太田述正コラム#4563(2011.2.16)
<皆さんとディスカッション(続x1108)>

<太田>(ツイッターより)

 (コラム#4561に関し)<昨>日引用したニューズウィークの記事、ムバラク・同夫人・長男・次男について詳細に知ることができる。
 夫人、母親はアイルランド人、17歳で結婚した後、修士号まで取得、女性解放と社会福祉事業に力を入れたんだね。

 (コラム#4344に関し)バチカン<のすぐ外>でひったくりにあいかけて難を逃れたことも忘れがたい。
 ベルルスコーニがようやく起訴された。
http://bit.ly/eP3dGu
 美術と芸術、そして悪徳はカトリシズムと密接不可分。イギリスはカトリシズムを捨てて正解。

<けいc。>

≫なお、陸自には海空自と違って、はったりのうまい人も少なくなかったけれど≪(コラム#4561。太田)

 太田的属国論に照らし合わせて言うと、憲法の解釈範囲に関わらず海上自衛隊、航空自衛隊は、装備的には宗主国である米軍の補助戦力にはなりえても、陸上自衛隊の隊員を日本国外に輸送して実戦にエンゲージさせるという構想自体に無理があるため、米軍からしたら本国の平時の州兵以下の認識しかなく、自らの価値を対外的に認めさせるにははったりをかますしかない・・・と言うのは言い過ぎですかね?

 それは具体的に言うとこ<う>いうことですかね?↓

 「わずか数時間で日本は中国に占領されるぞ守りに強い陸自を削るとは、新防衛大綱の大失態
 ・・・それには陸上自衛隊の増強、充実は不可避である。中国海軍が強化されるということは、すでに強大な兵力を持つ人民解放軍を、その海軍力が及ぶ範囲のどこへでも軍事展開できるということである。・・・」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5378?page=4

 ちなみに上記コラムの筆者の経歴です↓
 柴田 幹雄
Mikio Shibata 元陸将・前中央即応集団司令官
1951年静岡県生まれ、75年・防衛大学卒業(機械工学専攻)、陸上自衛隊入隊。76年・第一空挺団小銃小隊長、82年・米陸軍歩兵学校 幹部上級課程、91年・在米日本大使館 防衛駐在官、94年・ルワンダ難民支援連絡調整員、97年・第32普通科連隊長、2003年・中部方面総監部幕僚副長(陸将補)、2006年・陸自幹部候補生学校長、2007年・北部方面総監部幕僚長、2008年・中央即応集団司令官(陸将)、2009年退官。

<太田>

 むーふっふっふ。
 こういった類のこともそうですが、ご自分の見かけを実際よりも大きく見せるはったりも随分目にしましたねえ。

<φΔφΔ>(「たった一人の反乱」より)

 海自の話で村中海将が出てくるとは、 現役の時はうるさ型で厳しい人でしたが、やはり秀でた人だったんですねえ・・・
 うるさ型の極致だった伝説の前田元海幕長がお亡くなりになったそうです。

<太田>

 前田優さん(1925年〜2011年2月9日。海兵73期。終戦時中尉)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E7%94%B0%E5%84%AA
がねえ。
 海幕長時代(1981〜83年)にお顔を会議等で拝見したことがあるだけで直接仕事をする機会はなかったところ、我々に接するときは紳士もいいところだけど、ムッチャ部下に厳しい人で、当時、週末を除き、海の幕僚監部員、ほとんどがずっと泊まり込んで仕事してたな。

<XXXX>

 ちなみにイアン・ニッシュ<(コラム#4561参照)>は『<1930年代の>日本の対中国政策には反共意識が反映され・・・この意識は単に対ソ、対韓、対満関係に見られただけではな<く、>中国を共産主義から救うという使命感が一本の強い糸として日本の文章を貫いている』と概観し、彼自身の認識を明らかにしています。(『戦間期の日本外交―パリ講和会議から大東亜会議まで 』p169)
 ただ、そう認識しているだけで、それに対し何の評価を与えようともしていませんので、彼の歴史観は意趣を含むところがありそうだと感じましたが、歴史認識自体はあてになると思い資料集として送りました。
 イアン・ニッシュの歴史認識にコペルニクス的転換を行えば、太田さんと同じ歴史観になるのではないかと思った次第であります。
 また、特に英文資料は二つ併せて57編の論文が収録されているので、使えそうだと思ったモノをお読み頂ければ良いと思いますよ。

<太田>

 にゃーるほど、少なくともその箇所は、次著でばっちり使えますねえ。

<Fat Tail>

 下記Wikiの"References"にもリンクが記載されていますが、そちらからは開けますでしょうか(一つ目の文献)。
http://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Baty

<太田>

 デスクトップ<パソコン>のWindowsXP/IE (アクロバットのバージョンアップができない状態が推移していた)では開かなかったけれど、ラップトップ<パソコン>のWindows7/IE では開きました。
 こういうことがあるんですね。
 しかし、PDF文書、コピペのできるものとできないものがあるのはどうしてなんでしょうね。(この資料はコピペできないやつですねえ。)

 90頁もあるので、読むのホネだけど、どうも資料提供、ありがとうございました。


 それでは、記事の紹介です。

 GNPの国際比較、ネットですぐ出てこなかった。
 誰か教えてもらえません?↓

 「・・・GDPは「国内総生産」、GNPは「国民総生産」を指している。簡単にいうと、GNPはGDPに対外投資など海外からの要素所得を加えた付加価値の総額である。・・・
 GDPと比べ、GNPのほうが国の経済総量や国の経済力をより具体的に反映させている・・・とりわけ、日本は海外資産が豊富で、大部分の収益を海外資産から得ている。海外資産収益が国内収益に相当しているといっても過言ではない。・・・GNPで中国は日本に遥かに及ばないことが分かる・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/94476/7289035.html

 一見、一部、ぽっぽ殿下と同じことを言ってるみたいに聞こえるかもしれないけれど、彼ら、全然違うこと言ってんだぜ。分かる?
 うかうかしてると、日本、米国に完全に置いてけぼり食うぞ↓

 「米下院のロン・ポール議員(共和党)とデニス・クシニッチ議員(民主党)は15日までにそれぞれ共同通信との単独会見に応じ、日本駐留を含む米軍の前方展開戦略が「財政上の問題になっている」(ポール氏)と述べ、米財政赤字が最悪規模に膨らむ中、在日米軍は撤収すべきだとの考えを示した。・・・
 ポール氏は「日本がすべての責任を自ら負う時だ」とし、平和と安全を確保する上で米軍依存をやめるべきだと主張。在日米軍は抑止力だとする議論は軍事的プレゼンスを維持するための「口実だ」と一蹴した。
 クシニッチ氏も「米国に世界の警察を務める金はない」と強調。在日米軍を「過去の遺物」と呼んだ上で「移転して軍事優先政策から脱却すべきだ」と述べた。」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011021501000615.html

 北朝鮮の金王朝、命運、完全に尽きたね。↓

 「・・・北の核兵器開発に関連している軍の131指導局47旅団で兵士が空腹への不満を爆発させ、集団で作業命令を拒否する事態が起きたという。指導局は核兵器の生産計画を統括しており、食糧配給の悪化はそうした北の重要部隊にまで及んでいる恐れがある。また、・・・南東部の江原道で昨年11月から今年1月までに兵士7人が餓死、東部の咸鏡南道でも部隊が車両を襲撃する略奪事件が起きた・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110210/kor11021009300000-n1.htm
 「北朝鮮の金正日総書記の次男、金正哲氏がシンガポールでロック歌手エリック・クラプトンさんの公演会場を訪れた・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2011021602000032.html
 「・・・北朝鮮は最近、資本主義の影響を防ぐため、住民に対する統制を強化しており、全世界に食糧支援を求めている。こうした状況で、金正日ロイヤルファミリーが豪華な海外旅行を楽しむさまは、北朝鮮の体制の矛盾をそのまま反映している・・・」
http://www.chosunonline.com/news/20110216000014

 「スペングラー」、反体制派に対して徹底的に冷笑的なエジプト革命論を展開。
 完全にイスラエルのユダヤ人の視点だねえ。↓

 ・・・Egypt churns out 700,000 university graduates a year qualified to stamp each other's papers and not much else, and employs perhaps 200,000 of them, mostly in government bureaucracy.
 ・・・a large number of the Egyptian labor force is unemployable. The products of the education system are unemployable.・・・
 ・・・The euphoric youth say they ran Tahrir Square so perfectly that they can also manage Egypt - except that their country is a land of 80 million people, 40 per cent of whom live in poverty. By official accounts, 44 per cent of the labor force is illiterate or semi-illiterate."・・・Google employee Whalid Ghonim, the poster-child for Egypt's revolution, did not have a job in Egypt, but in Dubai.
 ・・・the country's higher education system・・・fill<ed> Tahrir Square with young people who have nothing else to do・・・
 ・・・the Facebook revolutionaries of Egypt. They are neither secular nor Muslim, neither modern nor traditional, neither enlightened nor backward. They are stuck in a cultural twilight zone, between the traditional world of their cousins who mutilate their daughters' genitals, and the modern dystopia flickering in colored pixels just beyond their grasps. They have no safe place in Arab society, except in the disembodied cyberworld of social networking. ・・・
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/MB16Ak02.html

 PTD(ポスト植民地期障害)とは、言い得て妙だな。
 反体制派に着目した上の「スペングラー」論考より、体制側に着目したこの論考の方がはるかにレベル高いな。
 筆者のJames D. Le Sueur は、現在米ネブラスカ大学の準教授だが、その前はオックスフォードの研究員であり、アルジェリアの本書いてる
http://pierrebourdieuunhommage.blogspot.com/2010/04/james-d-le-sueur-algeria-since-1989.html
ところを見るとフランス人かフランス系イギリス人か?↓

 ・・・Like Mubarak, other "presidents for life" see popular challenges to state authority as inauthentic and conspiracy-driven -- an understandable worldview, since many of them cut their teeth during decolonization. They suffer from what can be called postcolonial time disorder, or PTD, meaning that they still subscribe to an out-of-date philosophy of governance, according to which authoritarianism is the only cure for external or internal political challenges. They have a Manichean inability to think outside the logic of totalizing state power.・・・
 In various ways, PTD affects how such leaders as Algerian President Abdelaziz Bouteflika, Libyan leader Muammar al-Gaddafi, Iranian President Mahmoud Ahmadinejad, Zimbabwean President Robert Mugabe, and Myanmarese President Thein Sein run their countries. ・・・
http://www.foreignaffairs.com/articles/67432/james-d-le-sueur/postcolonial-time-disorder?page=show

 エジプト軍当局が憲法作成のための作業パネルを設置し、10日以内に成果を出すよう求めたぞ。 
 人選等からみて、どうやら、軍、マジに民政移行を期してるみたいだな。↓

 The military officers governing Egypt on Tuesday convened a panel of jurists, including an outspoken Muslim Brotherhood politician, to revise the country’s Constitution・・・The military has urged the panel to complete its work in just 10 days・・・
http://www.nytimes.com/2011/02/16/world/middleeast/16egypt.html?ref=world&pagewanted=print

 バーレーンのシーア派の動きが急だ。
 治安当局がシーア派の反体制派を2人も殺しちゃったんじゃアウチじゃない?
 次はバーレーン革命か。
 同国所在の米中央軍の第5艦隊司令部危うし。↓

 Bahrain has moved to defuse unrest by promising to investigate the killings of opposition protesters who had been inspired by the uprisings in Egypt and Tunisia.・・・
 More than 10,000 people were taking part in the funeral procession for Ali Abdulhadi Mushaima when police opened fire without warning as they chanted slogans calling for a new constitution, a democratically elected government and an end to anti-Shia discrimination in the Sunni-ruled island kingdom.・・・
 The political crisis deepened when Bahrain's main Shia party, al-Wifaq, announced that it was withdrawing from parliament, where it has 18 of the 40 seats.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2011/feb/15/bahrain-police-funeral-procession

 イランの核施設へのマルウェア攻撃、あんまし打撃を与えられなかったけれど、今後のことはまだ分からないとさ。↓

 ・・・While・・・Stuxnet・・・has delayed the Iranian centrifuge program at the Natanz plant in 2010 and contributed to slowing its expansion, it did not stop it or even delay the continued buildup of low-enriched uranium・・・
 But the ISIS and Symantec reports noted that parts of the malware's operating code appeared to be unfinished, and Stuxnet has been updated with new instructions at least once since its release.
 IAEA inspectors were unable to determine whether Iran's efforts to erase the worm from its equipment had succeeded, raising the possibility that subsequent attacks could occur. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/15/AR2011021505395_pf.html
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太田述正コラム#4564(2011.2.16)
<イギリス史の決定的岐路(その1)>

→非公開