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太田述正コラム#4285(2010.9.30)
<皆さんとディスカッション(続x969)>

<δΖΖδ>(「たった一人の反乱」より)

 北京 『反日』以外は許さず 〜 “官製デモ”ww。↓

 「尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件を受け、北京の日本大使館周辺であった反日デモ。
 隊列に交じっていた男性が突然、プラカードを掲げた。
 「深●市の腐敗を追及せよ!」。男性いわく「姉が『黒社会』(暴力団組織)に殺されたが、黒社会と癒着した警察は捜査してくれない」。
 デモ隊には上海万博で強制立ち退きさせられ、行き場がないとして陳情に訪れた農民も。
 デモに“便乗”したのは「メディアに取り上げられると思ったから」だ。
 だが彼らが政府批判を始めるや、警備の警察官が阻止。衝突事件への不満をガス抜きする
 “官製デモ”以外は容認しない強硬態度に、公安関係者は「ああいうやからの動きは芽のうちにつむ」と。
 腐敗や格差。反日デモ一つとっても、この国がはらむ問題が浮き彫りに。これらは「社会の安定」の名の下に当局によって封じ込められている。 」
http://www.chunichi.co.jp/article/world/worldtown/CK2010092902000208.html

<太田>

 記事の全文引用、許されよ。ブルブル。

<ζζδδ>(同上)

 「日本の従来のいわゆるリベラルな視点からすれば、対話による平和がもっとも好ましいだろうが、主導権が米国にあると見られ、米国による新支配のように受け止められているからかもしれない。」
 「私の素朴な感想を言えば、麻生政権ならこんなものものしい事態を引き起こす必要もなく、日本主導でアジア諸国と連繋し、日米関係ももう少し緩やかなものに安定させたのではないかと悔やまれる。
 従属性の高まる日米関係もまた政権交代の、やや意外かもしれない結果でもあった。」
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2010/09/post-3f40.html

前段:自発的属国論まで後一歩。
後段:アメリカ頼みの属国願望。

 こういう思考の人、多いんだろうなあ。
 軍事侵攻されんと、自発的属国論→独立論は普及しないのかもねえ(遠い目)

<太田>

 引用されたブログ書いた人、何言いたいのかよく分かんねーぞ。
 読者にあれこれ考えさせるメリットはあんのかもしれないけどな。

<δΖΖδ>(同上)

 今回の尖閣諸島拿捕事件は、本来は日本と中国の問題なんだろーが、当事国である日本は属国なのでさて置いておかれ、代わりに宗主国・米国と中国との間で決着がついたということだよな。

 菅首相と仙石が本日(30日午前)の衆院予算委員会で、
 「捜査への介入一切ない」「検察判断は適切だ」と、政治介入否定を強調したが、もっと丁寧に判りやすくだ、「中国船長の保釈は、実は、宗主国の米国の命令で、その指揮下にある属国の日本の外務省に指令が渡り、検察に命じて即時釈放となったので、首相はもとより日本政府の意思が全くなく責任のないものです」
と正直に述べたら、国民は「なんて正直で真摯な政府なんだぁ〜」と、支持率アップにつながるのでは…。
 と、おもわんかね〜w。

 米国の命令を受けたらしき外務省の課長?とやらの証言がなんとか出ないもんですかね〜。
 秘匿事項なんだろーか? 太田さんに続いて退職して、属国日本の姿を晒して日本独立への礎となって欲しいもんだが。
 をーい、課長!見てる?

<太田>

 そんじゃ、ここで、本件関係の記事の紹介をやっとこうか。

 やっぱ、最初に動いたのは中共側だったな。↓

 「中国の劉洪才駐北朝鮮大使が今月中旬、極秘に訪日し、民主党執行部と会談していた・・・
 劉大使は一九八九年から約三年間、在日本の中国大使館に勤務した。日本の与野党に太いパイプを持つ知日派で知られる。二〇〇三年六月に中国共産党対外連絡部副部長に就任後、今年三月に駐北朝鮮大使に就任した。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010093090070715.html

 そんでもって、日本側も答礼訪問をやってさしあげたってわけだ。↓

 「民主党の細野豪志前幹事長代理が29日、北京入りした。夕方に釣魚台迎賓館に入り、中国の外交を統括する戴秉国(タイ・ピンクオ)・国務委員(副首相級)と会談したとみられる。・・・
 細野氏の訪中について、菅直人首相は「まったく承知していない」と述べた。前原誠司外相も「政府とはまったく関係ない」と語った。」
http://www.asahi.com/international/update/0930/TKY201009290583.html
 「・・・民主党関係者・・・は細野氏の訪中目的について、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議の際に、菅直人首相が中国の温家宝首相と会談する可能性を模索するためだと明らかにした。
 首相から中国政府首脳にあてた親書も携えているとされ、首相の事実上の“密使”として中国要人と接触したとみられる。・・・」
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010092901000749.html
 「・・・前原外相は首相官邸で記者団に「政府の判断ではない」としながらも、「数日前に、『行く』というのは聞いていた」と語り、政府が今回の訪中計画を知っていたことを認めた。・・・」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100929-OYT1T01007.htm
 「・・・前原外相は29日夜、記者団に「今の段階でこちらからアクションをとる必要はない」と不快感を示した。」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100930k0000m010135000c.html

 前原の発言をつなぎあわしただけで、中共側が、当分の間、前科2犯の前原・・民主党代表時代の中共軍事的脅威発言+国交相として件の船長を逮捕させた・・及び彼が率いる外務省はずしを強く要請し、それを日本側も受け入れたってことが透けて見えてくるな。

 人民網も、香港の新聞を引用する形で、やんわり前原批判を展開している。↓

 「・・・「民主型タカ派」だ。前原誠司氏、枝野幸男氏、野田佳彦氏がその代表的な人物で、菅直人氏、岡田克也氏などもこの派に属する。血気盛んで清廉、国の利益と主権の利益は個人政治の利益を上回り、民主政治を唱え、腐敗や裏金に反対で、日本の侵略の事実を認めている。・・・
 こうした「民主型タカ派」の多くは、世襲政治の背景はないが、強い政治の理想を抱き、急進で策略や執政の経験に乏しく妥協するのは苦手だ。内外政策では現実的で強硬であり、中国の軍事力の急速な成長と不透明さを警戒している。
 注目したいのは前原氏だ。二大政党が交代する変革期に前原氏は「新タカ派」の政治家として政治の舞台に上がり、強国でその優位を示すという考えを持つ。前原氏が担当する外交分野では、軍事、領土主権、東中国海の資源開発など、中国との摩擦や衝突が増える可能性は高く、日本が米韓と手を組んで中国を牽制する戦略はすでに明らかだ。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/94474/7154128.html

 それはともかく、以下のくだり、行間を読むまでもなく、中共当局が悲痛な全面降伏宣言を行ってること、分かるだろ。↓

 「・・・日本の右翼たちのわめき立てを恐れる必要はなく、西方の世論の辛辣な風刺を恐れる必要もなく、中日関係に新たな予想のことが出てくることを懸念することもない。これまでの何度かの摩擦が、「天が崩れ落ちてくるのではない」ことを証明している。中国からの対抗措置が平和的で、中国社会がいかなるとき冷静さを保ちさえすれば、われわれは中日関係のすべての波風ひいては悪化を耐えることができる。 
 中国社会は改革開放に忙しく、「反日」の要もまったくない。また、そんな気持ちもない。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/94474/7150630.html

 そして、中共当局、早速行動によって恭順の意思を裏付けた。↓

 「・・・中国当局に事実上拘束されていた日本の準大手ゼネコン、フジタ・・・の社員ら日本人4人のうち3人が釈放された・・・」
http://www.asahi.com/international/update/0930/TKY201009300148.html
 「・・・中国政府関係者も「スパイ行為なら4人で一緒で行動するはずはない」と微罪であること認めていた。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100930/chn1009301305006-n1.htm

 残りの1人の解放も近いだろう。

 最後に、「中共は、本件で、・・・その豹変ぶりがはっきりした・・というか、ネコかぶってた本来の正体が露見した・・として、世界中の国々の顰蹙を買ってしまった」(コラム#4283)ことを裏付けるものを本日もあげておこう。↓

 ・・・Chris Nelson, editor of a Washington newsletter, coined the ungainly (but useful) term “Putinizing”. Like Russia under Vladimir Putin, he said, China was playing to domestic nationalism by hardening previously friendly attitudes to its neighbours. Denny Roy, senior fellow at Hawaii university’s East-West Center, said China’s view of the Asia-Pacific ultimately “doesn’t have room for the degree of American influence we see today”. That could put the two sides on a “collision course”. ・・・
 Beijing may believe it has outgrown Deng Xiaoping’s exhortation to “hide our capabilities and bide our time”. It may feel, in Mr Roy’s words, that now is the time to “push the system into a shape more to China’s liking”. ・・・
http://www.ft.com/cms/s/0/8dda2188-cbf5-11df-bd28-00144feab49a.html
 
<XXXX>

 <史料のコピー(コラム#4281)>昨日、発送したので、いつも通りに着けば今日の午前中には届くかも?
 重要そうだと思った場所は全部コピーしちまいました・・・・・・
 重光葵の世界観をアングロサクソン論の観点から批評できるのでは?と思った次第です。

 あ、ちなみに私は、しがないただの学生っすよ。
 コラムを読んで、できるだけ一次史料に近いモノを調べてみたら太田史観を裏付ける史料がサックザク出てきたんで、面白いから送っている次第です。
 戦前の日本人が述べた「東亜の安定」や「東亜の平和」は横井小楠コンセンサスの帰結であると思いますが、(重光葵曰く、日本(朝鮮半島含む)の安危に関わる領域(東亜)の安定(平和)を確保する事が国益であり日本人の使命である、と言っている。
これは裏を返せば東亜に住む諸民族の共通益(平和)を確保する事が日本人の使命である、とも受け取れる気がします。
 そう考えると、汎アジア主義、大東亜共栄圏構想は一種の横井小楠コンセンサスの帰結とも考えられません?
 私の横井小楠コンセンサスの認識が間違ってたらすみませんが・・・・・・)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E4%B8%BB%E7%BE%A9

 従来の研究ではそう言った観点は無視されているので、露天堀ウハウハで史料見付けられた気がしますね。

<太田>

 届きました。
 コピーとるだけで、大変な時間がかかったでしょう。
 スミマセンねー。


 その他の記事の紹介です。

 中共で、農村地帯からの出稼ぎの増加が、取り残された子供達に大きな試練を与えているようだ。↓

 ・・・A generation of left-behind children is growing up in China. Researchers estimate that at least 58 million ? nearly a quarter of the nation's children and almost a third of its rural children ? are growing up without one or both of their parents, who have migrated in search of work. More than half of those were left by both parents.
 The youngsters face stark psychological and emotional challenges; many struggle to keep up with their lessons and end up abandoning school in their teens to join their parents on the road・・・
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-china-left-behind-20100930,0,2039701,full.story

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