太田述正コラム#4327(2010.10.21)
<皆さんとディスカッション(続x990)>

<太田>

 前回、「けいc。」さんの質問への「答弁漏れ」があったので、「答弁」を行っておきます。

 件の元連隊長のように、その軍事専門家としての危機管理能力を買われて地方自治体の危機管理担当へと再就職したり、自衛隊で技術研究開発に携わってきて、その技術専門家としての能力を買われて民間企業での研究開発管理担当へと再就職したり、というケースについては、天下りとは言えませんが、例外です。
 非技術系のキャリア官僚の場合は、こういった例外すらまずありえません。
 従って、再就職はほぼすべてが天下りだと言っていいでしょうね。

<roma_sakamoto>

 例えてみると、属国からの独立とは、店長をやらないかと、上司から打診されているのに、店長になると顧客や取引先とのクレーム等に自分が最終的な責任者となり荷が重いので、給料もある程度もらえるなら、下のポジションの方が気楽でいいや、と昇進を固辞している感じでしょうか?だいぶ違うかな(笑)。
 なにはともあれ、辛抱強いおつきあい、ありがとうございました。
 正直、すっきりしない感はありますが、きりがないので一応納得したことにして、一連の質問は終わらせます。
 為替の記事は気になるので、頑張って読んでみます。

<太田>

 前回(コラム#4325で)、あなたに2つ問いかけてますね。
 それらの問いに対し、太田さんはそう言うが、こういう風に考えた方がよりもっともらしい、とあなたが(できれば典拠付で)反論しない限りは、「すっきりしない感はあ」るなんてうそぶいちゃあいけませんや。
 素直に「納得し」ましたって言わなくっちゃ。
 史観にせよ情勢分析にせよ、自然科学じゃないんだから、正しいとか間違っているとかはまずありえないのであって、一番もっともらしそうであるかどうかで判断しませう!

<δΘΘδ>(「たった一人の反乱」より)

 そういえば昨日TVで「陰陽師」を放映してたけど(今日も放映?)、この『空気』という鵺のような妖怪が放つ、ヒトを痴呆化させ呪縛する妖術を解き放ち、ヒトを覚醒させて新たに“結界”を築き上げる陰陽師が、太田さんだーね。
 次のスレタイは「まろは陰陽師でごぢゃる・ヒネオヤジ太田述正」ってどう?却下だね即。
http://www.najanaja.co.jp/omj/omj_frame.html
 ↑似合うとおもうよ、おーたん。

<θΔθΔ>(同上)

 いつの間にかブログのタイトルが変わっている!

<θΔΔθ>(同上)

 云、“ヒネおやじ”を忘れては、それこそ「画竜点睛を欠く」だろーが。
 <このスレッド立てた人によるネーミングへ>の猛省を促す、お尻ペンペン!

<θΔθΔ>(同上)

 そうじゃなくて(イヤ確かに「ヒネオヤジ」の方も重要なんだが)、ブログの方の話。
 前は「アングロサクソンうんたらカンタラ」みたいなタイトルだったのが、いつの間にか「太田述正ブログ」みたいなシンプルなやつに変わって今はいつの間にかまた変わっている・・・という話。
 告知的なものってあったっけ?

<太田>

 ブログ管理人のタテジマさんが、少しでも検索に引っかかりやすいタイトル名を求めて、時々名前を変えてるんだよ。
 その都度、私も了解してる。

<qq>(同上)

 民主、朝鮮学校無償化の基準案を了承 (2010年10月20日12時34分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101020-OYT1T00502.htm

<δδΘΘ>(同上)

 山本七平氏の指摘した「空気」っつーのは結局、ムラ(村)的共同体の論理なんよ。

<δΘΘδ>(同上)

 空気ねぇ・・・。
 会社の会議でおかしいと思ったり、自分の考えの方が良いと分かっていても、言い出せないことはよくあるけど、それとは次元が全く違うし。
 おかしいと思っているならまだましで、太田氏の論によると、そもそもおかしいことに気がついていないわけでしょ。
 それに、いくら太田さんから観れば、「みんな能無しだ」ということかも知れないけどあきらかに一般平均の日本人よりは頭の良い方の部類に入る人たちが、官僚や代議士になっているわけで、新聞や本くらいはたまには読むはずだが。

<θθδδ>(同上)

 村の論理というのは非合理なことだろうと非論理的なことだろうと、一旦、決まったことを共同作業でやっていこうということなんよ。
 もし一人だけ、共同作業に反対した場合、村八分にされる・・・場合によってはあいつが反対したから事業が失敗したなんて難癖つけられる場合もある。
 所属する共同体によっては家族にも迷惑がかかるから、頭ではわかってる人でも共同作業にできる限り協力するという態度をとることになる。
 だから日本が属国であるということは頭ではわかっていても、そうでないふりをしてる人も多いと思うよ。支配階級の中には。

<太田>(ツイッターより)

 (コラム#4268に関し)知恵遅れの大男の押しかけ子分なのにその大男を用心棒にしたつもりになってる戦後日本人よ、悔い改めなさい。
 ちょっと前にあわやその大男にぶち殺されそうになったじゃん。
 そのとばっちりで周りで何人も死んだじゃん。

<θΔΔθ>(同上)

 ↑ww。
 その知恵遅れの大男たる故の性癖で、己自身にブーメラン!
 米国で住宅差し押さえに問題発生=アメリカは間違いなく二番底、というより、底の見えない奈落の底に向かっている。
http://www.y-asakawa.com/Message2010-2/10-message74.htm

 中国が暴発する前に、我々の宗主国暴走気味なんだが…。

<太田>

 お示しのコラム、最後のくだりで陰謀論になっちゃっててがっくりきたぜ。

 それはそうと、欧州はさっさと米国を見限り、イスラム原理主義化しつつあるトルコや民主主義独裁化しつつあるロシアとくっつき始めたみたいよ。↓

 ・・・Europe may eventually replace the American-led security agenda with one of its own,・・・trialogue' involving the EU, Turkey and Russia・・・more closely tailored to its 21st-century needs.
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2010/oct/19/europe-security-turkey-russia

<θΔΔθ>(同上)

 中国が尖閣「領有権」棚上げを打診 日中首脳会談に向け環境づくり
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101021/plc1010210133000-n1.htm

<太田>

 「右」の産経も「左」の毎日も、内容はともかくとして、表現において、中共蔑視・敵視度を競ってるみたいだな。↓

 「・・・四川省成都で起きたデモ・・・ネット画像で横断幕の文字が読める。第1列は「国恥莫能忘 民族当自強」(国恥忘るなかれ。民族自強せよ)
 第2列が「収回琉球 解放沖縄」(琉球を回復せよ。沖縄を解放せよ)
 第3列が「抵制日貨!」(日本製品ボイコット!)・・・
 1971年、米中正常化のためにキッシンジャーと会談した周恩来は、蒋介石の言い分を借りて米国に台湾地位未定論の撤回を迫っている。(「周恩来キッシンジャー機密会談録」毛里和子、増田弘監訳、岩波書店)
 周恩来は台湾の地位未定論に屈した蒋介石を「売国」と言った。デモのスローガンである「国恥」とは、これを指すのである。さらに、地位未定論をあいまいにしたまま「主権棚上げ・共同開発」で日中平和友好条約を結んだトウ小平と、その系譜を引く「戦略的互恵関係」の胡錦濤国家主席だ。今現在の「国恥」とは、東シナ海の日中共同ガス田開発だろう。共産党の保守派、軍部に蒋介石の怨霊が乗り移り、トウ小平路線にかみついている。本当に深刻な党内路線闘争である。」
http://mainichi.jp/select/opinion/kaneko/

 政権交代のおかげで記者クラブ制度がなくなり、日本の報道の自由度が一挙に11位へと躍進を遂げた↓
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2010/10/21/2003486172
というのに、さしあたりは、日本のマスゴミの一部、イエローペーパー化して一層臭気が強くなっちゃった感じだな。

<θδθδ>(「たった一人の反乱」より)

≫米国のインドシナ(ベトナム)への本格介入が遅すぎ、かつまた撤退が早すぎたことがまずかったのです≪(コラム#。太田)

 これは日本のシベリア出兵にも当て嵌まる事だと思いますが、そう考えると「シベリア出兵(その2)」での、

≫この時点で、日本は、世界で最もグローバルにものを考えていた、主要国中もっとも傑出した政治家を指導者として擁していた、というのが私の見解です。 ≪(コラム#3772。太田)

という、原敬の高い評価は疑問に思うのですが・・・・・・。
 Wikipediaの項目には、原敬は消極的出兵論者であり出兵に賛成していたかのように書いてありますが、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%87%BA%E5%85%B5
以下のようにWikipediaの記述はおかしいです。
 「・・・アメリカの反対を押して出兵決行をはかる本野外相をはじめとする自主的出兵論者の立場に対して、山県有朋、寺内正毅首相らの立場も、また外交調査会(臨時外交調査委員会)に拠る原敬、牧野伸顕らの立場も一様に出兵反対の線をもってこれに対峙するが、これらを協調的出兵の立場をもって一括<する事には、問題があるのではないだろうか>。」
 「・・・戦略上の観点から対米協調の必要性を説く山県らの協調的“出兵”論の立場と対米“協調”に判断の力点がおかれ、場合によっては出兵もまたやむなしとする原敬らの“協調的”出兵論の立場とではその間に本質的<差異がある。>」
(細谷千博著『シベリア出兵の史的研究』 岩波現代文庫 pp5〜6)

 「・・・原敬は、元来日本の対外政策の基調として日米提携を重視しており、これと矛盾する日本の大陸政策強行については、かねてから批判的立場をとっていたのである。」
 「<外交調査>委員のひとりとしての彼は、アメリカ政府が出兵に反対の態度をとっている以上、日本政府はその意向を無視して、出兵を強行することの不可なる所以を、くり返し力説していたのである。」
 「アメリカ政府から限定出兵方式による、ウラディヴォストークへの共同出兵の提議が日本政府になされ<た時>、原敬はここで、従来の出兵反対論を撤回する。それは、彼の目に共同出兵行動は、『将来日米提携の端緒』として映ったからに他ならなかったからである。」
(細谷千博著『ロシア革命と日本』 p100)

 原敬の評価には些か検討が必要だと思います。
 ちなみに、引用した本の著者である細谷千博もシベリア出兵とベトナム戦争の歴史的相似性を示唆しています。

<太田>

 細谷の本のご紹介ありがとう。

 ただ、私は、政治家は、責任者としての在任中に何をやったかで評価されるべきだと考えています。
 原敬は、首相在任(1918年9月29日から1921年11月4日)中に、出兵したシベリアで、米国とは違って、英仏同様、積極的に日本軍をボルシェヴィキと戦わせ↓、

 ・・・Unlike his Allied counterparts, General Graves <of>・・・The American Expeditionary Force Siberia・・・believed their mission in Siberia was to provide protection for American-supplied property and to help the Czechoslovak Legions evacuate Russia, and that it did not include fighting against the Bolsheviks. Repeatedly calling for restraint, Graves often clashed with commanders of British, French and Japanese forces, who wanted the Americans to take a more active part in the military intervention in Siberia.・・・

また、米英仏とは違って、米英仏軍の撤兵後も日本軍を撤兵させませんでした↓。
 In June 1920, the Americans, British and the remaining allied coalition partners withdrew from Vladivostok. The evacuation of the Czech Legion was also carried out in the same year. However, the Japanese decided to stay, primarily due to fears of the spread of communism so close to Japan, and the Japanese controlled Korea and Manchuria.・・・
http://en.wikipedia.org/wiki/Siberian_Intervention

 ですから、「この時点で、日本は、世界で最もグローバルにものを考えていた、主要国中もっとも傑出した政治家を指導者として擁していた、という」私の考えは変わりません。
 ご批判があればどうぞ。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 アフガニスタンでのNATO軍の攻勢が成果を上げつつあるのは、増強された兵力プラス新兵器↓のおかげのようだ。

 ・・・the High Mobility Artillery Rocket System, or Himars, a relatively new multiple rocket system・・・<which> are extraordinarily precise; they are accurate to a meter・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/21/world/asia/21kandahar.html?ref=world&pagewanted=print

 太田コラムの読者なら、この日本の典型的「インテリ」のセンセの言ってる世迷い言のどこが間違ってるか分かるよね。↓

 「・・・英文学者松原正氏(早稲田大学名誉教授)<いわく、>西欧と日本は決定的に違う。西欧精神の真髄を我々日本人は理解できない。理解したつもりにはなれるかもしれないが、日本のものにしようとすると手に負えない。・・・
 ・・・政治家も軍人も、聖職者も俗人も、「流された夥しい血」と「悔悛の強さ」が「均衡を保」つならば、いかに「悲劇的」ではあつてもそれを「勝利の生」として是認する。・・・
 「世界滅ぶとも、正義行はるべし」との氣概に伴ふ非情で、それを日本人は理解出來ない。・・・
 西欧精神の真髄はクリスト教にある。ヨーロッパのクリスト教、アメリカのクリスト教、これを無視してはいけない。それなのに今、あまりにも無視してはいませんか。・・・ 西欧の科学や技術を取り入れて日本はここまできたわけですが、西欧精神は身に付<いてい>ない・・・
 日本は再び鎖國は出來ない。それなら、吾々は、好むと好まざるとに拘らず、東洋風の倫理と、西歐風の「自己本位」の倫理とを、滅私奉公の倫理と「個人主義」の倫理とを、いかにして調和させるかといふ大問題に關心を持たなければならない。・・・」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20101019/216722/?top

 ニューヨークタイムスが掲げた日本経済衰亡論記事(コラム#4319)の中でやり玉にあげられたプレストウィッツ(Prestowitz)が反論を寄せてた。↓

 ・・・please note that Japanese cellphones don’t drop calls, that Japan’s Internet is about 10 times as fast as America’s and that Japan has a huge trade surplus while America suffers huge trade deficits even in high-tech. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/20/opinion/l20japan.html?_r=1&ref=opinion&pagewanted=print

 英国も欧州も財政支出削減に動いてるのに対し、米国(と日本?)だけではそうではない。
 ケインズが米国(と日本?)ではまだ死んでないのはどうしてだろう。↓

 The British economist John Maynard Keynes may live on in popular legend as the world’s most influential economist. But in much of Europe, and most acutely here in the land of his birth, his view that deficit spending by governments is crucial to avoiding a long recession has lately been willfully ignored. ・・・
 <米国の中からは、以下のような皮肉を述べる声が出ている。>
 ・・・Everything Keynes established about the primacy of maintaining demand at a steady pace is gone・・・Europe obviously thinks it can focus on sound finances while the U.S. manages world demand,・・・but unfortunately <the U.S.> are not doing that.・・・
 <また、ノーベル経済学賞受賞のスティーグリッツ(Joseph E. Stiglitz)は、以下のように英国政府を批判する。>
 ・・・the British government’s plan was・・・a gamble with almost no potential upside・・・and that it would lead to lower growth, lower demand, lower tax revenues, a deterioration of skills among the unemployed and an even higher national debt. <The British> cannot afford austerity・・・.
 <英国政府と米国政府のかかる違いは、歴史↓のしからしめるところであるとする。>
 That contrasts sharply with the United States, where White House policy makers are urging caution in reducing deficits too quickly, fearing that ending stimulus efforts before the economy is clearly on the road to recovery risks making a mistake similar to President Franklin D. Roosevelt’s budget cutting in the middle of the Great Depression, which extended the downturn.
 ・・・In the U.S., central bank memory is ingrained in the Depression, while in the U.K. it is being bailed out by the I.M.F.・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/21/world/europe/21austerity.html?ref=world&pagewanted=print
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太田述正コラム#4328(2010.10.21)
<ヒットラーとスターリン(その2)>

→非公開