太田述正コラム#6917(2014.5.5)
<戦争の意義?(その8)>(2014.8.20公開)

 (7)今後どうなる

「諸議論を決着させるために暴力を用いることほど不合理なことはないように見える。
 政治的諸目標を追求するために大量殺人を犯すところの、戦争などというものは、<その限りにおいては、>人類史の中の最もくだらない発明だということだ。
 <しかし、戦争は、少なくとも、生産的戦争に関しては、必要悪だったのだ。>」(D)
 
 「モリスが言うように、時宜を得、かつ我々が生き延びておればの話だが、戦争を遂行し権力を行使するためのよりよい諸方法の追求の中で、我々をして、かくも協力し、組織化し、革新し、進化させることに長けていたところの、生物学的な暴力への傾向は、最終的に<非生産的な戦争はもとより、生産的な>戦争を<も>廃れさせることとなろう。」(C)

 「何千年にもわたって、とりわけ、モリスが非対称諸戦争、もしくは諸帝国対諸遊牧民または諸海賊または諸ゲリラまたは諸テロリストと呼ぶところのもの<・・すなわち、生産的戦争・・>のおかげで、かかる戦争の諸発展に伴い、我々はより安全になり、より豊かになった、とモリスは言う。・・・
 <しかし、>約40年経ち、生物テクノロジーが全人類を一つへとリンクしたならば、我々全員が繋がり、同じ一つの心(mind)の一部となることで相互に暴力を加えることは時代遅れとなり、暴力は終焉を迎えることだろう。
 そうならないとすれば、40年経つまでに、我々は自分達自身を壊滅させてしまっていることだろう、とモリスは言う。」(H)

 「現在「グロボコップ」の役割を演じているのは米国だ。
 モリスは、大英帝国の<衰亡の頃の>ように、他のライバル諸国が興隆するにつれて米国が衰亡して行く様々な諸シナリオを思い描く。
 彼は、推論的(speculative)モードに没入し、未来を眺めやる。
 そうして、もう一つの驚くべき諸喝破を行う。
 モリスは、今後の40年間が、1870年代から1910年代に至る期間のように展開するようであれば、それは、史上最も危険な期間になることだろうと心配している。」(G)

 「ここでも、一人の考古学者として、モリスは、長期的観点、かつ、厳密な数理的アプローチをとる。
 これは、彼が、ヒットラー、ホロコースト、そして第二次世界大戦を、20世紀の本当の物語・・生活諸水準と寿命が飛躍的に上昇した<という物語>・・中の取るに足らない消音符号群(blips)として、簡単に片づけることができることを意味する。
 だから、5,000万人が死んだからといって何だと言うのだ、と。
 そんなものは、この期間における支那の人口の増加に比べれば小さい数に過ぎないではないか、と。」(B)

 「モリスは、黄金時代における人類の探索を行うにあたって、歴史とともに、考古学、人類学、そして進化生物学を用いることで、<自分の主張の>裏付けとしている。
 彼の本は、ジャレド・ダイアモンド(Jared Diamond)<(注8)(コラム#1023、1882Q&A、3769、5637、5643、5966)>の、『銃・病原菌・鉄(Guns, Germs, and Steel)』<(コラム#1023、1882Q&A、5643、5966)>における環境決定論、及び、スティーヴン・ピンカーの『我々の本性のうちのより良い天使達』の人類はより平和的になりつつあるとの主張(contention)、の木霊だ。

 (注8)1937年〜。「<米>国の・・・ユダヤ系・・・進化生物学者、生理学者、生物地理学者、ノンフィクション作家。現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教授。」ハーヴァード大卒、ケンブリッジ大博士。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%AC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89

 実際、モリスは、この2冊を好意的に引用した上で、その先へと進んでいるところだ。」(E)

 「多くの観察者達が、米国は今弱体化しつつあり、パクス・アメリカーナは崩壊しつつある、と示唆している。
 米国の力を維持することが21世紀における平和に対する最善の希望なのか?
 それに代わる代替諸案は存在するのだろうか?」(D)

(続く)