太田述正コラム#6095(2013.3.20)
<皆さんとディスカッション(続x1844)>

<太田>(ツイッターより)

 「日本のマスク着用定着に学ぶ…」
http://j.people.com.cn/94475/8174605.html
 毎度お馴染みのの日本ヨイショ記事だ。
 ただし、最後あたりの「現在、大気汚染が日本でも深刻化している」だけど、手抜きすることなく、「現在、中国による大気汚染が…」と書かなくっちゃダメじゃん。

<太田>(Mixiより)

 (<昨日、その>前夜に引き続き、)『サハラ』を鑑賞した。ウィキペディアで調べようと思ったが、同名の映画が、1943年、1983年、2005年と3本あり・・私が見たのは1983年・・しかも、この中で最もあたらなかった映画らしく、つきとめるのに大変苦労をした。
 徹底的に原住民をおちょくった、冒険3級映画で、唯一の取柄はブルック・シールズを拝めること。

<薬の理屈の追究者>

 いつも活発な話題で、力づけられ、楽しませてもらい、お世話になっています。・・・

≫ヒポクレチンという脳化学物質が幸福感と関わっているらしいってさ。≪(コラム#6093。太田)

 <の「ヒポクレチン」についてですが、>現在テキサス大学の柳沢正史教授と桜井先生(現京大)が発見したオレキシンと同じ脳ペプチドで、日本人としてはこの命名を用いたい<ところです>。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%B3

≫ヒポクレチンは、(過剰だと)睡眠発作や脱力発作を引き起こす。≪(同上)

 この物質は、注意力を高め、覚醒的に働きます。
 ですので、・・・<「オレキシ>ンは、(不足、作用低下だと)睡眠発作や脱力発作を引き起こす。<」とすべきです。>

→ウー、逆だったかあ。(太田)

 また、>

<≫また、(その過少は、)報酬を求める行動を促し、また、薬物を求める行動も促す。≪(同上)>

 <については、「また、<(同じく不足、作用低下だと)報酬を求める行動を促し、また、薬物を求める行動も促す。」とすべきでしょう。
 <なお、>

≫実際、(ヒポクレチン不足が原因であるところの)睡眠発作患者には薬物中毒者が少ない。≪(同上)

 <についてですが、オレキシ>ン受容体拮抗薬は新たな作用機序をもつ睡眠薬として開発中です。
 この記事によれば、薬物依存症の治療薬の可能性があることになります。

 「幸福な状況であり、怒るべき状況であり」とそれぞれに気付くには意識のレベルが高くあることが求められると考えていますので、「幸福と怒りと睡眠と中毒には」それぞれ、本来覚醒効果を持つ物質(オレキシン)の働きがあると考えるべきでしょう。
 また、基になっている論文(DOI: 10.1038/ncomms2461)では、脳内メラニン凝集ホルモン(MCH)のレベル変動と反対の動きを示していて、MCHも何らかの関与あると考えるべきでしょう。
 それ以外にも、ド<ー>パミン、エンドルフィン、GABAなどが依存性の神経機構に関連してます。

 神経活動はやはり複雑に絡み合っていますので、一種類の分子や細胞活動だけで説明するのは困難が伴いがちですね。

<太田>

 土地勘の乏しい分野で意訳を試みるのはアブナイ限りだ、直訳にとどめるべきだ、と改めて痛感させられました。
 補足的説明もしていただき、ありがとうございました。
 「DARPAの研究の中に、メタボリック・ドミナンスと呼ばれる「兵士が最高レベルの体調を持続しながら作戦遂行する」ためのプロジェクトがあり、この中でオレキシンをスプレー化したものを吸入することで睡眠の代わりとして使用する研究が行われている。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AC%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%B3(上掲)
という話は、さすがDARPAと言うべきか、呆れると言うべきか。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 何度でも繰り返したいが、なんでこういう国を国連から追放しないのかね。
 更に付け加えれば、なんでこういう国と国交を結んでる諸国は国交を断絶しないのかね。↓

 「北朝鮮、東欧駐在の大使館職員に麻販売を指示・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/03/20/2013032000560.html

 前にも触れたが、シリアの反体制派地区がどんどんイスラム法(シャリア)地区になりつつあるとさ。↓

 ・・・ the Syrian revolution has strayed from its roots as a largely spontaneous uprising against four decades of Assad family rule. After mutating last year into a full-scale war, it is moving toward what appears to be an organized effort to institute Islamic law in areas that have fallen under rebel control.・・・
 <その中心は、米国によってテロリスト組織に指定されているアルカーイダ系団体。↓>
 Numerous Islamist groups are involved, representing a wide spectrum of views. But, increasingly, the dominant role is falling to Jabhat al-Nusra, also known as the al-Nusra Front. The group has been designated a terrorist organization by the United States for suspected ties to al-Qaeda but is widely respected by many ordinary Syrians for its battlefield prowess and the assistance it has provided to needy civilians.・・・
 <窃盗犯の手を切り落とすといった極度に厳しい刑は、戦争中だからというので執行されていないが、鞭打ち刑、パイプ管打ち刑は行われている。↓>
 The codes applied are “derived from the Islamic religion,” the spokesman said, but the most extreme Islamic punishments, such as cutting off the hands of thieves, are not imposed because Islamic law requires that they be suspended during war.
 Instead, he said, sentences of five to 40 lashes for offenses such as drug abuse, adultery and theft are handed down, so that wrongdoers can return to their families, which otherwise might be deprived of wage earners if they were kept in prison. “It is not a big punishment, and we don’t use heavy pipes — they are small pipes・・・
 <この団体は、選挙は反イスラムであるとしている。↓>
 Jabhat al-Nusra has denounced elections as anti-Islamic・・・
 With President Bashar al-Assad showing no sign that he is prepared to give way, the Islamists gaining ground in the areas he no longer controls and Western countries still refusing to arm more-moderate battalions, “Jabhat al-Nusra will grow stronger and stronger,”・・・
 <「穏健な」反体制派は、アサド政権打倒までの辛抱だと言っているがどうなることやら。(この団体は、戦闘の中心となっているし、人心収攬術にも長けている。)↓>
 “Their ideology comes from outside Syria, and, unfortunately, it is the same ideology they tried to apply in Afghanistan and Iraq. They failed there, and now they are trying here,”・・・
http://www.washingtonpost.com/world/middle_east/islamic-law-comes-to-rebel-held-syria/2013/03/19/b310532e-90af-11e2-bdea-e32ad90da239_story.html

 ロシアのプーチン政権は、本気で、このところの米国政府は狂ってると信じてるらしい。アラブの春やリビアや(現在は)シリアでイスラム主義者達とつるんでる、と。↓

 ・・・Everything that’s happened since -- including flirting with Islamists during the Arab Spring, U.S. policies in Libya and its current policies in Syria -- serve as evidence of strategic insanity that has taken over the last remaining superpower.
 <だから、同政権は、シリアへの欧米の介入に徹底して反対している。それは、独裁者支持でも商業的利益のためでもなく、タルタスのロシア海軍基地維持のためでもない。「民主主義」普及は、地域の、ひいてはロシアの安定性を決定的に損ねると思ってるからだって。↓>
 Russia’s persistence on the Syrian issue is the product of this perception. The issue is not sympathy for Syria’s dictator, nor commercial interests, nor naval bases in Tartus. Moscow is certain that if continued crushing of secular authoritarian regimes is allowed because America and the West support “democracy,” it will lead to such destabilization that will overwhelm all, including Russia. It’s therefore necessary for Russia to resist, especially as the West and the United States themselves experience increasing doubts.・・・
http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2013/03/19/russian-analyst-moscow-believes-washington-is-gripped-by-strategic-insanity/?print=1
 
 ヨルダンのアブドラ国王が言いたい放題。
 だけど、面白い。↓

 <イスラム同朋会は羊の皮を着たオオカミであり、我々にとって最大の敵だ。↓>
 ・・・ the Brotherhood is run by “wolves in sheep’s clothing” and wants to impose its retrograde vision of society and its anti-Western politics on the Muslim Middle East. This, he said, is “our major fight.”・・・
 <トルコのエルドガン首相は、民主主義なんてバスみたいなもんだと自分に語ったことがある。目的地に着いたら下車すればいい、と。↓>
  “Erdogan once said that democracy for him is a bus ride.‘Once I get to my stop, I’m getting off.’”・・・
http://www.washingtonpost.com/blogs/worldviews/wp/2013/03/19/10-people-institutions-and-countries-insulted-by-jordans-king-abdullah-in-the-atlantic/

 マルクスの言動は、19世紀という時代に照らして、しかも原語(ドイツ語)で理解されなければならないってさ。↓

 <資本主義にせよ、ブルジョワにせよ、現在の意味とは全く違ってた、と。↓>
 ・・・Keeping Marx’s life in the 19th century is vital,・・・because what Marx meant by “capitalism “ in his famous “The Communist Manifesto” is different from what we think of as the capitalism of 2013. Nor did Marx’s conception of the bourgeoisie equate to today’s group of global capitalists・・・
 “Unfortunately, the common practice of citing Marx’s words in standard translations that do not always do justice to the original context of his writings has frequently obscured their meanings," ・・・.・・・
http://www.csmonitor.com/Books/Book-Reviews/2013/0319/Karl-Marx-A-Nineteenth-Century-Life?nav=95-csm_category-leadStory
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iPhone5弥次喜多道中だ。

 一昨夜、寝付かれない予感がして、初めて「睡眠アプリ」を利用し、画面の一番最初に掲げられてた「あられ」の音をオンにしてみたが、眠れない苛つき感こそ生じなかったけど、全く睡眠効果はなかった。
 そこで、いつも通り、鼻中の粘膜が腫れてきたので、備え付の抗アレルギー薬を服用し、いつも通り、すぐ爆睡した。

 iOS 6.1.3にアップグレードした。
http://japan.cnet.com/news/service/35029728/?tag=as.latest

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一人題名のない音楽会です。
 本日は休日・・ウチのすぐそばの桜並木(という道路名)の桜が7分咲きで昨夜街路等に照らされてるを眺めるだけでも素晴らしかった・・なので、前倒しでお送りします。

 既に何度か彼、登場したことがありますが、ディミトリー・ホロストフスキー(Dmitry Hvorostovsky。1962年〜)(コラム#3827、3981、4927、5751(「満州の丘に立ちて」を歌っている))の特集の第一回目をお送りしましょう。

 ちなみに、彼は、ロシアのクラスノヤルスク出身のバリトン・オペラ歌手で、1987年のグリンカ・コンクール、1988年のトゥールーズ国際声楽コンクール、1989年のBBCカーディフ国際声楽コンクールで優勝しています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%9F%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC

 それでは、5番目及び最後の曲以外は、我々には殆んど知られていない曲ですが、一挙に12曲をどうぞ。
 (映像と音がズレているのが惜しい!)

1. I go out to the street alone, Shashin, poem: Lermontov,
2. Along the street there's a little blizzard, Barlamov, folk-song,
3. Iakovlev: Elegy,
4. Ah, you, little soul, folk-song,
5. Korobeiniki(コロベイニキ(=行商人)), poem of Nekrasov, folk-song, (注)

(注)行商人と少女が商品の値段・・実は恋・・を巡って掛け合いを行う民謡。日本ではかねてから良く知られているが、世界に普及したのは、任天堂が1989年にTVゲームの「テトリス」の一つのバージョンの中で用いてからだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Korobeiniki
 その結果、この曲は、何と、「テトリス」ないし「テトリスのテーマ曲」というタイトルで通用するに至っている↓。これは、(恐らく)自分で作ったピアノ変奏曲。↓
http://www.youtube.com/watch?v=0Z_LNgzc-e0
 私にとっては、日本に帰国後、小学校でフォークダンスの時に何度か用いられた曲として忘れがたい。生まれて初めて女性と手をつなぐことができて、小さな心をときめかせたもんだ。

6. There's not an only little path on the field, folk-song,
7. Not ordered to Masha (Mary) to go to the little river, folk-song,
8. Date (or Meeting), Bulakov, poem of Grekov.
9. Oh, if only I could put it in words, Malashkin, poem: Lishin,
10. Single-stringly clangs the little bell, Gurilev, poem: Makarov,
11. Carman, don't bucket the horses, Feldman, poem: Richter,
12. Black Eyes, gipsy song (黒い瞳:コラム#3841、3985、5739)(注)
http://www.youtube.com/watch?v=DT9LHPahM9A

(注)「「黒い瞳」は初め1843年1月17日に・・・に詩として発表された。作者はウクライナの作家、詩人のイェウヘーン・フレビーンカ・・・である。フレビーンカはポルタヴァ州の貴族の出身・・・。・・・この詩が最初に歌曲として発表されたのは、1884年3月7日のことだった。これはフレビーンカの詩をC・ゲルデリがフローリアン・ゲルマン作曲のワルツ「Hommage」(オマージュ)にあてはめたものである。ゲルマンはロシア化したドイツ人であり、この有名なロシアのジプシー歌謡は実際には、ウクライナ人とドイツ生まれのロシア人によって作られたことになる。この歌を世界的に有名にしたのは、バス歌手のフョードル・シャリアピンである。シャリアピンはこの歌に自ら詩を書き足してレパートリーに加え、革命後の1922年に出国して事実上の亡命者となってからは世界各地の公演で披露した。これにより「黒い瞳」は、世界で最も有名なロシアの歌の一つとなったのである。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E3%81%84%E7%9E%B3

(続く)
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太田述正コラム#6096(2013.3.20)
<映画評論37:ゼロ・ダーク・サーティ(その6)>

→非公開