太田述正コラム#6305(2013.7.3)
<皆さんとディスカッション(続x1949)>

<太田>(ツイッターより)

 ちょっと前のだが「英国で日本の「かわいい」文化が人気…」
http://j.people.com.cn/94638/94661/8298151.html
 もうちょっと前のだが「日本のアイドルランキング 中国女優・劉亦菲もランクイン…」
http://j.people.com.cn/206603/8253801.html
 センスが売れる日本、素材しか売れない中共…かね。

 「伊藤博文暗殺現場、案内板すらなし…」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/07/03/2013070301067.html …  そりゃ何でかを考えなくっちゃねえ、朝鮮日報の諸君。
 中共当局としちゃあ、ウィグル人やチベット人が習近平を殺すような行為を顕彰するワケにゃいかんのよ。

<Me8oKMTg>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 コラム#5315で、「人間主義は集団主義的ではあるものの、決して利他主義ではない」と定義があり、コラム#5323で釈迦の本生譚における捨身飼虎の説話を「自分の命を投げ出した利他主義の物語」とあったので、まとめると、仏教は利他主義だが、人間主義は利他主義とは違う集団主義、という意味になりませんか?

<太田>

 集団主義に「的」が付いていることに注意。
 人間主義は利己主義/自利主義でも利他主義でもない、と言ってるだけだよ。
 また、コラム#5323で書いたことは、あくまでも本生譚の中の捨身飼虎の説話についてだけについてであって、本生譚全体がそうだ、と言ってるわけじゃない。
 後でも述べるが、本生譚全体の基調は人間主義なんだよ。
 (なお、以下の3名は、この私の文章を読まずに投稿していることにご注意。)

<wyeifmcA>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 <Me8oKMTgクン、>仏教に限らず、宗教における聖人は、最高の道徳を体現した存在なので、そのエピソード等が、利他主義的要素が強いものになったり、超人的なものになったりするのは、珍しいことではない。

<3BLSWoEg>(同上)

 例えば戦場の兵隊さんなどが、国のため、身近な人のため、などの他者のために命をなげ捨てて自爆的な行動に出た例は、人類にとって長い戦いの歴史上ありふれていると言えるほど無数にあっただろうと想像できます(典拠ありませんが)から、利他主義的に命を捨てる行為は人の域を超えたような行為とまでは言えず、「超人的」は言い過ぎではないでしょうか。
 自ら命を捨てるくらいのことは日本でも毎年3万人も実行されていますし。

<eNPvX4Hk>(同上)

 「超人的」という言葉の解釈は、たいしたことではないのだが、虎のエピソードを戦争や自殺と比べるのはいくらなんでも、ナンセンスだとおもうんだが。
 要するに、虎の話は、「自分の命を投げ出した利他主義の物語」であると同時にこの世界では、生物はお互いが連環した存在なのだと、遠回しに言っている話だとも解釈できると思う。

<太田>

 eNPvX4Hkクンの最後の一文はなかなかエーじゃん。
 とにかく、ジャータカ(本生譚)
http://buddha-osie.com/tale/index.html
もまた、後で出てくる、「方便」・・ただし、弟子達による・・
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%AB
の一種さ。

 (「方便」って「ウソ」とは違うってことがよく分かるコラムがあった。
 人民網の日本ヨイショ記事、相当の決意をもって書いてることが想像できるコラムでもある。↓

 「日本人の「普通」が中国人の「劣等感」を刺激する・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130702/250508/?P=1 )

 ジャータカは、「方便」を駆使しつつ、全体として人間主義をススメてる、と思ったらいいだろう。
 個々の説話の字義を追うんじゃなく、個々の説話を貫く、全体としての精神を掴みとらにゃ。

<Ckk87GpG0>(「たった一人の反乱」より)

 <太田さんに>そもそも質問の趣旨が伝わっていないようなので、もう少し突っ込んで書きます。

「狩猟採集社会時代が人間主義社会であったのは科学的に明らかになってきており、その記憶・遺伝子・行動様式を持つ人類は、それらに戻り・還るという性向を、宿命的に備えている。」

 太田コラムではおなじみの、この『狩猟採集社会時代の記憶・遺伝子…』についての説ですが、実のところ、太田コラムの人類学・社会科学・宗教・芸術等に係る言説は、唯一、この説を根拠として成り立っていると言って過言ではありません。
 「人間主義」もこの説が前提になって成り立つ構造になっています。
 他の説も同様、下位構造的な枝葉末節に過ぎません。
 仏教・悟りは人間主義だと断言できてしまうのも、この『狩猟採集社会時代の記憶・遺伝子…』を、唯一無条件の大前提としているからこそできる断言なのです。
 太田コラムでよく出る、人間主義は科学的に証明され〜という言い回しは、この『狩猟採集社会時代の記憶・遺伝子…』についてのことを言っているのです。
 『狩猟採集社会時代の記憶・遺伝子…』を大前提としている限り、何についてもこの前提に沿った結論になってしまうのは必然と言っていいでしょう。
 つまり私が太田さんにお聞きしたいのは、太田さんの前提である『狩猟採集社会時代の記憶・遺伝子…』で仏教を解釈するのを「理解」することはできますが、阿含経典に書かれているような仏教の根本原理については、太田さんの『狩猟採集社会時代の記憶・遺伝子…』解釈とは明らかに違った内容である以上、それについての論理的反証くらいはしてください、ということです。
 お願いします、答えてください。

<太田>

 世話のやけるやっちゃ。
 キミの「質問の趣旨」はカンペキに伝わってるが、その質問、具体性に欠けているよって言ってるんだよ。
 案の定、キミ自身による質問の言い換え(詳細化)の中で、「狩猟採集時代」云々以外の大事なもう一つの柱が抜けてるぞ。
 私の立論のもう一つの重要な柱は、瞑想/座禅の効用の脳科学的説明・・人間主義的境地に至る・・だ。
 (「人間主義的境地に至る」という私(わたくし)的な読み替えが間違いだとはまさか言えないはずだ。もちろん、挑戦する自由はキミにあるけどね。
 なお、付随的な柱としては、欲望に関する脳科学的説明もあるぜ。)
 関連過去コラムを、誰か、探して、私にこれとこれだって教えて欲しいね。

 (なお、「紀元前500年頃に(広く年代幅をとれば紀元前800年頃から紀元前200年にかけて・・・、中国では諸子百家が活躍し、インドではウパニシャッド哲学や仏教、ジャイナ教が成立して、イランでは・・・ゾロアスター・・・が独自の世界観を説き、パレスティナではイザヤ、エレミヤなどの預言者があらわれ、ギリシャでは詩聖ホメーロスや三大哲学者(ソクラテス・プラトン・アリストテレス)らが輩出して、後世の諸哲学、諸宗教の源流となった」いわゆる枢軸の時代の出現について、ヤスパースはキリスト教的説明を試みた
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9E%A2%E8%BB%B8%E6%99%82%E4%BB%A3
が、確か、私は人間主義的説明を試みたよなあ。
 「枢軸の時代」でgoogle検索をかけた時に、人間主義的説明を試みる前のコラム#1204にたまたまでっくわしたが、ズバリのコラムを見っけた人は教えてくれたまえ。)

 さてと、釈迦の時代には人類学も脳科学もなかったんだから、簡素な生活をして瞑想に耽ることによって到達できる境地(悟り)を説明する言葉を釈迦は持ち合わせていなかった。
 だから、説明してくれと懇請された釈迦は、「悟り」を方便的に説明せざるを得なかった。
 優しい釈迦は、困惑しつつも、単に、不立文字、只管打坐なーんてだけ言って突き放したりはしなかった、と想像されるんだな。

 初期仏教等の「仏経典」に書かれてる、「悟り」に係ることが、釈迦本人が語ったことの痕跡が残っているものなのか、全面的に弟子達の創作なのか、定かじゃないが、大事なことは、それが誰のものであれ、「悟り」について語られ、書かれたものは、方便にすぎないってことだ。
 その上で、「経典」に書かれていることで、方便として読んでもどうしても私による人間主義的説明と相容れないくだりがあると言うんなら、キミの方でそのくだりと私による人間主義的説明の双方を引用した上で、具体的にこことここって指摘しなくっちゃダメじゃん。

<ykgcpaT.>(「たった一人の反乱(避難所)」より)

 朴大統領、日韓首脳会談の考えなし 「歴史認識で不満」韓国紙
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130702/kor13070214170001-n1.htm

 今からこんなに飛ばして大丈夫かいな朴大統領。
 支持率ガタ落ちした時に切るカードがなくなるぞ?

<太田>

 就任前後に支持率ガタ落ちだったのをここまで盛り返したんだから対国内世論的にはうまく立ち回ってんじゃないの。
 その上であっと驚く対日政策の転換、を期待せずに待とうじゃないか。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 日本人の人間主義に普遍性ありってことが改めて分かるね。↓

 「フランス人の知日派の男性画家が、日本神話を題材にした「絵本・日本神話」を出版した。・・・自然を大切にし協調を重んじる神話の精神を、次の世代に伝えたいという思いを込めている。・・・
 2011年の東日本大震災では人々が助け合う姿が世界中でたたえられ、「日本人の心には、神話の精神が残っている」と感じた。「自然に神が宿ると考え、協調を重んじる日本神話のスピリット(精神)は、宗派を超えて学ぶべきだ。・・・」・・・」
http://digital.asahi.com/articles/SEB201307020057.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_SEB201307020057

まだまだ米国の世界に対するにらみは効いていると見るべきか、みんな互いに脛に疵がある身なので(自国の諜報機関から造反者が出た時のことを考えて)慎重になってると見るべきか・・。↓


 「米政府による情報監視体制を暴露したエドワード・スノーデン容疑者(30)が2日、ロシアへの亡命申請を撤回した。・・・
 プーチン大統領は1日、亡命を認める条件として、同容疑者に米国の秘密情報の暴露を中止するよう求めた。同容疑者は大統領の発言に反発したものとみられる。・・・
 同容疑者はロシア以外にベネズエラやキューバなど約20か国に亡命申請や支援要請をした<が、>・・・亡命申請や支援要請が行われた国のうち、エクアドル、オーストリア、スペインなどは同日、「本人が国内不在のため、申請は受理できない」との見解を表明。インド、ポーランドは受け入れを拒否した。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130702-OYT1T01004.htm?from=ylist

 スティムソン米国務長官が、国務省の暗号解読部門を非紳士的であるとして閉鎖した挿話が紹介されてた。米国は極端と極端の間をゆれうごくbastard アングロサクソンなんじゃよ。↓

In 1929, U.S. Secretary of State Henry L. Stimson closed down the State Department's codebreaking department with a famously laconic justification: "Gentlemen do not read each others' mail."・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/07/02/gentlemen_calm_yourselves_european_spying?page=full

 エジプトでモルシ大統領に最後通牒を突きつけた、シシ国防相は、英米の軍学校で教育を受け、サウディアラビアと米国で駐在武官を務めた経歴の持ち主なんだね。↓
http://www.guardian.co.uk/world/2013/jul/02/general-abdel-fattah-sisi-profile

 ヒラリー・クリントンが行った、大学での卒業生総代スピーチの当意即妙さとスゴさを回顧したコラムだ。↓
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/history/2013/07/hillary_clinton_wesleyan_commencement_speech_robert_pinsky_on_the_politician.single.html

 EUの実態をしゃれのめした記事だ。
 英語が分かれば腹抱えて笑っちゃうこと請け合い。↓
http://www.foreignpolicy.com/articles/2013/07/02/the_idiot_s_guide_to_snooping_on_europe?page=full
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太田述正コラム#6306(2013.7.3)
<日本文明と中性文化>

→非公開