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太田述正コラム#6514(2013.10.16)
<皆さんとディスカッション(続x2053)>

<太田>(ツイッターより)

 「…日本のデザイナーはパリのファッションウィークで特異な存在だ。彼らは独自のオリエンタルビューティー、奇妙で厳格な裁断、そして変わっているといわずにいられない突拍子もない着想で知られる。日本のデザイナーは未来から来たのかもしれない。彼らの見たこともないような着付けは今やアパレルを「衣服」本来の意味から超越させた。全世界は1世紀かかっても彼らの歩みに追い付けない。」
http://j.peopledaily.com.cn/94473/8425990.html
 これは宗教的畏敬の表明とも形容すべき賛辞だ。
 ぶったまげたのなんのって・・。
 日中の今後の関係は、一体どうなって行くんだろうかねえ。

 フランスの救急訓練用のマネキンの顔は19世紀末にセーヌ河から引き揚げられた溺死女性の微笑んだ美しいデスマスクだって。
 溺死するとすぐ腐乱が始まるし苦痛に歪んだ顔をしてるはずなので、生きたモデルを使った可能性が大らしいがね・・。
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-24534069

<TA>

≫日本は、英国等と違ってエシュロンの蚊帳の外に置かれ、一方的に全通信を傍受されている。この点だけとっても、そんな国が米国の本社機能を担っていると小川氏が本当に思っているとすれば、≪(コラム#6512。太田)

 ↑の件、小川氏にツイッターで質問した方がおられるようですね。↓

 「米国が日本を属国と見ていることは事実。だからこそ本社機能が置かれている。
エシュロンの中心施設が日本にあるのもそのためです。ロジの巨大な機能も同じ。
 根拠は拙著にあります。
 軍事専門家としてお答えしました(笑)。・・・2013年10月15日 - 4:39」
https://twitter.com/kazuhisa_ogawa

 小川氏の発言の含意はよく分かりませんが、手元にある小川氏の著作『日本の戦争力』をパラ見するに、「本社機能」とは、

 「「日本はアメリカの最重要同盟国」とアメリカがいうのは、アメリカが日本をアメリカ本土と同じ戦力投射のための根拠地(戦略的根拠地)として位置づけているからだ。世界最大級の弾薬・燃料備蓄や第7艦隊の母港提供はその現実を物語っている」(第2章 アメリカへの「戦争力」 アメリカの世界戦略を支える日本。108頁)

といった含意と推測されます。「属国」をどう定義しているのかはよく分かりませんが、

 「・・・「日本は戦争に巻き込まれないよう、うまくやってきた」という言い方は、大いに妥当性を欠く表現です。
 なぜかといえば、・・・日米安保体制という枠組みの中で自衛隊はアメリカを補完する戦力として位置づけられ、日本列島全体がアメリカの世界的なリーダーシップを保障する戦略的根拠地として位置づけられてきました。その中で、外交・安全保障においては日本の主体的な戦略が存在せず、日本の主体的な行動も皆無に等しかったからです。
 だから、「戦争に巻き込まれないように行動した」というようなことは、ありえない。それは戦争を回避する意思や手段を持つ国のいうことです。そんな主体性を確保しようとする努力も、日本には見られませんでした。・・・
 ・・・日本が日米同盟を主体的にコントロールしたかといえば、それもない。・・・
 日本政府がそのときどきで戦力の定義や憲法9条の解釈を変えてきた歴史は、防衛や安全保障についての国家戦略がなかったことの明白な証拠です。自衛隊は国家戦略がないところに生まれ落ち、育ってきたのだと、いわなければなりません。」(32〜
33頁)
 「・・・日本の自衛隊は戦力投射能力を持っていないという、要するに外国に侵攻できない「専守防衛」の構造を持っています。日本がその構造を捨てることをもっとも望まない国はどこかといえば、アメリカに決まっています。それは先の戦争でアメリカと最後まで戦った日本の軍事的な自立につながるからです。」(203頁)

 といった主張から、「アメリカ陰謀属国論」の類なのでしょう(「現実主義(笑)を標榜する輩」と言った方が良いのかな?)。
 小川氏のこの著作、「外交・安全保障においては日本の主体的な戦略が存在<しない>」という認識など、端々に太田さんの主張に近いところを見出しつつも、本質的なところ、例えば日本が勝手に「属国」になっているだけ、といった点がやはり全く違っており、読んだ当時、残念な気分にさせられたものです。
 (なんで太田さんに絡んでくる安全保障の専門家が皆無なんでしょうね・・・orz)

<太田>

>太田さんに絡んでくる安全保障の専門家が皆無

 いや、そうじゃなくって、私に絡む絡まぬにかかわらず、そもそも現在の日本では安全保障の専門家が皆無なのです。
 どうしてか?
 安全保障を放擲した属国日本で、政府の内外を問わず、安全保障の専門家など必要ないからです。
 存在するのは小川のようなネクラの軍事オタクか特アに憤懣をぶちまける2ちゃんねらーのような外交野次馬だけです。
 憚りながら、私だって安全保障の専門家じゃあありません。
 属国日本を「独立」させて、日本を自らの(ひいては世界の)安全保障と取り組む国にするために努力をしている一評論家であって、安全保障の専門家ごっこをする意思も時間的余裕もないからです。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 あの京都学派、今いずこ。
 佐伯センセの欧米についての認識も日本についての認識も、どっちもちょっとコメントしようもないほどお粗末だね。
 何度でも言う。
 戦後の日本の社会科学者のマクロ的見解は、反面教師と考え、決して信じることなかれ。
 社会科学者のミクロ的見解・・例えば世論調査やマーケティングリサーチの結果の分析・・なんてものは、社会工学の技術者としての見解に過ぎないから、さっきのノリで言えば、戦後日本では社会科学者も皆無だと言ってもエーんちゃう?
 ま、これも戦後日本の安全保障の放擲と無関係ではないと私は考えているわけだ・・。
 私は、一次資料/史料の使い方が不十分だから社会科学者とは言えず、評論家でしかないけれど、必要に迫られて吐いているからかどうかは知らないけれど、社会に係る私のマクロ的見解は相対的にはいい線行ってると自分では思ってるよ。↓

 「<佐伯啓思京大教授いわく、>・・・市民革命が旧体制を潰し、「自由平等」「民主主義」の「近代」を実現した、という欧州は虚像でした。特に英国は大土地の所有権が今も貴族にあり、階級社会が温存されている。政治の中心は深い教養を求められるエリート。「金のために働くのは悪」というキリスト教的倫理も働く。ぶ厚い伝統が下地にあり、民主主義も極端な欲望追求に走らない。アメリカ経由で日本に入った薄く平板な「民主主義」と全く別物だった。この欧州の保守主義は、行って初めて実感できました。
 移民国家の米国は、個人の自由や平等を共通の理念に国の建設に突き進んだ。共同体の伝統より、個人の開放や絶えざる経済成長が民主社会の実現と考える。日本はそんな米国流を受け入れた。
 特に戦後の日本は社会に連綿と続いた価値観を全否定し、個人の欲望追求に精を出した。その結果、人々はどこまでも満たされないことに疲れ、精神の豊かさを見失った。欲望民主主義の社会では、政治は利益誘導の票集めに傾き、どんな社会を目指すのかという展望を語ることもできません。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201310150257.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201310150257

 前段は覚えておこうね。
 後段は、このようなイエスの存在の不条理さが、ボクを小学生の時にキリスト教懐疑論者にしたんだよな。↓

 「・・・大戦前、ナチスドイツは同盟関係の日本にもユダヤ人迫害で同調するよう求めていた。日本は揺れたが、結局、人道と建国の精神に合致しないとしてユダヤ人を迫害せず、公正に扱う方針を打ち出した(1938年「猶太人(ゆだやじん)対策要綱」)。・・・
 若き日の小辻氏と明治学院のライシャワー教授(元駐日米大使の父)の対話<で、>十字架につけられたイエスは「神よ」と天を仰ぐ。ではキリスト教はイエスと神の二元論(dualism)ではないかと問う小辻氏に、教授は穏やかに答える。キリスト教は論理上は二元論で実践的には一神教なのだと。とても深い。・・・」
http://mainichi.jp/opinion/news/20131016k0000m070133000c.html

 BBCにやなせたかし追悼記事が。↓
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-24537379

 戦前の日本も戦後の日本も悪と考える韓国人はキチガイ。
 戦前の日本は悪だが戦後の日本は善だと考える豪州人はバカ。↓

 「「日本再武装への外交対応が不足」 与野党から不満噴出・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/15/2013101501511.html
 「豪外相、日本の集団的自衛権行使を支持・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/10/16/2013101600439.html

 最新の世論調査方式の調査の結果、イラク戦争では50万人近くが死んだということが分かった。↓

 New Study Estimates Nearly 500,000 Died in Iraq War・・・
 ・・・conducted in mid-2011・・・<concluded that> 405,000 deaths while adding another 55,800 estimated deaths from the migration and emigration due to the conflict. ・・・
 5年前の同様の調査では、約65万5千人ということだったので、下方修正された形だ。↓>
 The 2006 study estimated a death toll of about 655,000.・・・
 <うち、6割は「戦死」、4割は「戦病死」。↓>
 Researchers estimated about 60 percent of the deaths were violent and pointed to poor health infrastructure as the cause of the remaining 40 percent・・・
http://world.time.com/2013/10/15/new-study-estimates-nearly-500000-died-in-iraq-war/

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