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太田述正コラム#7429(2015.1.17)
<皆さんとディスカッション(続x2510)>

<太田>(ツイッターより)

日本ヨイショに本日も必死の人民網。前者はともかく、後者は無理矢理でっちあげたに等しい記事だ。
 「北京で日本の茶道「裏千家」を体験…」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0116/c94473-8837282.html
 「中国の成績優秀者「日本のアニメから学習の攻略法を学んだ」…」
http://j.peopledaily.com.cn/n/2015/0116/c94473-8837230.html

<QJfAFu6g>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 最近ピケティの本がやたらメディアに登場するようになってますが、水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』という本も人気らしく、何でも資本主義は終わりらしい。
http://blogs.mobile.yahoo.co.jp/p/blog/myblog/content?bid=daiba49&id=34491585#34491585

<太田>

 最初から、個人主義/資本主義への対抗原理を内包しているアングロサクソン社会以外は、資本主義化=裸の個人主義化=社会崩壊、を意味するから、その社会が「終わり」になることは確かだな。
 ま、しかし、そんなことは永遠のテーマであり、今に始まったことじゃないけどね。
 ピケティの本については、ずっと前に、ゴミ、だと断定したよな。

<STE3iitV>

 世界の首脳たちのパリでの追悼行進は、他の路上で演じられた
http://deutsche-wirtschafts-nachrichten.de/2015/01/13/trauermarsch-der-staatschefs-in-paris-war-inszenierung-auf-nebenstrasse/

 「パリで行われた大規模な追悼デモ行進で、世界の指導者たちは人々の先頭に立って歩いてはいなかった。その時、彼らは、閉鎖された道路で治安部隊に守られていた。
 この「演劇」は、政治エリートたちと市民たちの間のギャップを示している。
 現代の政治政策者は、自分たちの信頼性を危うくさせない為の、このような茶番イベントを行うべきではないと我々は考える。

 パリでテロ犠牲者たちの追悼のための壮大な連携が見られた1月11日の行進の後、これらの首脳たちの写真は、世界中に広まった。
 この日、すべてのテレビチャンネルには、世界の指導者たちが映され続けた。
 それは、世界の指導者たちが市民たちと団結して、追悼行進に参加する構図だった。

 しかし、この日、世界中で報道された「市民の先頭に立って行進する指導者たち」の錯覚は、写真によって、すぐにそれが幻想だと判明した。指導者たちは、市民の先頭にはおらず、実際にはレオン・ブルム通りの閉鎖された道路にいた。そして、指導者たちの後ろにいるのは「市民」ではなく「治安部隊」だった。
 これらが撮影された場所は、地下鉄駅のヴォルテール近くだと、ル・モンド誌は確認した。
 この日のデモ行進をフルで報道したメディアは、皮肉な事にロシア国営のロシア・トゥディで、デモを5時間の長さで動画報道した。その動画を、フランスの編集手腕の中を進みながら見ると、キーとなる場面が2:00:00から、2:33:05のシーンにある。政治家たちが手順に従って準備していることが判るかと思われる。

 政治家たちが行進をやめる。その道路にはなぜか異様な静寂が漂う。フランスのオランド大統領が仲間たちと場所に向かい、握手をする。それらの映像は、まるで市民たちと共に行動しているように見えるが、デモに参加した市民たちの中に、指導者たちと握手した者は居ないし、触れ合った者も1人もいない。多分、指導者たちは、撮影現場からリムジンで帰宅したのだろう。
 これを最初に報じたのは英国インディペンデントで、英国ミラーも報道した。
 ファイナンシャル・タイムズ紙の記者は、ツイッターに以下のように投稿した。

「このような”演出”には幾つかの問題がある。それは、世界の全ての政治社会は誤魔化しであるという真実の陰謀論の意見が育ってしまうということだ。実際、今回のことで、トップのエリート政治家達は一般大衆の波の中に入る事は決してしないという事が解ってしまった。
 また、メディアが「真実」を報道していないことも判ってしまった。
しかし、あなたがたは、このことを読者や視聴者たちに伝える必要がある。」

 そして、第2の問題がある。それは、我々DWN を含む報道メディアの多くが、ライブでの取材ができなかったことだ。したがって、私たちは映像や写真をDPA(ドイツ通信社)から得なければならなかった。DPAは、非常に慎重に映像・画像を操作する。

 ともあれ、「パリの路上で各国の政治指導者たちが、フランスの一般市民たちと共に記念行進をした」ということについては、それはまったく実現していない「幻想」であった。
 そして、最も重要なことは「政治とドラマの境界線は一体何なのか?」ということだ。

 今回の件が示すことは、政策にも儀式が必要だということだが、問題は、メディアと市民が、これらの儀式を広めるもとと成ってしまったことだ。
今後、市民も、あるいは多くのメディアも、政治家のどんな声明をも疑うようになるだろう。
それは、政策が絶望的なピエロとして進むことを示している。」

<太田>

 自分で翻訳したのだとすれば、そこまでしてこの記事の紹介の労をとってくれたことに感謝したい・・コメントを付けてくれてたらもっとよかった・・が、前に(コラム#7421で)「実際には、各国「首脳」が行進しているかのような写真を撮っただけだったらしい」って、BBC記事を典拠に書いてるからねえ。
 また、それより以前に(コラム#7339で)「そもそも、政治家≒俳優、だと思った方がいい。滑舌力、及び、自分や相手方等の役割を理解した上での演技力の発揮、等が求められるからね。」とも記しているところだ。
 だから、DVN紙も、その記事の中に登場するFT紙の記者も、何寝ぼけたこと言ってんだって思うね。
 演出だったという報道なんかなくたって、あの写真見たら演出だと思わない人間の方がオカシイぜ。
 テロリスト達にとって垂涎の的となり、かつ各国首脳の安全を120%確保しなきゃならないんだからね。

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 例えば下掲のようなくだりを要訳するのもばかばかしいところの、パラノイアとしか形容のできない、安倍政権に対するヘイトスピーチコラムを、またもや、NYタイムスが載せた。
 よくもまあ、次から次へと、こんな書き手を探し出してくるもんだわ。↓

 ・・・Ryodo promotes a notion of Japan’s territory that circumvents history, particularly the history of how Japan laid claim to these islands in the first place -- through imperial wars with China and Russia, through wars of conquest against Koreans, through the extermination or assimilation of indigenous peoples.・・・
http://www.nytimes.com/2015/01/17/opinion/the-shape-of-japan-to-come.html?ref=opinion&_r=0

 人口800万人の国の通貨に人口1億2000万人の国の通貨が振り回されるとはな。↓

 「・・・「<スイス・>フラン・ショック」の影響は、16日の東京金融市場にも波及した。市場の動揺を受け、安全資産とされる円や国債に資金が流入、円高と債券高(金利は低下)が進行。・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20150117k0000m020118000c.html

 事実が明らかになればなるほど呆れかえるね。↓

 「大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョンア)前副社長(航空保安法上の航空機航路変更などの罪で起訴済み)が離陸直前だった自社機を引き返させて機内サービスの責任者を降ろした事件で、趙氏がこれまでの主張とは異なり、航空機が出発のため移動しているのを知っていた・・・。・・・
 趙氏はマニュアルを自分で確認してようやく、女性乗務員がマニュアル通りのサービスを行い、勘違いをしていたのは自分だったことに気付いた。すると、今度は怒りの矛先をパク氏に向けた。パク氏が最初からきちんと答えなかったために女性乗務員が怒られることになったとしながら、「責任はあんただ、降りろ」と怒鳴り、パク氏を力任せに入り口の方へ押しやった。
 結局、同機からパク氏を降ろし、予定から約20分遅れで出発した。・・・
 事件が報じられ国土交通部が調査に着手すると、趙氏<は>早々に大韓航空の役員や社員に虚偽の証言を指示していた・・・。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/01/16/2015011601856.html?ent_rank_news

 要するに9世紀からつい最近まで、イスラム教は非真正化してましたってことだろ。↓

 「・・・イスラム教の精神は、9世紀から自制的だった・・・イスラム教の忘れ去られた・・・やさしく、寛容な側面<だ。>・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH1F44GBH1FULPT001.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1F44GBH1FULPT001

 こういう二枚舌を許さないためにも、ヘイトスピーチなんてのは咎めないようにしなくっちゃ。↓

 「世界2位のイスラム人口を抱えるパキスタンのダール財務相(64)は・・・、パリ連続テロ事件の実行犯について「イスラムの名を悪用することは許されない」と非難した。一方で、「この事件の教訓は、他の宗教を持つ人たちの気持ちを害する行為をしてはならないということだ」とも語り、預言者ムハンマドの風刺画を掲載することが「表現の自由」として称賛される風潮を牽制した。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH1J7WN3H1JUHBI038.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1J7WN3H1JUHBI038

 フランシスコ法王のこれまでの言動を総括した記事だ。↓

 <(イエスに従い(太田))清貧を訴えながら、(世の中に迎合して(太田))貧困を脱することを説いているが、これ矛盾。↓>
 ・・・There is・・・a queasy paradox in his conviction that people should both espouse and value poverty, and at the same time be taken out of it.・・・
 <米国のカトリック教徒で告解に行ってるのは2%にとどまり、その他の大部分の国では事実上ゼロ。教徒達は神と自分との間に教会が介在することを拒否しつつある。(要するに、カトリシズムは名存実亡状態にあるってことだな。(太田))↓>
 ・・・only two per cent of Catholics attend confession in the US. Most other countries have stopped including questions about confession in their surveys since it is obvious that the practice -- once so central to the life of the Church -- has virtually ceased.・・・
 The decline of confession is symptomatic of a paradigm shift within Catholicism – from the priest’s power of absolution to the freedom of the individual conscience. ・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/2da9965c-a475-11e3-b915-00144feab7de.html

 習近平政権の反腐敗策動は、スターリン主義的粛清に過ぎない、と主張するコラムだ。
 (太子党の大部分を味方にすることで、それを自らの唯一の拠り所とすることで、大真面目に反腐敗策動を習ちゃんはやってる、と私自身は思ってるけどね。(太田))↓

 ・・・In my view, the anticorruption push is more of a Stalinist purge than a genuine attempt to clean up the government. Charges are framed with reference to party regulations, not the law.・・・
 <薄熙来を唯一の例外として太子党はアンタッチャブルだ。むしろ、そこから、「反腐敗策動」の本当の狙いが分かる。↓>
 Most telling of all, the purge has mainly targeted specific party factions, while those groups that support and pledge loyalty to Mr. Xi appear untouched.・・・
 The rule-proving exception, the former Chongqing party chief Bo Xilai, fell from grace after a power struggle rather than from the amount of money he embezzled, as the government claimed. (Before Mr. Xi rose to power, Mr. Bo was his most powerful rival within the party.)・・・
http://www.nytimes.com/2015/01/17/opinion/murong-xuecun-xis-selective-punishment.html?ref=opinion

 スカンディナヴィア諸国を米国(や世界)で理想視することが流行ってるが、暗黒面もあるし、第一、誰も真似はできない、とするコラムだ。
 (その限りにおいちゃ、私も同意。(太田))↓

 <一人当たり抗鬱剤消費量、家庭内対女性暴力率、世界一。↓>
 ・・・Scandi-・・・countries that do so well in life-satisfaction surveys also record the highest consumption of antidepressants in the world, and despite their reputation for gender equality, they have the highest rates of violence against women in Europe. ・・・
http://www.washingtonpost.com/opinions/stop-the-scandimania-nordic-nations-arent-the-utopias-theyre-made-out-to-be/2015/01/16/8f818408-9aa0-11e4-a7ee-526210d665b4_story.html
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 一人題名のない音楽会です。

 12人の女優がなかにし礼作詞曲を歌う、という企画だが、とりわけ、大竹しのぶの「人形の家」は絶品。
http://www.msn.com/ja-jp/news/video/12%e4%ba%ba%e3%81%ae%e5%a5%b3%e5%84%aa%e3%81%8c%e3%80%8c%e3%81%aa%e3%81%8b%e3%81%ab%e3%81%97%e7%a4%bc%e3%81%ae%e5%90%8d%e6%9b%b2%e3%80%8d%e3%82%92%e6%ad%8c%e3%81%86/vi-AA86ey1?ocid=iehp

 上掲記事を読んだ時、どういうわけか、前回の紅白は、私にとっては、何年振りかに視聴したレアものだったこともあり、話題になった出場歌手・・いずれも、何らかの形で過去コラムに登場・・の歌唱くらいは振り返ってみようという気になりました。
 いつ、リンク切れになるか分かりませんよ。
 皆さんも、もう一度どうぞ。

 中島みゆき 「麦の歌」(『まっさん』の主題歌)
https://www.youtube.com/watch?v=hQYu92u7iW4
 中森明菜 「Rojo Tierra」
https://www.youtube.com/watch?v=fWI5eKDHnzs
 薬師丸ひろ子 「Woman Wの悲劇 より」
https://www.youtube.com/watch?v=ijatkTfNB1Q
 サザンオールスターズ 「ピースとハイライト」「ハイライト 東京VICTORY」
https://www.youtube.com/watch?v=-qRqeSC7sE0
 May J. 「アナと雪の女王「Let it Go」」紅白版が見当たらず、やむなく、フルオーケストラなのでこれにしたが、コラム#7295でMHさんが紹介してくれた、日本語歌詞によるものの方が文句なしに良い。
https://www.youtube.com/watch?v=7dnQ8ilWkjg
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太田述正コラム#7430(2015.1.17)
<カール5世の帝国(その11)>

→非公開

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