太田述正コラム#4460(2010.12.26)
<日進月歩の人間科学(続x18)>(2011.1.26公開)

1 始めに

 未成年についての小特集です。

2 成熟している幼児

 「・・・非常に小さい子供達は、大人を含むところの他人の「欲望、選好、信条、[そして]感情」に調子を合わせる(be attuned to)ことが、ピアジェ(Piaget)理論が想定してきた程度よりもはるかにできる、と雑誌、「心理科学(Psychological Science)」に最近載った論文が示している。
 この論文は、小さい子供達には欠けていると多くの大人達が想定してきたところの技を、彼らが保有していることを示唆している。
 すなわち、彼らは、ある人物のふるまいが統計的に、ありうることなのかそれとも異常なことなのか、を判断することができるのだ。
 極めて小さい児童でも、大人達が普通やらないようなことをやっている場合、これはどうもおかしい、ということがしばしば分かるものなのだ。・・・」 
http://www.time.com/time/health/article/0,8599,2014315,00.html
(8月30日アクセス)

 これは、他人の言動がまともであるかどうかは幼児でも分かる、というお話です。

3 未熟な青年

 「・・青年の脳は、「成熟度で言うとまだ約80%でしかない」、と<ある女性科学者は、>11月の神経科学会の年次総会で述べた。
 脳が完全に発達するには20代中頃かそれ以降になってからなのだと。・・・
 <脳細胞>結合の成熟の進行順序は、脳の後ろから前に向けてなのであるとも。・・・
 我々が一定の効率性をもって予定を立て、誰が夜出かける時に運転するかを事前に調整し(、あるいは法定飲酒量を超えるまでに飲酒を止め、)議論を始めた相手と喧嘩になるのを抑制したりすることが可能なのは、部分的には前頭葉のおかげなのだ。
 遺憾ながら、まさにこの種のふるまいに対処することに関し、10代の脳は十全な状態ではない。
 その結果、高リスクのふるまいである飲酒や運転に関して致命的な結果が出来しても不思議ではない。・・・
 とりわけ重要なのは、青年期において、我々が、同輩達とより強い社会的紐帯を形成するとともに、自分の両親達からより独立的となることだ。・・・
 どうして青年達が、ブツの使用(substance use)、性的行動、そして最近ではナイフによる自傷行為さえ、といったあらゆる種類の健康リスク的ふるまいに耽る理由についての最も有力な予想因子は、親しい友人達で同様のことをやっている者がたくさんいる、あるいは、彼らがとてもクールで人気と見る誰かが同様のことをやっている、という彼らの認識なのだ。
 これらの高リスク的ふるまいのうち幾ばくかは、驚くほど生涯にわたっての傷跡を残すかもしれない。・・・
 ・・・社会的ステータスが並みか上の10代が一番高リスクに晒されており、社会的ステータスが最上級の者は彼らほど高リスクに晒されてはいない。・・・
 ・・・<ちなみに、>大部分の青年達は、「不良行為に遊び半分で手を出す」ところ、一定の範囲までであれば、それは(行き過ぎない限り)まったく正常なことであり、むしろ有益なことなのだ。・・・」
http://www.nwj.ne.jp/
(12月18日アクセス)

 それほど新しい話が出てきたわけではありませんが、博士課程を修了する年くらいでようやく人間は大人になるということ、できの並みから上の青年が一番アブないということ、ただし、青年中の上澄みの部分と並み未満の者はアブなくないということ、あたりは目新しいのではないでしょうか。

3 終わりに

 幼児だと言ってもバカにできないというのは事実だとしても、人間の言動で何が正常で何が異常かの基準を幼児が形成するのは両親の言動を通じてでしょうから、両親の役割は極めて重要であると言えそうです。
 他方、幼児期を脱した青年に関しては、いかなる同輩集団の中に彼らを置いてやるかという一点を除き、両親の役割は比較的小さい、と言えそうです。
 皆さん、自分が幼児であった頃、青年であった頃を思い出し、あるいは、自分の子供のことを考え、様々な思いが頭を過ぎるのではないでしょうか。