太田述正コラム#4516(2011.1.23)
<2011.1.22オフ会次第(その2)>(2011.2.23公開)

2 オフ会そのもの

<Fat tail>

 質問登録をした日本型政治経済体制についてですが、ゲーム理論を用いて太田さんの、アクター間の長期的関係のメリットに着目する日本型政治経済体制論の正しさが証明されたというのに、誰も太田さんの論文の引用をしないんですよねえ。

<太田>

 誰かが数理経済学的に<日本型政治経済体制が一定条件下では最適であることを>証明してくれることを期待してたので、そりゃうれしいなあ。
 だけど、あなた、まだ私のその論文自体は読んでいないんでしょう。
 <皆さん、太田コラムの有料読者になると、ダウンロードできますよ。>

<Fat tail>

同様、登録したところの、『防衛庁再生宣言』に出てくる秀吉の朝鮮出兵に係る太田さんの認識、について教えて下さい。

<太田>

 秀吉<と違って海外侵攻はしなかったけれど、>徳川幕府は、秀吉のキリシタン禁制政策を踏襲しますよね。
 しかし、<カトリックたる>キリシタンのポルトガルやスペインは追い払ったけれど、<非カトリックたる>オランダとイギリスには逆に特権を与えて交易を続けたわけです。
 そのような<鋭い国際>感覚<、具体的には鋭い安全保障感覚及び文明感覚>でもって秀吉も行動したに違いない、と私は考えたのです。

<Fat tail>

同様、登録していたところの、第二次冷戦時代について認識を日本の当時の防衛庁及び政権上層部が共有していたのかどうか、についても聞かせてください。

<太田>

 <以前にもコラムで書いたと思いますが、1970年代末から80年代初頭にかけて>防衛庁の中枢であった防衛課にいた私のところに統合幕僚会議事務局からあがってきた、最初の日米共同作戦計画案に、ソ連がらみの有事になった瞬間に日本が無制限潜水艦を行う、と書いてあったのを見た瞬間、自衛隊が深く米国の戦略に組み込まれていることに気付いたんですよ。
 (こういうこと、普通、本来兵站計画中心であるところの共同作戦計画には書かないんですがね。)
 「無制限」ということは、<日本列島の東側の海域を中心にソ連の攻撃型潜水艦をやっつけて米軍の日本への海上兵站路を確保するとともに、オホーツク海にいる>ソ連の核弾道弾搭載原潜をもやっつけろってことですから・・。
 <そうして次に、この共同作戦計画案で、ものすごい大兵力の米軍が日本各地・・自衛隊基地、民間空港等・・に展開することになっていて、そもそも日本に対するソ連の軍事的脅威なんてないのに、何でなんだって考えたんですね。
 日本を拠点にして、極東でソ連に対して攻勢作戦をやるつもりなんだな、と思いました。
 そのねらいは、千島列島、更にはサハリンを占領し、ソ連の極東地域への侵攻態勢を構築してソ連に圧力をかけるとともに、このことともあいまってオホーツク海上の制空権を米軍が確保した上で、自衛隊・・この場合は海上自衛隊<の、しかもP-3C>ですが・・にソ連の核弾道弾搭載原潜を壊滅させるためだ、と私は読んだわけです。
 オホーツク海にいる核弾道弾搭載原潜を壊滅できれば、ソ連の第二撃核戦力の3分の1が消滅することになりますからね。>
 だけど、そういう受け止め方は、対潜水艦戦の実態というものをある程度分かっている人間じゃないとできないわけで、当時、統合幕僚会議事務局で共同作戦計画策定に携わっていた自衛官でも、陸自や空自の人じゃ気付かなかった人が多いはずです。
 いずれにせよ、このように自衛隊が深く米国の戦略に組み込まれているという話は、私が知る限り、それまでも、またそれ以降も防衛庁の内部部局では話題になったことがありませんし、私自身、この話を内部部局でしたこともありません。
 だから、この話を知らない防衛庁キャリアが大部分だったはずですよ。
 陸上自衛隊の上層部はうすうす気付いてた可能性はあるけれど、航空自衛隊は、<オタッキーなメカキチ集団であって、>そもそもこの類の話にあんまり興味がないから、上層部も気付いてなかったと思います。
 いわんや、政治家においておや、ってことです。
 もちろん、海上自衛隊のしかるべき人達にとっては、以上のような話は常識であったはずですがね。

<Fat tail>

私の最後の登録案件ですが、太田さんがどうして大学教職応募を回避されるのかを説明して下さい。

<太田>

 カネはほとんど必要としていないし、<図書館はインターネットで代替しているし、>助手は、読者の中の有志が手伝ってくれるのでいらないからです。
 もちろん、学生が質問したり、意見を言ったりすることで刺激を受けることもメリットではあるけれど、<これも、読者が日々やってくれていることである上、>そのためにはその大学が相当のレベルの大学じゃなきゃダメですし・・。
 学生に積極的に発言させるビジネススクールや政治学のセミナーを米国で経験したことからすれば、ダメ学生の質問や発言でも10回から1回くらいは、<本人は気付いてないわけだけど>「適切」なものがあったものの、やっぱし歩留まりが悪いですよね。

<NZ>

 登録してあった労組の話なんですが、ウチの会社、ユニオンショップ制で毎月何千円か政治資金の寄付をさせられることに違和感があるのですが。

<Tetsu>

 ユニオン・ショップ制だった会社の社員が最高裁まで争ったら、新しく組合をつくってもよいという判決がおりたって例があります。
 あなたの会社でもあきらめることはないですよ。

<太田>

 米国などでも団体・・企業や労組・・による政治献金は認められています。
 団体献金は一切禁止すべきだ、という議論も分かるんだけど、個人献金だけじゃ必ずしも十分とは言えないんじゃないでしょうか。
 日本の場合、政党助成金制度もあるけどね。
 <しかし、議員がまだ誰もいない新しい政党をつくった場合、政党助成金の対象にはならないから、団体献金がダメだとなると、既存政党に比べて著しく不利になってしまう。>
 日本のように、個人による寄付が、税制のせいもあって行われにくい国では、当面、団体献金廃止、とはなかなか行かないのではないしょうか。

(完)