太田述正コラム#5139(2011.11.27)
<皆さんとディスカッション(続x1391)>

<太田>(ツイッターより)

 「ツイート…このうち英語は…39%…と最も多く、2位は日本語(14%)だった。」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2011/11/26/2011112600437.html
 中共がツィッター使用を禁じているので漢語が入っていないが、日本人はホントにツィッターが好きなのね。
 朝鮮語がオランダ語より少ないというのも面白いな。

 カイロのデモ中、少なくとも5人の反体制派市民が、(多分)一人の射撃の達人の警官によってゴム弾で片目を撃たれてたんだね。
http://edition.cnn.com/2011/11/25/world/africa/egypt-eye-hunter/index.html?hpt=hp_c2
 実弾を撃ったという話もひどいが、これもひどい話だ。
 ボクの知ってる、あのおとなしいエジプト人がこんなことやらかすとはねえ。

<ΧΖΧΖ>(「たった一人の反乱」より)

 てっきり冗談かと思ってたが、本気なんだな。
 どこの世界の忠臣蔵なんだ?w
 映像世界では、アメリカは今も昔も無敵の競争力を誇っているんだなぁ。
http://47ronin.jp/intoro.html

<太田>

 「現在、日本のアニメ・漫画産業の売上高は年間230兆円、純利益は年間6000億円に達している。アニメ・漫画産業は今や日本の第3の産業となり、広義では日本のGDPの十数パーセントを担っているという。
 一方で、中国のアニメ・漫画産業の昨年の純利益はわずか28億元で、日本のアニメ・漫画産業の6%にも満たなかった。・・・」
http://j.people.com.cn/95952/7647113.html
 「・・・アニメ・漫画産業の生産額は米国が2千億ドルで最多、市場シェアは日本が65%を占めている。・・・」
http://j.people.com.cn/94475/7614538.html
 同じ人民網の記事なのに、話が合わない部分があるけど、年間230兆円ということは、仮に1ドル80円で計算したとしても、2875億ドルだから、米国の2000億ドルを上回って、日本は、シェアだけじゃなく売上高(生産額)でも世界一じゃないのかなあ。
 だから、(非アニメ)映画/TVドラマはともかくとして、「映像世界では、アメリカは今も・・・無敵の競争力を誇っている」とは言えないんでねーの?

<XXXX>

 昨日、予告していた資料を送付しました。
 いつも通りであるなら、そろそろ着いている頃であると思います。

→届きました。(太田)

(資料内容は以下の通り)
(A)服部龍二『日中歴史認識 「田中上奏文」をめぐる相剋 』東京大学出版会 2010年
(B)服部龍二・土田哲夫・後藤春美『戦間期の東アジア国際政治(中央大学政策文化総合研究所研究叢書6)』中央大学出版会 2007年

 今回、お送りしたモノは「田中上奏文」についての資料です。
(以下、所感です)
 この怪文書は、日本が幣原外交から転換した後、田中外交路線を推し進め陸軍中央が赤露による満蒙方面・・・就中満州・・・の赤化を警戒していた1928年、布石を打つかのように出現した偽文書です。(#4963 の陸軍中央の認識を参照)
 満州事変以後、世界に喧伝された田中上奏文の有名な一節は「支那を征服せんと欲せば、先づ満蒙を征せざるべからず。世界を征服せんと欲せば、必ず先づ支那を征服せざるべからず。(中略)之れすなわち明治大帝の遺策にして、また我が日本帝国の存立上必要事たるなり」でありました。(A,p2)
 この偽文書を誰が作ったのかは資料的な問題から未だに確定せず諸説あります。
 日本では中国人の手による偽造説が有力ですが、海外の研究者にはソ連説を唱える人
も居るのが現状です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B0%E4%B8%AD%E4%B8%8A%E5%A5%8F%E6%96%87
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion07b.htm

 しかし、誰がそしてどのような目的で作ったのかわからないにせよ、客観的に観て赤露と国民党はそれぞれ宣伝に用い、田中上奏文こそが日本の大陸政策の淵源であると主張したのです。
 (しばしば中国側は、それは偽文書であるという日本側の指摘に、満州事変以後の日本の行動・・・大陸政策・・・を指摘する事で、日本側との情報戦において勝利しました。)
 (B,前段pp235-237,後段pp226-231)
 1936年、日本外務省情報部は中国側の宣伝活動が効果を発揮しつつある事を観察し、「現在の外務省情報部が小規模に過ぐるは外交当局として充分之を認め居り」としながら対処策を検討するも、どうして良いかわからず対処は不十分のままで解決されなかったようです。
 (B,p238-239)
 従って支那事変以降のアメリカでは、日本人に対する偏見とも相俟って、田中上奏文が明示的乃至は黙示的に信じられるようになります。(「ニューヨーク・タイムス」「シカゴ・デイリー・トリビューン」「ワシントン・ポスト」等の新聞は田中上奏文を日本の世界侵略の青写真として報道していたようです。B,pp242-247)
 そして、太平洋戦争期には米陸軍省(マーシャル)が推進したプロパガンダ映画に田中上奏文は利用され、米兵数百万人が観たとされる「なぜ戦うのか(Why We Fight )」シリーズ(全七作)では「田中メモリアル」を日本の「世界征服計画」と位置づけ、更に太平洋戦争を米国の「隷従に対する自由の戦い、暴虐に対する文明の戦い、悪に対する善の戦い(Struggle of freedom against slavery, civilization against barbarism, good against evil)」であると位置づけるのであります。(B,pp247-250)
 また、服部龍二さんが『日中歴史認識 「田中上奏文」をめぐる相剋 』において明らかにした事実によりますと、田中上奏文は明らかに極東国際軍事裁判に影響を与えたと言うことです。
(「東京裁判は<当初、検察側がその存在を信じ>「田中上奏文」をめぐって迷走し
た末に、判決では大川周明の言動が共同謀議の根拠に用いられた。
精神状態を理由に裁判から除外された大川に、裁判所は共同謀議の計画を求め」従って「日本人の常識からは極めて滑稽極まる認定」となった訳であります。A,pp232-233)
 以上のように、田中上奏文をめぐる動向は太田コラムにおいて提起されてきた様々な問題に及んでいて興味深いですよ。

<太田>

 それでは、その他の記事の紹介です。

 アフガニスタン国境のパキスタン領内のパキスタン軍が在アフガニスタンNATO軍航空機による攻撃を受けて28人の兵士が死亡した事件のきっかけは、(パキスタン軍あたりからの?)攻撃を受けて行われた自衛反撃だったらしい。↓

 ・・・An attack by Nato aircraft on Pakistani troops that allegedly killed as many as 28 soldiers and looks set to further poison relations between the US and Pakistan was an act of self-defence, a senior western official has claimed.・・・
 <前にも述べたことがあるが、両国の国境線は定かではない、という問題がそもそもある。↓>
 The vagueness of the border between Afghanistan and Pakistan is one potential, and relatively innocent, explanation for the incident. Drawn up by the British Raj in 1893, there is little agreement on where the so-called Durand Line actually falls, meaning troops from either side of the border can wander into the neighbouring country without realising it. One senior military official said that, in places, rival maps have discrepancies of "multiples of kilometres -- sometimes as much as five kilometres".・・・
 The attack happened just a day after John Allen, the US commander of Nato forces in Afghanistan, met with Ashfaq Pervez Kayani, the Pakistani army chief, to discuss enhanced co-operation on the border.
 <根本的問題は、アフガニスタン反体制派がパキスタン軍の「庇護」を受けているところにある。↓>
 But a more troubling explanation would be that insurgents in the area were operating under the nose of Pakistani security forces. Many Afghan officials believe Pakistan helps the Taliban with cross-border operations.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2011/nov/26/nato-air-attack-pakistan-soldiers

 薄一波(Bo Yibo。1908〜2007年。中共八大元老の一人。国務院副総理等を歴任)、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%84%E4%B8%80%E6%B3%A2
の孫で、薄熙来(Bo Xilai。1949年〜。重慶市委書記)の息子、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%96%84%E7%86%99%E6%9D%A5
の薄瓜瓜(Bo Guagua。1987年。Papplewick→Harrow校→Oxford大→Harvard大の Kennedy School)は、最も目立つ太子党(princeling)として知られる。↓
http://online.wsj.com/article/SB10001424053111904491704576572552793150470.html?mod=WSJ_World_MIDDLENews
 つい先だって、もう一人の太子党の美女Chen Xiaodan(父親は中国開発銀行頭取の陳元(Chen Yuan。1945年〜
http://en.wikipedia.org/wiki/Chen_Yuan
)、祖父は、やはり中共八大元老の一人の陳雲(Chen Yun。1905〜95年。国務院常務副総理等を歴任)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B3%E9%9B%B2
)と警官の警護付きのチベット婚前(?)旅行をして、中共貴族が形成されつつある、と話題を呼んだ。↓
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/china/8337847/Photos-leaked-online-fuel-rumours-of-romance-between-Chinas-red-royals.html
http://www.wantchinatimes.com/news-subclass-cnt.aspx?cid=1101&MainCatID=11&id=20110221000055

 なお、中共の太子党(princeling)一覧が載ってるよ。↓
http://online.wsj.com/article/SB10001424053111904491704576572552793150470.html?mod=WSJ_World_MIDDLENews#project%3DPARTYKIDS1011%26articleTabs%3Dinteractive

 公開したばかりのコラム#4974「日進月歩の人間科学(続X23)」でNYタイムスの記事を引用して紹介したところの、意思決定力有限説と一見矛盾する新しい説が出ていた。
 同じNYタイムスの記事なんだから、もうちょっと前の記事を踏まえた内容にして欲しかったな。↓

 <意思決定力有限説を信じていない人の意思決定疲れは信じている人に比べて相対的に小さい。↓>
 ・・・When the initial task was easy and willpower wasn’t required, people did well on the tricky cognitive task, making few mistakes. But when the initial task was hard and involved self-control, people who believed that willpower was limited made almost twice as many mistakes on the tricky cognitive task as did the group that performed the initial easy task. This finding replicates many studies・・・that have been interpreted as evidence that willpower is limited and easily depleted. But, strikingly, we found that people who believed that willpower was not limited continued to perform well on the second task, making few mistakes, even after facing the difficult initial task. They were not “depleted” and kept on doing well.
 You may contend that these results show only that some people just happen to have more willpower -- and know that they do. But on the contrary, we found that anyone can be prompted to think that willpower is not so limited.・・・
 <もちろん、意思決定力は無限であるというわけではなく、食物と休息なしでは続かない。↓>
 To be sure, willpower is not completely unlimited. Food and rest are of course necessary for functioning, and many struggles that people face are quite difficult.・・・
http://www.nytimes.com/2011/11/27/opinion/sunday/willpower-its-in-your-head.html?ref=opinion
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

太田述正コラム#5140(2011.11.27)
<映画評論30:時計じかけのオレンジ(その3)>

→非公開