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太田述正コラム#4819(2011.6.20)
<皆さんとディスカッション(続x1239)>

<太田>(ツイッターより)

 現在のNHK大河ドラマ、女性主人公ってのは結構だが、音楽も含めて物足らないねえ。
 そもそも、戦国時代末期と幕末期ばかりじゃ飽き飽きだ。
 NHKも、いいかげん、激動期中の激動期である戦間期〜戦中期をとりあげる勇気を持って欲しいもんだ。

<WIPS_Ebusu>(同上)

 同意。
 激動期中の激動期である戦間期〜戦中期のドラマも見たい。

<TA>

 「<中森明菜の『飾りじゃないのよ涙は』>は、歌手がいなくなってアーティスト(と若干の演歌歌手)ばかりになる という、日本のはやり歌の米属国化の完成を象徴
するものだったのさ。」(コラム#4817。太田)

 私が、音楽を聴くという習慣が全くないせいなのか、音楽および音楽業界そのものにも疎いためなのか、太田さんが何を仰っているのかが今ひとつピンときません。太田さんの言葉で言う「洋楽」とは「米国のポップス」を指すとのことですが、日本の音楽業界(と言っていいのかな?)の変化(洋楽的音楽化)のような現象は他の国では起こっておらず、あくまでも日本特有の現象なのでしょうか。
 この点への考察抜きに「米属国化の完成を象徴するもの」とするのは、疑問が残ります。
 現在、いわゆる「洋服」(ヨーロッパ起源(?)の、現代日本人の日常服)は世界中の人が着ていますが(典拠省略)、それをしてその国が属国であるとは言わないでしょう。

<太田>

 では、お馴染みの英国を例にあげましょう。
 日本の紅白歌合戦にに相当するのが、英国じゃ、クラシックの祭典であるプロムスであり、とりわけその最終日です。

 「ザ・プロムス・・・はイギリス・ロンドンで毎年夏開催される、8週間におよぶ一連のクラシック音楽コンサート・シリーズである。・・・ロイヤル・アルバート・ホールを中心に100以上のイベントが行われる、世界最大のクラシック音楽祭である。・・・イギリス国内では・・・最終夜「The Last Night of the Proms」・・・の模様はBBC2チャンネルで前半、BBC1チャンネルで後半部分が中継されるのが通例となっている。・・・会場のロイヤル・アルバート・ホールは毎回超満員となる。入りきれなかった人々およびロンドン近郊に居住していない人々に対する代償として、プロムス・イン・ザ・パークなる大画面テレビ中継が行われている。初めホールに隣接するハイド・パークのみで行われていたこの中継は、2005年よりベルファスト、グラスゴー、スウォンジーおよびマンチェスターの各都市に拡大されている(年により場所が異なることもある)。各会場ともアルバート・ホールからのフィナーレ中継前の時間には独自のライブ・コンサートの催しがもたれている。これらの会場に集まる人々の総数は数万人に達する。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/BBC%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%A0%E3%82%B9

 もう一つ、英国で、クラシック/正調歌謡曲的な歌が中心のミュージカルが音楽の世界において大きな存在感を示していることはよく知られています。

 で、英国における実際の大衆歌謡の世界はどうか?
 英国で2007年から始まり、世界的な話題にもなっているところの、怪物オーディション番組を俎上に載せてみましょう。
 本日の朝のツイッターで、以下↓のようにつぶやいたところです。
 
 英オーディション番組のブリテンズ・ゴット・タレント<(Britain's Got Talent)>の出演者の歌を朝から色々聴いている。その目的は? 本日のディスカッションで分かるよ。
< http://en.wikipedia.org/wiki/Britain's_Got_Talent >

 この番組の対象は、歌だけじゃなくって、ダンスでもなんでもありなのですが、ユーチューブで、この番組出場者が歌で競っている姿を撮ったものを探して、アクセス数の多い順番に3つ選んだのが下掲です。
                 
2007/06/13 99,760,907 Connie Talbot(2位) 「Over the Rainbow」 ミュージカル映画『オズの魔法使』(1938年)より。Harold Arlen(ユダヤ系米国人)作曲
http://www.youtube.com/watch?v=QWNoiVrJDsE&feature=related

2007/06/10 79,750,440 Paul Potts(1位)「ネッサン・ドーマ(Nessun Dorma)」 オペラ『トゥーランドット』(1926年)より。Giacomo Puccini(イタリア人)作曲
http://www.youtube.com/watch?v=1k08yxu57NA&feature=related
  
2009/04/11 69,161,443 Susan Boyle (2位)「夢やぶれて」ミュージカル『レ・ミゼラブル(Les Miserables)』(1980年/1985年)より。Claude-Michel Schonberg(フランス人)作曲
http://www.youtube.com/watch?v=RxPZh4AnWyk&feature=related

 ユーチューブのアクセスは、英国だけではなくて全球的なものではないか、と言われちゃうかもしれませんが、この番組で、英国人たる3人の審査員によって、これらが1位や2位に選出されたことや、この3人の鑑識眼が確かな証拠に、当番組出場者中、英国でプロ・デビューを果たすことができたのは、この3人を含む5人のみで、また、セカンド・アルバム以上を出すことができたのはこの3人のみ(ウィキペディア上掲)であることから判断すると、ユーチューブ・アクセス数は、英国人大衆の選好度を的確に反映している、と言ってよさそうです。
 さて、この3つが、いずれも私の言う洋楽(米国流ポップス)ではない、クラシック/正調歌謡曲的な歌であることにお気づきでしょうか。
 念のためですが、一番最初のは米国人作曲家による米国の歌ではあっても、断じて洋楽(米国流ポップス)の範疇には属しません。
 つまり、英国では、大衆によって最も好んで歌われている曲、最も人気がある曲は洋楽(米国流ポップス)ではない、ということです。

 他方、現在の日本ではどうか?
 紅白歌合戦を見れば一目瞭然であって、現在では洋楽に席巻されています。

 日本の大衆歌謡のヒット曲は、ど演歌を除けば、かつては、代表的な作曲家が古賀政男(注1)、代表的な歌手が藤山一郎(注2)や淡谷のり子(注3)のような人々であったことからも分かるように、クラシックがベースのものであったのです。

 (注1)「明治大学に入学し、明治大学マンドリン倶楽部の創設に参画した。当時の明大マンドリン倶楽部は、ボッタキアーリ、ラウダス、バッチなどのマンドリンの大曲が演奏されていたが、古賀も「幻想的狂想曲」(ロマーノ)の難曲を独奏するなどの活動が見られている。・・・大学卒業後・・・、日本コロムビア専属<の>作曲家と<っ>た。この時、東京音楽学校在籍時の藤山一郎と出会ったことが古賀政男の人生を大きく変えることになった。藤山一郎の歌唱表現が古賀政男の才能を開花させたのである」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E8%B3%80%E6%94%BF%E7%94%B7
 (注2)「東京音楽学校(後の東京藝術大学音楽部)卒業・・・藤山はプロの歌手にとって重要なのは正式に声楽を習い基本的な発声を習得し、基本に忠実でしっかりとした発声により歌詞を明瞭に歌うことであり、技巧を凝らすのはその先の話であると述べている。・・・後輩歌手では伊藤久男、近江俊郎、岡本敦郎、布施明、尾崎紀世彦、由紀さおり、芹洋子、倍賞千恵子、アイ・ジョージなどを「ただクルーンするだけでなく、シングも出来る両刀使いだから」と言う理由で評価していた」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%B1%B1%E4%B8%80%E9%83%8E
 (注3)「東洋音楽学校(後・東洋音楽大学、現・東京音楽大学)・・・<を>卒業した。・・・クラシックでは生計が立たず、家を支えるために流行歌を歌う。1930年1月、新譜でポリドールからデビュー盤「久慈浜音頭」が発売。キングでも吹込みをはじめる。当時、佐藤千夜子の活躍以来、奥田良三、川崎豊、内田栄一、四家文子ら声楽家の流行歌への進出が目立っていた。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%A1%E8%B0%B7%E3%81%AE%E3%82%8A%E5%AD%90

 それが、すっかり様変わりして、現在のように洋楽に席巻されてしまう契機になったのは、日本の敗戦と米国による占領、更には米国への属国化、に伴う洋楽の大量流入である可能性が極めて高い、というのが私の見解なのです。


 それでは、記事の紹介です。

 「閔妃暗殺事件の主犯・動機を探る」っていう、朝鮮日報の書評記事、ひどいねえ。
 「著者は、明成皇后が生まれてからちょうど100年後に生まれ、大阪で育った。奈良女子大学で東洋史を専攻し、修士号を取得した。後書きで、自分自身を「大学院修士課程を終え、引き続き7年間も史学科助手の職を与えられながら、一人前の研究者になれないまま退職した、研究者の『落ちこぼれ』です」と表現した。」と自認する著者がロクな本を書けるワケないだろが。↓
http://www.chosunonline.com/news/20110619000002
http://www.chosunonline.com/news/20110619000003

 なお、この事件をあまりよくご存じない方は、以下↓を参照のこと。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%94%E5%A6%83 
http://mirror.jijisama.org/kankoku_heigou2.htm

 なお、最後のもの↑には、閔妃がらみの話以外も載っている。また、欧米人の書いたものの引用以外は基本的に無視することをお勧めする。

 既に何度も当コラムで言及している話だが、改めて、米国における所得不平等度の増大についての詳細な記事が出ていた。↓

 ・・・Income inequality has been on the rise for decades in several nations, including the United Kingdom, China and India, but it has been most pronounced in the United States・・・
 In 1975, for example, the top 0.1 percent of earners garnered about 2.5 percent of the nation’s income, including capital gains, according to data collected by University of California economist Emmanuel Saez. By 2008, that share had quadrupled and stood at 10.4 percent.
 The phenomenon is even more pronounced at even higher levels of income. The share of the income commanded by the top 0.01 percent rose from 0.85 percent to 5.03 percent over that period. For the 15,000 families in that group, average income now stands at $27 million.
 <米国は、カメルーンや象牙海岸よりもひどく、ウガンダやジャマイカよりちょっといい、という有様。↓>
 In world rankings of income inequality, the United States now falls among some of the world’s less-developed economies.・・・— just behind Cameroon and Ivory Coast and just ahead of Uganda and Jamaica.・・・
 <会社経営陣、弁護士、不動産業者が高額所得者の三点セットだってさ。↓
 日本ではどうなんだろう。>
 After executives, managers and financial professionals, the next largest groups in the top 0.1 percent of earners was lawyers with 6.2 percent and real estate professionals at 4.7 percent. Media and sports figures, who are often assumed to represent a large portion of very high-income earners, collectively made up only 3 percent.・・・
 ・・・while executive pay at the largest U.S. companies was relatively flat in the ’50s and ’60s, it began a rapid ascent sometime in the ’70s.
 As it happens, this was about the same time that income inequality began to widen in the United States・・・
http://www.washingtonpost.com/business/economy/with-executive-pay-rich-pull-away-from-rest-of-america/2011/06/13/AGKG9jaH_print.html
 上記記事を裏付けるグラフ集。↓一番最後の米英仏日の比較グラフは一見の価値あり。
 米国も異常だけど、サッチャー革命以降の英国も異常だな。
http://www.washingtonpost.com/wp-srv/special/business/income-inequality/?hpid=z2
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太田述正コラム#4820(2011.6.20)
<イギリス人の起源をめぐって(その2)>

→非公開

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