太田述正コラム#5591(2012.7.11)
<皆さんとディスカッション(続x1599)>

<太田>(ツイッターより)

 「日本 美脚女性グループ「モデルガールズ」…」
http://j.people.com.cn/94689/94693/7869372.html
 日本の主要メディア等の電子版に載らないこの手の話題までちゃんと拾い上げる人民網に敬礼!

 「モデルの失敗の瞬間の映像…」
http://j.people.com.cn/94638/94659/7870547.html
 ハイヒールは現代の纏足である!

<TA>

 ・・・この記事はご存知でしょうか。↓

 「国家公務員の管理職以上の天下りは10年度に462人で、政権交代前の08年度(1236人)の約4割に減少していたことが7日、総務省の調査で分かった。鳩山政権が09年に閣議決定した天下りのあっせん禁止、独立行政法人役員への公募制導入が一定の効果を上げた形だ。・・・」
http://mainichi.jp/select/news/20120608k0000m010121000c.html

 ↑の件も含め、非公式FAQやコラム上で、太田さんが評価する民主党政権による功績(政権交代の成果)を列挙してみてはどうでしょうか。
 最近の集団的自衛権に関することや武器輸出緩和、「動的積極防衛」構想(コラム#4439)など、特に安全保障(軍事)に関しては、意外なことに、目を見張る成果を出していると言えるのではないでしょうか。これらを基にする太田さんの民主党への評価は、世間一般及び「右」と太田さんの主張の違いを際立たせる、実に興味深いものになるのでは、と想像します。
 次の総選挙は最も遅くても一年後です。民主党の執政(失政?)を総括するのに、決して早すぎるということはないと考えます。

<太田>

 私は、天下り問題、より広くは公務員制度問題への民主党政権の取り組みは、野田政権によるものも含め、全く評価していません。
 ただし、野田政権に関しては、あえて先送りすることで、税と社会保障の一体改革、TPP、地方分権、「独立」、等を、官僚機構の協力を得て実現したいからだ、と考えています。
 それにしても、(天下り問題等を除いて、)ほぼ私の予想通りに政権交代の成果があがっていることはうれしい限りです。
 なお、野田マジックにはまだ後があるように見受けられるところ、「民主党の執政」を総括するはもう少し様子を見てからでもよいのではないでしょうか。
 

 それでは、その他の記事の紹介です。

 「玄葉光一郎外相は10日の参院予算委員会で、クリントン米国務長官が戦前・戦中の慰安婦について「性的奴隷」と表現するよう部下に指示したとする韓国紙報道について、「仮にそういうことがあれば、最も効果的な方法で『違いますよ』と申し上げることになる」と述べた。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120710/plc12071013350017-n1.htm

 上掲玄葉答弁に対し、(自ら研究するか、研究書を典拠にすることを心掛けないから、)こういうアホなことを言う輩が出てくる。↓

 「・・・慰安所は動く「赤線」に過ぎなかったのだという人もいます。 
 赤線とは1958年の公娼廃止令まで存在した半ば公認の売春地帯です。そこで働く「娼婦」=売春婦たちは、多額の前借り金で親などから買われてきた少女たちです。女性たちはこの前借り金で拘束され、逃げようとすれば暴力で死ぬほどの目に遭わされる。人身売買で取引され、金と暴力で監禁されたまさに性的奴隷が赤線の娼婦たちなのです。
 まして、慰安所については
1、日本政府が慰安所開設にあたり指示、関与している。
2、この慰安所施設が日本軍人専用の施設であったこと。
にも争いはありません。・・・
 彼女らは自由意思で売られたわけではもちろんなく、軍が関与していようがいまいが、人身売買で慰安所に連れてこられたのです。そしてセックスを拒絶する自由はありません。これを否定する人もほとんどいません。
 また、彼女らが自由に「慰安婦」を辞めたり、慰安所を出たりする現在のホステスさんのような自由な存在だったという人もほとんどいません。・・・」
 日本国内の赤線の公娼でさえ、法的に言えば強制的な性的奴隷です。ましてや、「従軍慰安婦」の方々が、強制的な性的奴隷であることは反論の余地がないのです。・・・」
http://blogos.com/article/42848/

 だけど、「赤線の公娼」が「法的に言えば強制的な性的奴隷」ではなかったことは疑う余地がない。↓

 「・・・明治初期に芸娼妓解放令が発布され、裁判所も、早い時期から、売春婦として働かせる契約は公序良俗に反して無効であるとしていました。
 しかし、娘の親が前借金をすること自体は、民法上認められた消費貸借契約ですから、当初裁判所は、芸娼妓契約のうち前借金の部分は有効であり、親は借金を返済する義務があるとしていました。前借金も公序良俗に反して無効という判断がなされるのは、昭和30年の最高裁判決を待たねばなりませんでした。・・・」
http://blog.livedoor.jp/yamehan_bengoshi/archives/4756254.html

 また、慰安婦は当時の公娼と変わりはない、という研究書(下掲)を米国の女性人類学者(サンフランシスコ州立大学教授)が2009年に出してるよ。

 「・・・THE COMFORT WOMEN: Sexual Violence and Postcolonial Memory in Korea and Japan, by C. Sarah Soh. Chicago: University of Chicago Press, 2009・・・」
http://www.japantimes.co.jp/text/fb20090510a1.html
 彼女自身が書いたコラムである、上掲と下掲参照。
http://www.jpri.org/publications/workingpapers/wp77.html

 しかし、何で、恐らくは朝鮮系と思われる米国人学者にこんな本を書かせるんだよ。
 秦郁彦さんだって、国内で声をあげてるヒマがあったら、英語で本件に関する学術書を出版すべく努力して欲しかったね。(何も自分で書く必要はない。)

 より根本的なことだけど、売春について、日本文明とその他の文明との間には大きな違いがあるように思うね。
 こういう問題意識を、「慰安婦=性的奴隷」観に立っている人々に抱かせるのは至難の業だろうが・・。

 「・・・売春という職業が成り立つためには、貨幣経済の浸透と家父長制や嫁取り婚が成立していないといけない。ヨーロッパではギリシャ以降になる。・・・

→「貨幣経済の浸透」は必要条件じゃないんじゃないの?(太田)

 フランスの社会史学派、アナール学派の研究によれば、売春は逆にキリスト教によって誕生したと論じている。本来、男女は対等であったが、キリスト教の「弱者である女性は、保護を行う男性の支配を受けなければならない」という教義から家父長制が強力になり、支配される性としての女性が誕生した、という考えである。・・・

→むしろ、キリスト教によって買春が悪とみなされるようになったと考えるべきだろう。(太田)

 日本において売春が成立するのは、中世後期の室町期以降である。平安時代に至っても、さらには鎌倉期においても、妻問婚がメインであり、貨幣経済と男性優位の家父長制や嫁取婚はいまだ浸透していなかった。平安時代と同じく母方の父が優位という執権政治の形態が続いていたことからも明らかである。座や町衆などによる市の支配の確立と、惣領制や嫁取婚が成立するまでは、広がりを見せない。・・・遊郭などではいまだ女性の「神」性視が行われ、遊郭は非日常の空間であり、世俗の法律が通用しなかった。・・・」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%B2%E6%98%A5

→日本において買春が成立したのは世界で一番遅いのかもしれない。
 縄文的な母系社会/妻問婚の世界では、女性が多数の男性に対して、重畳的に性的関係を結び、それぞれから何らかの対価を得るなんて日常的だったから、売春などという商売は成立しなかった、と考えられるからだ。
 しかも、女性は「神」扱いだった・・「おかみさん」という言葉を思え・・。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1317765208
 遊郭は、カプセル化された疑似的母系社会/妻問婚・・縄文・・の世界であったということではなかろうか。
 だから、上級売春婦たる遊郭の太夫/花魁達が浮世絵のスターたりえた。
 (「花魁を揚げるには様々なしきたりが存在していた。」のは、それが客との疑似結婚だったからだろう。)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E9%AD%81
 この系譜上に、現在の日本における世界に冠たるAV女優が位置付けられる、というのが私の見方だ。
 だから、慰安婦だってそれなりに軍人達の「尊敬」を受けていたんじゃないかと思うんだけどね。↓(太田)

 「・・・兵士から見れば慰安婦は血なまぐさい戦場で、身近の唯一の女性であり、恋愛を含めた心の交流があったと話す場合が多い・・・北ビルマのミートキーナーの慰安所においては、日本の軍人からの求婚が極めて多く、中には実際に結婚したものがいる・・・」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%85%B0%E5%AE%89%E5%A9%A6

 「・・・中華民国は上海租界の公娼廃止に向かっていて、租界の中で日本領事館は表向きは料理店における“酌婦”という名目で公娼制度を維持していた。1932年の上海事変の際に駐屯する日本軍が増えたため、海軍によって、貸座敷(売春施設)を軍専用とする形で設置された「海軍慰安所」というものが慰安所の始まりと言われ、陸軍もこれを参考にしたと言われている。・・・」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%85%B0%E5%AE%89%E6%89%80

→中国国民党政権が公娼廃止を目指したというのは、恐らくはキリスト教宣教師達の影響だろう。慰安所は、そしてまた慰安婦問題は、日本文明とその他文明との衝突から生まれた、と言ってもいいかもしれないね。(太田)

 そうだ、その通りだ。↓

 「・・・「世界ではどんどん原発が拡散しようとしているなかで、『一国からの脱原発』は不可能」と語るモーリー・ロバートソン氏・・・1963年生まれ、米ニューヨーク出身。父はアメリカ人、母は日本人。東京大学、イェール大学、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学などに現役合格したが、東大を3ヵ月で中退、ハーバード大学へ。88年、同大卒・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/6745050/

 よく見てるね。↓

 「・・・中国人<は>・・・長期に渡って嘘をつくことが習慣化している・・・キリスト教国の人々はどこか嘘を負担に感じていて、死ぬ間際に回顧録などで洗いざらい暴露したりする。しかし中国人は墓の中まで嘘を持ってゆく。なぜなら、祖先の不利益は子孫に波及する。あの世の自分たちを祀り救ってくれるのは、子孫であり天上の神ではないのだから、子孫を守るためにも嘘は死んでもつき通す。誠実を通せば相手も誠実に対応してくれるという性善説で生きて来た日本人と、嘘もつき通せば真実という過酷な社会の中国人が同じ場所で仕事をし、暮らせば、確かに軋轢が起きる。信用ならない、という気持ちも出てくる。・・・
 <また、>日本人は互いが遠慮して衝突を避け、その間にできる暗黙の緩衝地帯をはさんだ人間関係を構築する。だが中国人は緩衝地帯などお構いなく、衝突するまで相手の利益に食い込んでいく。相手が一歩譲れば、二歩進み、反撃されてやっと進撃を止めるのが中国式の交渉であり、政治であり、人間関係だ。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120709/234288/?mlp&rt=nocnt

 ハーフであるロバートソンにしても、女性である福島香織 にしてもハーフや女性が日本におけるマージナルな存在であるからこそ、先入観なく物事の本質を掴み、自由闊達に発言できるのだろうね。

 ようやく迷える子羊も目覚めたようだな。↓

 「大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長は・・・野田首相の政権運営について「集団的自衛権の議論やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加表明など、当初言っていたことを着実に進めている」と評価。その上で「首相の考え方に近い自民党の中堅・若手もいっぱいいると思う。このまま進めば、新しいグループができて、ものすごく支持率上がる」との観測を示した。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120710/stt12071014070007-n1.htm
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太田述正コラム#5592(2012.7.11)
<戦前の衆議院(その1)>

→非公開