice of chattel slavery, an institution that made manifest to all Americans the very real hazards of being deprived of one's liberty.
 The nation's diffuse pattern of property ownership, which included the bestowing of millions of acres of free farmland on newly arrived immigrants, many brought west by the railroad, was made possible through the expropriation and redistribution of Native American and Mexican lands. The rise of capitalist industry in the antebellum U.S. was fueled by the era's boom in slave-grown cotton. The formation of representative government pivoted on contentious questions of whether women, nonwhites or those without property should be allowed to vote.
 At Manifest Destiny's peak in the 1840s, women could not vote anywhere in the U.S., nor could the overwhelming majority of African Americans, Asian Americans and Native Americans. Whatever democratic institutions the U.S. was spreading at the time were thus deeply interwoven with ideas about racial and gender hierarchy.・・・
http://www.latimes.com/opinion/op-ed/la-oe-jacoby-american-exceptionalism-ap-tests-20150315-story.html#page=1

 スウェーデンは売春を合法のまま買春を違法にして売買春を減少させたとされているが、インターネットの発達で、ヤミでの売買春が増大しているだけのことかも、とさ。
 (スウェーデンに倣った諸国も、早く独・蘭のように買春を合法に戻し、売買春の自由を確立すべきだ。(太田))↓

 ・・・Sweden’s pioneering law criminalizing the purchase of sex while allowing its sale — putting the criminal burden on the buyer, not the prostitute, while providing more assistance to women who want to stop selling sex — has been considered a success and a model for other countries since it was introduced in 1999. A study issued Friday by a government agency in Stockholm found that street prostitution had been cut by more than half since 1995 and that the number of men admitting to having purchased sex was down more than 40 percent.・・・
 A・・・research・・・found that it was unclear to what extent mobile phones and the Internet, rather than the law, may have accelerated the reduction in street prostitution by bringing buyers and sellers together electronically.・・・
  Germany and the Netherlands have・・・legaliz<ed> the purchase of sex・・・
http://www.nytimes.com/2015/03/15/world/swedish-prostitution-law-targets-buyers-but-some-say-it-hurts-sellers.html?ref=world

 ハラリの本(〜コラム#7220)の書評が(コラム#7509で言及したものに続いて、)またまた出ていた。
 結構、ハラリ批判もしているのだが、私の狩猟採集社会観・・人間主義的社会・・と180度対蹠的な、ハラリの下掲の主張、に対する留保ないし批判がないのが致命的。
 (読者の誰か、この論点を掘り下げてくれないもんかなあ。)↓

 ・・・Our hunter-gatherer ancestors were not always cooperative, though. Harari stays well-balanced by citing the high level of violence among prehistoric populations and present-day foragers such as the Ache of Paraguay. He also admonishes readers not to take the romanticized view that our ancestors lived in harmony with nature, because we have been, since our earliest days, “the deadliest species in the annals of biology.”・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/our-kind-of-people/2015/03/13/78404422-b84c-11e4-aa05-1ce812b3fdd2_story.html
(3月14日アクセス)

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