太田述正コラム#5321(2012.2.25)
<皆さんとディスカッション(続x1474)>

<太田>(ツイッターより)

 「日本の企業2社(ハリウッドの8大企業のうちの2社)が…『金陵十三釵』…制作前に…投資家を脅かし、…中国侵略日本軍の南京大虐殺のテーマを日米市場で発表するチャンスを…途絶しようとし、またメディアで<これは>『愛国主義映画』、『政府投資の映画』<だ>という概念を…広めた…。
 <その結果、>…「ニューヨークタイムス」は…<この映画は>中国の対外的なイメージ確立の戦役のように見えるとコメント。英「ガーディアン」は「中国政府はメディアと文化政策への投資を拡大している。…しかしこの作品は味わいに欠け、演技は不自然で、宣伝味を帯びている」とし<た>。
http://j.people.com.cn/94638/94657/7739333.html
 えらく日系のハリウッド映画会社も買いかぶられたもんだ。
 妄想的強迫観念に憑りつかれている中共当局!

 氷でつくった楽器の音色を聴いてごらん。
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-17162066

<ねこ魔人>

 お忙しい中、私の質問に2つもお答えくださりありがとうございました。
 ご丁寧な回答で、頭の中で浮かんだ疑問2つも氷塊しました。

<ΓΓΓΑΑ>(「たった一人の反乱」より)

≫人間主義社会における、相互にクライアントでありエージェントである人間同士の関係は全人間的な関係になりがちです。つまり、仕事の場における人間関係も、遊び等を含めた友人関係的なものなりがちである≪(コラム#5319。太田)

 上記の太田さんの指摘をふまえれば、外国人が日本の社会や会社の中の人間関係を見れば、家族的に見えたり、集団主義的に見えてもおかしくないわけですね。

<ΓΑΑΓΓ>(同上)

 ところで、憲法9条に五月蝿いA新聞とかが、戦前にはイケイケの好戦的な記事を出していたという批判がありますが、太田さんの史観から見れば、反共政策を採っている日本を妨害しようとするアメリカの正当性に疑問符がつくわけで、戦前の新聞はそれなりにまともだったという解釈をしてもよいのでしょうか?

<太田>

 例えば、「戦間期日本人の対独意識(その1)」(コラム#4988〜)を読んで欲しいが、戦前も戦後も、日本の全国紙は互いに激烈な競争をしており、できるだけ多くの読者にアピールする紙面づくりをする必要があるわけであり、各紙の論調は、最大公約数的な世論を反映したものにならざるをえない。
 だから、「戦前の新聞<が>それなりにまともだった」というより、戦前の日本の世論がそれなりにまともだった、ということだろね。

<得丸>

 <コラム#5104>「世界殺戮史に思う(その1)」<を読み>ました。
 ピンカーって言語学者かと思っていましたが、言語学者を超えた怪しさをもっていますね。
 物理学や言語学といった認知・認識の最前線を研究する人たちの中には、ものごとを単純に本質的に示そうとしている人もごくわずかながらいますが、そういう人たちの本はあまり売れないからか、手に入らない。
 逆に、読めば読むほど頭がおかしくなる著者の本のほうが、大々的に宣伝されるし、売れるというのは、売り手と買い手の共同責任だということになるのでしょうか。
 ピンカーの言語学に出てくるLAD(言語獲得装置)なる概念も、脳科学や情報理論を中世の暗黒時代に閉じ込めるための黒魔術みたいなものですね。

<太田>

 ピンカーよりも、彼がデータを拠っている原本の著者のマシュー・ホワイトにこそ注目すべきでしょうね。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 石原よお前もか。
 もっとも、誰も驚かないけどね。
 数の問題じゃないんだよ、石原クン。↓

 「・・・石原慎太郎知事は・・・、旧日本軍が多数の中国人を殺害した「南京事件」を巡って名古屋市の河村たかし市長が「虐殺はなかった」と発言したことについて、「河村君の言うことが正しいと思う」と語り、同市長を擁護した。
 石原知事は「あれだけの期間に40万人なんて物理的に殺せるわけがない」と持論を展開。・・・「戦争のどさくさで、殺したこともあったかもしれないが、それをもって『大虐殺』というのは違う」などと語った。」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120224-OYT1T01110.htm?from=main7

 シリアのアサド大統領、いよいよ窮地に。↓

 <ハマスが反アサドを公言。↓>
 Gaza's Hamas prime minister has expressed support for Syrian protesters seeking to overthrow President Bashar al-Assad.
Ismail Haniyeh's comments were the first time a senior leader of the Palestinian group has publicly rebuked its longtime patron.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2012/feb/24/hamas-pm-backs-syrian-protests
 <サウディアラビアが反体制派への武器援助を示唆。↓>
 Saudi Arabia has backed the arming of Syria's opposition guerrilla army in remarks that could signal an intervention by the Sunni Muslim superpower in the Assad regime's crackdown against the uprising.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2012/feb/24/saudi-arabia-backs-arming-syrian-opposition

 フィリピンの「2世」議員は半分を超えているのに対し、米国の場合は7%。(日本の場合はその中間って感じかな。)↓

 ・・・In 2007, for example, over half of all Filipinos in office had had at least one previous family member in office. In contrast, in the United States, whose family dynasties have included the Kennedys and Bushes, that number was 7%, Querubin says.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2012/feb/23/philippines-president-looking-for-love
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 田中香織さん(コラム#4289)の演奏会に、本日、また招待されたので行ってきます。
 前回同様、演目のご紹介をしておきます。
 今回は、余りにも有名な2人の作曲家のしかも余りにも有名な曲揃い、それに余り知られていない作曲家の曲、というバランスのとれた選曲で、アンコール曲ともども楽しみです。
 (私が弾いたことのない曲には※をつけました。)

シューベルト:4つの即興曲Op 90
 第1番へ短調 ジメルマン
http://www.youtube.com/watch?v=6Jfgr7ngChE&feature=related
 第2番変イ長調 同上
http://www.youtube.com/watch?v=wradj6rTZt8&feature=fvwrel
 第3番変ロ長調 同上 ※
http://www.youtube.com/watch?v=tmOKUb5PO4s&feature=related
 第4番へ短調 同上
http://www.youtube.com/watch?v=tIFyeAS9awg&feature=related

ショパン
 即興曲第1番変イ長調Op.29 ルービンシュタイン
http://www.youtube.com/watch?v=baZGdj0xLYg
 即興曲第2番嬰ヘ長調Op.36 ジメルマン
http://www.youtube.com/watch?v=TDGHR4lj3yc&feature=related
 即興曲第3番変ト長調Op.51 ルービンシュタイン
http://www.youtube.com/watch?v=Rj9ZcUFJ6QE
 即興曲第4番嬰ハ短調Op.66(幻想即興曲) キーシン
http://www.youtube.com/watch?v=uJfNkEth-9Y&feature=fvwrel
   
 実は、ハメリンによる演奏
http://www.youtube.com/watch?v=wBlxVdN4KYU
を通じてシマノフスキ(Karol Szymanowski。1882〜1937年。ポーランド人)は知っていたのですが、マズルカを聴いた時に私にはピンと来なかったので紹介をしていませんでした。
 改めて聴き直してみると、2曲目のソナタ(18:52〜45:33)の方は結構イケてますね。
 今回香織さんが演奏する曲は、一種の情景音楽であることから、聴き手の方でイメージを膨らませて聴くのも一興かと思います。

シマノフスキ
 メトープ(Metopes)Op.29 ピアノ:Piotr Anderszewski ※
  1.セイレーンの島(L'ile des Sirenes=The Isle of the Sirens) (注1)
http://www.youtube.com/watch?v=CNibxzSwZEg
  2.カリュプソー(Calypso)(注2)
  3.ナウシカー(Nausicaa)(注3)
http://www.youtube.com/watch?v=6L1DbdkALIc&feature=fvwrel

(注1)「ギリシア神話において・・・、上半身が人間の女性で、下半身が鳥の姿をしているとされている海の怪物。海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる。・・・オデュッセウスの帰路の際、彼は歌を聞いて楽しみたいと思い、船員には蝋で耳栓をさせ、自身をマストに縛り付け決して解かないよう船員に命じた。歌が聞こえると、オデュッセウスはセイレーンのもとへ行こうと暴れたが、船員はますます強く彼を縛った。船が遠ざかり歌が聞こえなくなると、落ち着いたオデュッセウスは初めて船員に耳栓を外すよう命じた。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3
 「シレーヌは、永井豪作(原作)の漫画・アニメ作品『デビルマン』に登場する架空の悪魔。・・・セイレーンがモデル。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8C_(%E3%83%87%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3)
(注2)「海の女神である。・・・カリュプソーは"覆い隠す者"(動詞 kalypto より)の意である。彼女の住むオーギュギアー島に漂着したオデュッセウスを愛し、7年間共に暮らした。その間オデュッセウスとの間に二人の息子・・・を生んだ。<(但し、異説あり。)>」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%BC
 「カリプソ(Calypso)は、ギリシャ神話に登場する海の女神カリュプソー(Καλυψω= Kalypso)を英語風(あるいはフランス語風)に発音したもの。 さまざまな一般名詞・固有名詞として転用されている。<一例:>カリプソ (音楽) - カリブ海周辺で発展した音楽の1ジャンル」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%97%E3%82%BD
(注3)「オデュッセウス<が>・・・故郷イタケーに帰り着く・・・直前に立ち寄った島が、ナウシカアーの住むスケリア島である。スケリア島は、現在のコルフ島であるといわれる。・・・オデュッセウスは、身にまとうものひとつない状態でスケリア島の海岸に漂着したところをナウシカアーに救われる。ナウシカアーはオデュッセウスを王宮に招き入れ、身だしなみを整えさせる。立派な姿となったオデュッセウスを見たアルキノオスは、オデュッセウスがこのままとどまり、ナウシカアーを妻としてくれればよいと考え、ナウシカアーもまたオデュッセウスに好意以上の気持ちを抱く。しかし、オデュッセウスがイタケーの王であり、かつ妻ペーネロペーが待つイタケーへ帰りたがっていることを知ったナウシカアーは、オデュッセウスを船に乗せ、イタケーへと送り出す。別れに際して、ナウシカアーは国へ帰ってもいつか自分のことを思い出して欲しいと告げる。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%AB%E3%82%A2
 宮崎駿の漫画、アニメの『風の谷のナウシカ』の主人公であるナウシカの「名前の由来はギリシャ神話に名を残すナウシカア」。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E3%81%AE%E8%B0%B7%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%B7%E3%82%AB%E3%81%AE%E7%99%BB%E5%A0%B4%E4%BA%BA%E7%89%A9
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太田述正コラム#5322(2012.2.25)
<大英帝国再論(その11)>

→非公開