太田述正コラム#5566(2012.6.29)
<皆さんとディスカッション(続x1588)>

<太田>(ツイッターより)

 失業状態で、かつみんなから白眼視されているIMFの前専務理事のドミニク・ストロス=カーンが、20年連れ添った大金持ちの妻・・雑誌編集者の仕事を始めた・・から離縁され、約1か月前、自宅から叩き出されたとさ。
http://www.guardian.co.uk/world/2012/jun/29/dominique-strauss-kahn-anne-sinclair
 むしろ一年間もよくもったな。

<太田>

 今まで報道されなかったのはなぜだ?↓

 「・・・世田谷の小沢邸の敷地内には、小沢名義の母屋のほかに和子夫人名義の建物が2つあり、和子さんは母屋に住まず、3人の男の子どものうち次男とここで別居していた。3人の子どもは今回、和子さん側についているという。
この和子さん名義の不動産に対し、小沢氏は自分の政治団体「陸山会」などが借り上げるという名目で、毎月344万円の家賃を払ってきた。・・・」
http://news.livedoor.com/article/detail/6706355/

<べじたん>(2012.6.28)

 「そもそも、マンデラの伝記の映画化の話は、製作総指揮を務めるモーガン・フリーマンからイーストウッドに持ちかけられた話」というのは、その通りのようです。

 「――この映画では、プロデューサーも兼任しています。企画をクリント・イーストウッド監督に持ち込んだのも、あなたですよね?
イーストウッドを説得するのは簡単でしたか?

 「僕は、説得というものをやらないんだよ。僕じゃなく、脚本自体が彼に売り込んだんだ。僕は、クリントに『脚本を送ったら、読んでくれますか?』と聞いた。彼がイエスというので送ると、彼はやりたいと言ってくれた。それは僕にとって、非常にうれしいことだった。もし彼がやりたくないと言えば、やりたいという別の人に行くだけだよ。それだけのことだ」」
http://eiga.com/movie/54387/interview/2/

≫それが事実だとすると、重要な話をはしょっている、英語ウィキペディアの方にも問題がある、ということになりそうですね。≪(コラム#5564。太田)

 「――しかし、実際にスクリーンでマンデラを演じるまでには、ずいぶん時間がかかりました。その理由は何だったのでしょうか?

 「僕が最初に出るはずだったのは彼の自伝本の映画化。だが、あれを脚本にするのはとても難しかった。多くの自伝は、15年、あるいは20年ものスパンで物語を語る。あの本もそうだった。だが『インビクタス』は3、4年の短い期間の話だ。それにこの話は、至近距離からマンデラを見る。彼がどんなふうに仕事をするのかを、間近にたっぷりと見ることができる。物語そのものも身近で、誰にでもわかる。僕にとってもクリントにとっても、パーフェクトな素材だった」」

と書かれてましたので事実なのでしょう。

≫「製作総指揮 モーガン・フリーマン、ティム・ムーア、ゲイリー・バーバー、ロジャー・バーンボーム」ですよ。<(べじたん)>
 本当かなあ。
 英語ウィキペディアには、そんな記述はありませんよ。<(太田)>≪(コラム#5564)

「Produced by
Gary Barber .... executive producer
Roger Birnbaum .... executive producer
Clint Eastwood .... producer
Morgan Freeman .... executive producer
Genevieve Hofmeyr .... supervising producer: South Africa
Robert Lorenz .... producer
Lori McCreary .... producer
Tim Moore .... executive producer
Mace Neufeld .... producer 」
http://www.imdb.com/title/tt1057500/fullcredits

≫そもそも、制作と制作総指揮ってどう違うんです?≪(コラム#5564。太田)

 「そもそもかつてはお金を持っていた人(それが例え会社の金であっても)がプロデューサーになっていたのであるが、今は製作プロダクションが映画会社やら局やら代理店から製作を請負う形が主流のスタイルなり、映画のクレジットにもプロデューサーを表すものとして、製作総指揮(エグゼクティブプロデューサー)、製作統括、製作、プロデューサー、ラインプロデューサー、アソシエートプロデューサーなどが表記されている。これらの役割上のカテゴライズは不可能に近い。ただ大きくは、製作現場の実行部隊としての言ってみればブルーカラーのプロデューサーと資金を出してその商品価値を形づくるホワイトカラーのプロデューサーに分かれると考えるとわかりやすい。映画だと前者をプロデューサー、後者をエグゼクティブプロデューサーとか製作総指揮とクレジットすることが多い。」
http://www.openeyes.jp/html/ura_producer_towa.html

 「まず製作だが、これはプロデューサーと呼ばれることが多く、制作予算の管理をし、キャストやスタッフなど人の管理をし、と映画製作の全てを仕切っている。とはいえ、実際に撮影や美術、衣装等は手がけず、出資者のように遠巻きに見ているのとも違う、いわば現場に最も近い、実務をこなさないスタッフのことである。

 製作総指揮は、そういった製作(プロデューサー)の面々をまとめる人のことで、便宜上、エグゼクティブ・プロデューサーと呼ばれていたりする。もちろん、何にでも口出しできる立場で、一番偉い。誰よりも偉い。事実、監督なんて目じゃないのである。・・・そういった形以外にも、リメイク権や映画化権を所有している人物は、制作に全くノータッチでも製作総指揮の名でクレジットされるのが一般的で、本編を見て、こうなっちゃったの!?
 なんてビックリすることもあるそうだ。さらに、電話でアドバイスをした程度ならマシなほう、何もしてないのに製作総指揮の欄に名前を貸す場合もある。これは、スティーヴン・スピルバーグやフランシス・フォード・コッポラといった巨匠に多く、要は大人の事情。つまり、彼らの名前があれば、観客は面白い作品に違いないと勝手に期待し、結果は目に見えて違ったものになるからだ。

 まとめてみると、キャストより監督、監督より製作、製作より製作総指揮が偉いといった形にはなるのだが、実は、その裏側はいろいろと複雑なのである。」
http://www.hollywood-ch.com/trend/09060104.html

≫いや、もちろん、フリーマンが制作総指揮陣の一人だったというは本当なのかもしれません。だとすると、ひょっとして、この英語ウィキペディアは黒人差別主義者が書いている?≪(同上)

 単に、日本語ウィキペディアは製作総指揮を独立して書くテンプレートなのに対して、英語ウィキペディアではExecutiveを書くかどうかはお任せというテンプレートなのでしょう。

(Executiveも書いている例: http://en.wikipedia.org/wiki/Back_to_the_Future

<べじたん>(2012.6.29)

http://movies.jp.msn.com/features/insidestory/article.aspx?cp-documentid=3582392≪(コラム#5564)

 削除されたようですね。
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:TmAwSsNfMbkJ:movies.jp.msn.com/features/insidestory/article.aspx%3Fcp-documentid%3D3582392+http://movies.jp.msn.com/features/insidestory/article.aspx%3Fcp-documentid%3D3582392

≫(Executiveも書いている例: http://en.wikipedia.org/wiki/Back_to_the_Future )≪(同上)

 (Only the main producers should be listed in the info box, also copyedit in the lead section)という理由で、ここ数時間中にExecutiveを削除したようです。
http://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Back_to_the_Future&diff=499807239&oldid=499739116

<太田>

 ご苦労様です。

 英語ウィキペディアは、制作総指揮陣にあげられている人は当該映画のPR目的等に使われているに過ぎないケースが多いので、統一方針として、言及するのを禁じているのではないでしょうか。
 また、『インビクタス』でフリーマンが制作総指揮者の一人にあげられているとすれば、それはフリーマンのマンデラとの関係をプレイアップすることでこの映画のPR効果とフリーマン自身のPRを狙ったもの・・厳しい言い方をすれば、この映画におけるフリーマンは、映画『マンデラの名もなき看守』(及びその原作)におけるグレゴリー(コラム#5476以下(未公開))を彷彿とさせる・・であるように思いますねえ。
 すなわち、この映画に関する日本語ウィキペディアはどちらかと言えば間違っていて、英語ウィキペディアはどちらかと言えば正しい、という気がしますねえ。
 (そもそも、『インビクタス』に関する英語ウィキペディアが間違っていたり不正確であったりすれば、全世界の『インビクタス』ファン、そしてそれよかイーストウッドの熱烈なファン、そして何よりもマンデラの熱狂的なファンが黙っちゃいないでしょう。)


 それでは、その他の記事の紹介です。

 羨望の念をもって、朝鮮日報が日本の核能力小特集を組んでいる。↓

 「日本が核武装するかどうかは国内外の状況に基づく「政治的決断」の問題であり、核兵器の製造に技術的な壁はない、というのが専門家たちの見解だ。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/28/2012062801098.html
 「国際社会で日本が「潜在的核保有国」に分類されるのは、核保有国以外で唯一、核兵器に転用可能なプルトニウムを抽出、保管しているからだ。・・・」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/28/2012062801094.html
 「日本政府が、福島第一原子力発電所の事故を機に中断していたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX燃料)加工工場の追加工事を26日に認可した。日本国内では原発事故を機に原発廃止論が拡大しているが、日本政府は世論とは反対に、核兵器に転用可能なプルトニウムの関連施設を廃止しないという意志を示したものと解釈されている。
  日本政府はこれに先立ち22日、原子力基本法に「国家安全保障」という条項を追加した。この変更をめぐり、国内外では「日本は長期的に核武装へと進む道を開いたのではないか」という疑惑や非難が噴出した。・・・
  毎日新聞は、原子力基本法への安全保障条項の新設をめぐり「原発が廃止されれば六ケ所村の再処理施設が存在する根拠がなくなるが、原子力基本法の改正により、原発の存廃に関係なく、軍事用の核物質を生産できる六ケ所村の再処理施設を存続させる根拠が整った」と分析した。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/28/2012062801092.html
 「・・・原子力業界は「『もんじゅ』や六ケ所村の再処理工場を廃止する場合、放射性物質の処理費用だけで19兆円が掛かる」として、施設の維持を既成事実化している。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/06/28/2012062801095.html

 ハワイ沖で定期的に実施されるリムパック共同演習の多国籍与国部隊の副司令官を海上自衛隊の海将補が初めて務めることになった。↓

 ・・・The RIMPAC 2012 war games are the largest naval training exercise in years, with ships, planes and troops from 22 countries, including Japan. The forces will conduct anti-submarine, missile-defense, live-fire, counter-piracy and other drills over vast stretches of the Pacific through early August.
 For the first time, non-US officers will command major components of the fleet. A Japanese rear admiral, Fumiyuki Kitagawa, has been named vice commander of the Combined Task Force. That makes him second in command of a force that includes 48 ships and submarines, more than 200 warplanes and 25,000 troops.・・・
 <集団的自衛権行使の禁止との関係で、従来からの呪文が唱えられることになっているが、実質的にはこりゃ集団的自衛権行使にあたる。↓>
 Nonetheless, Pacific Command was quick to issue a clarification this week that despite Kitagawa’s appointment as second in command, Japanese forces would not directly command, or be commanded by, any other forces during the exercise.・・・
 <海上自衛隊は対潜・対機雷作戦能力において世界一だとよ。これには留保が必要であることは、太田コラムを読んできた人には分かるよね。↓>
 The Japanese have focused on anti-submarine and anti-mine operations since the Cold War, and by now no one is better at it. This leaves the Americans free to concentrate on carrier and amphibious operations.・・・
 <海上自衛隊の平均的幹部は、日本の平均的大学教授や国会議員に比べて、はるかに国際感覚が豊かだ、とも褒められてるぞ。ま、いかに両センセがひどいかってことだろうが・・。↓>
 “The average JMSDF staff officer has a much more cosmopolitan, internationalized view than, say, the average university professor or even member of the Diet.・・・
http://battleland.blogs.time.com/2012/06/28/japan-takes-command-but-dont-tell-anyone/

 消費税についてはもとよりだが、とりわけ安全保障分野での、(何度も言うように、受け身ではあるが、)野田政権の業績↑には恐るべきものがある。
 諸君よ、日本が属国から脱する時は意外に近づいているのかもねえ。

 米最高裁が5対4の劇的裁定でオバマの健保法に合憲判断を下した。
 長官は保守派なのに合憲としたが、そのココロは、同最高裁が米国民の多数から総スカンを食わないための政治的判断だろって。↓

 ・・・the chief justice was the only justice who cast a vote on the individual mandate that was contrary to the political position of the party of the president who appointed him.
 Why did he do it? Quite simply, to save the court.・・・
http://www.slate.com/articles/news_and_politics/jurisprudence/2012/06/john_roberts_broke_with_conservatives_to_preserve_the_supreme_court_s_legitimacy.single.html

 どうして同じアブラハム系宗教なのに、ユダヤ教とイスラム教じゃ割礼をしてキリスト教ではしないのかが説明されている。↓

 <使徒パウロが、イエス信奉者たるユダヤ人は割礼を子供達に施してもいいけど、非ユダヤ人は割礼をしてはならない、と決めたんだって。↓>
 ・・・Shortly after Jesus’ death, his followers had a disagreement over the nature of his message. Some acolytes argued that he offered salvation through Judaism, so gentiles who wanted to join his movement should circumcise themselves like any other Jew. The apostle Paul, however, believed that faith in Jesus was the only requirement for salvation. Paul wrote that Jews who believed in Christ could go on circumcising their children, but he urged gentiles not to circumcise themselves or their sons, because trying to mimic the Jews represented a lack of faith in Christ’s ability to save them. ・・・
 <そして、4世紀にキリスト教がローマ帝国の国教になった時点で、キリスト教とユダヤ教は完全分離し、キリスト教徒が割礼をすることは禁じられたんだねえ。↓>
 The early compromise that Paul struck—ethnic Jewish Christians should circumcise, while Jesus’ gentile followers should not—held until Christianity became a legal religion in the fourth century. At that time, the two religions split permanently, and it became something of a heresy to suggest that one could be both Jewish and Christian. As part of the effort to distinguish the two religions, circumcisions became illegal for Christians, and Jews were forbidden from circumcising their slaves.
 <(イスラム教が生まれる以前の)早ければ1世紀頃から、既に北アフリカと中東の人々は割礼をしていたらしい。↓>
 Circumcision has also been part of Islam since the early days. In fact, societies in North Africa and the Middle East circumcised their sons at least as early as the first century, long before the birth of Islam. Muslim circumcisions, unlike their Jewish counterparts, do not always happen shortly after birth. Some Muslim communities wait for several years or even until puberty.
 <そもそも、割礼は、豊穣祈念(間引き、衛生)の行為ではないかとの説が有力。↓>
 Historians haven’t worked out exactly why circumcision was so common in the ancient Near East in the first place, although many believe it had something to do with fertility.・・・
http://www.slate.com/articles/life/explainer/2012/06/germany_bans_religions_circumcision_why_don_t_christians_circumcise_.html
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<太田>

 明日のオフ会、集まりが悪いですねえ。
 一次会(「講演」会)と三次会はもともと飛び入り参加歓迎だし、二次会だって、若干なら追加的収容が可能ではないかと思います。
 今回が、外で行う最後のオフ会になるかもしれんませんよ。
 お越しをお待ちしています。
http://www.ohtan.net/meeting/