太田述正コラム#5617(2012.7.24)
<皆さんとディスカッション(続x1612)>

<太田>(ツイッターより)

 アサドがどちらもスンニ派たるイラクのアルカーイダ系とバース党系の米軍攻撃の根拠地をシリア内に設置→米軍のイラク退去→彼らが攻撃の矛先をアサドに向けた。
 今や、イラクでの彼らの活動も再び活発化し、イラクのスンニ派地区は分離に向け動き出している。
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-16275674

 英国における65歳時点での職業別平均寿命表が載ってた。
http://www.bbc.co.uk/news/magazine-18952037 
 「高度な」職業ないし高収入の職業に従事してた人ほど余世が長いということ。

<DRmQuAeb0>(「たった一人の反乱」より)

http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-506.html

↑ちょっと面白かったんで

<太田>

 マジ、反応も含めて面白かったー。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 東電等が信用できない時に、首相が、土地勘があったこともあり、慎重な姿勢を示すのは当たり前だろ。↓

 「・・・ 事故対応の最高指揮官だった菅氏は事故の最小化を実現できないどころか、原子力災害対策法に定められた原子力緊急事態宣言の発出を「技術的事項」(報告書)の細かい説明を求めて遅らせ、避難指示の遅滞を招いた。被災者が受けた種々の損害は計り知れない。
 2月の政府事故調会合では、スウェーデン保健福祉庁のホルム長官もこう菅氏らの対応を批判していた。
 「トップがすべてを判断することはリスクが高い。首相が判断を間違えても誰も進言できない」
 にもかかわらず、菅氏は今ものうのうと民主党の新エネルギー政策担当最高顧問を続けている。11日の自身のブログでは全く反省も示さず、こう堂々と自身を免責しているのである。
 「事故原因の大半は2011年3月11日以前にある。これが私の結論だ」
 また、当時の官房長官であり、「直ちに(放射線の)影響はない」などと「緊急時の広報として避けるべき」(報告書)発表を繰り返して国民を混乱させた枝野幸男氏はどうか。現在、ちゃっかり原子力行政を統括する経済産業相に就いている。
 菅氏の補佐官として、東電の全面撤退といった「都市伝説」を流布してきた細野豪志氏もなぜか原発事故担当相に収まっている。菅官邸の首脳陣は誰も何の責任も取っていない。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120723/plc12072321340027-n1.htm
 3月11日夕、東電から原子炉冷却ができなくなったと通報を受けた海江田経済産業相は官邸で菅氏と会い、法に基づく原子力緊急事態宣言を出すよう求めた。ところが、菅氏は各号機の出力や燃料溶融の可能性など、技術的な質問を連発。宣言の発令まで約1時間20分を要し、初動が遅れた。
 12日午後、1号機の建屋が爆発で吹き飛んだ。冷却のため海水注入の準備が進む中、菅氏は海水注入による再臨界を懸念し、技術的検討を指示。すでに注水を始めていた現場の吉田昌郎(まさお)前所長がテレビ会議で注水中断を指示するふりをするという一幕もあった。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120724-OYT1T00277.htm?from=main1

 朝鮮日報による、助言だと受け止めなくっちゃね。↓

 「米国議会の下院が「下院121号決議」と呼ばれる決議を採択した2007年7月30日は、・・・第2次世界大戦当時の「性的奴隷(慰安婦)」に対する日本政府の謝罪を求めている。・・・
 日本の政治家たちが犯したある決定的な失策が、同決議案の推進を加速化させる結果となった。07年6月14日、国会議員45人を含む日本のオピニオンリーダー63人が米紙「ワシントン・ポスト」に掲載した「事実(The Facts)」と題する意見広告で「軍の慰安婦(comfort women)募集に強制はなかった」と主張したのだ。これは、在米韓国人団体が同紙に掲載した広告「慰安婦に対する真実(Truth)」に反論するものだった。日本側はまた、米国が1945年に日本に進駐した後「慰安所(comfort station)」の設置を日本側に要請したとも主張した。
 これを機に、米国国内で逆風が吹き始めた。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/07/23/2012072301144.html

 米国における銃乱射事件の犯人達が使用する小銃や拳銃の大部分が欧州製なのに、欧州での論調が米国の銃規制の緩やかさへの批判一色である偽善性を批判したコラムだ。
 それにしても、米国の製造業の没落はここまで来てたのか!↓
http://www.washingtonpost.com/opinions/charles-lane-europes-role-in-us-gun-culture/2012/07/23/gJQAS8lI5W_print.html

 シリアでの一般住民虐殺事件は、反体制派の仕組んだものだったようだね。↓

 ・・・the Houla Massacre・・・on the afternoon of May 25・・・ 700 members of the Free Syrian Army (FSA) had come to Houla from various towns to kill families that had converted to the Alawite or Shiite faiths and had not joined the rebellion.・・・
http://www.spiegel.de/international/world/a-look-back-at-the-houla-massacre-in-syria-a-845854.html

<太田>

 ドラッカー(1909〜2005年)はもう亡くなっている
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC
のに、なんで論考が出てるのかと思ったら、1998年の論考(コラム#5615)
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/200910/Drucker.htm
だったのですね。
 この論考、確か、当時かなり話題になったのではないでしょうか。
 私は読まなかったように思いますが・・。

 「・・・アメリカを例外とするすべての主要な先進諸国では、支配的なエリートがいなければ、政治的安定も社会秩序も望み得ないとされ、これは自明のことと考えられている。・・・

→米国の異常性の指摘その1です。(太田)

 フランスとドイツの支配エリートとは、それぞれ軍人、役人だった。・・・
 1945年に大統領に就任して、ドゴールが最初に手をつけた仕事は、新たな官僚制を導入して新時代のエリートをつくりあげることだった。彼はこのために、競合する官僚制の破片をひとまとめにして中央集権的制度をつくり、政府や経済の要職のすべてを官僚の支配下に置き、財政監督官に全権を与え、さらに、新たなエリート校、つまり国立行政学院の卒業生という新たな信用基準をつくりあげた。実際、この40年にわたって国立行政学院は、すべての財政監督官を含む、フランス社会、政治、ビジネス部門の指導者のほぼすべてを輩出してきた。・・・

→ここは面白いですね。(太田)

 アデナウアー・・・はナチスによって二度にわたって投獄された経験を持つが、イギリスやアメリカからの強い圧力があったにもかかわらず、官僚制を非ナチス化の対象から外し、ナチスが廃止した官僚に与えられた雇用保障と特権を復活させ、地方の政治家による干渉からの大きな自由も与えた。こうしてアデナウアーはドイツの官僚エリートたちにそれまでにない高い地位を与え、彼らが皇帝(カイゼル)やワイマール共和国の時代のように、軍部の後塵を拝することもなかった。・・・
 日本で官僚という支配エリートに代わる存在が出現する気配は、今のところない。(実際には、1930年代の軍事政権は、概して言えば将軍政治が再現されたようなもので、こうみると歴史のほとんどを通じて日本を支配してきたのは軍事的独裁制なのだが)この歴史的な支配エリートだった軍部も今では社会的にまったく支持されていない。・・・

→ドラッカーの日本の歴史の知識はおぼつかないものがありますね。1930年代に「軍事政権」なんてなかったんですから・・。(太田)

 アメリカ人は、国家安全保障が脅かされぬ限り、政治決定において最優先されるのは経済だとみている。一方、日本人は(これは官僚に限ったことではない)、社会<的安定>を最優先に考える。
 ここでもアメリカは例外であり、日本のほうが国際的な規範に近い。・・・

→米国の異常性の指摘その2です。(太田)

 アメリカにおいてさえ、経済が公共生活や政策の優先課題とされるようになったのは最近になってからで、その時期を第二次世界大戦前まで遡ることはできない。それ以前はアメリカも社会を第一に考えていた。大恐慌にもかかわらず、ニューディールは経済復興よりも、社会改革をはるかに重視し、アメリカの選挙民はこれを大いに支持したものだ。

→ここも面白いですね。(太田)

 しかし日本に特有なことではないとはいえ、おそらくフランスを例外とすれば、社会を最優先にすることは、その他のほとんどの先進諸国以上に日本では重要である。・・・」
→この箇所も含め、このドラッカー論考の最大の誤りは、昭和に入ってから、元老/藩閥勢力がいなくなり、(新興勢力たる政治家/資本家が「支配エリート」としての信任を得られなかったこともあり、)民意によって日本の「支配エリート」が官僚(軍事官僚を含む)へと代わったところ、戦後は、形の上ではそれが維持された(但し、軍事官僚がいなくなった)けれど、実際には「支配エリート」の座には宗主国の米国が就いて現在に至っている、ということをドラッカーが自覚していない点にあります。
 すなわち、(ここでは引用しませんでしたが、)ドラッカーは、官僚が、戦後おおむね(例えば農村対策や零細流通機構対策などについて、)何もしなかったと言うけれども、それは当たり前であり、宗主国の米国が指示しなかった事柄については官僚は何もしなかった・・より正確には、利益誘導を旨としていた政治家の意向に沿った無為を決め込んだ・・ということなのです。
 なお、1980年代のバブル期において、官僚は例外的に積極的に政策(赤字財政政策)を追求した、とドラッカーは指摘していますが、これも、官僚が、景気停滞の時には赤字財政を、という戦後的常識を(政治家の意向に沿って)無為のまま踏襲したに過ぎない、と見るべきでしょう。(太田)


 全く別件ですが、アジア・タイムスと以下のようなやりとりを行ったので、転載しておきます。

Dear editor,

The essay below
http://www.atimes.com/atimes/China/NG24Dj02.html

contains a primitive but serious error.
I am speaking of the following passage.

'The correct Chinese term for philosophy, zhexue<(哲學)>, is a late 19th-century import from Japan, where it is pronounced tetsugakusha.'

Japanese word created during the early Meiji era using chinese characters to depict the western word 'phylosophy' was 'tetsugaku(哲學)', not 'tetsugakusha(哲學者)', which means 'phylosopher'.

The writer's such ignorance on Japanese (and Chinese for that matter) or should I say carelessness, casts serious doubt on the authenticity of the whole contents of this essay, considering what this writer is talking about.

At least, Asian Times' editing staff should have corrected such an error before uploading this essay.

Sincerely yours,

Nobumasa Ohta
 [アジア・タイムスからの回答]
 
 Thank you for drawing this to our attention - unfortunately our Japanese "eye" was not available to check this piece of copy. Your comment has been passed on to the writer.
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<FUKO:翻訳>

コラム#5615より:

 日本銀行の白川方明総裁は先週、第一四半期において、経済を4.7%成長させたところの、堅調な国内需要の背景となっている5つの要因のうちの1つとして、円高を引き合いに出した。・・・
 ・・・全GDPの約60%を占める家計支出は、円高が日本の消費者の購買力を増大させることから、円高により後押しされたひとつの領域であった。
 日本の大部分の原発停止に伴う石油とガスの輸入に日本は非常に頼っているので、製造業者は高いエネルギー価格によるあおりを受けているが、円高は日本の製造業者にとっての生産コストをも下げる。・・・
 ・・・貿易黒字時代に比べ、円高は経済にとってより多くのメリットを有している可能性もある。・・・

・・・エジプトでナセルとともに始まったこと、もしくはアタテュルクとともにトルコで始まったこと、これはアサドとともに終わるだろう。
 つまり、カルトのように指導者中心的なナショナリズムの名において地域的・民族的な違いを抑圧する体制が終わるだろう。・・・

 122か国の34%の女性が非活動的であるのに対して、男性では28%である。
 世界的に、大人の31.1%は身体的に非活動的であるとランク付けされる。非活動的の定義は、1週間に5日適度な活動が30分に満たない、もしくは20分間の精力的な活動が1週間のうち3回に満たない、である。・・・

<太田>

 8−5+2−5+3−0=3ポイントですね。
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太田述正コラム#5618(2012.7.24)
<米国と黙示録的思想(その2)>

→非公開