太田述正コラム#6382(2013.8.11)
<皆さんとディスカッション(続x1987)>

<太田>(ツイッターより)

 「…麻生氏の…厳かな歴史問題を漫画のようにこっけいに考える…常識を超えた…その世界観には嫌悪感を覚える。…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/08/10/2013081000778.html
 お説ごもっとも。それにしても、「麻生氏」を「韓国人」に、直、置き換えられることに、この記者、気付いて欲しいんだけどなあ。

<べじたん>

 東京新聞に詳しく出てましたね。あとは、現役の外交官が外務省の見解ではない持論を通せるかってところでしょうか。
 それは100パー無理と、太田さんが思ってることも理解できますが。

 「小松氏は一九七二年に外務省入省。条約課長や国際法局長などを歴任した。二○一一年十月に「実践国際法」(信山社)を出版。外務省の見解ではないと断った上で、集団的自衛権に関する持論を展開した。
 著書で小松氏は強盗の例えを使用。警察官を待っていれば自分が殺される状況で強盗を傷付ければ傷害罪に当たる。ただ、ほかに自分の命を守る手段がない正当防衛だったと認められれば、違法性は問われない。このケースが、敵国に攻撃された場合に反撃できる個別的自衛権に当たると解説する。
 小松氏は、殺されそうな友人を助けるために強盗を攻撃する「他者のための正当防衛」を集団的自衛権になぞらえた上で「法制度としては常識的なもの」と主張。さらに、自警団に当たる多国籍軍なども頼りにならないと指摘し、集団的自衛権の意義を強調した。だが、実際は自国に都合が良いケースばかりではない。「友人」が国際社会の理解を十分得ずに他国を攻撃した場合、集団的自衛権を行使すれば、「共犯」として批判を浴びるのは確実だ。
 小松氏の見解が、日本政府の取ってきた「集団的自衛権は国際法上保有しているが、憲法上行使できない」との解釈と必ずしも一致しないのは明らか。人事交代で解釈変更を促す安倍首相の狙いが鮮明になった。」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013080802000161.html

<太田>

 小松が挙げている例は、「友人を助ける」場合ですよね。
 私なら、間違っても、「友人」なんて持ち出しません。
 これは、むしろ、集団的自衛権に関する外務省珍説を小松が堅持している証拠ですよ。
 (なお、小松が「外務省の見解ではないと断」っていることは、現役官僚が著書や論文を上梓する時の定型的なdisclaimerに過ぎません。
 付記すれば、小松は、駐仏大使として、外務省の一員であると同時に、政府の一員であったわでですが、仮に彼が退職して一民間人になっていた場合でも、彼の見解、すなわち外務省の見解、が政府(内閣法制局)の見解ではなかった、という一点をとっても、何らかのdisclaimerは必須だったでしょうね。)

もとより、小松が、この本で、集団的自衛権に関する国際的通説に拠ることを明記していれば話は別ですが・・。

<はま>

 「アマゾンは薄利多売の「徹底した顧客至上主義」(ジェフ・ベゾス最高経営責任者)。対して、中小商店の集合体とも言える楽天は、売り手側の収益にも配慮したうえで、買い手の利便性も追求する「共存共栄の経済圏」(三木谷浩史会長兼社長)を志向する。」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130317/its13031718000000-n1.htm
 こんなところにも利他主義と人間主義のせめぎ合いがありますね。

<太田>

 私のささやかな経験(コラム#6149)からしても、楽天が人間主義的経営をしているとは到底思えません。
 三木谷社長の言をそのまま紹介した産経の記者も記者だけど、それをあなたが人間主義的だと受け止められたことも、いかがなものでしょうか。
 どうも、毎回、辛口ですみません。

 産経と言えば、米国のチョー有名黒人女性のオプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)についての、こんな記事載っけてたな。↓

 「スイスに「黒人差別存在」 年収74億円、米セレブと知らず…店員「あなたには買えない」・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130811/erp13081109360001-n1.htm
 昨日、ボクはBBCでこの話読んでいた
http://www.bbc.co.uk/news/entertainment-arts-23626340
http://www.bbc.co.uk/news/entertainment-arts-23633768
けど、紹介する価値がないとボツにしてたんだな。
 強いて記事にするなら、ボクなら、怒ったオプラはオカシイって書くけどねえ。

<4fVu/NxM>

≫瞑想/座禅も試みてチョーダイ!≪(コラム#6380。太田)

 パニック障害とかにも効果あるんでしょうか?
 実は以前に一度試したんですが、瞑想中に強烈な発作が起きてしまい、1日で挫折してしまったんですけど、もし効果があるのなら、もう一度チャレンジしてみたいです。

<太田>

 パニック障害は「50〜65%に生涯のいつの時点かにうつ病が併存<する>・・・といわれている」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E9%9A%9C%E5%AE%B3
ところ、「鬱病や精神的外傷に罹っている人の場合は、瞑想は、不安感を増大させたり、過去の邪念や感情やイメージに苦しめられたりする。」(コラム#6376)ってんだから、止めといた方が無難かも。
 ただし、瞑想は鬱病に効く、って説もないわけじゃないけどね。
http://www.psychologytoday.com/blog/mindfulness-in-frantic-world/201110/curing-depression-mindfulness-meditation
 まてよ、と思って、パニック障害そのものと瞑想についてググってみたら、効くって言ってる人もいるみたい。
http://panicdisorder.about.com/od/livingwithpd/a/Mindfulness-Meditation-For-Panic-Disorder.htm
 ついでながら、ボクが双極性障害に瞑想/座禅が効くんじゃないかと思ってる理由は、双極性障害が、パニック障害みたいに「「脳機能障害」・・・ではなく・・・「心の病」」(ウィキペディア上掲)であることと、双極性障害に躁期があることとによる。
 だから、双極性障害の人は、躁期を選んで瞑想/座禅すりゃ、少なくとも問題は生じないんじゃないかって気がしてるわけだ。
 それにしても、日本の禅宗のお坊さん達は怠慢だね。
 何でこういった方面のことについて勉強し、精神障害で悩める衆生を救おうとしてないんだい?

<べじたん>

≫・・・マリリン・モンローは、1956年にプロテスタントのペンネコステ派からユダヤ教に改宗してるんだね。・・・そのいきさつ、誰か知らない?)≪(コラム#6378。太田)

 マリリンモンローの改宗とアーサーミラーとの結婚式に立ち会ったラビが、シンシナティのユダヤ系アメリカ人の公文書館的な所の代表に宛てた2つの手紙からの抜粋によると、原理主義者だった養父母が嫌い。
 だから、キリスト教が嫌い。
 負け犬と呼ばれていたマリリンモンローは、頭のいい人が好き。
 だから、アーサーミラーが好きだし、アインシュタインも好き、ユダヤ人みんな大好き。
 離婚はしたけど、ユダヤ教は捨てない。
 という感じでしょうか。

August 24, 1962
 ・・・[She] said that she had no religious training other than some memories of a Fundamentalist Protestantism which she had long rejected. She indicated that she was attracted to Judaism by being impressed with Jewish people that she knew, especially Mr. Miller. She said that she was aware of the great characters that the Jewish people had produced and that she had read selections from Albert Einstein’s Out Of My Later Years….She indicated that she was impressed by the rationalism of Judaism−its ethical and prophetic ideals and its concept of close family life.・・・
・・・After the divorce, Marilyn told me that she had no plans to renounce Judaism at any time. She said that it had nothing to do with the divorce and she remained on excellent terms with Arthur’s children and Arthur’s father….・・・

August 6, 1986
・・・No pressure was put on Marilyn to convert, by Arthur or me. She had negative feelings towards Christianity (her foster parents were rigid Fundamentalists) and positive feelings towards the Jewish people. She often identified with the “underdog” and at the same time had an enormous respect and admiration for intellectuals. She met Arthur while she was studying and acting in his plays as a student at the Actor’s Studio, and besides Arthur, her “hero” was Albert
Einstein…[who] represented for her the great scientist-humanist-Jew-Socialist-dissenter・・・
http://reformjudaismmag.org/Articles/index.cfm?id=1561

<太田>

 マリリンは、「美」の追求のみならず、「智」の追求にも貪欲だったというわけですな。
 そして3度の離婚歴やケネディ兄弟との間のものを含めた累次の不倫、と「性」の追求にもあけくれた、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%BC
とくれば、こりゃ煩悩の塊であり、自殺したのもむべなるかなです。
 その理由は、思うに、加齢に伴う「美」の滅失への恐怖、竹馬的「智」の愚かさの自覚、そしてこれらによる、「性」の更なる追求の展望の消滅に対する絶望感、でしょうね。
 可哀想に。
 当時、まだ米国じゃ、瞑想/座禅(によって煩悩が克服できること)がほとんど知られてなかったからなあ。

<TA>

≫<映画『許されざる者』の>主人公の最後のセリフ?何と言ったんでしたっけ?≪(コラム#6378。太田)
 
 「ネッド(主人公の友人)を埋葬しろ。娼婦を人間らしく扱え。さもないと皆殺しにするぞ。」です。画面配置は主人公を中央より左、中央より右のバックに星条旗という構図ですので、明らかに意図的に星条旗を画面に入れています。
 さて、再視聴したのですが、この星条旗の意味、結局よく分かりませんでした。初めは、イーストウッド演ずるウィリアム・マニー(極悪人→妻のおかげで改心→再び極悪人と、極端から極端へブレまくる)をアメリカになぞらえているのかと思いましたが、むしろ、主人公に殺された敵役の保安官リトル・ビル・ダゲットを、暗殺された二人の大統領と重ねる形で、連想させようとしているのでは、とも思いました。しかし改めて視聴してもこの映画、暴力の応酬ですね。

 ところで、この映画の舞台は1880年のワイオミング州なのですが、こんな背景があるのですね。↓

 「1869年、ワイオミング準州は女性に選挙権を与えた。アメリカ合衆国で最初に女性に選挙権を広げた州であることに加えて、政治の世界で女性に対する「初めて」の事項が多くある。1870年のララミーでは女性が初めて陪審員を務めた。同年、同じくララミーで最初の裁判所の女性廷吏が生まれ(メアリー・アトキンソン)、サウス・パス市では初の女性治安判事が生まれた(エスター・ホバート・モリス)。1924年には合衆国で初の女性知事ネリー・テイロー・ロスが選出され、1925年1月に就任した。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E5%B7%9E%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2

<太田>

 それで思ったんですが、(法執行機関が弱体であるが故に暴力性がストレートに顕示され、人口希少なるが故に黒人カウボーイが活躍し、とりわけ希少なるが故に女性がもてはやされた・・この映画の実質的主人公は実は売春婦達・・ところの、)映画の背景となった時代のワイオミングこそ、(イーストウッドが恐らく嫌悪し、私も嫌悪するに至ったところの、)米国的リベラルが生まれた場所だったのかもしれませんね。
 イーストウッドは、まさに、そのことを描きたかった、と考えられるんじゃないかってことです。


 本日朝、夢の中で支那人に対する日本兵の蛮行のメカニズムの説明がひらめいて、一時間早く目が覚めてしまった。
 コロンブスの卵とはちょっと違っていて、なんで今まで気付かなかったんだろう、オレはバカかって思ったね。
 次の週末あたりに予定している「日支戦争をどう見るか」シリーズ最終回で明らかにするけど、有料読者の諸氏はそれまで、そして、それ以外の読者はこの最終回の公開時まで、お待ちを。

 そういえば、こんな書評があったな。↓

 「・・・「法」の名のもとに行われたゲリラ殺害、一般兵士への処刑など・・・
 無謀な作戦を実行しても責任をとらない軍、その責任を末端の兵士に押しつけることに加担する法務官、「こうした事態を招くことを知りながらも司法と軍の一体化を許してしまった国の横暴」、このメカニズムははたして克服されたのか。敵前逃亡の名のもとに日本軍に殺害された日本兵・・・」
http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013080400008.html?ref=comtop_list
 例によって、書評だけじゃ、その本のことが殆んど分からないが、この本、みそもクソも一緒に議論してるようなカンジがするね。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 同じ世論調査結果の見出しが異なるのが面白い。↓

 「生活に満足感7割、過去2位の高さ…内閣府調査・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130810-OYT1T00735.htm?from=main2
 「収入に「満足」47%、96年以来の高水準 内閣府調査・・・」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1000K_Q3A810C1PE8000/?dg=1

 都八王子霊園にある両親の墓が遠くて、車を手放してから行けていない。(歩きだと、電車を2回乗換え、降りてからバスに更に乗り換えなきゃならないし、バスの本数も少ない。とにかく時間がかかる。駅からタクシーだと待たせておかなきゃならない。)
 だけど改装費用がこんなにかかるんなら、車買ってたまに(中央高速がすいている時に)墓参する方が合理的だし安上がりだな。↓

 「・・・改葬費用の相場は230万〜330万円・・・」
http://www.nikkei.com/money/features/36.aspx?g=DGXNZO5813155005082013EL1P00

 1921年5月に起こった、白人達による、オクラホマ州東部のタルサ(Tulsa)市
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B5_(%E3%82%AA%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%9B%E3%83%9E%E5%B7%9E)
における黒人居住地区大量略奪放火殺人事件の顛末が紹介されている。
http://www.theroot.com/print/74104
(8月9日アクセス)
 「日支戦争をどう見るか」で使おうかと思ってとってあったんだけど、こっちで使うことにした。
 とにかく、当時の米国の人種主義のひどさは、ちょっと形容のしようがないね。