太田述正コラム#5465(2012.5.7)
<皆さんとディスカッション(続x1543)>

<太田>(ツイッターより)

 雌ライオンが襲いかかろうとしているのに全然動じない赤ちゃんの動画だ。
http://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-17949808
 こいつは大物だぜ。

 仏最高学府のENA卒でそこで知り合い30年連れ添った内縁の妻を前回の大統領選でサルコジへの対抗馬として送り出し、敗戦直後に彼女と別れ、ジャーナリストと再婚し、ライバルがNYでの醜聞でコケ、サルコジは不人気だった結果、大統領になったオランド。
http://edition.cnn.com/2012/04/17/world/europe/france-hollande-profile/index.html?hpt=hp_c1

<Hiroaki>(Mixiより)

 彼の英語力について御意見を・・・。

<太田>

 ご自分の耳でお確かめください。
http://lelab.europe1.fr/t/francois-hollande-speaks-english-2293

 ちなみに、オランドは、ENAの学生であった1974年の夏を米国で過ごしています。
 (ボクが米国に留学した夏ですね。)
http://en.wikipedia.org/wiki/Fran%C3%A7ois_Hollande

 もう一つ、オランドの現在の内縁の妻のことが紹介されている。↓

 <(事実上の)大統領夫人になってもジャーナリストとして働き続ける気だって。↓>
 ・・・If, as she has promised, the 47-year-old journalist keeps her contract with the magazine Paris Match and continues to work, it would be the first time a president's partner has held down a regular job and salary. ・・・
 <彼女、2回の離婚歴がある47歳で、3人の10代の男児がいるとのこと。↓>
 Trierweiler, a twice-divorced mother of three teenage boys who comes from a modest family in eastern France, said during the campaign she had to keep working to support her children, saying she does not want to be paid for by the state.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2012/may/06/valerie-trierweiler-france-first-lady

<ΕΕΕεΕ>(「たった一人の反乱」より)

 太田さん、フランスやギリシャの選挙に興味ある?
 あったら選挙の結果、ユーロ危機がどうなるかちょっち解説してよ。

経済政策に関しては選挙前に何を言おうと選挙後にできることの選択肢はそれほど多くないように思うけど。。。
ってやっぱ興味ないかな。

<ΕΕΕΕε>(同上)

 太田さんを便利に使おうとする奴って定期的に現れるよな。
 まず自分で調べてから典拠を添えて太田さんに質問するってのなら解るけど始めっから太田さんに丸投げって…。

<Ζζζζζ>(同上)

 しかるべく典拠さえ付けて質問すれば、大抵の事には何らかの応答あるよな。
 太田ブログは自利利他公私一如がモットーだな。

<太田>

 ま、フランス等での選挙結果についちゃ、どっちみち取り上げなきゃならないだろね。
 <オランドが放漫財政やろうとしたところでできるわけがないってさ。↓>
 ・・・Sarkozy has warned of instant market turmoil if Hollande wins. But the social-democrat’s deficit targets echo Sarkozy’s, and many of Hollande’s more radical pitches are softened in the fine print. He wants to hire 60,000 new educators? A public-sector hiring cap means cuts elsewhere. Renegotiate the European fiscal treaty? He’ll settle for an add-on to boost growth. Tax the rich at 75 percent above a million euros earned? A folly, although in fact the rate would hit far fewer than “the 1 percent.” Cause for stockpiling staple goods in case Hollande wins? Not really. ・・・
http://www.thedailybeast.com/newsweek/2012/04/29/would-francois-hollande-really-be-a-dangerous-french-leader.html
 <既にAAAの格付けを失ったフランスは、今年中に更に(高金利で)大量の借り入れをしなきゃならない。↓>
 ・・・ France is going to have to borrow about EURO180 billion ($240 billion) before the end of the year. Under Sarkozy it already lost its AAA credit rating. If borrowing rates start to climb dramatically, the hope of clawing out of the slump will fade very quickly.・・・
 <なお、首相になると目されてる人物は、元ドイツ語の教授。↓>
 ・・・the man Hollande will name as prime minister is Jean-Marc Ayrault, a veteran politician who, not insignificantly, is a former professor of German. ・・・
http://www.thedailybeast.com/articles/2012/05/06/french-election-results-sarkozy-gets-the-boot.html
 <公的債務はGDPの90%、政府支出の対GDP比はユーロ圏最高で57%近く、失業率は約10%。↓>
 ・・・Hollande・・・will bitterly disappoint many of his supporters as a result. Hollande will be the president of an economically ailing country. Public debt amounts to 90 percent of GDP, France hasn't had a balanced budget since 1974 and, at almost 57 percent, it has the highest ratio of government expenditures to gross national product of any of the 17 euro-zone countries. What's more, unemployment stands at roughly 10 percent, and there is an entire generation of children of migrants that has grown up in ghetto-like suburbs and hardly has any contact with the labor market.・・・
 <なお、オランドは元大学の経済学の先生。↓>
 ・・・an economist who once taught at the elite Sciences Po university,・・・
 <サルコジが率いていた右派は左右に分裂し、右はル・ペンとくっつくかもしれない。↓>
 The right-wing camp is now threatened with breaking apart into a conservative-liberal faction, which was upset by Sarkozy's campaign tactics, and a faction on the right that could even join forces with the National Front. This has been the great dream of Marine Le Pen, who has already declared herself the "leader of the opposition."・・・
http://www.spiegel.de/international/europe/as-president-hollande-will-have-no-choice-but-to-disappoint-french-a-831667.html

 ギリシャでは、極左と極右が躍進。連立与党中のこれまでの第一党の社会党は激減、保守会派は微増。↓

 ・・・Syriza, a coalition of radical left and green groups that took 16.6% of the vote -- the second largest share.・・・
 The conservative New Democracy party came in first but with 18.9% of the vote・・・
 Pasok, the socialist party led by Evangelos Venizelos, the former finance minister who had been the architect of many of the unpopular policies, won 13.4%, compared to 40% in the last national poll, in 2009.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2012/may/06/greek-voters-austerity-ballot
 <極左は、EUが科した緊縮策や構造改善策に反対だがユーロ圏から脱退するつもりもなく、EUから更にカネをとろうと考えている。↓>
 ・・・Syriza itself is very critical of the European Union. But it does not support withdrawing from the euro as do the communists. On the contrary, Tsipras said that Greece must "remain a link in the chain." Only then "can it secure the support of Europe." In other words, he is hoping for additional billions from Europe or even a kind of "Marshall Plan" to promote economic growth.
 Tsipras has also declined to throw his support behind the structural reforms demanded by Europe. He has even called for hiring more civil servants.・・・
http://www.spiegel.de/international/europe/greeks-clearly-reject-austerity-in-sunday-elections-a-831678.html

 選挙結果に衝撃を受けた国際市場はメロメロ。↓

「・・・フランス大統領選で、社会党のオランド氏が勝利し、財政再建の取り組みが鈍るとの見方が広がった。ギリシャ議会の総選挙でも「反緊縮」を掲げた急進左派連合が躍進し、欧州債務問題の再燃を懸念する投資家が、安全資産とされる円買いを進めている。・・・」
 東京市場では午前11時現在、2日(午後5時)に比べ2円22銭円高・ユーロ安の1ユーロ=103円60〜61銭で取引されている。・・・
 対ドルでは、・・・2日(午後5時)に比べて49銭円高・ドル安の1ドル=79円83〜84銭で取引されている。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120507-OYT1T00276.htm
 「・・・日経平均株価の午前の終値は245円安の9134円と、9200円を下回った。・・・」
http://www.nikkei.com/news/article/g=96958A9C9381949EE2E5E293E18DE2E5E2E7E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2

<薬の理屈の追究者>

≫「輝き」を失わせた要因は、近年の「大学改革」≪(コラム#5463。朝日記事)

について。まさしくその通りでしょう。

 日本人の学生がハングリーでなくワイルドもない環境で、1流とは言えない質の、少なからずの留学生(日本語、英語がそれぞれ完全ではない)を受け入れて、本当に面倒を見なければならい環境です。
 そして、会議の上に会議、書類の上に書類、「改革のための手段の目的化」そして「改革疲れ」、公共団体からのE-Mailで事務を通じて、この書類に、アンケトに3日<時には夕刻までに>で答えてください。

 などなど、そして管理者、執行部の人は「仕事は忙しい人に頼むに限る」などと。
 事務的な、官僚的な人材が上に上がるシステムとなってます。

 以下<は>サイト<の続きからの引用です>」。

 「「国からの補助が減り、外部から研究費をとってくる人が優遇されるようになった。予算を持ってくるため、すぐに成果が出る研究が増え、長い時間をかけて成果を出す研究ができない環境になってしまった」
 1991年に大学設置基準の改正で、カリキュラムの自由化とともに研究や教育の自己評価・点検が努力義務化された。2004年には国立大学が法人化され、国から出ていた運営費交付金は減少。大学の運営にシビアな経営感覚が求められるようになった。
 ・・・自己評価のための事務作業などすべて教員がやらないといけない。成果をみせるためのシンポジウムも、準備から教員がやる。「年がら年中会議ばかり。研究や教育にかける時間は全然とれない。・・・」
 「・・・ここ10年くらいで大学の雰囲気が急速に変わった」。大学改革で教員の管理強化が進み、「自由な空気が失われてしまった」・・・。
 東大は00年、定年の延長を決めた。60歳だった定年を段階的に延長し、13年度には65歳になる。延長は「年齢による差別の撤廃」と説明されたが、「若手の登用が遅れ、研究活力が低下する」と強い批判が起きた。この定年延長への反対が、学内で、いまだくすぶっている。・・・
 一方で、私立大学では70歳が定年のところが多く、ほかに転身するならば早いほうが受け入れられやすいという考えもあるようだ。・・・
 ・・・東洋文化研究所教授の安冨歩さんは、近年の大学院重点化の弊害を挙げた。大学院の定員を増やしたり法科大学院を設けたりしてきたが、その試みが逆に「大学院を荒廃させた」という・・・。
 ・・・無用な制度いじりはやめて、教師に十分な余裕を与え、教室で学生と知的で人間的な、中身の濃いコミュニケーションができる環境をつくって」と。そして「それができなければ、これからも東大から人がいなくなるでしょう・・・。」」

<太田>

 どうもありがとうございました。

 乱暴にまとめれば、アホな文部官僚達が、ゆとりを与えちゃいけない生徒達にゆとり教育を施し、ゆとりを奪っちゃいけない大学人達の雑用を増やしたために、日本の初等中等教育も高等教育・研究も、両方とも破壊されちゃったってことですな。

<さいへん>

 <コラム#5463で人民>網の記事を解説していただき、ありがとうございました。

 ところで同じコラム#5463で、ミラーニューロンがついに登場しましたね。
 以前から人間主義と、ミラーニューロンの研究がどうリンクしてくるのか気になっていましたが、まだ研究が始まったばかりの段階でそこを結びつけて考えるのは飛躍しすぎかと思い、投稿できませんでした。
 ミラーニューロンは言語の起源とも深く関わっているようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3
http://www.yomiuri.co.jp/adv/chuo/opinion/20120220.htm
 「人間の本能としての言語」の謎の解明にも、まだまだ時間がかかりそうですが…。

<太田>

 コラム#5023(2011.9.30)でとりあげてますよ。
 昨夜の未公開コラム(#5464)の末尾近くをご披露しておきましょう。

 「人類は、ミラーニューロンという人間主義の基盤たる共感を呼び起こす生理を共有しており、人は、仮に困っている他人が赤の他人であったとしても、その他人を助けたいという自分の気持ちに忠実に行動することは、単に気持ちが良いだけでなく、将来、その他人が同じような行動を自分にとってもその他人にとっても赤の他人に対してとる可能性が高まるのであって、その連鎖が回り回って、将来、今度は自分が困っている時に自分を助けてくれる赤の他人が増えることへの期待が付け加わって、その人は、赤の他人に対しても、協力的ないし利他的な行動をとる、と私は考えているのです。」

 なお、人民網の記事に係る私の「解説」のところを含め、昨日のディスカッションの「てにをは」に処々手を入れたものをブログに再アップしてあります。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 薄熙来事件と陳光誠事件を契機に、中共のネチズン達が当局の規制に対して勝利を収めつつあるというオハナシ。↓

 In both the Chen case and the Bo Xilai story, the official state-run media has tried to squeeze the information flow to a trickle. In both cases, their attempts have largely failed.・・・
 ・・・With precious few official announcements about Bo beyond the early, terse statement that he was being investigated for “serious discipline violations” while his wife is a murder suspect, the Bo family scandal has mostly unfolded online.
 Stories posted and reposted online have looked into the Bo family’s financial holdings, the dealings of extended family members, and even the overseas university partying habits of Bo’s son, Bo Guagua.・・・
 <新京報(コラム#5461)が、陳光誠とその支援者達に言及しつつ「13億人の支那の人々は簡単にはだまされない」と述べた論説を掲げたが、「陳光誠とその支援者達」を「中共当局」と読み替えて解すべきだってさ。↓>
 In a Friday editorial, the paper wrote that “1.3 billion Chinese people cannot be fooled so easily.” It was referring to Chen and his supporters. But it may just as easily have been referring to the Communist Party’s propaganda machine.
http://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/with-chen-guangcheng-news-on-twitter-chinas-censors-lost-control/2012/05/05/gIQAUctU4T_print.html
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太田述正コラム#5466(2012.5.7)
<ナチスドイツ降伏直後の欧州(その1)>

→非公開