太田述正コラム#6054(2013.2.27)
<フォーリン・アフェアーズ抄(その20)/私の現在の事情(続x36)>(2013.6.14公開)

 「抑制的な大戦略・・・の具体策はどのようなものになるだろうか。
 第1に、同盟諸国が自国の防衛のための責任を果たすように、アメリカは同盟関係を見直す必要がある。NATOの場合は、簡単な措置で済む。米軍をNATOの指揮統制構造からはずして、この同盟をかつてそうだったように(ヨーロッパの国々によって構成される)主に政治的な組織へと変化させるのだ。その後、EUの監督下で軍事的指揮統制を維持するか、それともNATOを解体するかは、ヨーロッパが決めることだ。米欧双方が合意すれば、ヨーロッパに少数の海・空軍用の基地を米軍が確保することはできるが、ヨーロッパに駐留する米軍のほとんどは本国へと撤退させるべきだろう。」(27〜28)

→ロシアが直接的な軍事的脅威ではなくなった以上、欧州周辺の懸念国はイランくらいですが、最悪、仮にイランの核武装をイスラエルや米国が許したとしても、イランの核はイスラエルの核で相殺され、在来兵力は(NATOの加盟国ではあるけれどEU加盟を認められていない)トルコが防波堤となるので、欧州へ脅威を及ぼすようなことは、同国の経済力や人口に照らしても、見通しうる将来にかけて考えられません。
 ですから、米国が、在欧米軍を撤退させたり、NATOの指揮統制構造からはずれたり、或いは極端な話、NATOから脱退したりしたとしても、欧州諸国が現状以上の防衛努力を行う保証はありません。
 現状以上の防衛努力を行うか否かは、英仏両国が、自国ないし欧州防衛を超えるところの、米国が行っている、全球的安全保障に貢献するための防衛努力を引き続き行い続けるのか、かつまた、英仏以外の欧州諸国が初めてこれを行う気になるのか、そのいかんにかかっているのです。
 いずれにせよ、欧州諸国がそうしようとしまいと、すなわち、欧州諸国の防衛努力いかんにかかわらず、米国は、財政上の観点から、また、米国の国力の相対的低下をも踏まえ、一方的に、欧州駐留米軍を、その廃止、とまではいかなくても大幅削減、を含みに本国に撤退させるべきである、と私は思っているのです。(太田)

 「日本との安全保障条約はより厄介な問題を伴う。条約を解体すべきではないが、その内容を再交渉する必要がある。現在の安保条約では、アメリカは日本の防衛に派生する重荷の多くを引き受け、日本政府は米軍の活動を助けるとされている。この役割を入れ替えなければならない。つまり、日本が自国の防衛に派生する責務のほとんどを担い、ワシントンはこれをバックアップするという構図に置き換えるのだ。
 中国のパワーが拡大している以上、すべての米戦力を東アジア地域から撤退させるべきではない。しかし、ペンタゴンは、差し迫った軍事問題に対処するのに必要とされる戦力レベルへと部隊規模を削減すべきだろう。例えば、すべての米海兵隊は日本から撤退させることができるし、この場合、沖縄の基地問題をめぐる厄介な交渉を幕引きにできる。海軍と空軍の多くは日本とその周辺におけるプレゼンスを維持すべきだが、それでも一定の規模の戦力削減は必要だろう。
 その他のアジア地域では、将来の危機に備えて、地域諸国と協力して米軍のアクセスを確保しておくべきだが、永続的な基地の確保を望むべきではない。」(28)

→ポーゼンの東アジア政治軍事情勢についての疎さは疑う余地がありません。
 韓国・・これに台湾を加えた方がベターだが、必須ではない・・の安全さえ確保されておれば、日本防衛の必要性はない、ということが彼には分かっていないようです。
 韓国(と台湾)の安全を確保するためには、米軍が韓国や日本に駐留している必要こそない・・海兵隊はもとより、海軍と空軍も必要ない・・けれど、いざという場合に日本に緊急展開できるようにはしておく必要があります。
 すなわち、日米安保条約がなくなれば、このような米軍の緊急展開はできなくなるので、韓国(と台湾)の安全が確保できなくなってしまう・・軍事的にそうだということは、政治的に韓国(と台湾)が中共等に対して宥和政策をとらざるをえなくなることを意味する・・ので、日米安保条約を解体すべきではない、とポーゼンは説くべきだったのです。
 もちろん、韓国(と台湾)の防衛に関して日本が米国の肩代わりをすることができればそれでよいわけですが、そのためには日本が攻撃的能力と核を保有する必要が出て来るところ、そんなことは一朝一夕にできるものではありませんし、(台湾はともかく、)ひねくれ者の韓国が日本の軍事的支援の受け入れに対して首をタテに振らない可能性もゼロではない、ということも考慮しなければなりません。(太田)

 「<また、>米軍部隊を湾岸地域に駐留させる必要はない。・・・
 この新戦略では、地域紛争への軍事介入は自粛されるので、地上軍の規模は半分に削減できる。一方、海軍と空軍の戦力は3分の1か4分の1程度の削減に留めるべきだろう。その配備までに長期的な(投資と)時間がかかる海・空軍力を放棄するのは賢明ではないし、パワーバランスを維持していく上でも、海・空軍力は依然として重要だ。」(28〜29)

→湾岸地域についても、ポーゼンの結論はよしとして、その理由については言いたいことが多々あるけれど、省略します。
 私の見解は、様々な機会に述べてきているように、(日本の集団的自衛権解禁を前提に、)NATOを太平洋地区まで拡大し、日本をNATOに加盟させるよう米国は画策すべきであり、それと並行して、米国は、一方的に、欧州からも東アジアからも駐留米軍を(廃止、大幅縮小を含みに)撤退させるべきである、というものです。
 その結果、日本は防衛努力を(恐らく飛躍的に)強化する可能性が高いけれど、欧州諸国は、あい変わらず防衛努力の漸減を続けるだろう、とふんでいます。(太田)

(続く)
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--私の現在の事情(続x36)--

1 始めに

 昨日の午前10時15分、ようやくeTaxによる確定申告を済ませることができました。
 2日に着手して26日で、その間、まったく作業を行わなかったのは2日間だけですから、3週間以上もかかったことになります。
 これは、データの準備が不足していたこともあるのですが、基本的にITがらみのトラブルによる遅延でした。
 以下、その報告です。(末尾は、永久非公開です。)

2 eTax顛末記
 
 2日の夜、eTaxのホームページを今年初めて開いたのですが、最初に躓いたのは、電子証明(総務省所管)とeTax(財務省所管)のソフト2本のインストールをeTax画面で求められ、それを実行したところ、私が、片方のインストールが完全に終わらないうちにもう片方のインストールを始めてしまったらしく、どちらのインストールもできない状態になってしまったことによってです。
 片方のインストールを中断しようとしても、それができず、パソコンを終了させようとしてもそれもできず、一旦はパソコンの電源を落とそうかとまで思いつめたのですが、そのうち、突然片方のインストールが終了したかと思ったら、引き続いてもう片方のインストールも終了し、ことなきをえました。
 ここで前途多難の予感がしたのですが、その予感はただちに的中し、今度は住民基本台帳カードの認識をしてくれません。
 必死にエラー対処方法を画面から探し、一旦カードリーダーのドライバーと電子証明ソフトをアンインストールし、その上で、何度もドジを重ねながらも、後者、前者の順序で再インストールすることに最終的に成功し、ようやく住民基本台帳カードの認識に成功しました。
 ところが、今度は、eTaxを利用するためのパスワードが間違っている、という表示がなされてしまい、頭を抱えました。
 ちゃんと書き記してあったパスワード・・それを用いてこれまで毎年eTaxしてきた・・なのですから、間違っているはずはないのですが・・。
 ところが、その日は土曜日の上深夜でしたし、翌日は日曜日だったものですから、国税庁のサポートに電話できたのは4日の月曜日の午前中でした。
 電話に出た係員によれば、画面から申し込み、担当の税務署から新しいパスワードを送ってもらうしかないということでした。
 仮にパスワードが間違っていたとしても、画面上でパスワードを思い出したり、変更したりできるようになぜしていないのか、と尋ねたところ、今年から、できるようにしたけれど、遡っては適用できません、とのこと。
 仕方なく、パスワード再発行の手続きをしました。
 ようやくパスワードが郵送されてきたのは9日の土曜日でした。
 結局、4、5日は何もせず、7、8、9日は不備だったデータを整える作業をして過ごしました。
 9日の夜にeTax作業を再開し、新しいパスワードを入力したのですが、今度は、住民基本台帳カード上の電子証明書が無効になっていますというエラー表示が出るではありませんか。
 引越しした時に住民基本台帳カードの住所変更手続きを区役所の出張所でやっていたのに一体どうしたことかと首をひねったのですが、翌日は日曜日、翌々日は休日なので、どこにも問い合わせることができません。
 12日の午前中、再度、国税庁のサポートに電話したところ、引っ越しをすると電子証明書は無効になってしまうとのこと。
 大田区役所に問い合わせたところ、出張所では手続きができないというので、自転車で同区役所に駆けつけ、電子証明書の更新をやってもらいました。
 12、13、14、15、16と作業は順調に進んだのですが、今度は、17日の夜、不動産収支の所で、一部、どういう数字を入力したらよいのか分からなくなってしまいました。
 その日は日曜だけど、この日から、確定申告の期間が終わるまで、日曜日も税務署や国税庁のサポートは開いていることは聞かされていたものの、既に夜になっていたのでどうしようもありません。
 18日の午前中に国税庁のサポートに電話したところ、電話では詳しい説明ができないから担当の税務署に行って話を聞いてくれと言われたので、これまた急遽、確定申告会場・・担当税務署が狭いので、大田区の施設に臨時に会場を設けている・・に自転車で向かい、確定申告が既に始まっていた(初日)ので混んでいて、30分くらい待ってようやく相談に乗ってもらえました。
 というか、最初に対応した係員は、不動産収支の話だと私が言ったとたん、そういう方は青色申告がいいですよ、とまるですぐに青色申告ができるような口ぶりで言い、私を青色申告会の人の所に連れて行ったのです。
 分かったのは、来年の確定申告から、白色申告も記帳が必要になったので、青色申告と手間が違わなくなったことから、特典がいくつかある青色申告に切り替えた方がよいということです。
 (その際、青色申告会に入会することをお勧めする、とも言われました。)
 それはよいのですが、この会場に足を運んだ目的を達成していない・・大体からして、税務署と青色申告会の癒着だ!・・ので、改めて別の係員に相談しました。
 その結果分かったことは、賃貸に出した(けれどまだ賃借人が決まっていない)マンションも、前から賃貸に出しているワンルームマンションも、私が財産分与を受けた部分については、それぞれ新たに取得した不動産として、別個に不動産収支に計上しなければならない、ということです。
 それぞれの取得額は、離婚裁判の判決に掲げられた価額がよいのではないか、また、減価償却のベースとなる建物価額は、建物に係る固定資産税額と土地に係る固定資産税額の比率から算定するのがよいのではないか、ということでした。
 (ワンルームでない方の)マンションは、昔、賃貸に出していたこともあるところ、その間の毎年の償却額は変えて計算しなければならない、とも。
 これだけでも想像がつくと思いますが、データを改めて確認しつつ、これらの計算を行うのはかなり大変であり、不動産収支だけに取り組んだわけではありませんが、それから8日間を要して、ようやく昨日、午前中にeTaxによるオンライン確定申告が完了したわけです。
 完了直前にも、最終的な一波乱がありました。
 収支内訳書は表示され、印刷できたのに、総表(申告内容確認票)等が表示できず、従って印刷もできず慌てた・・別にこれらが申告そのものに必要なワケではありませんが・・のですが、再び、必死にエラー対処方法を画面から探し、コントロールパネル内のインターネットの所を指示通りにいじくりまわし、ようやく問題が解決しました。

3 感想

 総務省と財務省(国税庁)で、それぞれ個人認証するしくみは、改めておかしいと思いました。
 早く国民総背番号制を導入して、個人認証を一本化して欲しいものです。
 このことでシステムが複雑化している面はあるものの、それにしても、eTaxを行う際のトラブルが多すぎました。
 セキュリティに最大限配意しつつ個人認証を厳格に行わなければならない点では同じでも、インターネットバンキングでこんなトラブルが起きたことはまずありません。
 国税庁がシステム構築にカネを十分かけていないのか、セキュリティを重視し過ぎてシステム構築を基本的に部内でやっているのか、原因は分かりませんが、何とかして欲しいものです。
 とまれ、財産分与や転居もあり、昨年かなり時間をかけて行ったデータ整理と今年2月に入ってからのeTaxをめぐる苦労を考えれば、全く引き合わないけれど、全部合わせてもスズメの涙ほどの、源泉徴収された税金が全額返戻されることになり、また、来年からの確定申告の前提となるデータも整理でき、それなりの達成感があります。
 (蛇足ながら、計算上300万円を超える負の所得となったため、(説明するのに舌を噛む部分のあるところの、)弁護士費用やピアノ修理費などまで経費に計上する必要はありませんでした。
 昨年、こうなることを見越して青色申告に切り替えておれば、この赤字の繰り越しができたのに、と悔やむことしきりです。)

 <以下、永久非公開。>


(続く)