太田述正コラム#7158(2014.9.3)
<新しい人類史?(その1)>(2014.12.19公開)

1 始めに

 今度は、中断したままになっている、「戦争の意義?」シリーズ・・既に20回を数えている・・でも再開しようかと思っていたのですが、ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)の『サピエンス--人類の短い歴史(Sapiens: A Brief History of Humankind;Yuval Noah Harari)』の書評を読み、当初、余りピンとこないまま、何となく気になって、関連のサイトをブラウズしていくうちに、彼の関心領域と結論が、私とかなりオーバーラップしていることに気付き、急遽、この本、というか、この本に結実している彼の考えのさわりをご紹介し、私のコメントを付すことにしました。

A:http://www.ft.com/intl/cms/s/0/1d020108-2d0b-11e4-8105-00144feabdc0.html#axzz3BvV3uQxZ
(8月31日アクセス(以下同じ)。書評(以下同じ))
B:http://www.express.co.uk/entertainment/books/504712/A-Brief-History-Of-Mankind-by-Yuval-Noah-Harari-review
C:http://positivecultures.ning.com/profiles/blogs/from-animals-into-gods-a-brief-history-of-humankind-by-yuval-noah
D:https://www.coursera.org/course/humankind
(著者の授業のカリキュラム)
E:http://www.haaretz.com/weekend/magazine/fast-talk-the-road-to-happiness-1.426554
(著者のインタビュー)
F:http://louisecharente.wordpress.com/2013/09/25/there-is-no-justice-in-history/
(著者の講義ノートの一部)

 なお、ハラリは、1976年生まれのイスラエル人で、エルサレムのヘブライ大学卒、オックスフォード大博士であり、専攻は中世史と軍事史で、現在ヘブライ大学人文科学部史学科の講師、という人物です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Yuval_Harari

2 新しい人類史?

 (1)序

 「科学と大衆向けの歴史の収斂の中で、ハラリ博士は、70,000年前からの人間についての魅惑的見解をもたらす。
 70,000年前には、人類(Homo sapiens)の頭の中で、ある神秘的な変化が起こり、人類をして、地球全体を容赦なく支配せしめ、それまでの均衡のとれた生態系の多くを破壊せしめるべく変貌させた、と。
 彼はまた、人類が、いかに抜本的に変化させるかという点で瞠目すべき未来学的な諸見解を彼が我々に与えるところの、未来へと我々を連れて行く。」(C)

 「ハラリによれば、人間達をして、他の諸動物と異ならせているのは、思惟(reasoning)、道具作り、または道徳性への能力、ではない。
 それら全ては、我々の動物たる親戚の間でも若干の程度見出されるからだ。
 人間達が<他の諸動物と>異なっているのは、彼らが、自分達自身の諸観念、諸神話、及び、諸幻想、から創造された想像上の世界に住んでいるからなのだ。
 この虚像の(virtual)世界に住むことで、人間達は、他のいかなる諸動物も匹敵することができない諸事を達成してきた。
 この想像力の力は、人間という種・・当初は、アフリカの草原における食物連鎖の中位に位置する「とるに足らない動物」だった・・を、「自成の(self-made)神々」へと変えた。
 しかし、これらの「神性の存在群(deities)」は自己抑制が欠如していた。
 他の諸種を絶滅させ、彼らは、自分達自身をさほどより幸福にすることなく、地球を支配してきた。
 今では、新しい諸テクノロジーが、彼らをして、生命の人工的諸形態を創造せしめ、自分達自身の諸本性を変更せしめることを可能にしたものの、彼らは、自分達の新しい支配力(dominion)をどう扱ったらよいか、殆んど分かっていない。
 「自分達が何を欲するのか分からないところの、満足しておらず、かつ、無責任な神々ほど危険な存在があるだろうか」、とハラリは問いかける。」(A)

(続く)