太田述正コラム#6423(2013.8.31)
<日支戦争をどう見るか(その39)>(2013.12.16公開)

<脚注:米国が太平洋戦争以降に直接的間接的にアジアにもたらした死>

 これに関するものとして、読者のべじたんさんが、私の呼びかけに応えてかつて作成された「対米戦死者数」の表があります。
http://wiki.livedoor.jp/veg_tan/d/%C2%D0%CA%C6%C0%EF%BB%E0%BC%D4%BF%F4

 この際、まことに勝手ながら、べじたんさんに新たなお願いがあります。

 1 タイトルを「米国が太平洋戦争以降に直接的間接的にアジアにもたらした死」に変更する。
  これに伴い、米比戦争の分を「参考」として別扱いにする。
 2 「対米戦死者数」を「米国による直接的死者」に変更する。
 (「戦死者」に民間人の餓死者・戦災死者や捕虜である間に処刑されたり死亡した者や軍人の餓死者・病死者を含めるのは用語的に無理がある。)
 3 新たに、「米国による間接的死者」の表を作成する。
 これには、以下のものを計上する。

 支那:
 国共内戦、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%85%B1%E5%86%85%E6%88%A6
 チベット動乱(絶対に計上すべきであるとは言えない)、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%99%E3%83%83%E3%83%88%E5%8B%95%E4%B9%B1
 地主殺害(コラム#6354)、
 大躍進、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%BA%8D%E9%80%B2%E6%94%BF%E7%AD%96
 文化大革命、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%8C%96%E5%A4%A7%E9%9D%A9%E5%91%BD
 天安門事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E5%9B%9B%E5%A4%A9%E5%AE%89%E9%96%80%E4%BA%8B%E4%BB%B6
ほかの「騒擾」(どこまで拾うか、また拾うとして数字が得られるか)。
 (この他にないか、また、中印国境紛争、中越戦争を計上するかどうかは一考を要する。)

 ベトナム:
 ホーチミン作戦(南北統一作戦)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%B3%E4%BD%9C%E6%88%A6

 ラオス:
 ラオス内戦(1953〜75年)(米国の空爆による死者は「米国による直接的死者」中に計上されているのでそれ以外の死者ということになるが、数字は得られない可能性がある。)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%AA%E3%82%B9%E5%86%85%E6%88%A6

 カンボディア:
 内戦(1967年頃〜1997年頃)(ただし、米国の空爆による死者は「米国による直接的死者」中に計上されているのでそれ以外の死者ということになるが、数字は得られないと思われる。)、
 ポルポト政権下の虐殺(ただし、その間、内戦も続いていたことに注意が必要。)

 (参考)「<米>軍と<ロン・ノル将軍によるシアヌーク追放後の>カンボジア軍はコンポンチャムなどの都市や農村部に激しい空爆を行い、農村インフラは破壊され数十万人が犠牲とな<った。>・・・フィンランド政府の調査団によれば内戦と空爆による死者が60万人・ポル・ポト政権奪取後の死者が100万人とする。マイケル・ヴィッカリーは内戦による死者を50万、ポル・ポト時代の死者を75万人としている。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%88

 マライ(マレーシア):
 マライ共産党叛乱(1968〜89年)(数は大きくない)
http://en.wikipedia.org/wiki/Communist_Insurgency_War

 インドネシア:
 1965年の9月30日事件(米CIAが協力した)

 (参考)「共産主義者、約50万の人々、特に40万の中国系の集団虐殺が起きた(華語教育や文化活動も同時に禁止された)。20世紀最大の虐殺の一つとも言われ、50万人前後とも、最大推計では300万人とも言われるその数は今日でも正確には把握されていない」
http://ja.wikipedia.org/wiki/9%E6%9C%8830%E6%97%A5%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 インド:
 インド共産党(毛沢東派等)叛乱(1967年〜)(数が得られるか?)
http://en.wikipedia.org/wiki/Naxalite

 ネパール:
 ネパール内戦(ネパール共産党毛沢東主義派叛乱)(1996〜2006年)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%86%85%E6%88%A6

 べじたんさんには、ご自分のペースで表を完成していただくとして、とりあえず、頭の中でざっくり計算してみたところ「米国が太平洋戦争以降に直接的間接的にアジアにもたらした死」は、優に4,000万人を下らないのではないでしょうか。
 (なお、大戦中の英領インドでのベンガル飢饉や大英帝国の過早な崩壊に伴う、印パ分離時以降の累次の印パ戦争等は、さすがに米国がもたらした死とは言えず、その責任はもっぱら英国が負うべきでしょう。)
 結論的には、ローズベルト(とトルーマン)は、ヒットラー(大戦の欧州戦域での全死者+ホロコースト)やスターリン(農業集団化+粛清+冬戦争全死者+ 張鼓峰/ノモンハン全死者+対日戦全死者)や毛沢東(上掲)・・それぞれについても数字を出すのが筋なのですが・・を超えるところの、20世紀最大の殺人者たる白人/キリスト教至上主義者(達)であった、と言えそうです。
 もっとも、毛沢東は、ダブルカウントされているので、全面的に省かなければならず、そうすると、毛沢東を完全に免責するようで、心苦しい限りですが・・。

 以上、脚注というより、べじたんさんへの依頼でした。
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(続く)