太田述正コラム#5288(2012.2.8)
<ロジャー・ウィリアムズ(その1)>(2012.5.24公開)

1 始めに

 ジョン・M・バリー(John M. Barry)の新著、 'Roger Williams and the Creation of the American Soul Church, State, and the Birth of Liberty' の中身のさわりを、その書評に拠ってご紹介するとともに、米国の現在の宗教状況に触れ、その上で私のコメントを付そうと思います。

[この本の書評]
A:http://www.latimes.com/entertainment/news/la-ca-john-barry-20120122,0,2906687.story
(1月23日アクセス)
B:http://www.nytimes.com/2012/01/01/books/review/roger-williams-and-the-creation-of-the-american-soul-church-state-and-the-birth-of-liberty-by-john-m-barry-book-review.html?pagewanted=all
(1月30日アクセス。以下同じ)
C:https://www.kirkusreviews.com/book-reviews/john-m-barry/roger-williams-creation-american-soul/#review
D:http://www.washingtonpost.com/entertainment/books/roger-williams-and-the-creation-of-the-american-soul-by-john-m-barry/2012/01/23/gIQAhjmqnQ_print.html
(2月4日アクセス)
E:http://www.latimes.com/news/opinion/commentary/la-oe-barry-religion-20120205,0,6820483,print.story
(2月7日アクセス)
[米国の宗教状況に関する記事]
F:http://www.bbc.co.uk/news/magazine-16859421
(2月6日アクセス)
G:http://www.ft.com/intl/cms/s/2/d2239780-4d4e-11e1-8741-00144feabdc0.html#axzz1lNr670I7
(2月5日アクセス)

 ちなみに、バリーは、米国の作家で歴史家であり、1927年のミシシッピ大洪水や1918年のインフルエンザ大流行を取り上げた本で有名です。
http://en.wikipedia.org/wiki/John_M._Barry

2 ロジャー・ウィリアムズ

 (1)序

 1月には、保守的なキリスト教徒達と共和党の大統領候補達が、「エリート達」が「宗教に対する戦争」をしかけていると非難する一方、ロード・アイランド州の連邦裁判所は、16歳のジェシカ・アルクィスト(Jessica Ahlquist)に一つの信条を押し付けているとして、ある公立学校から壁面の祈祷文を除去するよう命じた。
 この判決は、米国憲法修正第1条<(注1)>の意思だけでなく、公然と宗教の自由を提供するためにロード・アイランド<植民地>を創設し、かかる祈祷に強制的に晒すことを「精神的強姦」と呼んだ人物であるロジャー・ウィリアムズ(Roger Williams)<(注2)(コラム#485、2077)>の意思にも合致していることから、特にぴったりくるものだった。・・・」(E)

 (注1)権利の章典に係る修正第1条:連邦議会は、国教を樹立する法律を制定してはならず、また、自由な宗教活動を禁止し・・・てはならない。(Congress shall make no law respecting an establishment of religion, or prohibiting the free exercise thereof…)(A)
 (注2)1603?〜83年。ロンドンに生まれ、ロード・アイランドのプロヴィデンスに死す。イギリス人のプロテスタント神学者。
http://en.wikipedia.org/wiki/Roger_Williams_(theologian)

 「・・・<この本は、>17世紀の叛乱者でその考えがアメリカ大陸にロード・アイランド植民地へと導いたところの、ロジャー・ウィリアムズ・・・の伝記<だ。>・・・
 バリーは、ウィリアムズに対して、法学者のエドワード・コーク(Edward Coke)<(コラム#519、4066、4298)>や科学哲学者のフランシス・ベーコン(Francis Bacon)<(コラム#46、1334、1467、1489、4066、4201、4298、4892、4961)>等が与えた知的影響を詳細に描写する。
 マサチューセッツ<植民地>では、ウィリアムズは、尊敬を勝ち得たと同時に、この植民地総督のジョン・ウィンスロップ(John Winthrop)<(注3)(コラム#372、1767、2077、3656、4048)>と衝突した。・・・」(C)

 (注3)1587/88〜1649年。イギリス人の金持ちのピューリタン法律家で、ニューイングランドにおける、プリマス植民地に次ぐ主要移民地であった、マサチューセッツ湾植民地を創設した指導的人物の一人。
http://en.wikipedia.org/wiki/John_Winthrop

 (2)イギリス時代

 「・・・イギリスに生まれたウィリアムズは、ロンドンのチャーターハウス学校(Charterhouse School)<(注4)>とケンブリッジ大学ペンブローク校(Pembroke College)で教育を受けた。・・・

 (注4)1611年にロンドンに創設され、1872年位サレー州(Surrey)のゴダルミング(Godalming)近くの田舎に移転。最も美しい学校の一つ。
http://www.charterhouse.org.uk/CharterhouseHistory
 ところが、主要卒業生リストにロジャー・ウィリアムズが出てこない。
 ちなみに、歴史家のマックス・ヘースティングス(Max Hastings)(コラム#590、1533、2127、3334、3509、4872)、作曲家のヴォーン・ウィリアムズ(Ralph Vaughan Williams)(コラム#4885、5285)、法学者のウィリアム・ブラックストーン(William Blackstone)(コラム#90、503)、作家のウィリアム・サッカレー(William Makepeace Thackeray)(コラム#1777)らの名前が出ている。
http://www.ranker.com/list/notable-charterhouse-school-alumni-and-students/reference

 イギリスの公的信条<(英国教)>との見解の相違が、現在ピルグリムとかピューリタンとして知られている人々が、イギリスを去って1620年にプリマス、1630年にマサチューセッツ湾の各植民地に移民した理由だ。
 ウィリアムズは、同様に、[魂の自由(soul liberty)の観念の抱懐<という>]急進的な信条を公言し、逮捕される危険性が出てきた時、彼と彼の妻は、1630年末にニューイングランドへと逃亡した。
 彼らが去らねばならない必要性がいかに一刻を争うものであったかは、彼らが大西洋を冬に渡ったことが示している。
 大洋交通は、通常冬は余りに危険であると考えられていたというのに・・。・・・」(B)(ただし、[]内はAによる。)

(続く)