太田述正コラム#6648(2013.12.22)
<皆さんとディスカッション(続x2120)>

<太田>(ツイッターより)

 「韓国の「後進国型」法治、原因は裁判所…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/21/2013122100799_2.html
 この記事、タイトルもいいし、説明も中頃まではいいが、それからが分かりにくい。
 裁判官が法を曲げるのは、恐らく世論に阿る場合に限らないだろうからだ。
 それに、行政官だって法を守ってないんじゃないの?

<名無しさん@安全保障>

≫「もうひとつ質問させて下さい」の前と後とで、あなたの行っていることが矛盾していることに気が付きませんか?≪(コラム#6644。太田)

 「前」においては形式的には平等、つまりサービスの量が釣り合っていると言っておきながら、「後」においては米国の負担(米国が提供するサービス)の方が大きい、と言っていることでしょうか?

 お答えありがとうございました。目から鱗が落ちた気分です。
 ところで、今さらですが自分は「法的に」の意味がよく分かっていないのかもしれません。
 「締結している条約や自国の憲法の条文において明確に規定されている」という意味だと思っていますが、これがいけないのかもしれません。
 太田さんの「法的に」の意味するところについて教えていただけたら嬉しいです。

≫だから米国も日本の防衛という軍事サービスは提供しないとしているわけだが≪(コラム#6644。太田)

 これはどういう意味なのでしょうか。
 新日米安保条約第五条は、米国による日本の防衛というサービスを意味しているのではないのですか?

≫なお、ひょっとして、あなた、例えば親の親権の下にある子供・・行為能力に様々な制限がある・・が、法的に、親と対等でありうる、親に必ずしも従属していない、と考えておられませんか?≪(コラム#6644。太田)

 そうは考えていませんが、法的に従属しているという根拠を明確に示せないので、そう断定することに躊躇している状況です。

 福岡オフ会につきましては、居住地が遠方のため残念ながら欠席させて頂きます。また機会がありましたら是非参加します。

<太田>

 まず、最初のご質問からですが、あなたは、コラム#6644で、「もうひとつ質問させて下さい」の前では、「日本が提供するサービス」=「在日米軍の防衛」で、それが「米国が提供するサービス」と「釣り合っている」と言いながら、「もうひとつ質問させて下さい」の後では、「日本が提供するサービス」=「在日米軍基地提供」に変わってしまっているのが矛盾なんですよ。
 (そうじゃなくって、「日本が提供するサービス」が「在日米軍の防衛」プラス「在日米軍基地提供」であるところ、うっかりしてここで前者を書き忘れたということであれば、「在日米軍の防衛」だけで「釣り合っている」のに、それ以外に日本が提供するサービスである「在日米軍基地提供」があるのだから、「米国の負担がより大き<い>」なんてことになるワケがないのであって、当然、米国より「日本の負担<の方>がより大きい」、という結論になるはずですからねえ。)
 なお、コラム#6638で、私は、「米国が提供するサービス」に「日本の(施政下における領域の)防衛」は入っていませんよ、と言っているのに、この私の指摘を全く無視した形で、コラム#6644で、そして今回も、質問をされたことは遺憾です。

>太田さんの「法的に」の意味するところについて教えていただけたら嬉しいです。

 これは、日本が米国の保護国(属国)である、なんて、安保条約を含め、どこにも書いてないじゃないか、というご質問だとあえて受け止めさせていただきますが、コラム#1823において、当時(2007.6.20)のprotectorate(保護国)に関する英語ウィキペディア
http://en.wikipedia.org/wiki/Protectorate
を引用して説明をしているので、そちらをお読みください。
 現在の上記ウィキペディアについては、冒頭で「歴史上、保護国には二つの異なった意味がある。(In history, the term protectorate has two different meanings.)」と言っているくせに、一つの意味の説明しか出てこない、等出来が悪いので、読むのはお勧めではありません。
 ただ、現在のこのウィキペディアでも、保護国の(一つの)意味は、「より強い国家または存在によって、第三者に対して外交的ないし軍事的に保護されている自治的領域(an autonomous territory that is protected diplomatically or militarily against third parties by a stronger state or entity.)」である、と言っているところ、米国は、日米安保条約に基づき、日本に対し、軍事的保護(=防衛)というサービスこそ提供してはいないものの、外交的保護というサービスは提供しているので、日本はれっきとした米国の保護国(属国)なのです。

 ところで、あなたは、コラム#6632で福岡オフ会に出席希望がある旨を述べ、コラム#6602でChaseさんがそれを謝意表明とともにコンファームしたところ、あなたは更にコラム#6600で、出席するまでに読んでおくべきコラムをお尋ねになったというのに、「遠方のため」ご「欠席」とは、まことに残念ですねえ。
 
<TT>

≫太田さんに質問があります。・・・吉田ドクトリン墨守と人間主義との関係です。・・・≪(コラム#6642。OrDF0Nc.)

 について、OrDF0Nc.氏の意図とは全く違うかもしれませんが、政官業の癒着について言っているのであれば解るような気がします。
 コラム#4764で、文脈は異なりますが太田さんの、
 「人間主義社会たる日本においては、組織における人間関係も市場における売り手と買い手の間の関係も、単なる機能的な関係ではなく、全人的な関係 であることから、こういうことになる、ということです。」
http://blog.ohtan.net/archives/52095057.html
というコメントを政治家・中央官庁・企業に当てはめれば、退職/引退後の人生や親族の就職コネ等、公私にわたる各々の生活を全人的な関係によって 安定させようとする、といえます。
 太田さんが吉田ドクトリンの帰結として度々説明されてきた政官業の「癒着」は(政治的には悪いものとして価値判断が下された言葉ですが)、単に現 象として見ればそれも人間主義の発露の一面ではないか? という趣旨だとすれば私も考えたことがあります。
<太田>

 で、その話でもって吉田ドクトリン墨守をどう説明するのですか?


 それでは、その他の記事の紹介です。

 ボクに遅れて同じことを言いだした産経。
 だけど、モチ、警察批判は行っていない。↓

 「蠢く暴力団「表社会」侵食、「みずほ」「愛知県警」「九州誠道会」…“反社”勢力が存在感示した1年、摘発はハードル高まり・・・」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131222/waf13122207010000-n1.htm

 産経は福澤諭吉がお好きですなあ。
 それにしても、そんな「総合・意訳」できたかしらん。
 『脱亜論』、『文明論之概略』読み返すの面倒だから、確かめないけど・・。↓

 「・・・《脱亜論》《朝鮮人民のために其国の滅亡を賀す》《文明論之概略》などを総合・意訳すると、福澤諭吉(1835〜1901年)の朝鮮・中国観はこうなる。
 (1)過去に拘泥し、国際紛争でも「悪いのはそっち」と開き直って恥じない。この二国に国際常識を期待してはならない(2)国際の法やマナーを踏みにじって恥じぬ二国と、隣国故に同一視されるのは一大不幸(3)二国には国際の常識・法に従い接すべし。(国交は別として)気持ちにおいては断交する(4)文明とは智徳の進歩なり(5)大国に擦り寄り右往左往する事大主義、国家に挺身する憂国の志士の少なさは、国家を滅亡させる。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131222/kor13122209410001-n4.htm

 エーことや。
 まずは、練習を兼ねて、(米国のノウハウを借用して)米国による日本の盗聴をぶっつぶしてくれー。↓

 「サイバー防衛隊発足へ 米と連携 反撃力保有を検討・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013122202000114.html

 自由化は、一層の強者優位をもたらすってことか。↓

 「国立大の利益、東大が首位 私立は近畿大・・・」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGD1208H_X11C13A2MM8000/?dg=1

 朝鮮日報の親日路線、方向性はイイが、まだまだ論理がひねくれとるねえ。↓

 「なぜ日本で「放射能パニック」が起きないのか・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/21/2013122100735.html
 「19世紀に逆戻りする東アジア・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/21/2013122100781.html

 NYタイムスが、水痘ワクチンを開発した高橋理明・阪大名誉教授の訃報を大きく伝えている。↓
http://www.nytimes.com/2013/12/22/health/michiaki-takahashi-85-who-tamed-chickenpox-dies.html?ref=world

 米国における信頼の喪失に警鐘を鳴らすコラムだ。↓

 <(その『道徳感情論』を無視しているところの、アダム・スミス由来の市場原理主義が米国を席巻しているが、それは利己主義こそ究極的な利他主義であるという誤った観念をもたらしている、と。↓>
 ・・・The undervaluing of trust has its roots in our most popular economic traditions. Adam Smith argued forcefully that we would do better to trust in the pursuit of self-interest than in the good intentions of those who pursue the general interest. If everyone looked out for just himself, we would reach an equilibrium that was not just comfortable but also productive, in which the economy was fully efficient. To the morally uninspired, it’s an appealing idea: selfishness as the ultimate form of selflessness. (Elsewhere, in particular in his “Theory of Moral Sentiments,” Smith took a much more balanced view, though most of his latter-day adherents have not followed suit.)・・・
 <(人はカネが全てじゃないというのに、)カネでインセンティヴを掻き立てるという昨今の米国での発想は宗教と化した、とも。その結果、社会的紐帯、道徳的諸衝動、同情、といったものの重要性が忘れ去られた、と。↓>
 ・・・incentives are an important component of human behavior. But the incentive movement has made them into a sort of religion, blind to all the other factors — social ties, moral impulses, compassion — that influence our conduct.・・・
 <信頼なき所では、生活するのに恐るべき費用がかかる、と。すなわち、良い情報は殆んど得られず、詐欺が横行し、契約・争訟費用は高騰する、と。↓>
 Without trust, life would be absurdly expensive; good information would be nearly unobtainable; fraud would be even more rampant than it is; and transaction and litigation costs would soar.・・・
 <そこへもってきて、昨今の不平等度の高まりだ。経済的、政治的、法的不平等度が全て高まっている、と。(その結果、信頼は一層損なわれつつある、と。)↓>
 Economic inequality, political inequality, and an inequality-promoting legal system all mutually reinforce one another. We get a legal system that provides privileges to the rich and powerful. ・・・
http://opinionator.blogs.nytimes.com/2013/12/21/in-no-one-we-trust/?ref=opinion#h%5B%5D

 米国でWASPが力を失い、学歴がモノを言うところのメリトクラシーがそれにとって代わったことが、むしろ米国を悪くした、と論じるコラムだ。↓

 ・・・Thus far in their history, meritocrats, those earnest good students, appear to be about little more than getting on, getting ahead and (above all) getting their own. The WASP leadership, for all that may be said in criticism of it, was better than that.
The WASPs' day is done. Such leadership as it provided isn't likely to be revived. Recalling it at its best is a reminder that the meritocracy that has followed it marks something less than clear progress. Rather the reverse.
http://online.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304367204579268301043949952

 音楽教育が認知能力の向上をもたらす証拠はないことが分かった。↓

 ・・・we found no evidence that a brief series of parent-child music classes improved preschoolers’ cognitive skills. ・・・
http://www.nytimes.com/2013/12/22/opinion/sunday/music-and-success.html?ref=opinion&_r=0
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太田述正コラム#6649(2013.12.22)
<個人主義の起源(その6)>

→非公開