太田述正コラム#7297(2014.11.12)
<皆さんとディスカッション(続x2444)>

<太田>(ツイッターより)

北京でのAPEC花火鑑賞会の際、プーチンが習近平夫人の肩に自分のショールをかけたが、彼女はすぐにお付にそれを渡したという映像付の記事だ。
 米豪主要メディアは、プーチン、習夫人に言い寄ると報じた一方、中共国内ではこの映像は削除されてる由。
http://edition.cnn.com/2014/11/11/world/asia/putin-liyuan-shawl-apec/index.html?hpt=hp_c3

<Keiji>(同上)

 太田さんご無沙汰してます。
 衆議院解散が迫ってると思うのですが、現状の総理の動きを見てたら自民党でもいいのかも、っと思ってしまったんですが、太田さんの見識としてはいかがでしょうか。

<太田>(同上)

 日中「修復」がなった現在、「反米」政党が共産・社民以外に存在しない中、どの政党にも飽き足らない以上、自民基軸政権が続くことを受忍し、沖縄の「反米」健闘ぶりを見守りつつ、次の米大統領選で、オバマよりアホな大統領が誕生して日米関係がこじれることに期待します。

<Keiji>(同上)

 安倍内閣で「独立」はこれ以上後退はないにせよ、前進もしないと思ってるので、受忍という言葉は本当にピッタリだなと思ってしまいました。
 わざわざご返答頂きありがとうございました。

<ねこ魔人>

 禅の修行では、それこそ7日7晩飲まず食わずで座禅を組み続けて大悟した話など、非常に厳しい修行の話をよく伺います。
 これまでのご業績からすると、太田さんは500年に1人の名僧といわれた白隠禅師のように、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E9%9A%A0%E6%85%A7%E9%B6%B4
悟りの感覚について天才的なものをお持ちでも不思議ではありませんが、そうであるならばこそ、現在の生活により厳しい修行方法を取り入れれば、よりその感覚を冴えさせることがお出来になり、ひいては太田さんの探究心の深化にも役に立つのではと、勝手ながらお見受けしております。

<太田>

 白隠は、座禅(サマタ瞑想)の結果禅病に罹り、それを内観(ヴィパッサナー瞑想)によって治癒した人物
(上掲、及び、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%8A%E3%83%BC%E7%9E%91%E6%83%B3 )
ですが、座禅プラス内観によって、或いは、内観だけによって、悟りに至らざるをえないという気の毒な立場なのは、非人間主義社会に生きている人の場合であって、人間主義社会に生きている我々日本人の大部分にとって、座禅や内観以外の悟りの手段などいくらでもあるんですよ。
 いや、そもそも、最初から悟っている人、つまりは、生まれた時の悟りの状態をそのまま維持した人、すら少なくないのですな。
 ついでに申し上げれば、内観は、「必ずしも座って行なわれるだけでなく、歩く瞑想(伝統的には「経行(きんひん)」と呼ばれてきた)や、立つ瞑想、あるいは日常的な動作における瞑想などがある」(上掲)のですから、非人間主義社会に生きる人にとってさえ、座って内観を行うことどころか、座禅を行うことすら、悟るための必要条件ではないのです。

 さて、日本で、生まれた時の悟りの状態をそのまま維持した人の典型例が以下のような、匠たる人々です。

 「技を体に切り刻んで受け継ぎ、守り統け、さらに発展させているわけです。現代下町の名工たちは、少年少女のころから、厳しい修業に耐えてきたのです。こうして、伝統の努力がなければ伝統工芸が消え去ってしまうのです。」
http://books.google.co.jp/books?id=RezTAAAAMAAJ&q=%E5%90%8D%E5%B7%A5&dq=%E5%90%8D%E5%B7%A5&hl=ja&sa=X&ei=vbpiVKzKFqOnmAX944HYAQ&ved=0CBwQ6AEwAA

 茶道/華道の家元や能役者や(大部分の)歌舞伎俳優等もそうでしょうね。
 これらの人々がどうして家業を継ぐのか、それは、そうすることが、自分達の悟った状態、つまりは、人間主義性を維持でき、それが、大変な幸せであることが直観的に分かっているからだと思うんですね。

 で、白隠がどうして禅病に罹ったのか、そしてまた、禅病が日本の禅関係者の中でよく論じられる
http://books.google.co.jp/books?id=Ix07BAAAQBAJ&pg=PT18&dq=%E7%A6%85%E7%97%85&hl=ja&sa=X&ei=i71iVPTdMMe1mwXd3oGYAQ&ved=0CCsQ6AEwAQ#v=onepage&q=%E7%A6%85%E7%97%85&f=false
http://books.google.co.jp/books?id=NleOBAAAQBAJ&pg=PT34&dq=%E7%A6%85%E7%97%85&hl=ja&sa=X&ei=i71iVPTdMMe1mwXd3oGYAQ&ved=0CCUQ6AEwAA#v=onepage&q=%E7%A6%85%E7%97%85&f=false
http://books.google.co.jp/books?id=D5BbFeXsCi0C&pg=PA46&dq=%E7%A6%85%E7%97%85&hl=ja&sa=X&ei=i71iVPTdMMe1mwXd3oGYAQ&ved=0CDkQ6AEwBA#v=onepage&q=%E7%A6%85%E7%97%85&f=false
のはどうしてか、ですが、私の仮説は、既に悟っている人間(=人間主義者である人間)が、本来必要がないところの、座禅を熱心に行うと、えてして禅病に罹りがちである、というものです。

 さて、日本人であっても、非人間主義者化してしまった人々中、受験競争や出世競争等他人を蹴落とす競争を経験させられた者は、非人間主義化の度合いが甚だしい場合も少なくないのであって、そのような人々は人間主義者へと回帰する努力が求められます。
 しかし、座禅による方法は、(日本の禅宗では必ずしも導入されていない・・それは、日本で悟りの必要性がなかったことが原因ではないかというのが私のもう一つの仮説・・ところの、)内観
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%8A%E3%83%BC%E7%9E%91%E6%83%B3 前掲
を伴わなければならないという点をさておいたとしても、学業や仕事のある人にとって、その修業は時間も経費もかかり、大変です。
 それに比べれば、匠や歌舞伎俳優の、とりわけその修業時代に倣ったところの、日常生活や日常業務そのものを通じた「修行」は、生活や仕事の性格によっては可能であり、その場合、時間と経費が節約できるし、「修行」に慣熟すればするほどなおのこと、容易に実践できます。
 ですから、私のような方法も、少なくとも私のような第一線を引退後の人々にとってはアリだと思いますよ。

<K.K>

≫デスクトップのIEとスタートのIEとは何が違うのですか?≪(コラム#7295。太田)

 スタートのIEの方は、[ツール]ボタンがない、アドオンも利用できない、つまり、デスクトップIEの機能限定版になります。
 NECの側からすると、スタート画面のIEから設定してくれと言うことによって、アドオン等の影響でAtermの設定ができない可能性を排除できるので、スタート画面のIEからの設定を推奨しているのかなと思います。(あくまで推測です。)
 余談ですが、既定のブラウザを、IEからChrome/Firefox等の他のブラウザに変更すると、スタート画面からIEを起動させても、デスクトップから起動させた時と同じになります。

<太田>

 私は、現在、(ダウンローダーが豊富な)Firefoxを規定のブラウザとして、右のディスプレーで、YouTube映像等観賞用に使用しているので、結果論ですが、デスクトップのIE上で設定をしてもよかったんですね。
 さて、これで一段落ですが、ここまで、連日、懇切丁寧にサポートしていただき、まことにありがとうございました。
 今後とも、何かとお世話になると思いますが、引き続き、どうぞよろしく。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 中共人民の日本礼賛は本日も続く。↓

 「錦織圭「李娜のプレーを見て自信持てた」・・中国ネット「誠実な言葉だ」「あなたもたくさんの人を勇気づけている」・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/9452958/
 「・・・私が日常生活で感じた心からの快適さや安心を親日という言葉で片づけられることに反論はしない。私は自分で経験したことしか信じず、他人がどう思おうと気にしないからだ。ただ時々、世論とはまったく異なる日本を、より多くの人が知るべきだと感じることはある。」
http://news.livedoor.com/article/detail/9453912/

 ここで、イスラム世界小特集だ。
 しっちゃかめっちゃか度が亢進するばかりだねえ。

 一週間ほど前の記事だが、トルコ政府がIsisとズブズブの関係にあることがよーく分かる記事だ。
 (これを、単に在シリアクルド人を敵とする便宜的関係と見てはいけないんだぜ。(太田))↓

 ・・・ISIS saw the Turkish army as its ally especially when it came to attacking the Kurds in Syria. The Kurds were the common enemy for both ISIS and Turkey. Also, ISIS had to be a Turkish ally because only through Turkey they were able to deploy ISIS fighters to northern parts of the Kurdish cities and towns in Syria.・・・ISIS and Turkey cooperate together on the ground on the basis that they have a common enemy to destroy, the Kurds・・・
http://www.newsweek.com/isis-and-turkey-cooperate-destroy-kurds-former-isis-member-reveals-turkish-282920

 リビアに今こそ、欧州諸国は軍事介入して、その崩壊を防ぐべきだと力説するコラムだ。↓

 ・・・the situation is desperate, and that outside intervention may be the only way to keep Libya together as a single nation.・・・
http://www.nytimes.com/2014/11/12/opinion/saving-libya-again.html?ref=opinion

 アフガニスタンの役人の腐敗はもはや政府のシステムそのものになってしまっている、と指摘する記事だ。↓

 ・・・ corruption can no longer be described as a cancer on the system: It is the system, they say. And it is deeply enmeshed with Afghan politics.・・・
  Afghanistan loses half of its customs revenue to corruption・・・ the figure was closer to two-thirds.・・・
http://www.nytimes.com/2014/11/12/world/asia/in-afghanistan-customs-system-corruption-is-part-of-the-bargain.html?ref=world

 パキスタン私学連盟が、マララちゃんを、同国のイスラム憲法に反対しているとして糾弾する声明を出した。↓

 ・・・The All Pakistan Private Schools Federation, which claims to represent 150,000 schools across Pakistan, declared that Monday would be “I am not Malala” day and urged the government to ban her memoir, “I Am Malala,”・・・
 “We are all for education and women’s empowerment,” said Mirza Kashif Ali, the organization’s president. “But the West has created this persona who is against the Constitution and Islamic ideology of Pakistan.”・・・
 <この連盟の加盟学校は、中流、下流階級の子弟が通っている。↓>
  The group represents private schools from mostly poor and middle class areas, and not the country’s elite schools.
http://www.nytimes.com/2014/11/11/world/asia/malala-yousafzai-nobel-laureate-is-assailed-by-schools-group-in-pakistan.html?ref=world

 次は、旧ソ連圏小特集だ。
 こちらも、いい話は皆無に近いね。
 
 ある米国のエコノミストが旧ソ連圏諸国の同圏崩壊以降の経済パーフォーマンスを整理した。↓

 ・・・Branko Milanovic, an economist at the City University of New York, measured the wreckage in a recent essay on his blog・・・. He looked at the growth rates of post-communist countries and broke them down into four groups.
 <人口の約20%を占める、ウクライナ。グルジア(ジョージア)、ボスニア。セルビア等は崩壊当時の水準に戻るのに、今後、半世紀以上かかると見込まれる絶望的状況。↓>
 In the bottom group are basket-case nations that haven’t even recovered the level of real income they had in 1990, as measured by real G.D.P. per capita. These failures include Ukraine, Georgia, Bosnia, Serbia and others — about 20 percent of the post-communist world. “Basically,” Milanovic writes, these “are countries with at least three to four wasted generations. At current rates of growth, it might take them some 50 or 60 years — longer than they were under communism! — to go back to the income levels they had at the fall of communism.”
 <人口の約40%を占める、ロシア、ハンガリーは、年1.7%未満の成長しか遂げず。↓>
 The next group includes those nations that are merely moderate failures, with per capita economic growth rates under 1.7 percent a year. These are nations like Russia and Hungary that continue to fall steadily behind the West — about 40 percent of the post-communist world by population.
 <チェコ、スロヴェニア等は、年1.7〜1.9%の成長を遂げた。↓>
 The third group includes those with growth rates between 1.7 percent and 1.9 percent. These countries, like the Czech Republic and Slovenia, are holding steady with the capitalist world.
 <一番うまく行っている諸国中、アゼルバイジャン、カザフスタンは、天然資源の賜物に過ぎないので、アルバニア、ポーランド、ベラルス、アルメニア、エストニアという人口の約10%しか占めていない、残りの5か国だけが真に成功を収めた、ということ。↓>
 Finally there are the successes, the nations that are catching up. This group includes Poland, Azerbaijan and Kazakhstan. But Milanovic points out that many of these nations are growing simply because they have oil, or something valuable to dig out of the ground. There are only five countries that have emerged as successful capitalist economies: Albania, Poland, Belarus, Armenia and Estonia.
 To put it another way, only 10 percent of the people living in post-communist nations are living in a place that successfully made the transition to capitalism. Ninety percent are living under failed transitions of one sort or another. This fact is already yielding screwed up politics in places like Hungary and Russia and will shape the 21st century.・・・
http://www.nytimes.com/2014/11/11/opinion/david-brooks-the-legacy-of-fear.html?ref=opinion

 しかし、成功を収めたそのポーランドにおいてさえ、プロト欧州文明回帰の動きが次第に高まりつつある。↓

 ・・・Led by a centre-right government, Poland is enjoying a period of prosperity unprecedented in its modern history.
 <カトリシズム大好き、妊娠中絶反対、同性婚反対だとさ。↓>
 But some Poles feel traditional values – including a strong attachment to the Catholic church, and opposition to abortion and same-sex marriages – are being sacrificed as Poland embraces the ideals of the European Union.・・・
http://www.theguardian.com/world/2014/nov/11/warsaw-poland-clashes-independence-european-union-police

 メキシコの司法は存在していないに等しいとするコラムだ。
 (隣国たる超大国米国の責任を直視しろってんだ。(太田))↓

 In Mexico, Still No Justice・・・
http://www.nytimes.com/2014/11/12/opinion/in-mexico-still-no-justice.html?ref=opinion

<太田>

 昨日は、私の「禅懐石」の一環として(?)、抹茶アイスクリームを作りました。
 生クリーム1パック(半額で入手)を使って通常のバニラアイスクリーム分のレシピ通りの材料をボールに入れ、それに、即席抹茶アイスクリーム粉(半額で入手)にレシピ通り牛乳(割引きで入手)を加えたものも同じボールに入れ、アイスクリームメーカーに入れた次第。
 見事な出来ばえでした。
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太田述正コラム#7298(2014.11.12)
<反米戦略を顕在化させた習近平体制>

→非公開