太田述正コラム#7142(2014.8.26)
<現代哲学におけるアングロサクソンと欧州(その1)>(2014.12.11公開)

1 始めに

実に2年半前に下掲のコラム
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2012/02/19/bridging-the-analytic-continental-divide/?ref=opinion
(2012年2月20日アクセス)を読み、すぐにシリーズの構成まで考えていながら、他に優先的に執筆すべきコラムが次から次へと出現したために、そのままになっていたのですが、ようやくこれに取り組むことにしました。
 (「」内は、上掲コラムからの引用です。)

 ちなみに、このコラムの筆者の「ゲアリー・ガッティング(Gary Gutting)は、米ノートル・ダム(Notre Dame)大学の哲学の教授であり、・・・最も最近では、『不可能なことを考える--1960年以来のフランス哲学(Thinking the Impossible: French Philosophy since 1960)』の著者にして、頻繁に<NYタイムス>に寄稿している」
http://en.wikipedia.org/wiki/Gary_Gutting
という人物です。

2 現代哲学におけるアングロサクソンと欧州

 「分析哲学<(コラム#6991)>者達(analytic philosophers)に対するにハイデッガー(Heidegger)<(コラム#3617、3678、3712、3997、4003、4338、6031、6808、7048)のような>・・・大陸哲学<(注1)>者(continental phylosopher)<という>・・・二種類の哲学者達は、互いの著作を読むことが殆んどないし、読んだ場合には、その結果は荒れ模様となる(ugly)。

 (注1)大陸哲学とは、「フランス、ドイツなどの<欧州>大陸の主に19世紀から現代の哲学である。
 大陸哲学と言ってもはっきりと(例えば地理的ないし定義的に)英米の哲学と区切られるものではなく、あくまで緩い区切りである。現に英米にも大陸哲学的な手法や研究をしている哲学者はいるし、逆もまた然りである。・・・また、・・・ウィトゲンシュタインなど20世紀前半の分析哲学の代表的哲学者、分析哲学のルーツと言われるフレーゲはいずれもドイツ語圏の生まれである。
 おおむね大陸哲学は政治や社会、人生の意味のように比較的文系寄り、あるいは哲学を勉強していない一般の人が哲学に対してイメージしているような研究テーマを扱うことが多く、素人受けする。<英国>や<米国>の論理や言語の分析ようなアプローチ方法をとり、比較的理系寄りの問題を扱うことの多い分析哲学と大陸哲学は趣きを異にしている。また、ソーカル事件<(コラム#3041、3564、4079、6457)>のように、英米の哲学者が大陸哲学側の用語や論理の曖昧さ、いい加減さを攻撃し、大陸哲学側がそれに反発するなど時として両者は対立的で、場合によっては悪意ある偏見・ステレオタイプさえある。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%99%B8%E5%93%B2%E5%AD%A6
 「大陸哲学に含まれるのは、ドイツ観念論(German idealism)<(コラム#81Q&A、144、990、1645、2577、3247、4065、5236、6397、6451、6991)>、現象学(phenomenology)<(コラム#4810、6397、6447、6457、6725)>、実存主義(existentialism)<(コラム#410、2314、3420、3422、3725、3832、4483、5236、5338、6803)>(及び、キルケゴール(Kierkegaard)<(コラム#1124、5236、6074、6169)>やニーチェ(Nietzsche)<(コラム#471、496、1149、1485、3457、3517、3636、3678、3684、3710、3997、4481、4864、6046、6070、6477、6570、7110)>の思想のような、その前駆形態(antecedent))、解釈学(hermeneutics)、構造主義(structuralism)<(コラム#2828、3629、5238、6447、6803、6975)>、ポスト構造主義<(コラム#5238、6447、6495)>、フランス・フェミニズム、精神分析論、そして、フランクフルト学派(Frankfurt School)<(コラム#6447、6495)>の批判理論(critical theory)と西側(Western)マルクス主義の関係諸部門、である。」
http://en.wikipedia.org/wiki/Continental_philosophy
 なお、解釈学
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%A3%E9%87%88%E5%AD%A6
については立ち入らない。
 また、フランクフルト学派は、「マルクス主義、フロイトの精神分析理論などを基に、批判理論による社会理論、哲学を研究した・・・ホルクハイマーとアドルノ<らの>・・・グループの名称。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%88%E5%AD%A6%E6%B4%BE

 ジャック・デリダ(Jacques Derrida)<(コラム#6447)>(大陸)とジョン・サール(John Searle)<(注2)> (分析)の間での有名な論争は、サールがデリダの「韜晦主義(obscurantism)」をこき下ろし(denouncing)、デリダがサールの「皮相性(superficiality)」を嘲笑し(mocking)て終わった。・・・

 (注2)1932年〜。米国の「言語哲学および心の哲学[、そして社会哲学]を専門とする哲学者。カリフォルニア大学バークレー校教授。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%AB
 ウィスコンシン州立大マディソン学校に入学し、ローズ奨学生としてオックスフォード大に留学、同大学で哲学の博士号取得。
 1960年代末から70年代初にかけて、右は非米活動委員会、左は(ベトナム反戦等の)学園闘争を行っていた学生達等から攻撃を受けた。
 9.11同時多発テロ後には、ネオコン的に米国による世界の問題地域への軍事介入を唱えた。
http://en.wikipedia.org/wiki/John_Searle ([]内も)

(続く)