太田述正コラム#6232(2013.5.27)
<中共の資本主義化の軌跡(その11)>(2013.9.11公開)

3 終わりに

 (1)改めて中共における法治主義について

 「新しい国家主席にして共産党主席たる習近平は、昨年12月、<立憲主義者>達の期待を膨らませた。
 彼が、憲法を「人民が自分達自身の諸権利を守るための法的武器」と描写する演説を行ったからだ。
 彼は、憲法に「生命と権威」を持たそうと思ったら、憲法は適用(apply)されなければならない、と<も>述べた。
 そして、3か月前、・・・国家主席に就任する直前に、習氏は、中共の最上位の共産党員達が集まったある会合で、「いかなる組織や個人も憲法や法の上に置かれるべきではない」と語った。・・・
 <ちなみに、中共の>憲法第5条には、「いかなる組織や個人も憲法や法の上に置かれる特権を享受してはならない」とある。・・・
 <しかし、>この会合以降、「物事は全くもって劇的な変化を遂げたように見える」、と北京大学の憲法専門家にして当地における立憲主義(constitutionalism)運動の指導者の一人である張千帆(Zhang Qianfan)<(注19)>は言う。

 (注19)経歴が面白い。1964年〜。1984年南京大学固体物理学士、1986年米カーネギーメロン大学物理学修士、1989年同大学物理学/生物物理学博士、1997年米テキサス大学オースティン校行政学修士、1999年同大学行政学博士、そして、南京大学法学部教授を経て北京大学法学院教授。
http://en.law.pku.edu.cn/Teacher/teacherView.asp?id=70&mid=20101114284566&menuid=20091124932688&menuname=Faculty
http://cmp.hku.hk/2008/05/26/1021/
http://www.hewiki.com/view/566786.htm

 新政権の下で、「当局は、立憲主義に背を向けることを決定したのであり、これは政治改革の挫折(premature end)を意味する(signify)、と彼は陰鬱に<述べた。>
http://www.csmonitor.com/World/Asia-Pacific/2013/0524/A-tussle-in-China-over-the-Communist-Party-bowing-to-the-Constitution?nav=87-frontpage-entryNineItem
(5月25日アクセス) 
 「<というのも、爾来、以下のような動きがあったからだ。>
 <まず第一に、>中共のソーシャルメディアに点火するとともに、共産党の幹部向けのオンラインニュースで広く推奨されることとなったところの、長文の論文の中で、人民大学の法学教授のヤン・シャオチン(Yang Xiaoqing)<(注20)>は、中共の諸問題に対する解答が立憲主義であると考える者達を攻撃した。・・・

 (注20)女性。1983年人民大学法学士、2005年同大学法学博士。マルクス主義法理学、国際法、法哲学専攻。
http://www.law.ruc.edu.cn/eng/ShowArticle.asp?ArticleID=20332

 ヤンは、「欧米の立憲主義は表見的には人民の自由と民主主義に関するもののように見えるかもしれないが、それは本質的には…大土地所有者達が統制しているところの、単なる独裁に他ならない」と論争を挑む。
 これら諸国における憲法は、「人民主権を標榜しているが、議会制民主主義の現実の機能は」、庶民(common folk)を搾取する者達による「完全な統制なのだ」と。
 マルクスと毛沢東、そしてその間の人物達から引用しつつ、ヤンは、欧米において享受されている水準まで中共の憲法<の地位>を高めようとしている者達は、現実には、中共を資本主義に向けて駆動させようとしているのであり、「国際諸力」にこの国を開放しよう・・軍を党から分離させ、人民から党を引き離そう・・としているのだ、と主張する。
 それは、よりよい憲法や改革のための主張ではなく、中共の国と社会主義に害を与える陰謀なのだ、とヤンは論争を挑む。」
http://blogs.wsj.com/chinarealtime/2013/05/23/return-of-ideological-attacks-threaten-reform-in-china/
(5月23日アクセス)

(続く)