太田述正コラム#6644(2013.12.20)
<皆さんとディスカッション(続x2118)>

<太田>(ツイッターより)

 「江田氏、集団的自衛権で「完全否定」…」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131219-OYT1T01053.htm?from=ylist
 「…韓国国会が…事実上、日本の集団的自衛権を認め…る決議案採択…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/19/2013121903225.html
 江田一派は、韓国の国会議員達並の見識すらない政治屋集団だって分かってくれた?

<名無しさん@安全保障>

≫韓比の場合は、(太平洋地域・・ハワイ等・・に限定されてはいるものの)米国を守る(defend)というサービスを提供してくれるから米国も韓比それぞれを守るというサービスを提供しますよ、ということが分かるタイトルになっているのです。・・・米国が日本に対し、曖昧ながらもサービスらしきものを提供する以上は、日本もその見返りに何らかのサービスを米国に提供しなければならないはずです。それが安保条約第6条が規定する、在日米軍基地の提供です。≪(コラム#6638。太田)

 韓比の場合、(太平洋地域において)米国を守るというサービスを条文で規定しているため(ある地域における相互防衛義務を規定しているため)、形式的に対等な国家関係であるということですよね?
 日本の場合もある地域(日本国の施政下における領域)における相互防衛義務を課しているという意味においては、少なくとも形式的には対等ではないのでしょうか。
 もちろん実質的には日本が提供するサービスが少なすぎるため、在日米軍基地の提供でサービスの量を補っている、と理解しています。
 つまり、日本は実質的保護国ではあるものの、形式的保護国ではないのではないでしょうか?

 もうひとつ質問させて下さい。

 日本が提供するサービス…在日米軍基地提供
 米国が提供するサービス…日本国の施政下における領域の防衛
 これらは釣り合っているのでしょうか?私には米国の負担がより大きく思えます。
 つまり、新日米安保条約は日本に有利な条約ということでしょうか。
 保護国が、宗主国相手に有利な条約を結ぶということはよくあることなのでしょうか。

<太田>

 「もうひとつ質問させて下さい」の前と後とで、あなたの行っていることが矛盾していることに気が付きませんか?

 その点については、ご自分で後で考えていただくとして、A国がB国に軍事基地を提供するということは、その基地に係る、(この軍事基地内にいる他国の軍人に係る捜査権、裁判権等の放棄を含む、)主権が制限されるだけでなく、B国によるA国に対する軍事的内政干渉を著しく容易にする上、B国が当該軍事基地を使用してC国等、第三者を軍事攻撃した場合に、このC国等のA国に対する軍事報復を招きかねない、という大きな不利益を甘受することを意味します。
 すなわち、軍事基地を提供することは、それだけで、法的に、A国がB国の保護国/属国になったと解釈される、と言っていいでしょう。
 このような解釈を払拭するためには、軍事基地提供の根拠を二国間条約ではなく、多国間条約に求める必要があります。
 それが、NATO条約に基づく米英へのドイツの軍事基地の提供であり、ANZUS条約に基づく米国への豪州の軍事基地の提供であり、国連憲章(朝鮮国連軍地位協定)に基づく朝鮮国連軍参加諸国への日本の軍事基地の提供です。
 また、軍事基地提供の根拠が二国間条約である場合においても、このような解釈を払拭するのが、A国が差し迫った軍事的脅威に直面している場合です。
 米韓条約に基づく米国への韓国の軍事基地提供がそうです。
 韓国の場合は、それでも足らず、有事における韓国軍の指揮権を米国に差し出すということまでしているわけです。
 にもかかわらず、韓国の場合は、米国に対して(太平洋地区に限るが)防衛サービスを提供することとしていることから、法的に保護国(属国)であることを、かろうじて免れています。
 (もう一つ、B国にもA国に軍事基地を提供させる、という形で上記解釈を払拭させることも理論上はできますが、この話には立ち入りません。)
 ところが、日本の場合は、米国への軍事基地提供の根拠は、国連憲章(朝鮮国連軍地位協定)によるものはともかくとして二国間条約・・米国は国連憲章(朝鮮国連軍地位協定)と日米安保の二つの根拠に基づき日本に軍事基地提供を求めることができます・・である上、日本は差し迫った軍事的脅威に直面しているわけでもないので、日本が米国に対して見返りの軍事サービスを提供することとしていないとすれば、日本は法的に米国の保護国(属国)である、と言わざるをえません。
 で、米国に対し、韓国とは違って、(太平洋地区における)防衛という軍事サービスを提供しないこととしている・・(だから米国も日本の防衛という軍事サービスは提供しないととしているわけだが)・・日本は、文字通り、法的に米国の保護国(属国)なのです。

 (念のため、繰り返しておきますが、日本の安全が確保されているのは、米国が韓国に防衛という軍事サービスを提供することとしていることに加え、日本がそのような米国に軍事基地を提供することとしていることの反射的利益に過ぎないのです。
 米国の核抑止力の話は、ここでは捨象します。)

 なお、ひょっとして、あなた、例えば親の親権の下にある子供・・行為能力に様々な制限がある・・が、法的に、親と対等でありうる、親に必ずしも従属していない、と考えておられませんか?
 もしそんな風に考えておられるとするならば、いくら私が「回答」をしたところで、何の意味もないでしょうね。
 この点も、よーく反省していただきたいものです。

 ところで、福岡オフ会には参加されないのですか?

<z48FBO4M>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 <OrDF0Nc.さん(コラム#6642)、>阿羅健一著『秘録・日本国防軍クーデター』をお薦めします。
 内容は(太田さんがおっしゃるように)アメリカは朝鮮戦争をうけて日本に再軍備を提案し、国内でも服部卓四郎が主権復活に尽力していた絶好のチャンスを吉田茂によって潰されたという話です。

<TS>

 太田様、毎日のコラム配信、ありがとうございます。
 ・・・
 7月から9月上旬まで続いた「日支戦争をどう見るか」は圧巻でした。
 太田さん、こんなに飛ばして大丈夫かな?とちょっぴり心配したりしてました。
 また、コラムを読んで啓発され、スパートフォンを使った座禅を行うようになり、茶道にも首を突っ込み始めました。
 自分はかなり消化不足の部類に入る購読者ですが、来年も引き続きご活躍・ご健筆を祈念しております。

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 「日本の暴力団」シリーズ(未公開)が終わった途端、暴力団がらみの出来事が続出してるね。
 暴力団のマフィア化が着実に進展してるってことかな。↓

 「・・・米財務省、山口組幹部4人を経済制裁対象に追加・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131220/crm13122008460006-n1.htm
 「小型拳銃で4発、至近距離から胸付近に 着実な致命傷狙う・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/131220/crm13122015180015-n1.htm
 「漁協組合長射殺:過去に2度発砲被害 兄が組員の射殺犠牲・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20131220k0000e040238000c.html

 中共当局の思惑通り、日米離間も着々と進展中。↓

 「米世論「日米安保を維持」急減 「重要パートナー」中国に抜かれる・・・」
http://digital.asahi.com/articles/DA2S10889401.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA2S10889401

 米国はアフガニスタン侵攻をすべきでなかった、と66%の米国人が考えている。
 (とにかく、米国民は自信喪失に陥り、孤立主義にまたぶれようとしている。(太田))↓

 Americans express near-record discontent and regret over the 13-year war in Afghanistan after its 2,289 U.S. casualties and more than 19,000 wounded troops, according to a new Washington Post-ABC News poll.
 Fully 66 percent of Americans say the battle, which began with nearly unanimous support, has not been worth fighting.・・・
http://www.washingtonpost.com/world/national-security/majority-of-americans-say-afghan-war-has-not-been-worth-fighting-post-abc-news-poll-finds/2013/12/19/3484edb2-6836-11e3-ae56-22de072140a2_story.html

 中共じゃ、中共当局が、一般国民にはこれまで反日感情を叩きこんできて、数年前から親日に切り替えるべく懸命の努力をしているってことなんだろね。↓

 「・・・<中共の国民の大部分は>戦争を知らない世代なのだが、抗日ドラマや歴史教科書で培われた「日本の負のイメージ」が<浸透している。>・・・<だから、>日本人の「普通」が中国人の「劣等感」を刺激する・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130702/250508/?n_cid=nbpnbo_zen&rt=nocnt

 結構私の見解と重なる部分もあるけど、違うのは、中共当局が、もっと過去から未来までの長いスパンで中米日関係を見ている可能性が高い、という点だ。↓

 「私は、クリントン前国務長官やティム・ガイトナー前財務長官、キャンベル前国務次官補が今もオバマ政権にとどまっていたら、中国が防空識別圏を発表することはなかったと見ています。
 中国は、2期目のオバマ政権は外交チームに以前ほど力がないこと、外交政策そのものに力が入っていないこと、中国の動きを1期目の時ほど注視していないこと、アジア重視の戦略についても語らなくなっていた事実などを注意深く捉えていました。どの時期なら米政府の猛反発を招かないかを考え抜いており、その意味で・・・中国が防空識別圏の設定を(11月23日に)発表したのは絶妙のタイミングだった・・・
 日本はまず、中国を巡っては米国と国益、利害が一致していないという事実を理解する必要があります。先ほども指摘しましたが、現オバマ政権は外交に力を入れていません。とにかく海外の問題には巻き込まれたくないという考えです。
 米国は、少なくとも中国の防空識別圏が米国にとって根本的な脅威になるとは見ていないし、東シナ海を最重要課題とも思っていない。・・・
 <しかし、>米国は、自国におけるシェール革命のおかげで今後、中東に対する関心を失っていくことになりますが、中国に対しては時が経つにつれ脅威と見なすようになっていきます。それに従い米国は、日本と緊密な関係を築くようになるでしょう。そうなることを中国は理解しています。そうなってから楔を打ち込むのは難しくなるので、今のうちに早めに日本を孤立させたいという危機感があるわけです。 ・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20131218/257242/?P=1

 例の米印間の騒動、女中を低賃金で働かせることで逮捕されるなんてインドじゃ、ありえない、ってことから来てるんだね。↓

 ・・・In India, someone with power would rarely be apprehended for paying a servant a low wage. Actually, it’s laughable to think such a charge would even take place.・・・
http://www.washingtonpost.com/blogs/post-partisan/wp/2013/12/18/why-india-is-upset-about-devyani-khobragade-and-why-its-wrong/
 いずれにせよ、件のインド人副領事と女中それぞれの言い分が食い違い過ぎていて、よー分からんちん。↓
http://www.washingtonpost.com/world/us-attorney-vows-to-pursue-case-against-indian-diplomat-at-center-of-us-india-row/2013/12/19/81764c1c-68c5-11e3-8b5b-a77187b716a3_story.html?hpid=z1

 米国の男女の賃金格差等の推移がグラフで示されている。↓
http://newsfeed.time.com/2013/12/19/7-graphs-that-show-the-gender-divide-young-women-are-facing-in-the-workplace/

 スコットランドでカトリックとプロテスタントの間の対立が激化してるんだね。
 改めて、スコットランドは欧州文明に属する、と思うな。↓

 ・・・in parts of Scotland relations between Catholics and Protestants remain defined by mistrust, fear and, occasionally, violence. Since 2003, more than 7,000 sectarian incidents were reported in Scotland.・・・
http://www.csmonitor.com/World/Europe/2013/1219/Scotland-pushes-to-bring-lingering-religious-divides-into-the-open

<太田>

 遠出する時に持参する富士通の携帯パソコンに約1ヵ月ぶりでスイッチを入れたら、windows8.1が起動しなくなり、windows7から8にアップグレードした時にリカバリーディスク作成を怠っていたこともあり、同社のヘルプデスクに相談して、もともとのリカバリーディスクを使って買った時の状態(windows7)に戻すことになり、昨夕から先ほどまで、断続的に作業をして、ほぼ、(OSを除き、)約1ヶ月前の状態に復旧できた。
 (どういうわけか、ブラウザのRockMeltはインストールがうまくいかなかった。
 このブラウザは既にサポート対象外になっていることもあり、改めてインストールに挑戦するかどうか思案中だ。)
 8へとアップグレードした時の作業が大変だったのと、またこんな故障が生じたら出先で立ち往生してしまうので、アップグレードの際にマイクロソフトに支払った1200円は忘れて、これからはwindows7のままで使うことにした。
 一つのメリットは、買った時の状態に戻ったおかげで、3か月間使えるA社のセキュリティソフト(オマケソフト)が再度使えるようになったことだ。
 これまでは、5台のパソコンで、この携帯パソコン用と、残りの4台のパソコン用の二つのB社のセキュリティソフトを使っていて、この携帯パソコン用のは12月23日が使用期限だったので、このまま来年1月末の残りの4台のパソコン用のセキュリティソフトの期限まで待ち、その時点で5台分のライセンスに切り替えれば、この携帯パソコン用のセキュリティソフトを現時点で更新するよりも安上がりになる。
 それにしても、ITの世界では、いつ何が起きるのか分からない、と改めて思った。
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太田述正コラム#6645(2013.12.20)
<個人主義の起源(その4)>

→非公開