太田述正コラム#5801(2012.10.24)
<皆さんとディスカッション(続x1701)>

<太田>(ツイッターより)

 今回は外交問題だったから当然だけど、オバマが3回目の討論でもロムニーに圧勝。
http://www.guardian.co.uk/world/2012/oct/23/third-presidential-debate-obama-wins?intcmp=122
 これでなおかつ、本選でオバマが負けるようなことがあれば、米国民は世界の物笑いの種となり、米国のぶざま、かつ急速な相対的衰退が決定的となることだろうね。

<WbKYJYmw0>(「たった一人の反乱」より)

 「APECで胡錦濤(フー・チンタオ)主席と「立ち話」し、「大局的観点から対応する」と答えたわずか2日後、野田首相は尖閣の国有化に踏み切った。これでは、任期最後で有終の美を飾ろうとしていた胡のメンツは丸つぶれだ。それどころか、領土をむざむざ失った売国奴として共産党の歴史に名を残しかねない。怒りにわれを忘れた胡が政府機関に「日本に目にものを見せろ!」と指示したとしてもおかしくない。」
http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2012/10/post-574.php

 これが、中国がキレてる原因として、一番説得力がある理由のように感じる。

<太田>

 かなり前に日経BPで田原総一郎が同じようなことを言っていたが、ナンセンスだな。
 野田首相が東京都による尖閣所有や、悪くすると尖閣が競売に付されて右翼や中共系が落札する危険性を回避しようとしたのは明らかであり、そんなことが分からないような中共当局であるはずがないからだ。
 また、中共サイドから聞こえてくるところの、野田首相と石原都知事との間の談合説も噴飯ものだ。
 とにかく、支那人の阿Q性(非人間主義性)、当局が実施してきた、反日教育、貧富の格差拡大政策、が背景としてあったところに、このところの中共の景気減速があり、当局が日本政府の対応に「キレ」たと称して、ガス抜きのために反日行動を煽った、(その結果悪化した日中関係に当局が苦慮している、)ということ以上でも以下でもないさ。
 このボクの指摘を、それぞれ部分的に裏付ける記事を2本紹介しておこう。

 「・・・中国では抗日ドラマが量産されている。昨年は確認されただけでも12シリーズ、計396回が新たに制作された。23日に全国放送される各地のテレビ局40局のうち、半数以上の21局が抗日戦争もののドラマを放映している。・・・
  豊かな沿海部の住民と比べ、義務教育も十分に受けられない内陸部の農村では、こうした政府の愛国教育や抗日ドラマの思想に染まる若者が圧倒的に多い。さらに当局が反日デモの暴徒を制止しようとすると、「愛国無罪」と叫んで抵抗する姿も各地で見られた。・・・
 〈愛国主義教育〉 中国で江沢民国家主席時代の1990年代、当局が強化した教育重点事項。小中学校で愛国を題材にした映画や歌、本それぞれ100作品を推薦することが決まり、毎学期に数回は抗日や革命を題材にした映画上映会も開かれるようになった。全国に約350カ所ある抗日記念館などの愛国教育基地を見学することも定められた。・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210230772.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201210230772
 「中国景気に「反日」のツケ 不買の代償、縮む生産・・・
 中国では日系企業約2万5千社が納税し、取引先を含む雇用創出は1千万人に達すると柯氏はみる。
 欧州危機で海外からの中国への直接投資額は1〜9月に前年同期比3.8%減と低迷するが、日本からは17.0%増と勢いを保っていた。だが、15日に広東省広州市で始まった貿易見本市「中国輸出入商品交易会(広州交易会)」では、開幕4日目までに日本のバイヤーが前年比35%減った。・・・
 日本企業製の部材のボイコットも呼びかけられているが、実現は難しい。・・・
 日系企業製品のボイコットを続ければ中国の消費、生産、輸出、投資のあらゆる経済活動が縮小に向かう。9月の日本から中国への輸出は前年同月比14%の減少。大きな落ち込みではあるが、同じように領土を巡って対立するフィリピンの8月の対中輸出の42%減ほど深刻ではない。
 中国側が景気を意識し、まだ日本に対しては節度をもって対応している姿が見て取れる。・・・」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2201S_S2A021C1FF1000/?dg=1

<pTsWMcjr0>(「たった一人の反乱」より)

≫だから、自民党の政権復帰を回避することは至上命題なのであり、野田首相が支持率低下のデススパイラルから脱することができないのであれば、セカンドベストを追求せざるをえない、ということさ。≪(コラム#5799。太田)

 なるほど。
 ただ、細野豪志に変わったからって支持率回復するとも思えないけど・・・。

<太田>

 内閣改造をやっただけで支持率が若干は回復するし、首相が代われば(当然内閣改造が伴うが)もっと回復する。
 だから、解散直前に首相を変えれば、それなりの効果はあるさ。
 

 それでは、その他の記事の紹介です。

 ホント、外務省は解体的出直しが必要だ。↓

 「日韓文書判決―裁かれた外務省の体質・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210230786.html?ref=comkiji_txt_end

 宗主国の知識人に教え諭してもらう属国民の恥ずかしさよ。
 もっとも、移民の積極的受け入れより人口減少を選ぶ、過半の属国民にはこんな説教も馬耳東風だろうが・・。↓

 「・・・もし日本が原子力発電をやめるのであれば、・・・
 当面は天然ガスに大きく依存するしかないが、日本は輸入しなければならないので、日本国内のエネルギーコストは他の先進国と比べて、2倍から4倍にもなってしまう。それは日本の産業の競争力に跳ね返る。日本はすでに最もエネルギー効率に優れた国だからこれ以上、上げることは難しい。結局、日本経済は減速することになる・・・
 世界各国に対して、核の安全を説くことができるのは、自ら原子力の運用を行っている国だけだ・・・
 世界で展開する商業用原子炉メーカー4グループに、日本の3社が入っているからだ。日本は商業用原子力エネルギー分野で世界の一大強国だ。しかし、原子力発電をやめてしまえば、その地位を失うことになる」
 「もしそうなると、これから原発が新たに建設されるのは主に、中国、インド、ペルシャ湾岸諸国、ロシアになる。しかしいずれも拡散防止を先頭に立って推進する国ではない。不拡散は、米欧日が主導してきたものだ。3極体制が崩れると、不拡散の目的を必ずしも共有しない国々がより大きな影響力を持つことになる。それは日本にとっても好ましいことではない。世界は今より大きな危険にさらされることになる・・・」
http://digital.asahi.com/articles/TKY201210230573.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201210230573

 なんだ、結局、共同が正しく、産経が誤報(コラム#5797)だったのか。
 こんな誤報をとりつくろう記事を出すなんて、産経も見苦しい。
 そもそも、軍事的には意味のない、こんな政治的な共同訓練を、防衛省で一体誰が企画したのかが問題だな。↓

 「日米合同の離島奪還訓練 「別の島」検討も断念・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121024/plc12102407030009-n1.htm

 どうして、こんな重大ニュースを電子版で報じる日本の主要メディアが一社だけなんだよ?↓

 「男女格差、日本は101位 主要国で最低評価続く・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012102401000828.html

 米海軍、2年後にはレーザー兵器搭載?
 ドローンが落とせるということは、ミサイルだって落とせるってことだろ。
 ということは・・。↓

 U.S. Navy Will Have Active Lasers Within Two Years・・・
 Laser weapons have reportedly been used to take down drones in tests.・・・
http://www.slate.com/blogs/trending/2012/10/23/u_s_navy_lasers_directed_energy_coming_to_ships_within_two_years.html

 オバマとロムニーの討論で、たまたまボクもインターネットで生中継を聴いてた箇所で出てきた、オバマのジョーク的発言、「<ロムニーの言うように1916年当時に比べて艦艇の数が減ってきただけじゃなく、>戦争の様相の変化に応じて、馬も銃剣も減ってきた」に係る記事がたくさん出ていた。↓

 米兵が行った最後の銃剣突撃は1951年、しかし、英兵のは2011年。↓
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/explainer/2012/10/obama_says_military_has_fewer_horses_and_bayonets_does_the_u_s_military.html
 2001年、米特殊戦部隊ががアフガニスタンで馬に乗ってタリバンを攻撃。
 なお、銃剣の在庫数は、米陸軍に関しては、1916年当時より現在の方が多いはず。↓
http://blog.foreignpolicy.com/posts/2012/10/23/does_the_military_still_have_horses_and_bayonets

 肝心の討論自体についてだが、当選の鍵となる州の有権者向けのテーマに終始した、ということのようだ。

 ・・・The debate over Iran and Israel was really about Jewish voters in Florida, while the debate over China was really about jobs in Ohio and the Midwest・・・
 <また、全般的には外交問題ならぬ経済問題の討論になってしまった部分が少なからずあったけれど、これも米国の有権者の関心に沿ったものだってワケ。↓>
 For each question, the two candidates came back to the economic situation of the country, proof that this is the electorate’s main preoccupation.・・・
 <欧州、中南米、地球温暖化はスルー。(もちろん日本もスルー。)↓>
 Obama won this debate. World lost. Apart from 5 mins on China, it was all Middle East. Where was LatAm, Europe, climate?
http://www.nytimes.com/2012/10/24/world/debates-omissions-highlight-skewed-world-view.html?ref=world&_r=0&pagewanted=print
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太田述正コラム#5802(2012.10.24)
<赤露の東欧支配(その5)>

→非公開