太田述正コラム#4317(2010.10.16)
<皆さんとディスカッション(続x985)>

<ηδδη>(「たった一人の反乱」より)

 金正男「天安艦は金正恩の仕業」 父に抗議…KBS報道
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101015-00000018-cnippou-kr

 何やら凄い告白で、俄に北の情勢が微妙に…。
 中国の米国始め世界に対し、バッファとしての機能のみで存在しうる国家だとおもっていたが、それでは北のプライドが許さんだろーし…中国は北の世襲を認めない方向に舵をきったのか?

<太田>

 ありえない話とは言えんが、ちょっとできすぎじゃないけ?

<δηδη>(同上)

 中国から大船団!尖閣強奪計画 プロパガンダ映画製作も…
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101015/plt1010151613002-n1.htm

 ↑笑顔で握手をするフリをしながら、背中にこん棒を隠し持っているのが中国外交である・・w。

<太田>

 ボクの予想。
 映画はつくられるだろうが、尖閣に向けての(来年の)大デモは行われないだろう。

<Fat Tail>(ツイッターより)

 What's making the Chinese act so crazy? The Power Struggle Among China's Elite | Foreign Policy foreignpolicy.com/articles/2010/…
http://www.foreignpolicy.com/articles/2010/10/14/the_power_struggle_among_chinas_elite?page=full&sms_ss=twitter&at_xt=4cb86f2044d1a36d,0

<太田>

 この記事で唯一面白かったのは、以下のくだり。↓

 ・・・There is a flagrant contradiction. On the one hand they argue the Nobel should not be awarded to a criminal. At the same time they are implementing unlawful measures against dozens of people, including Liu Xia.・・・
http://www.guardian.co.uk/world/2010/oct/15/chinese-activists-beijing-liu-xiaobo

 もう一弾、中共国内(一部海外在住の反体制派を含む)から、劉と温を支援する声があがったな。今度こそこれで打ち止めか。↓

 ・・・more than 100 intellectuals released a petition calling for the body to follow through on Wen's promises of reform.・・・
 Earlier in the week, a group of 23 retired party heavyweights issued a similar call・・・
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-china-wen-20101016,0,537115,print.story
 ・・・We call upon the Chinese authorities to make good on their oft-repeated promise to reform the political system. In a recent series of speeches, Premier Wen Jiabao has intimated a strong desire to promote political reform. We are ready to engage actively in such an effort. We expect our government to uphold the constitution of The People's Republic of China as well as the Charter of the United Nations and other international agreements to which it has subscribed.・・・http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/10/15/AR2010101502929_pf.html

 少なくとも今後5〜10年は中共当局、変わんないだろうってさ。
 (どうでもいいけど、外相の上にいる戴秉国が党内序列50位じゃねえ。軍だけじゃなく、外国も余りにも不透明だ。)↓

 ・・・Officially, China's highest-ranking foreign-policymaker is Dai Bingguo(戴秉国), who ranks only 50 in the whole political system. ・・・
 A far more auspicious sign is that their key advisors and those they will be grooming, in five to 10 years after 2012, to take over China will be from the generation from which huge numbers studied in the West. They will be some of the most-sophisticated, best-educated leadership elite of any country in the world. ・・・
http://www.foreignpolicy.com/articles/2010/10/14/the_power_struggle_among_chinas_elite?print=yes&hidecomments=yes&page=full

<roma_sakamoto>

 「日本は属国であるのだから、宗主国の決定に従っているだけなのに、事の本質も観ずに文句を言っては国士を気取っている、保守陣営こそ、万死に値する」、別にこのままの事を太田さんが述べたわけではありませんが、まぁ、そういう意味と捉えても間違いないですよね。
 ところで太田さんにお聞きしたいですが、宗主国の決定に逆らうと一体どうなるのでしょうか。
 まさか、トイレや体育館の裏に呼び出されるわけでもあるまいし。
 工作員に消されてしまうのでしょうか?
 そりゃ、属国であることを分かっている上で、民主党を批判しているのなら、それこそプロレスを演じているわけで、許せませんが、そもそも、そのことに気がついていないのであれば、仕方がないと思いませんか?
 例え宗主国の決定であろうが、声を上げ続ければ、与党も嫌になって最後には、「だったら独立しようか」という話になるかも知れませんし、いまの保守陣営の活動が全て悪いとは、私には思えません。
 太田さんにしたら、無知も十分悪だ、ということになるのでしょうか。
 ところで、そもそも自民党で国政に携わったお歴々の方たちは属国であることを分かっていたのでしょうか?
 私の稚拙な質問かその答えが、いままでに散々ブログで述べたことであれば、すみません。私は比較的ニューカマーですし、失礼ではありますが、さほど深い読者でもないものですから。

<太田>

 私は、拙著『防衛庁再生宣言』の48頁で、「牛は8000年前に家畜化されたが、その結果、防衛本能が低下し、脳のシワが少なくなり、また一年中発情するようになったという。」と記したところです。
 言うまでもなく、戦後日本を家畜化された牛に準えたわけです。
 (もっとも、戦後日本は、自分で自分を家畜化したという傑作な牛ですが・・。)
 この牛、脳のシワが少ないだけでなく、角(軍事力)もなく、目も衰えています(=諜報能力がない)。
 この牛、基本的に(飼い主によって柵が設けられていて肉食獣の攻撃から守られてるけど)野外で飼われてて、草を探し、食べ、それを消化する能力は抜群の優秀な乳牛であるときてるんですねえ。飼い主は、この牛の乳を搾って経費の元をかろうじてとってきたわけですな。
 さて、この牛に対して、お前さんの飼い主は誰だと尋ねても、そもそも自分が飼われている牛だという自覚が失われてるから、質問の意味がまず理解できないでしょうね。

 そんな牛が、突然虫の居所が悪くなって、飼い主(宗主国)に逆らい、例えば乳搾りに抵抗しようとしたとします。
 でも、そんなこと可能だと思います?
 この飼い主、自分の息子(米軍/CIA)を牛舎に住み込ませていて、四六時中、牛に目を光らせてます(=日本国内で政治家を始めとする日本人達を諜報対象にしています)が、牛の方はこの息子の部屋には入れませんし、目が衰えているから息子が何をしてるのかもほとんど知りません。
 結局、牛は、恐らくは虫の居所が悪くなった時点で、早くもこの息子に察知され、薬を投与されたり牛舎内に押し込められたりして、それでジ・エンドでしょうね。

 話はここで終わりません。
 この飼い主、かなり前から、この牛をもてあましており、この牛を野生に戻すべく、おどしたりすかしたりしてきたけど、牛の方が全く乗ってこないもんだから、仕方なく飼い主続けてるんですよ。
 ホント、どうしようもない牛だと思いません?

<SK>

 太田さま、ご無沙汰しております。秋田のSKです。
 メールマガジンの有料購読の再開、オフ会への参加など色々活動したいのですがなかなか果たせず忸怩たる思いが募っております。

 「皆さんとディスカッション」で私の考える疑問を誰も考えていない様なので、質問させて頂きます。

 御コラムを第一回から読む機会がありました。
 近代は「アングロサクソン文明」対「その他の文明、就中欧州文明」の主導権争い(太田コラム#4より)とのこと。
 引き続きその他のコラムを読んだ事、世界の出来事を色々観察している事、などからこの太田仮説が有効性が高いと再認識し始めております。

 最近のコラムを例にとると、ハンガリーは「その他の文明、就中欧州文明」圏に属し、ノルウェーは「アングロサクソン文明」圏に属すと考えて良いでしょうか?

1 ハンガリー
 「今、欧州の「中心」ハンガリーを訪れれば、そこにキミはおぞましき欧州文明の「精髄」・・反ユダヤ主義/ファシズム・・を発見することだろう。」(太田コラム#4315)

 このハンガリーの宗教を調べるとカトリックが主の宗教です。

 「カトリック約52%、カルヴァン派約16%」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hungary/data.html

2 ノルウェー
 「ノーベル平和賞を中国人が受賞」した事等で話題のノルウェーの主たる宗教はルーテル教会でカトリック国では無い。

 「プロテスタントのルーテル教会が国教であり、ノルウェー国教会の所属が84.9%を占めている(2006年現在)。他のプロテスタントやローマ・カトリック等の団体所属は4.7%、キリスト教以外の宗教は1.9%、人生哲学団体に所属する人の割合は1.7%である。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC

 また、今回の太田仮説の私の証明の仕方についてですが、その国に主たる宗教とその行動から判断しました。
 この方法はどの程度有効性があるのでしょうか? 
 人文系の論文をあまり読んだ事は無いし書いた事ものですが、証明の仕方がよく分かりません。自然科学系の証明の仕方とはかなり異なりますよね。
 よろしければご教授下さい。

 以上、お忙しいとは思いますが、ご回答願えたら嬉しいです。

<太田>

 きちんと説明すると長くなるので、簡単にお答えします。

 欧州≒カトリック文明、アングロサクソン≒プロテスタント文明、ではないのです。
 そもそも、キリスト教化する以前、イギリスは自然宗教の地であり、キリスト教化(カトリック化)してからもイギリス人の多くは、もともとの自然宗教的宗教観を抱き続け、そのような背景の下で、16世紀にイギリス国教会が成立します。
 この教会はカトリックとプロテスタントの折衷という傑作な代物であり、ざくっと申し上げれば、宗教的寛容・・特定の宗教宗派の信条を押しつけない・・の伝統に立ち戻った、ということなのです。
 さて、アングロサクソン文明と、地理的意味での欧州において最も親しい関係にあるのが、オランダとスカンディナヴィア諸国の文化です。
 ここでそのすべてには触れませんが、ノーベル賞と関わりの深いスウェーデンとノルウェーの両国にしぼって言えば、両国ともルター派をそれぞれの国教会に仕立てたという歴史を持っている
http://en.wikipedia.org/wiki/Church_of_Sweden
http://en.wikipedia.org/wiki/Church_of_Norway
点においてイギリスと大変似通っています。
 ちなみに、ルター派は、英国教とは違って、国際的な宗派でこそあれ、ルター派自体、そもそも、(英国教とはやや違った意味でですが、)カトリックとプロテスタントの折衷的存在です。(典拠省略)
 なお、両国の国教会は、ドイツのルター派の諸教会に加えて、英国教会も加わっているところの、国際的宗教同盟(Porvoo Communion) に加盟しています。(上記両ウィキペディア)

 結論:欧州=非寛容の文明 V. アングロサクソン=寛容の文明。(アングロサクソン文明≒オランダ文化/スカンディナヴィア文化)


 話は変わりますが、一昨日、映画『勇気あるもの』をTVで途中から最後まで鑑賞したが、米陸軍の新兵教育の場で変わった教師からシェークスピアを教わった一兵士が、暗記したところの、Band of Brothers(コラム#4180)という文句を含む、『ヘンリー5世』からの一節を吟ずるくだりがあり、興味深かったですね。


 それでは、その他の記事の紹介です。

 人民網、「謙虚」に色々教えてくれる。↓

 「・・・円高からドルベースで計算すると、日本の実質GDPは増加する。1ドル=85円として計算すると、4月--6月の日本の実質GDPは6兆3500億ドルとなり、中国(5兆6700億ドル)を上回る。・・・
 日本の生産能力は、国内・海外それぞれ半分を占め、企業の海外利益は利益総額の約30%を占め、・・・「所得収支黒字」が「貿易黒字」を上回り、海外資本による支配力が世界一・・・。」
http://j.peopledaily.com.cn/94476/7167702.html

 市場原理主義の爪痕は英米両国でかくも深い。↓

 ・・・the United States now had the second-lowest level of intergenerational income mobility in the world, after England. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/10/16/your-money/16wealth.html?_r=1&hpw=&pagewanted=print

 オバマの父親から受けた影響を矮小化しようとする以下の試みも、過大視しようとする試み(コラム#4303)も、どちらもオカシイのでは?↓

 ・・・He was, in fact, an urbane, Western-oriented intellectual -- of a modestly leftist bent, to be sure, but much like many Indian, Pakistani and other Third World exchange students who studied economic development.・・・
 President Obama's self-identification as a black man did not originate with his father but is a rather more mysterious process that apparently took shape in his teenage years or even slightly later.
 In "Dreams," Obama does not seem to acquire his black identity out of rage, a deep sense of social injustice or wrenching affronts. It is more cerebral, rooted in a kind of pragmatic view that one has to choose to be either black or white, and since he is obviously not white, he should accept his blackness -- while understanding that he has a special status as a bridge between the races and someone able to accommodate different traditions. ・・・
 What he is not is a rabid anti-colonialist. Conservatives have many reasons to oppose and criticize the president, but caricatures such as D'Souza's contribute nothing to the political dialogue. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/10/14/AR2010101403974_pf.html

 男性のマスターベーションは大いに生物学的に意義のある行為だが、女性のそれは快楽のみが得られる無意義な行為なのだとよ。
 なお、女性にとってオルガスムは、生物学的にはむしろマイナスな「行為」だとさ。
 これで色々な疑問が氷解するな。↓

 ・・・Masturbation might remove old, worn-out, broken sperm from the reproductive tract. ・・・
 ・・・males engage in autoeroticism because it cleans the reproductive tract and reduces the chance of acquiring a sexually transmitted disease from a female that he mated with and who had other recent partners.・・・
 ・・・in the case of females the purpose is simply to “produce enjoyable sensations”.・・・
 ・・・vaginal and uterine contractions ... have been misinterpreted as powering rapid sperm transport to facilitate fertilization, but such fast transport would lead to the tubal deposition of noncapacitated, incompetent spermatozoa,” which would not lead to conception.・・・
http://www.newsweek.com/2010/10/07/why-masturbation-helps-procreation.print.html

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 一人題名のない音楽会です。

 田中香織さんのもう1つのアンコール曲※に触発されて、既に特集を組んだシューマンの落ち穂拾いを試みました。

1 歌曲

歌曲集「ミルテの花」から「献呈」(Widmung)作品25 1番
これは、クララとの結婚式の前日にクララに献呈された曲です。詩↓はリッケルト。

僕の恋しいひと 僕の愛しいひと
君こそ僕の喜び 僕の苦しみ
君こそ僕の生きる世界
君こそ僕の目指す天国
ああ、君という墓に僕は
悩みを永遠に埋めてしまった

君こそは憩い 君こそは安らぎ
君こそ天から授けられたひと
君に愛されて 僕は生き甲斐もわく
君に見つめられて 僕は輝く
君に愛されて僕は伸びゆく
ぼくの恋しいひと 僕の愛しいひと
http://www5b.biglobe.ne.jp/~c-candy/c-widmung.htm

●原曲:Diana Damrau歌唱
http://www.youtube.com/watch?v=3QpChVbsPm8
同 ピアノ編曲(リスト)※ ユンディ・リー ブラボー!彼、私の期待に応えて(コラム#3328)(?)成長したのかな。
http://www.youtube.com/watch?v=CawhTZ4BPMo&feature=related
同 バイオリン編曲 合奏 微笑ましいですねえ。
http://www.youtube.com/watch?v=yDlThDDItxc&feature=related

Eichendorff song Nr. 5 (Mondnacht)  
●原曲:Barbara Bonney歌唱 (伴奏 アシュケナージ)
http://www.youtube.com/watch?v=yzVVHvxpp_M&feature=related
同 チェロ編曲
http://www.youtube.com/watch?v=0VladsXtTcs&feature=related

Der Nussbaum Elisabeth Schwarzkopf歌唱 (伴奏 Gerald Moore)
http://www.youtube.com/watch?v=InzzwObiTY4&feature=related

2 ピアノ曲

●Theme And Variations On The Name 'Abegg' Clara Haskil
http://www.youtube.com/watch?v=HKbm47LqYpM&feature=related

Symphonic Etudes(Variation)作品13 ポリーニ
http://www.youtube.com/watch?v=LbQZq00BWQo&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=-miWcwlUVCU&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=5sbtnvUkhxo&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=FRUmnoYxq7M&feature=related

●Toccata op.7 Ivo Pogorelich
http://www.youtube.com/watch?v=X9PywE6qH84&feature=related
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太田述正コラム#4318(2010.10.16)
<クリミア戦争(その2)>

→非公開