太田述正コラム#6775(2014.2.23)
<資本主義と不平等(その8)>(2014.6.10公開)

 (6)政策処方箋

 「このプロセスを止める唯一の方法は、富に対する全球的な累進(progressive)税を課すことだ、とピケティは主張する。
 全球的でなくてはならない理由の最大のものは、さもないと、諸資産が、このような諸課税のない諸国に移転されるからだ。
 この案(scheme)の中の全球税は、富の集中を制限(restrict)し、資本に帰属(flow)する所得を制限(limit)することだろう。
 ピケティは、累進的な、年次累進(graduated)税を、通常それらが売られるまでは課税されないところの、株や債券、財産、及び他の諸資産に課す<べきだという>のだ。
 彼は、税率及び<この課税によって得られる)諸収入の<国々の間での>分配のための方式までは踏み込んでいない。・・・
 ピケティの分析は、失業者数の世界にまたがる増大に対しても光を照射している。
 国連の機関(agency)である国際労働機関(ILO)は、<世界全体で、>失業している人の数が2012年から2013年にかけて500万人増えて昨年末には2憶200万人近くまで達した、と最近報告した。
 それは、2018年には2憶1500万人に増えると予測されている。」(A)

 (7)ピケティへの批判的コメント

 「ピケティは、不平等の亢進は、諸市場がまさにそうあるべきように機能していることを反映している、と<いう命題を>提起している。
 「これは、市場の不完全性とは全く無関係だ。
 資本市場がより完全であればあるほど、」経済の成長率に比べて資本の収益率は「より高くなる」。そして、この率が高くなればなるほど、不平等が大きくなる、と。・・・
 私の見解は、我々が互いを爆破し合ったり、この惑星を油で揚げて灰にしたりするようなことさえなければ、21世紀の後半は、ロボット学や人工知能のおかげで魅惑的な高成長の時代になりそうだ、というものだ。
 それもまた、所得の分配がらみの諸問題を生み出すけれど、その諸問題は、ピケティの言う問題とはいささか異なったものだ。・・・
 このプロセスを止める唯一の方法は、富に対する全球的累進税の課税である・・・と彼は主張する。
 しかし、それは、恐らくロボット学革命に対する最後の(eventual)解答でもあることだろう。
 だから、分岐点のどちらの道を我々が将来辿ろうと、富者に対するより高い諸税というのは、行われる可能性がかなり高い。」(D)

 「rは常にgを上回るのだろうか。
 しかし、読者は問いかけることだろう。
 仮に資本/産出 比率がそれほども増加するのなら、資本への限界収益が逓減するのではないのか、と。
 <従って、>rは低下するのではないか、と。
 明らかに、これは、ピケティの仕掛け(machinery)の弱点だ。
 彼は、K/Y比率の巨大な諸変化にもかかわらず、過去2世紀にわたって、rが一般的に安定していたことを示すたくさんの歴史的証拠を援用する。
 彼は、また、・・・我々が更に遠く、ローマ時代の過去に戻った場合においてさえ、rは5〜6%前後で安定的であった、と主張する。・・・
 <有料読者向け添付文書>に採録されている頭目すべきグラフは、古代から20世紀初期にかけてのrとgの間の正のギャップ、20世紀大半におけるその消滅・・というか、g>rなる逆転・・、次いで最近の再出現、を示している。

 (続く)