太田述正コラム#4919(2011.8.9)
<皆さんとディスカッション(続x1288)>

<太田>(ツイッターより)

 空調機はかけてるんだけど、寝苦しくて目が覚めちゃったんで早朝から失礼。先月、今年の夏は蝉が鳴かないって話がひとしきり出てたけど、
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2011-07/21/content_23039713.htm
 いまだに蝉の鳴き声があんまし聞こえてこないね。皆さんのところはいかが?

 (コラム#4917に関し)妖(あやかし)は、相手にし過ぎても、相手をしなくても去って行く。
 妖の諸君との楽しくもせつない交流もそうだが、サナトリウムのような役所の世界から飛び出したおかげで、神秘と驚異に満ちた娑婆を体験することができ、本当によかったよ。
 ボクのような元官僚がどうしてもっと出てこないのかねえ。

<ζζιι>(「たった一人の反乱」より)

 「バグってハニー」さんだの「ライサ」さんだのと過去に何があったのか知らんが、「私も大方の日本人と同じで、別に日本は平和で豊かな国だからいますぐ「革命」が必要だなんて思ってないですから。」にはズッコケるな。
太田さんがどうかは知らんが、戦前日本の利他的(とも受け取れる)行為と戦後日本の吉田ドクトリンによるエゴイズムを比べ、堪え難い怒りを俺は感じる。
 国家の尊厳がどーとかはどうでもいいが、このエゴイズムだけは許せない。太田コラムを読んで、そう思えるようになった。

<太田>

 気持ちは分かるけど、彼、ハーフなんで、日本人でありかつ米国人でもある、という意味でも多重人格なんだろうから、「怒」ってもしょうがないと思うよ。

<KT>

 バグってハニーさんとライサさんの文章を読みました。
 感想は、相手に一方的な価値観を押し付ける行為は怖いです。
 太田さんを最初から悪意をもって接して、そのことに気づかれてない、と思ってる事が、相手をすでに理解していないのでしょうか。
 文章(表現)は、文章を書いた人間(表現者)そのものを見せていると考えているんですが、バグってハニーさんとライサさんの表現は、自分も他人事では無いです。

<太田>

 妖(あやかし≒精神障害「的人物」)ってのは一筋縄じゃいかないぞ。
 そもそも、他人に対して主観的には悪意なんかないなさそうだけど、客観的には悪意があるとしか思えない、という妖が結構いるんじゃないかい。
 また、「一方的な価値観を押し付ける」というのは、妖に確固とした価値観があることを前提にしてるわけだけど、そんなものない場合も少なくないんじゃないかな。
 だって、妖であることに気付くのは、例えば、私がその人物の価値観を色々忖度した上で、そのどの価値観に照らしても、その人物の言動のすべてが合理的に説明できない場合が多いんだからね。
 更にまた、私だって、エスパーじゃあるまいし、私に近づいてくる人物が最初から妖か「まとも」かなんて分かんないよ。
 自分はかつて妖でした、と自己紹介した人物こそいたけど、自分は妖です、と自己紹介した人物なんて、これまで一人もいないんだからね。
 そしてまた、「文章(表現)は、文章を書いた人間(表現者)そのものを見せている」は、一般論としてはおおむねそうなんだけど、場に応じて、「文章(表現)」を使い分けている、多重人格的妖もいるからねえ。
 例えば、バグってハニーさんは、仕事場や家庭での言動と、(相対的に匿名性のある)ネット上での言動を使い分けてるって自認してただろ。

 ところで、ライサ妖さんの真の名前(病名)は何なんだろう。

<ζιιζ>(「たった一人の反乱」より)

 お台場騒然、「韓流やめろ」コール フジ批判デモに多数参加
http://www.j-cast.com/2011/08/07103785.html

 こんなのやってたのを今頃知った。
 何やってんだって呆れる反面、

 原爆の日の翌日にフジテレビ「イケパラ」で前田敦子が「LITTLE BOY」Tシャツを着用
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1652068.html

 さすがに無神経すぎるだろフジTV。

<ΚΚΖΖ>(同上)

 壮大な税金の無駄遣いでした。
http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011080801000632.html

<太田>

 「菅首相は「使用済み燃料の処理、放射性廃棄物の処分やプルサーマルの在り方、高速増殖炉など核燃料サイクル政策についても予断を持たないでしっかり検討することが必要な時期だと考えている」」と言っただけだろ。
 当たり前のこっちゃないの。


 それでは、記事の紹介です。
 
 池上彰と加藤陽子(コラム#3087、3091、4007、4012、4271)の対談
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110802/221831/?top_updt
を読むと、二人とも比較的まともな人物だと思ってただけにガックリくるね。

 ・・・
池上:第二次世界大戦のまっただ中、大岡・・・昇平・・・だけでなく、大半の日本人は、戦争を許容していた。それと同じように、現代の私たちは、消極的ながら原子力発電を許容していたのではないか――というわけですね。
 加藤先生の著書『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』のタイトルを借りると、戦争を選んだ日本人は、「それでも、原発を選んだ」ことになります。
 ・・・戦時中、当局以上に戦争を礼賛していたマスコミと同様、現代のマスコミも原発を許容し、あるいは他人事と考えていた側面があります。
加藤:それで取り返しのつかない事態が起きてしまいました。第二次世界大戦に続いて、あらゆる日本人が「絶対的な間違いを犯してしまった」と思うに至った出来事は、今回の原発の事故が近代に入って二度目です。

→戦争も原子力発電も手段に過ぎない。ベネフィット(便益)とコスト(費用)の兼ね合いで採用すべきかどうかが判断される、というだけのことだ。こういう話で、白か黒かみたいな議論の仕方をして欲しくないねえ。(太田)

 ・・・
池上:原発反対と原発推進の議論が、並行線をたどるだけでいっこうに交わらず、結果として現実に悪い影響をもたらした、という点においてそっくりだなと連想するのは、「第二次世界大戦時の日本」以外に、「自衛隊問題」があります。
加藤:・・・政治と経済があまりにも安定的に来てしまったので、国民としては、自衛隊とは何か、憲法9条の国内的な意味は何か、真剣に考える必要なくして、ここまで来てしまったという気がしています。

→せっかく、池上が、白か黒かみたいな議論は、「自衛隊問題」に関してはすべきじゃないと正論を吐いたのに、歴史学者の加藤が評論家みたいなこと言ってちゃダメだろが。
 吉田ドクトリンにどうして言及しないんだよ。(太田)

 ・・・
加藤:・・・たしかに自衛隊問題を含む安全保障問題も憲法9条問題も、違憲か合憲かの神学論争だけがひたすらクローズアップされて、実際に存在する自衛隊の機能についてのチェックはマスコミも怠っていましたね。

→戦後に関する加藤の歴史感覚はトホホとしか言いようがないね。
 吉田ドクトリンの問題性がまるで分かってないね。
 吉田ドクトリンの下では、自衛隊の軍隊としての機能を問うてみても仕方がないの。
 だって、自衛隊は、対宗主国向け見せ金なんだもの。(太田)

 ・・・
池上:・・・実際は海自の船に陸自のヘリを載せる、という想定は侵略につながるんじゃないか、というふうに「想定すること自体」をタブーにしてしまった可能性がある。・・・
加藤:「想定すること自体」がタブーというのはまさに今回の原発事故と同じですね。

→吉田ドクトリンの下では、有事を「想定すること自体」、そもそも日本有事はありえないし、日本外有事においては自衛隊を関与させないこととされているので、無意味だというだけのことだ。タブーでもなんでもないよ。
 他方、先の大戦の話は置いといて、原発については、これまたメルトダウン的有事を「想定すること自体」がタブーだったわけじゃなくって、単に想定が甘かっただけだろ。(太田)

 ・・・
加藤: ・・・1944年6月、日本は前線司令部を構えていたサイパンで米軍と激突し、7月にはほぼ全滅状態でサイパンが陥落します。この時点で日本が戦争に負けるであろうことは、天皇も近衛文麿首相も大本営も国家の中枢にいた人たちはみんなわかっていた。けれども、事実をひた隠しに隠し、まさに大本営発表を繰り返しました。なぜかといえば、国民の前に真実を伝えた時の国民の反応が恐い。そのような経験がないからです。敗北という事態を想定しないわけですので、合理的な敗け方がわからないのです。政府も国民も。

→ソ連が参戦した時に降伏したのは、合理的な敗け方だったんじゃないの、加藤センセよー。(太田)


 もっと世界中で研究者が増えていいんじゃないか。
 ポルノを含む日本の性風俗文化は、世界の精華だもんね。↓

 「・・・香港大学専門研修学院(HKU SPACE)が、「日本の性風俗文化」とテーマとした型破りな授業を開講した。・・・」
http://j.people.com.cn/94475/7563204.html

 英米の主要メディアまで、いまだにイギリスでの今次大暴動の背景分析でまともなものを紹介できないでいるのは、一体どういうわけだ。↓

 ・・・The violence first erupted Saturday night in Tottenham, a gritty north London neighborhood, after the fatal shooting of a black resident by police investigating gun crimes. Those riots triggered a ripple effect among disenfranchised youths in other parts of the city Sunday, and the unrest increased in size and intensity Monday.・・・
 Officials said they had detained 215 people and charged 25.・・・
 A group of rioters attacked a cluster of shops in Birmingham, Britain’s second-largest city. ・・・
http://www.washingtonpost.com/world/europe/looting-arson-spread-widely-in-london-as-civil-unrest-escalates/2011/08/08/gIQAkUW12I_print.html

 先の大戦での連合国側の最高の女性スパイがナンシー・ウェークだったんだね。
 彼女の話をもとにした小説や(ケート・ブランシェット主演の)映画もあるらしい。
 それはともかく、彼女の人生の軌跡・・ニュージーランド生まれの豪州育ちで後半生はイギリスで終える・・は、改めてイギリス帝国いまだ健在なり、という感慨を抱かせるね。↓

 ・・・After the fall of France in 1940,・・・Nancy Wake・・・became a French Resistance courier and later a saboteur and spy - setting up escape routes and sabotaging German installations, saving hundreds of Allied lives.・・・
 After the fall of France in 1940, Mrs Wake became a French Resistance courier and later a saboteur and spy - setting up escape routes and sabotaging German installations, saving hundreds of Allied lives.・・・
 <仏・英・米の勲章を受章。↓>
 France awarded her its highest honour, the Legion D'Honneur; she also received Britain's George Medal, and the US Medal of Freedom.・・・
 <最初の夫(フランス人のビジネスマン)は、ゲシュタポの拷問を受けて死亡。↓>
 ・・・her husband, French businessman Henri Fiocca, had been tortured and killed by the Gestapo for refusing to give her up.・・・
 <二番目の夫はイギリス人の空軍士官。↓>
 Born in New Zealand but raised in Australia・・・She returned to Australia in 1949・・・In 1957 she went back to England, where she married RAF fighter pilot John Forward. Wake died in London. ・・・
 Her story inspired Sebastian Faulks' 1999 novel Charlotte Gray and a 2001 film by the same title, with the lead role played by Australian actress Cate Blanchett.
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-14441032
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太田述正コラム#4920(2011.8.9)
<イギリスと騎士道(その6)>

→非公開