太田述正コラム#5077(2011.10.27)
<皆さんとディスカッション(続x1362)>

<ττΖΖ>(「たった一人の反乱」より)

 <τΖτΖクン(コラム#5075)、>繰り返しになりますが、私、「縄文」=「平和」を示そうとしたのではなく、「縄文」≠「狩猟採集民にありがちな恒常的戦争状態」を示そうと試みただけです。この点は理解してください。

A:「一年の一定の時期に高い確率で保存の効く食料を大量に確保できる」
 これって縄文と農耕に共通する特徴だと思いませんか?農耕民のような(農耕民ほどには)労力をかけずに農耕民と同じような利益を享受していた縄文人を平均的な狩猟採集民と同列に扱う必要はない(のではないか)、ということが言いたかっただけです。
 実態として農耕をやっていたかどうかと同じくらいに、実態として農耕的利益(A)を享受していたということも重要なのではないかと思うのです。
 でも、Aが重要だと言う典拠は示せません。

<ΖΖττ>(同上)

 言いたい事はわかったんだけど、迂遠に感じる訳で、もう一歩踏み込んで(縄文=平和という)仮説をたてても良いんじゃ。
 ようするに、考古資料をみれば(戦争の有無はともかく)「恒常的な戦争状態」になかった事は一目瞭然な訳です。
 更に最近の古人口学の研究により縄文人の平均寿命は高かったという結果が発表され、別の研究では食料事情も良かった事が示されている訳です。
 あなたが示している事は、考古学研究おいて十分裏付けられているように感じます。
 だから、あえてそのような説明(仮説)をする必要性は無いと感じる訳です。
 「農耕民のような(農耕民ほどには)労力をかけずに農耕民と同じような利益を享受していた」
 これが重要な意味を持つという典拠は必要ないけど、どうしてこれが重要なのかあなたの主張の中では十分に意義付けられていないと感じます。

<太田>

 若干のひいき目もあるんだけど、そういう理解でいいんじゃないか。

 何せ、「縄文時代=平和」仮説が否定されると、僕の縄文モード/弥生モード循環論の根本的前提が崩れかねないもんな。
 ちなみに、「縄文時代=平和」仮説が否定されたとしても、「縄文時代=人間主義文明の誕生」仮説そのものが否定されるわけじゃ必ずしもない。なぜなら、人間主義を守るための戦争ってのがありうるからだ。先の大戦を日本が戦った理由がほぼそれだ、と僕は考えている。

 この際、平安時代と江戸時代が、それぞれ、平和な縄文モードへの意識的回帰だっちゅう僕の考えを裏付ける事実を開陳しておこう。
 
 平安時代の祖、桓武天皇による平安京という新都の命名。↓

 「平安京は後世においては音読みの「へいあんきょう」と読むが、当初は「たいらのみやこ」と訓読みした。普通、京の名前は地名を冠するのが一般的であるため本来なら「葛野京」(かどののみやこ)としても良かった。しかし長岡京での騒動が原因のひとつとして、再び遷都された理由により新京では悪いことが起こらず、「平らかで安らかな都」、「平安」(訓読みは「たいら」)であって欲しいという意味が込められている。」(注)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%AE%89%E4%BA%AC

(注)支那の歴代王朝の首都には、「平」を用いたものはない。「安」を用いたものは「長安」だけだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E9%A6%96%E9%83%BD
 その長安だが、「日本の平安京とは異なり、長安城内では、各坊の四囲にも高い牆壁が取り囲んでおり、それら門は夜間は閉門され坊外との通行は禁止された。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%AE%89

 江戸時代の祖、徳川家康による厭離穢土欣求浄土と記した幟の採用。↓

 「「<家康>公大に異しむ時に<大樹寺の登誉>師白布を以って旗を製し之に題して厭離穢土欣求浄土と 是に於て師公に問ふて曰く」「君弱冠より戦場に向ふ其心唯だ敵を殺害するに在るか」あなたは若い時から戦場に向かっておるけれども、その心はただ敵を殺すだけにあるのかと。「公の曰く武人の心実に唯然り」元康は武人の心はただその通りであると。
 「師曰く殺害なんの爲ぞ 曰く是れ他に非ず勇を振ひ功を樹て城を抜き國を奪はんとなり何ぞ」殺害を何の為にするのかという事ですね。これは他にあらずと、自分で勇気を振い起こして、功をたてて、城を落として、国を奪わんとすると。どうしてそれをするんだと。「止だ其をしも云んや尚を竟に天下を領せん者なり 曰く竟に天下を領して是れ亦た何んするものぞ」最後は天下を領せんという事が目的である。遂に天下を取ってこれまたどうするんだという問答が続くわけですね。「武權を執るが如きは 則門葉を興隆し子孫を榮耀し名を後世に挙げて父母を顕さん而己」要するに自分の家を興隆して子孫を繁栄させて名を後世に挙げて父母の名を表さんと。登誉上人は「天に得ざるの國を劫奪するは之れ奸盜之所爲なり」天に得ざるの国を強奪するというのは、これ盗人の所為ではないかという事ですね。「たとひ運を啓き一たび天下を領すとも非道にして得ば則ち何ぞ子孫に傳ふる事を得ん 己れ獨り榮華に傲るとも猶を一陽の春夢の如し命終の後には必ず地獄楚毒の苦みを受けて何の益か之れあらん」例え運があってひとたび天下を取ったといっても非道にしてそれを取れば即ち子孫に伝わることを、これひとり栄華に傲るともなお一陽の夢の如しと。命終の後には必ず地獄に落ちるんだぞという事。こういう事を懇々と説くわけです。
 最終的には万民のために天下の父母となって万民の苦しみを無くするというような事をしていかなければいけないという事を説くわけでございます。そういうことを懇々と諭されて、時の元康自身は、その大慈大悲の心というもの、仏教の心というものを初めて悟る訳であります。そうして将来安定した日本の国を作るためにはどうあるべきかという事を悟ったわけですね。元康は大いにそこで感激して悟って・・・家康公はその後の戦陣には必ず「厭離穢土 欣求浄土」の旗指物を使っておられます。」
http://www.okazakicci.or.jp/konwakai/18okazakigaku/18-6.pdf

<豊丘時竹>(2011.10.21)http://d.hatena.ne.jp/toyotoki11/20111021

■オリンパス内紛
 西洋人社長にかき回されているように、私には思われる。多分、日本の株式会社運営方法は、西洋人の考える運営方法と違うのだろう。日本人株主は日本の運営方法をそんなに気にしない。会社は株主のものではない。多分、社会のものだと思っているのである。

 西洋人社長は株主のためにやったことなのではないか。日本の株主はだれもそんなこと望んでない。だから社長は解任された。非関税障壁の一つである。

<豊丘時竹>(2011.10.25)http://d.hatena.ne.jp/toyotoki11/20111025

・・・
 コピペまでしないが、オリンパスは、太田述正コラムを読めば、問題はすぐには解決しない。菊川会長をまず辞めさせることから始めることである。

 それはそうとして、太田述正コラムで、TPPを取り上げないものだろうか。

<太田>(ツイッターより)

 「オリンパスの菊川会長兼社長が降格 後任社長に高山氏」
http://www.asahi.com/business/update/1026/TKY201110260332.html
 ファイナンシャルタイムス辞令<(コラム#5075)>通りだったね。(この部分、ツイッターより)

 日本の主要メディアの電子版の中では、珍しく踏み込んだ報道をした毎日。↓

 「・・・オリンパスが08年に実施した英医療機器メーカー「ジャイラス」の買収に伴う投資助言会社への巨額の支払いをめぐり、英米系監査法人が「不適切な行為が行われた可能性を排除することはできない」と指摘していたことが、毎日新聞が入手した監査法人の中間報告書で明らかになった。・・・弁護士らが作成した別の・・・報告書は不正な点などはなかったとしているものの投資助言会社との契約内容が菊川剛会長ら一部経営陣だけで決められ、取締役会が約半年後に事後承認したと言及している。
 中間報告書は、マイケル・ウッドフォード前社長の依頼で10月に作成され、取締役会などに提出された。・・・」
http://mainichi.jp/select/biz/news/20111026k0000m020140000c.html

 <引き続き客観報道を続けてる日経の電子版に掲載されてところの、>オリンパスが公開した、問題になっている買収案件についての報告書だ。
http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr1/tdnetg3/20111027/751iov/140120111027032191.pdf
 手数料等の額の大きさについての説明はほんのちょっとだし、手数料等を払った後、仲介業者がドロンしちゃってる件については関知しないの一点張り。(この部分、ツイッターによる)
 
 ファイナンシャルタイムス、連日、容赦ない報道を続けている。↓

 ・・・The man who ran the company that Olympus says it bought through the adviser’s good offices has reportedly never heard of the firm. There is also the question of why Olympus paid Y73bn for three small, money-losing companies in Japan whose previous owners are equally hard to track down.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/78113ae4-ffed-11e0-8441-00144feabdc0.html#axzz1bqtp3gKi
 ・・・The financial adviser, Axes Securities, was registered in New York, though it and a Cayman Islands-registered affiliate appear to have ceased operations soon after receiving payment from Olympus.
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/1f013260-ffa7-11e0-89ce-00144feabdc0.html#axzz1bqtp3gKi

 負けじと米国の代表的経済紙たるWSJも容赦ない報道を始めている。↓

 <オリンパスの新社長就任会見のリアルタイム報道だ。↓>
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2011/10/26/live-blog-olympus-chairman-steps-down/?mod=WSJBlog&mod=WSJ_Japan_JapanRealTime
 <日本型経済体制の一環たる日本型経営・・私に言わせれば、その崩壊過程における堕落形態・・を糾弾する記事だ。↓>
 <だけど、堀江、村上両名を持ち上げてるのはどうかと思うね。↓>
 ・・・Proof that Japan is unwilling to change came in the mid-2000s, when the courts jailed Takafumi Horie, CEO of Livedoor, and Yoshiaki Murakami, founder of the Murakami Fund. The two were accused of securities fraud, but their real sin was to shake up the market by mounting hostile takeovers of underperforming firms. The kind of "American-style" capitalism that would remove poorly performing managers was clearly intolerable.
 <このところ、株式の持ち合いや低配当率、あるいは同一日の株主総会の開催、が復活しつつあるってのは耳が痛いな。↓>
 Other signs that Japan is slipping back into its old ways is the resurgence of cross-shareholdings among related companies, and the low level of dividend payments, despite large cash holdings. Companies continue to hold their annual general meetings on the same few days in June, ostensibly to prevent organized crime racketeers from extorting money in return for not asking impertinent questions. But one has to ask why managers are so afraid of difficult questions in the first place.・・・
 <日本の政治家も官僚も全部グルだって言われてるぞ。コミュニティ志向(communitarian)というタテマエの下、みんな個人的利益(personal interests)を追求してるってさ。
 僕に言わせりゃ、日本型政治経済体制の崩壊過程における堕落形態なんだけどね。連中にゃ信じてもらえないだろな。↓>
 Olympus has lost half of its value, so investigators will be obligated to give the public a modicum of insight into what happened. But don't count on it having a lasting impact. In the end such spectacular failures are less important than chronic mismanagement across the corporate sector, which the Japanese elite closes ranks to conceal. Perhaps that's because the men who hold the top posts in the corporate world, civil service and parliament are perfectly content with a system that is billed as communitarian but in reality serves their personal interests.
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203554104576654853829382730.html?mod=WSJ_Opinion_LEFTTopBucket

 ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンの指摘を踏まえれば、政治家やマスコミに知らず知らずのうちに洗脳されている可能性がある我々ってことになる。↓

・・・A simple or repeated phrase, printed in bold or italics, makes us feel good; it just seems right. For Kahneman, that's exactly what makes it so dangerous. ・・・
http://www.slate.com/articles/life/science/2011/10/daniel_kahneman_s_thinking_fast_and_slow_reviewed_.html

 重信房子の娘の話が大きく出てた。今時、なんで?↓
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-15189106

 ルーマニア最後の国王(父方も母方も英ヴィクトリア女王の玄孫)のインタビュー記事が出てた。↓
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-15448163
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太田述正コラム#5078(2011.10.27)
<中野雅至『天下りの研究』を読む(その6)>

→非公開