太田述正コラム#4969(2011.9.3)
<皆さんとディスカッション(続x1312)>

<太田>(ツイッターより)

 戦間期の日英両国の高級軍人や幹部外交官の学歴を見ると、英国の方がはるかに多彩だ。
 それぞれ、たたき上げもおれば、文学部系を専攻した者も多い。
 日本は陸士・海兵(陸大・海大)や東大法ばかりだ。
 とはいえ、どちらの軍事・外交機構の方が総体的により仕事ができたかは微妙だ。
 どっちが<先の大戦で>より負けた?

 うって変わって、今日は紹介すべき記事が目白押しで、その中に重ったーい英文記事も少なくない。
 なお、コピペするほどではないが、印象深い邦訳記事がこれだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/5832945/ 
 言うまでもなく、日本人の人間主義を称賛したもの。

<ΗΖΖΗ>(「たった一人の反乱」より)

 しかし今回はさらに酷い内閣だな。
 すぐ辞任に追い込まれそうな連中ばっかりw。
 こりゃ年内解散もありえそうw。

<ΖΗΖΗ>(同上)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2011090200223
太田さんが菅内閣より酷くなるって言ってなかったっけ?
 まさにその通りになったって事か。

<ΖΖΗΗ>(同上)

 民主党も自民党化してきたな。学級会的な「グループ」が派閥化してきた。
 こりゃただの派閥抗争と派閥均衡人事じゃないか?

<ΖΗΗΖ>(同上)

 内部崩壊したのは菅が利害調整に失敗したから、っていう辻元の解説はその通りだろうな。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110901ddm013010006000c.html

<ΗΗζζ>(同上)

 太田さんは死刑制度自体に反対していたと思いますが、もし太田さんが法務大臣を引き受けたとしたらやはり任期中ずっと死刑執行の許可を出さずに保留し続けるのでしょうか?

<太田>

 ぼかぁ死刑廃止論に与してなんかいやせんよ。

<ΗζΗζ>(「たった一人の反乱」より)

 一川防衛相「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110903k0000m010099000c.html

 日本の政治指導層はいつになったら、シビリアンコントロールなる古い概念から完全に脱却して、政と軍の間でシビルミリタリー・リレーションズを構築することができるんだろう。
 まぁそれ以前に独立しろって話なんだけど。

<太田>

 この際、野田自身及び組閣関連の記事をまとめとこう。


 野田、謝辞を公然と述べたって方がより問題だ。
 彼、意外に脇が甘いか、いいスタッフを抱えていないか、その両方か、だな。↓

 「野田首相も外国人献金 民団関係者らから30万円・・・ 
 野田首相は21年10月、千葉で催された「韓日友好イベント」に出席し、政権交代をもたらした衆院選について、「千葉民団の皆さんの力強いご推挙をいただき、力強いご支援をいただきましたことを、心から御礼申し上げたいと思います」と謝辞を述べている。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110903/crm11090302000001-n1.htm

 何でこんなに前原に配慮してるのかなあ。↓

 「・・・首相は8月30日、前原氏の起用に当たり、法案、予算、条約の国会提出について「政調会長の了承を原則とする」と明言した。政調会長代行のポストを新設し城島光力前政調会長代理を起用、後任に三井辨雄衆院議員を充てる人事も決め、機能を強化した。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110902/stt11090223430012-n1.htm

 こういう背景があるとしても、ドシロウトの財務相ってのはいかがなものかねえ。↓

 「・・・安住淳財務相、旧大蔵省OBでもある古川元久国家戦略相兼経財相は、ともに財政規律派。野田首相が自らの方針を実行するために起用した。・・・
 安住氏<は>財政問題にそれほど詳しくない・・・
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2011090302000025.html
 「・・・「影の財務相が岡田さん、影の経済財政担当相が仙谷さん」(民主党中堅議員)という指摘が出ている。・・・」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110903k0000m010182000c.html

 これ↓もどうかと思うが、後出参照。

 「玄葉新外相、外交経験なし!?・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20110903000009

 財務相、外相と来て、経産相まで、ドシロウトときたもんだ。まいったねえ。↓

 「・・・首相に近いベテラン議員は鉢呂吉雄氏の入閣を首相に勧めたが、経済産業相と聞き「てっきり得意分野の農相だと思っていた」と驚きを隠さなかった。
 首相を支持したある中堅議員も、財務相や外相など主要閣僚に首相に近い人物をそろえ、小沢グループからも起用した手法を「顔ぶれを見て腰が抜けた。論功行賞と派閥順送りの混ぜ合わせだ」と批判する。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2011090302000026.html

 国家公安委員長はお飾りポストだし、野田、拉致問題は打開の可能性なし、と見てるんだろうね。消費者庁は、早くも開店休業状態に?↓

 「・・・消費者相と国家公安委員長と兼務で山岡賢次氏が拉致問題担当相に就任した・・・山岡氏は、超党派の国会議員でつくる拉致議連にも所属せず、拉致問題に関しては全くといっていいほど活動実績がない。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110903/crm11090300440000-n1.htm

 野田、TPPもパスする気だな。↓

 「TPP・・・への参加については、担当する鉢呂氏が・・・「国内の産業にどう影響するかも考慮しながら対応していきたい」と、慎重姿勢をみせた。再任した鹿野道彦農相も慎重で、キーパーソンがいずれも慎重派になった。首相自身はTPPに積極的で二人をどう説得するか。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2011090302000025.html 前掲

 どうやら、野田は、次の参院選で民主党が多数を回復し、次の総選挙で民主党が多数を引き続き確保するまでは、災害復旧と増税だけをやろうというつもりみたいね。
 防衛大臣に何もできないであろう人物をつけ、幻葉光一郎を単に外交案件に通暁させるためだけに外相にしたのは、属国日本の外交防衛はそれで十分であると割り切ったからだ、と考えたいね。

<bonkers_blunder>(ツイッターより)

 新しい防衛大臣は小沢系ですが、野田政権は集団的自衛権行使の解禁に踏み切るでしょうか? 
 チャンスを活かして野田首相には頑張ってもらいたいです。
http://bit.ly/q2K1jN

<太田>

 以上からすれば、次の2つの選挙が終わるまでは、野田新首相、(災害復旧と増税を除き、)集団的自衛権はもとより、TPPも含めて、ムツカシー案件は、ことごとくスルーするつもりなんじゃない?
 だから問題は、野田が、選挙に勝てるか、勝てた場合のことを見据えるほど長期的視点で戦略を練ることができる人物なのか、だろうね。

<ΗζζΗ>(「たった一人の反乱」より)

 太田さんは、日本の場合、手続き的正義か実体的正義、どっちを重視してると考えてるんですか。
 あるいは両立しているのか。

<太田>

 もうちょっと具体的に説明してくれないと、何を聞いてるのか分からんちん。

<TA>

≫さてと、TAさんが言いだしっぺのわれらが赤露論争<(コラム#4963)>については、結論を急がずに、引き続きみんなで考えて行きましょう。≪(コラム#4965。太田)

 古川隆久(コラム#0047など参照)の『あるエリート官僚の昭和秘史 『武部六蔵日記』を読む』に、日本陸軍の赤露脅威論に関する記述がありました。これは「<1939年、>武部<が>・・・岩畔豪雄陸軍省軍務局長から陸軍の国防計画の概要を聞き、日記に詳しく書きとめた」(168頁)ものです。

 (注)「武部 六蔵(たけべ ろくぞう、1893年(明治26年)1月1日 - 1958年(昭和33年)1月19日)は、日本の内務省官僚。・・・
 1932年6月、秋田県知事に就任。1935年1月、関東局に転じ司政部長、さらに同総長を務める。1939年1月、企画院次長に就任し、同総裁心得を務めた。1940年7月、満州国国務院総務長官に就任し、1945年8月の終戦で廃官となるまで在任。
 1945年9月、シベリア抑留となり、1950年7月、戦犯容疑で中華人民共和国に引き渡され撫順戦犯管理所に収容された。1956年7月に帰国した。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E9%83%A8%E5%85%AD%E8%94%B5

 以下、引用します(一〜三十三項目の箇条書き形式から、抜粋しての引用)。↓

 「(二十) ソ連は当初思想戦を以て世界を攪乱せんとし武力を軽視したるも、一九二八年に産業五ヵ年計画実施のときより、武力第一主義となり、唯物的国防に移りたり。戦力は鉄の分量に比例す。火砲、弾薬、飛行機、戦車、細菌等を重ずることとなりたり。之ソ連戦略の変遷なり。」(170頁)

 (注)「1921年・・・、ロシア革命と内戦の混乱で疲弊したソビエト連邦の経済はようやく立ち直った。しかし、・・・貧富の差の解消や労働者階級による国家統治という、社会主義の基本理念との矛盾が発生した。
 これを解消し、ソビエト連邦共産党による強力な国家支配を可能にしようと、スターリンは1928年に党内の反対派を押し切り、この第一次五カ年計画を発表した。・・・
 その結果、ソ連政府の公式発表によると、鋳鉄生産高が1928年の330万トンから1932年には620万トン(第二次五ヶ年計画最終年の1937年には1450万トン)、発電量が1928年の500万キロワットから1932年に1350万キロワット(1937年には3620万キロワット)など、重工業部門で大きく生産量を伸ばした。・・・
 この成功により、ソ連は後にソ連型社会主義と呼ばれる独自の社会体制を建設した。・・・
 また、国家による長期経済計画の策定とその実行はソ連以外の資本主義諸国に驚きを与え、政府が積極的に経済政策へ介入するケインズ経済学の登場やニューディール政策の提起につながっていった。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E6%AC%A1%E4%BA%94%E3%82%AB%E5%B9%B4%E8%A8%88%E7%94%BB

 「われらが赤露論争」に関して、私には口を挟む知力はないのですが、ソ連の五ヵ年計画が転換点ではないのかな〜とは思いました。

 
 ところで、同じく武部が岩畔から聞いた話として疑問に思う記述がありましたので、引用して太田さんに質問したいと思います。↓

 「(十四) 世界は共産勢力、防共勢力、デモクラシー勢力に三分せらる。防共勢力は両面に摩擦を有す。
 (十五) デモクラシー勢力特に英国に対しては硬軟両様に外交政策を施す。
 (十六) 米国は中立を守らしむることに努力す。
 (十七) 仏国を場合により防共陣営に引込む。之は却々困難なり。
 (十八) スペインとの関係から南米を防共陣営に引込む。
 (十九) 独乙[ドイツ]がロシアと国境を接するは此一、二年、なるべし。此の間ロ独開戦の危機あり。日本にも之は危機となる恐れあり。」(170頁)

 「世界は共産勢力、デモクラシー勢力に二分せらる」であればよく分かる話なのですが、これに「防共勢力」を加えるという考え方(当時の認識)が良く分かりません。記述からすると、日本を「防共勢力」とし、英国(含む米国?)などを「デモクラシー勢力」と考えて、両者を分けて考えているようです。また、「防共勢力は両面に摩擦を有す」の裏を返せば「デモクラシー勢力は共産勢力と摩擦を起こさない(容共勢力)」と主張していることになります。「防共勢力」を「ファシズム勢力」とでも読み替えれば国語的には意味は通りますが、日本はファシズムではありませんしそれを自称していたこともなかったのではないでしょうか。
 結局、「デモクラシー勢力」の中で「容共勢力」と「防共勢力」とを分けて考えている旨を、単に省略して記述しただけなのだと納得したのですが、この件、深く考える必要はないのでしょうか。

 ご迷惑でなければ、古川の著作及び原典たる『武部六蔵日記』及び関連資料の関連部分のコピーをお送りします(多分ですが、太田さんにとってそんなに面白い記述はないと思います。あくまで、私の質問への回答に参考になればと思ってのものです)。

<太田>

 xxxxさん提供の『戦前日本人の対ドイツ意識』を紹介するシリーズを近々始めますので、多分、その中で解答が出てくると思います。
 資料は、ぜひ送ってください。 


 それでは、その他の記事の紹介です。

 米国が抱える最大の問題は、その政治制度の耐用命数が過ぎてしまっていることだとさ。私がかねてから指摘してることだけどね(コラム#省略)。↓

 ・・・Part of the difficulty comes from the constitution. It is far from clear that a system devised in the vastly different circumstances that prevailed over two centuries ago can deal with the world we live in today, and when the political class is as polarised as it is presently the system comes close to being unworkable.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/059dda68-d30f-11e0-9aae-00144feab49a.html#axzz1WqdGdpmf

 インドのひどい現状が分かる。↓

 ・・・The majority of the population still lacks access to a toilet, the average time children spend in school is about four years, and about half of those under the age of five are severely malnourished -- a record worse than that of many countries in sub-Saharan Africa.・・・
 ・・・sanitary towels -- unavailable to some 90 per cent of Indian women・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/c899f6e6-d3be-11e0-bc6b-00144feab49a.html#axzz1WqdGdpmf 

 国家破産以来のアルゼンティンの経済高度成長がとりあげられている。↓

 ・・・Argentina is not without problems, but its recent economic record speaks for itself: the economy has grown by over 6 percent a year for seven of the last eight years, unemployment has been cut to under 8 percent today from over 20 percent in 2002, and the poverty level has fallen by almost half over the last decade.・・・
http://www.nytimes.com/2011/09/02/opinion/argentinas-turnaround-tango.html?_r=1&pagewanted=print

 三つの大飢饉をとりあげた本の書評だが、うち二つはイギリスの植民地で起こったもの。
 イギリスの植民地統治でさえ、どんなに過酷だったかが分かる。
 この話も何度も取り上げてるけどね。(コラム#省略)↓

 ・・・three famines: the potato famine in 1840s Ireland, the terrible hunger that struck Bengal in 1943, and the Ethiopian famines of the 1970s and ’80s.・・・
http://www.washingtonpost.com/entertainment/books/2011/08/03/gIQAAis4uJ_print.html

 書評で、エリザベス1世統治下の女性の活躍ぶりの取り上げ方が不十分だと書評子が書いてるが、彼があげる人名のほとんどが知らないもの。イギリス史の奥は深い。↓

 ・・・His brief examination of Elizabeth’s scholarship mentions her tutor Roger Ascham but not his wife and editor, does not cite Elizabeth’s own writing, and ignores her scholarly stepmother Katherine Parr -- the first woman to publish in England. There is no mention of the linguist Lady Ann Bacon; Anne Lock, who published the first sonnet sequence in English; Isabella Whitney, one of the first professional women writers in Europe; the radical poet Aemilia Lanyer; or Mary Sidney Herbert (sister of Sir Philip Sidney), who created a literary circle that included her niece, the poet and novelist Mary Wroth, and Elizabeth Cary, the first woman playwright in English.・・・
http://www.ft.com/intl/cms/s/2/bbf12650-d001-11e0-81e2-00144feabdc0.html#axzz1WqdGdpmf

 「中国嫁日記」(コラム#4652)の紹介がなされていたな。↓
http://book.asahi.com/book/booktimes/2011083100040.html            
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 一人題名のない音楽会です。
 谷村新司の2回目は、私が余り好きじゃないけれど、省くわけにはいかない2曲をお送りします。

昴 フルオーケストラが伴奏だよ。
http://www.youtube.com/watch?v=I0oq0k2GfIc&feature=related
 前川清 お笑い調。
http://www.youtube.com/watch?v=KogTMLJo6C4&feature=related
 美空ひばり 私はひばりが余り好きじゃないけどこの曲は彼女にぴったしだ。
http://www.youtube.com/watch?v=bptlzuXknCI&feature=related
 テレサ・テン(麗君) 日本語+広東語。この曲、あんまし彼女にあってないね。
http://www.youtube.com/watch?v=GeE5lm0Ny3s
 關正傑(Michael Kwan Ching-Kit) 広東語
http://www.youtube.com/watch?v=WQzqzSCzlm4&feature=related
 金蓮子 何かが不足している。
http://www.youtube.com/watch?v=1T0gYIh5wGw&feature=related
 金蓮子 島津亜矢 2人のシナジー効果が素晴らしい。
http://www.youtube.com/watch?v=460uoE7e7b4&feature=related
 水森かおり まあまあ。
http://www.youtube.com/watch?v=aXSMS1RAE_A&feature=related

忘れていいの−愛の幕切れ 
http://www.youtube.com/watch?v=3OSlufTYGD8&feature=related
 小川知子&谷村新司 これがオリジナルみたいね。
http://www.youtube.com/watch?v=8PfXBe2FWCE&feature=related
(この二人の組み合わせなら、こっちの方がおすすめ。↓
愛の奇跡 作曲:田辺信一
http://www.youtube.com/watch?v=G64il1W6O6g&feature=related )
 岩崎宏実、谷村新司
http://www.youtube.com/watch?v=Bfm47Ie1fEE&feature=related
 大地真央 谷村新司 
http://www.youtube.com/watch?v=AQE8UT9qsy0&feature=related
 角川博 日野美歌 
http://www.youtube.com/watch?v=NhWuaeKz-y4&feature=related

 小川は画像が出てこないが、総合的に見て大地>岩崎>小川>日野 か↑。西島三重子に歌わせてみたいなあ。

(続く)
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太田述正コラム#4970(2011.9.3)
<戦間期日英関係の軌跡(その11)>

→非公開