太田述正コラム#7425(2015.1.15)
<皆さんとディスカッション(続x2508)>

<太田>(ツイッターより)

 「シャルリー・エブド」は通常6万部であるところ、その最新号は300万部刷る予定だったが、飛ぶような売れ行きで、500万部に上方修正することになったとさ。25か国で販売されており、英語版等もあるんだね。
http://www.theguardian.com/media/2015/jan/14/charlie-hebdo-issue-on-sale-paris-attacks-france-queues
 誰か買った人、読んだ人いないかな。

<太田>

 3ユーロでネットで読めることになりそうだね。
http://foreignpolicy.com/2015/01/14/want-to-read-the-new-issue-of-charlie-hebdo-theres-an-app-for-that/?wp_login_redirect=0

<太田>(ツイッターより)

 「シャルリー・エブド」最新号の発行部数500万部は1970年のドゴール死去の際の夕刊紙「フランス・ソワール」の230万部の2倍を超える新記録。
 まさに、その折、「エブド」の前身の「アラキリ(Harakiri)」はドゴールの死に騒ぐフランス人達をおちょくった号を発行し、発禁処分を食らい、現在の名前に変えて存続してきた、という因縁があるんだと。
 その折のおちょくり文言が凄まじい。
 ぜひ記事を読んで欲しい。
 なお、今回の500万部の収益の多くは、今次テロ犠牲者達の遺族への支援に充てられるという。
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/foreigners/2015/01/charlie_hebdo_5_million_print_run_breaks_record_set_by_de_gaulle_s_death.html
 反骨ぶりに脱帽!

<eR+OikFT>

 太田さん前にこんなコラム書いてるから
http://blog.ohtan.net/archives/50954753.html
フランスに批判的かと思ったら、今回はそうでもないのね。

<太田>

 「シャルリー・エブド」最新号の表紙のムハンマド風刺画の転載については、概括的に言えば、積極のイギリスと消極の米国に分かれたね。
http://www.yomiuri.co.jp/world/20150114-OYT1T50144.html
 私の感覚は、やっぱ、イギリス人のそれに近いってことかもな。

<globalyst>

 「日本のアニメが好きな“日本オタクたち”も実は著作権に対する意識が高いんです。...知らず知らずのうちに日本文化や日本社会に影響されたのかもしれませんね。」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42624

 中共による人民の人間主義化(日本化)政策は、若者を中心に成果を見せ始めている、 と考えてよさそう。

<1IjZvcck>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 (海外では)女性主人公が登場するゲームは売り上げが下がる?
http://slashdot.jp/story/15/01/14/0353230/

 日本のみ女性主人公のゲームを受け入れる土壌があるという記事。
 太田コラムでも以前に類似記事の紹介があった気がするけど、二次元の世界での女性の社会進出は世界一かも?

<太田>

 NHK朝ドラも、主人公は女性ばっかしだもんな。↓

 「今秋からのNHK朝ドラ、初の江戸時代スタート・・・」
http://digital.asahi.com/articles/ASH1G5GFWH1GPTFC010.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASH1G5GFWH1GPTFC010

<YdFUh2D6>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 小林よしのりがブログでシャルリ・エブドのムハンマド諷刺画をヘイトスピーチだと批判していたけど、ほぼ同意。
 原理主義者やテロリストを諷刺するならばともかく、あれはイスラム教徒全体を傷つける行為だし明らかにやり過ぎ。
 移民反対デモやってる極右の後押ししてやってるようなもんだ。
 キリスト教やユダヤ教に対して同じことが出来るのかと訊いてやりたい。

<v3y4Oem6>(同上)

 最後の誘惑
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%80%E5%BE%8C%E3%81%AE%E8%AA%98%E6%83%91
 ライフ・オブ・ブライアン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3

 イスラムには余裕というものがない。西側では、アンチ・キリストでも生きていける。
 イスラムでは無理な国が多いのではないか。宗教>法のような世界だから、批判することも出来ない。

<KyijG5gM>(同上)

 <YdFUh2D6クンは>釣りか?↓

 「まず第一に、イスラム教そのものが有害なのであって、その無害化(改革)などできない、という認識をできるだけ多くの人が持つことです。」(コラム#7212)

 コラム「中東イスラム文明の成立」シリーズの続きにこうご期待!!
 シャルリー・エブドも真っ青だよん・・。

<太田>

 私は、イスラム教に原理主義者は存在しえないのであって、真正イスラム教徒と非真正イスラム教徒がいるだけだ、と言い続けてきてるんだけどねえ。
 だから、(真の?)イスラム教徒に対して、「余裕がない」などと形容するのはイスラム教そのものに対する冒涜ってっことになるの。
 その理由を、「中東イスラム文明の成立」シリーズの補足的に、若干異なる形で説明しよう。
 まず、いかなる宗教の信徒であれ、その宗教の教祖の言行が自分の言行の範例になるはずだよね。

 ところが、キリスト教の場合、教祖イエスの言行であると信徒自らが信じるところのものを、その信徒がそのまま実践しなくてもいいことになっている。
 (キリスト教の場合、真の教祖はイエスではなくパウロだが、ここでは、便宜上、イエスにしておこう。)
 なぜなら、第一に、事実上、聖書に、権力に妥協してもよいと書いてあるからだ。
新約聖書『マタイによる福音書』 (22・21) に「カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい」とある。この聖句は唯一神の絶対性を主張するキリスト教がローマ皇帝の至上権に妥協したものと解釈されている。
https://kotobank.jp/word/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%AB%E3%81%AB-42427
 第二に、神と信徒の間に(イエスの言行の解釈権を独占しているところの、)教会・・イエスの言行についての解釈がまちまちだから、結果的に互いに自分とここそ唯一の、(存続することを至上命題とする社会的存在であるところの、)教会なり、と主張する教会が沢山できちゃった・・が介在することを大部分のキリスト教教派が認めているからだ。
 その根拠も掲げておこう。
 「キリスト教会の宗教的会議(公会議)である第1回コンスタンティノポリス公会議(381年)で定められた信条(信仰告白)である・・・ニカイア・コンスタンチノポリス信条・・・「わたしは、聖なる、普遍の、使徒的、唯一の教会を信じます。」・・・(<典拠:>コリンフ前書 12:12-13、エフェス書 2:19-22; 4:11-16; フェサロニカ後書 2:15、ティモフェイ前書 3:1-15) 」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8E%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%B9%E4%BF%A1%E6%9D%A1

 第一と第二の結果、キリスト教は、2重に水で薄められたものとなって信徒に届けられてるってワケだ。
 (当然と言えば当然であり、キリスト教教義の核心の一つである「利他主義」なーんてもの、実践できる生身の人間なんて殆んどいやしないもんね。
 「利他主義」等の実践を、有難ーいことに、権力や教会が妨害してくれるってこと。)

 (本筋からはずれるが、興味深いのは、「無教会主義は、内村鑑三によって提唱された日本に独特のキリスト教信仰のあり方」だ、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E6%95%99%E4%BC%9A%E4%B8%BB%E7%BE%A9
という点だ。
 つまり、教会・・キリスト教各派は、自分達のものこそ、「唯一の教会」だと主張して、争っているわけだ・・を認めないキリスト教「教派」は、世界中で日本にしか存在しないってこと。
 なお、復習だが、リベラルキリスト教徒ってのは、自分はキリスト教徒だと思ってないけど、キリスト教社会で育ち、キリスト教の論理に無意識的に染まっているところの、米国の民主党系に多い人物達のことだからね。)

 ところが、イスラム教徒の場合、こんな逃げ道はない。
 そもそも、教祖自身が権力者(政治家兼軍人)だったもんね。
 しかも、コーランなるこの教祖が口述した神の言葉(結局はこの教祖の言)、及び、ハディースなるこの教祖の言行録・・この「言」はコーラン以外の教祖の言・・、がばっちり残ってて、しかも、それらの解釈の余地があんましないときてるんだもんな。
 で、それらと信徒の間に教派なんて事実上介在してないに等しいんだな。
 ちゅうことは、信徒にとって、選択は、教祖の言行を範例として遵守するところの真正イスラム教徒になるのか、そうじゃない非真正イスラム教徒になるかしかないってことになるのさ。

 関連記事だ。

 アラブの春の前より後の方が、中東アラブ社会は、一層悪くなったとさ。↓

 Four years after the Arab Spring began, the new Middle East looks more and more like the old one--but worse.
 For decades, the bleak choice in the region was between dictators such as Egypt’s Hosni Mubarak and the Islamist militancy that they always invoked when pressured by the West to liberalize.・・・
 What you are left with in the younger generation is a choice between acquiescing to dictatorship or, for the more radical ones, resorting to violence.・・・
http://www.wsj.com/articles/middle-east-turns-back-clock-as-remnants-of-old-regimes-rise-again-1421281936?mod=%3C%25mst.param%28LINKMODPREFIX%29

<TA>

≫ <イギリスの歴史学者・作家である>トーマスは、「[コンキスタドール達]は、・・・<新世界の>これらの新しい人々をして、最終的に、彼らの遅れた諸条件から脱せしめることを可能にすると信じるところの、文明を携えてきていることを確信していたのだ。・・・」と記した。・・・「<チリ総督にしてサンティアゴ市(Santiago)の創設者であるペドロ・デ・>バルディビアは、インディアン達によって、武器を取り上げられ、裸にされ、次いで、縛り上げられた。彼らは、火を起こし、ムール貝群(mussel shells)でもって、彼の両腕から肉を削ぎ落として<焼いて>食べた。≪(コラム#7420(未公開)。典拠G)

 貝殻で肉を削ぐという殺し方、史上珍しい類のものだと思うのですが、どうなんでしょうね。↓

 ヒュパティア(コラム#4223、コラム#4810)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%A5%E3%83%91%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2

 このバルディビアの最後の逸話で「コンキスタドール達」や「インディアン達」の野蛮さを思うと同時に、キリスト教の野蛮さを思い出せました。

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 懲りない旧文部官僚達が、またもや、碌でもない「改革」をやらかそうとしてるな。↓

 「・・・中央教育審議会が、・・・大学入試センター試験を廃止し、「大学入学希望者学力評価テスト」を年複数回実施するという大学入試改革案を答申した。
 このテストは、旧来のセンター試験と異なり、マークシート方式だけでなく記述式の問題も出題されるそうだ。・・・
 私はこの手の大規模試験に記述式を用いるのは危険なことだと思っている。・・・解答が公表され、採点がしやすい記述 式の問題を作ろうとしたら、解答がクリアカットな典型問題ばかりになる。要するに答えを丸覚えしたほうが点が取れる。だから、思考力の訓練どころか、暗記練習になってしまう。・・・
 一方で、成績を1点刻みでつけず、段階で示すようになるという。1点を争う試験にしないということなのだろうが、受験生のミスに対する認識がゆるくなる気がする。・・・
 複数回受験も・・・それで損をする受験生もいる。
 要するに苦手科目のある受験生だ。・・・いわゆる学校秀才型の満遍なくそこそこできる受験生に勝てなくなるのだ。・・・
 <また、>すべての入試を推薦やAOのようにしろ、・・・と言っているのである。・・・
 せいぜい30分の面接しかせず、その学生が問題を起こしても面接者が責任を問われないシステムで、しかも、何の面接のトレーニングも受けていない人間が 面接して、本当に人材の選別ができるのか?・・・
 この答申を読む限り文部科学省で「ゆとり派」が巻き返している印象を受けた。知識偏重より思考力や判断力というのが建前だったのは前と同じだ。その学力低下が回復せず、韓国や中国に基礎学力で負けている状態のまま、こんな答申が通っていいのか? ・・・」
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20150114/431672/?ml

 キャー、半桁、高級オーディオのお値段が高くなったー。↓

 「パナソニックが4年ぶりに復活させた「テクニクス(Technics)」ブランドの高級オーディオが話題だ。ネットワークプレーヤーとアンプ、スピー カーの最上位機種をそろえる際の価格は511万4000円(税抜、希望小売価格)。・・・」
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20150111/398261/?bpnet

 一つの見方ではあるが、日本と日本以外とを区分して論じて欲しかったね。↓

 「・・・男女の社会的役割 は、我々人類が誕生した時、あるいはそれ以前から続いてきたもので、非常に強固なものです。狩猟採集の時代はもちろん、農耕社会、そして現代になっても、 男性は「家族を養い守るのが自分たちの役割」だと少なくとも本人は確信して、肉食獣や外敵と戦い、食糧を確保してきた。もし今、男性弱体化が進んでいるの だとすれば、そうやって長年にわたって蓄積してきた疲れが今になって出ているから、と言えるかもしれませんよ。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20150114/276189/?n_cid=nbpnbo_mlp

 毎日速足20分間でいいんだとさ。
 ホント、私の場合、どんぴしゃりだな。↓

 ・・・people who engaged in moderate levels of daily exercise -- equivalent to taking an energetic 20-minute walk -- were 16% to 30% less likely to die than those classified as inactive.・・・
http://www.theguardian.com/lifeandstyle/2015/jan/14/scientists-recommend-20-minute-daily-walk-premature-death
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太田述正コラム#7426(2015.1.15)
<カール5世の帝国(その9)>

→非公開