太田述正コラム#4219(2010.8.28)
<皆さんとディスカッション(続x937)>

<ΔαΔα>(「たった一人の反乱」より)

≫小沢が勝てば、小沢的政権が恒久化し、政官業の三位一体的癒着という自民党的なものが復活してしまいかねないぜ。≪(コラム#4215。太田)

と、前回書かれていたので心配していたのですが

≫小沢が間違って民主党の代表になったとしても、彼が首相になれるワケないさ。民主党が分裂するか、衆議院での首相指名投票の際に民主党内から造反者が出るのは必至だからね。≪(コラム#4217。太田)

 今回の上の文を読んで安心しました。
 ところでブログで有名なきっこ氏がツイッターで

 「kikko_no_blog 自民党が半世紀もかけて構築してきた政官財の癒着システムを破壊するためには、生半可な攻撃では歯が立たない。
 一瞬で官僚の飼い犬に成り下がった鳩山や菅を見れば一目瞭然。「毒」を制すには「薬」ではなく、「毒」を制すには「さらなる猛毒」、つまり、「小沢一郎」なのだ! 」

と、発言しています。同じ現象を前にしても対処の結論が真逆になることもあるんですね。

<ΔΔαα>(同上)

 小沢は、猛毒のイメージw・・だよね〜。
 まぁ あれだ、毒っていったって、選択毒性といってだ、ある生物にとっての毒が別の生物には毒でないことがあるし…最悪の毒と称されるダイオキシンにしたって、このダイオキシンで中毒死した例は無いようだし、一般に猛毒としていわれているものでも、本当に悪性の毒なのかはわからないだろ〜。
 どっちにせよ、小沢=悪のイメージはしっかりと定着してるし、善人が舵取りすれば善い方向に向かうってもんでもないだろーし、どーせ属国の首相なんだから一度は小沢首相でもよいとおもうぞ。
 (所謂善人と称されるヒトが仕事ができるとは逆におもわない)

≫小沢が間違って民主党の代表になったとしても、彼が首相になれるワケないさ。民主党が分裂するか、衆議院での首相指名投票の際に民主党内から造反者が出るのは必至だからね。≪(コラム#4217。太田)

 さぁーて、太田予言者の発言ははたしてどーなるか楽しみだーね。
 まぁ、小沢をマスコミ連中がこぞって叩き続けるのは屁をひるより明らか(今まで以上にヒステリックに)なんで、小沢バッシングを発信するところの立ち居地もよ〜く観察するのもよいとおもうぞ。

<太田>

 官僚は昔も今も法的には政治家の飼い犬でしかない。
 なのに、必ずしもそうは見えないのは、彼等にしつけをしていないからだ。
 人事権もカネの分配権も法令制定権も政治家が握っているのに、彼等がそれをまともに行使していないからだ。
 一番大事な人事権を例にあげれば、政治家は、例えば、天下りシステムを黙認しつつ、高級官僚にとってとりわけご大切であるところの、天下り後の個別「人事」には基本的に関与して来なかった。
 だから、官僚は、どちらかというと、政治家の方ではなく、官僚の現役トップの事務次官や人事を所管する官房長等、ないし官僚OBの有力者の方を見て仕事をしてきたんだよ。
 私は、政治家に天下り後の個別人事をやれと言っているのではなく、天下りシステムを粉砕しろと言っているんだな。
 そうすれば、官僚の(在職中の)人事権を政治家が行使することの意味が相対的にはるかに大きくなり、それだけで官僚はよく言うことを聞くようになるはずだ。

 ところが、鳩山も菅もそうだが、小沢だって、(恩給的なものの復活に言及したことすらない以上、)天下りをなくすつもりはない、と見ていい。
 じゃ、小沢が目指しているものは、一体何なのか。
 天下りを通じた官業の癒着の黙認を続け、人事権の行使は現役官僚に対するものだけにとどめる代わりに、カネの分配権と法令制定権を政治家・・つまりは小沢・・が完全に掌握し、自民党時代の政官業三位一体的癒着構造を再編成した、(官抜き)政業癒着構造を構築し、恒久化することだろうな。
 要するに、恒久的政権を担う政治家優位の下で、政治家と官僚とが棲み分ける体制をつくろうというんだな。
 (ただし、カネの分配権と法令制定権の行使を通じて、間接的に天下り後の官僚OB人事にも影響力を発揮することになる。)
 これは、微修正された自民党的政治そのものであると言っていいだろう。
 そうなりゃ、吉田ドクトリンが当然のように墨守される中で、さぞかし税金の非効果的/非効率的なたれ流しが続くことだろう。
 キミ達がそれでよしとしないのであれば、小沢を首相にするのも面白い、なーんて軽々に言っちゃダメだ。

 ところで、小沢がどうして力を持っているか分かるってるんだろうね。
 奴が子飼いの郎党たる政治家を多数抱えているからだ。
 それは、小沢が、ツバつけた新人議員の卵の選挙活動を手取り足取り指導して当選まで持って行ってやることによって培ったものだ。
 この指導、実際には小沢の分身たる秘書や子分の政治家が対象たる新人議員の卵に張り付いてやるわけだな。
 しかし、この大量の秘書や子分の政治家を抱えていくためにはハンパじゃないカネがかかる。
 だから、必然的に、そのカネを特定の業者や業界との癒着関係の中で確保せにゃならんってことになる。
 なお、こうして集めたカネの一部が小沢個人の懐に入っている疑いも投げかけられているところだ。
 このように見てくりゃ、小沢の存在そのものが不祥事なのであり、そのような意味で小沢が悪であって日本の恥部だってことくらい、分かるだろ。

<ΔΔαα>(同上)

≫「犯罪容疑者」については、二つの検察審議会で、それぞれ「起訴相当」と「不起訴不当」の決議がなされていることから事実だぜ。 なんだけどねえ。≪(コラム#4217。太田)

 容疑者の、あたまにわざわざ“犯罪”と付けることが、悪質なレッテル貼りと言ってるんだけどねぇ。
 太田さんのそれでは、起訴を“噂”されたら判決結果を待つまでもなく、たとえ冤罪であっても「犯罪容疑者」って連呼していること(過去から小沢に対して)が残り、意図的な悪意あるバッシングってことになるんとちゃう?
 小沢を嫌いなのはわかるが、「犯罪容疑者」呼ばわりは違和感感ずるヒト多いとおもうぞ。
 太田さんもたしか〜厄介なのに?訴訟されたんだよな…ご自身「犯罪容疑者」として、はて〜自覚あったんかいな?

<太田>

 あのなあ、私の場合、民事であって刑事じゃないから、「犯罪容疑者」になんてなりえないんだよ。
 他方、小沢は犯罪捜査中だぜ。
 検察審査会の決議を受け、検察が任意の事情聴取を小沢に打診しているって知ってるだろが。
  最低限、言葉の意味↓を理解した上でモノを言いな。

 「一般に用いられる容疑者・・・<と>は「被疑者」のいい換えであ<る。>・・・
 被疑者・・・とは、捜査機関によって犯罪を犯したとの嫌疑を受けて捜査の対象となっているが、まだ公訴を提起されていない者のことをいう、司法手続及び法令用語である。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A2%AB%E7%96%91%E8%80%85
 「犯罪(はんざい、英語:Crime)とは、一般には、法によって禁じられ刑罰が科される根拠となる事実・行為をいう」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8A%AF%E7%BD%AA

<MS>

 ・・・USさんの「これはすごくよいかと。」<(コラム#4217)>はタイトル<案>ではなく、<「日米の協力と裏切り、そして、隷属をめぐって」という>サブタイトル<案>に対するコメントです。

 ミュンヘンさん、マロンさん、TAさんコメントありがとうございます。
 現在の編集方針は、論理を必要としない、あらすじのみの「ものがたり」を通して読者の心理に訴えかける本を作ることです。
 縄文、弥生モードなど「論」、つまり、なにかの主張なり仮説を筋道だてて説明しないといけないものは、基本的には付録に入れ「ものがたり」の分析という目的で使うつもりです。

 編集作業によって、20世紀における日本の縄文・弥生モードの変遷を、縄文・弥生モードという言葉を使わないで、強調させることは可能かもしれません。

 歴史観の問題点の指摘も同様で、指摘に「論」を必要としそうなので、付録になる可能性が高いです。「論」と「ものがたり」を交互にするというのも、結構難しそうなので、まずは流れ重視の「ものがたり」のみで編集させて頂こうと思っています。

<太田>

 それは違う。
 私が「物語」と言ったのは、本の構成(流れ)に物語性がなければならないという趣旨であって、構成の各単位は「論」であって欲しいのです。
 (『属国の防衛革命』の私名義の各章をイメージしてください。
 この本では、共著であることもあって、私名義の各章の間にはほとんど何の脈絡もありませんでしたが、今回はしっかりと脈絡をつける。それが物語性 です。)
 ただし、TAさんの提案を踏まえ、各章の冒頭に、その章で何が扱われているのか、何を訴えたいのかを記したらどうか、と申し上げたわけです。

 そもそも、MSさんのおっしゃるような「物語」を書くというのであれば、本全体を一人の人が書き下ろさなければダメでしょう。
 分担して作業をする以上は、ある程度バカチョン方式・・私のコラムの切り貼り・・じゃないと進まないと思います。

 目次が暫定的に確定したら、このバカチョン方式で、とにかく、各章を切り貼りで埋めるわけです。
 それに各章の冒頭部分をつければ、(序文と後書きを除いて)インターネット版はほとんど完成です。

 それをもとに、今度は各章を圧縮したハードカバー版ををつくるわけです。
 (各章の冒頭部分は同じでいいと思います。)
 これも基本的には、切り貼りのうち、余り重要でない箇所や詳しすぎる箇所を落とすだけにとどめた方がいいでしょう。

 その上で余裕があれば、新書版をつくればいい。(全くの新人に代わってもらってもいいと思いますね。)

<Chase>

 「2.<章> どうして米国は世界覇権国になったか」<の冒頭に>
「2.0 グレートゲーム〜アングロサクソン(自由主義)文明と欧州文明の抗争の歴史」
 「3.<章>自由主義文明の防衛・拡大を目指した日本流帝国主義(ロシアの脅威をめぐって)」<の冒頭に>
「3.0 欧州文明の外延たるロシアの脅威」<を入れるべきでは?>

<太田>

 確かに、そうすれば、2章と3章の中身がそれぞれ「論」として首尾一貫しますね。
 縄文・弥生モード論もこういう形で、日本型政治経済システムの構築か吉田ドクトリンの成立を扱う箇所に入れ込んだらいかが?
 (いずれにせよ、本格的なアングロサクソン・欧州せめぎあい論と縄文・弥生モード論が、別の著書できちんと展開されるべきですが・・。)
 このほか、MS提案を踏まえ、これらを巻末に付録として付けるやり方、あるいは、「太田の歴史方法論」的なタイトルの下に独立した章とし、巻末等に入れ込むやり方もあるかもしれません。

 なお、「ロシアの脅威」そのものを論じるのなら、ロシアとソ連の断絶を指摘する論への言及も忘れないで下さいね。

 以上、いささか差し出がましい印象論でした。

<Chase>

  タイトルは、最後まで、ずっと継続して考えていけばよいと思いますが、私は現時点では、当初のMSさんの「日本独立のための近現代史」でよいと感じています。
”ための”というところは工夫の余地があるかもしれませんが、全体を通して読めば、なるほど、日本は独立していないんだなあという自覚作用が読者に生じると思います。
 そのことを促すというニュアンスを”ための”と捉えることも、面白いと思います。。
 タイトルは非常に大事なので、これからも議論していくべきだと思います。

<MS>

 太田さんの勧められた編集方針は、
1.各章の論理は完結
2. 章の間はものがたり(ロジックではなく)で結ぶ
ということですね。

 この案は以下のような欠点から編集が非常に難しいと思います。

1. 一章ごとに論理を完結させなければならないため、各章のサイズが大きくなる

→何度も申し上げているように、とにかく切り貼りで埋めてみて、それからどんどん削っていけばいいのです。(太田)

2. 一章ごとのカバーする時代も長くなるので、章の間で時代のオーバーラップが生じる。

→「物語」なんですから、オーバーラップなんていくらあっても構いません。
 プロが編集した『実名告発防衛省』だって、何度同じ話が出てくることか。
 (この本↑の構成、そもそも、時代順でも論理順でもありませんよね。)(太田)
 
3. 2の結果、章と章の間を歴史流れ(時代順)で結ぶことができない可能性がある。

→ですから、各章の配列は、時代順でも論理順でもなくたっていい、物語ってそんなものだってことになったんじゃなかったですか。(太田)

4.1で仮に一章ごとにロジックを完結させない場合、一部の章をロジックで結ぶ必要が出てくる。その結果、章の間がロジックでつながっている場合とあらすじでつながっている場合が混在することになり、編集もしにくくなるし、読みにくくもなる。

→論旨不明です。(太田)

 このような理由から、できるだけ、論理とあらすじの混在する編集方針は避けたいと思っています。・・・

<MS>

>MSさんのおっしゃるような「物語」を書くというのであれば、本全体を一人の人が書き下ろさなければダメでしょう。<(太田)

 そうですか。方針を決めて細部もどうするか話し合い、考えを統一していけば、<私の考えで編集は>できると思っているのですが。。。
 物語を描いた経験がないので私にはわかりま>せん。
 Chaseさん、USさんはどう思われますか?

<US>

 そうかもしれないし、そじゃないかもしれないです。
 目次案の流れもとりあえず大きな反対がなくなったのでこれでスタートして、とにもかくにも流れにそってまずは貼り付け・連結作業をやってしまってそれから考えてみてはいかがでしょうか。
 
<MS>

 <それでは、>太田さんのアドバイスを受けて、目次を変更し<たいと思います>。
 構成は変<え>ませんが、目次名を大幅に変え<たいと思います>。

 太田さんのアドバイスは、全体としてはものがたり、各章は論理が完結とのことでしたので、各章の論の内容とものがたりの中での位置づけをコメントして、しめ<そうと思います>。
 目次名はものがたりの流れをあらわすようにつけ<るつもりです>。

<太田>

 MSさん、私が、日替わりで、一見矛盾するようないちゃもんをつけてるように思われてるかもしれませんね。
 本の編集はファジーな作業なので、この作業を共同で実施するにあたっても、概括的なことを決めたら、作業を実施する各人が、アタマを柔らかにして、創意工夫をし、試行錯誤しながら、かつ、必要に応じMSさんを中心に総合調整しながら、進めて行って欲しい、という趣旨ですのでご理解のほどを。

 他の読者の方々も、次著のタイトルを含め、どしどしご意見をお寄せください。
 
<Fat Tail>

WSJ<電子版>の記事、<有料読者だけのものも>Googleでタイトル検索して入れば<全文を>読めます。
 マードックがGoogleを目の敵にする所以。
 OHANIANはCOLEと共にこの分野の研究で活躍中。
 以前紹介した、二人によるこちらの記事もお薦め。
http://on.wsj.com/8Dl3ot

<太田>

 毎度どうも。
 だけど、ファイナンシャルタイムスでそれやっても、読めるの5回に1回もなかったですねえ。

 それでは、記事の紹介です。

 米国の黒人の話だけど、幸せって気持ちの持ちようってところかなりあるんだねえ。↓

 ・・・Blacks are still not as happy, overall, as whites, but in seminal new research?which tracks the changes in happiness levels by race since the 1970s for the first time?・・・found that the gap between black and white happiness has declined by about 40 percent. Wolfers said: “It is the largest and most important change in happiness for any population I have ever seen.”・・・
 ・・・there has been almost no improvement in earnings compared with whites since 1980, and little in education since 1990. In 1972 black family income was 58 percent that of whites; by 2004 it had inched up only to 64 percent. Black families are still three times as likely as white families to be living in poverty.・・・
 ・・・white women of all ages and incomes are substantially less happy, while, intriguingly, black women at the same time have become much happier. ・・・
 The only group that did not report an improvement in happiness was young black men, one in three of whom are likely to be jailed in their lifetime.・・・
http://www.newsweek.com/2010/08/27/baird-blacks-whites-and-the-happiness-gap.print.html

 これも米国の話だけど、中性化すると、より精神的に健康になるってよ。
 縄文文化バンザイ!↓

 ・・・We have come to view fundamentally human attributes such as empathy, emotional skills and the desire for intimate relationships as being girlish or gay. They are not girlish or gay skills ? they are human skills, or at least they should be." The more boys take that to heart, the healthier they'll be.・・・
http://www.time.com/time/health/article/0,8599,2014038,00.html

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 一人題名のない音楽会です。
 今回は、シューマン小特集の2回目です。

子供の情景 ホロヴィッツ
http://www.youtube.com/watch?v=dxz2UfCYtQk&feature=related
子供の情景より「トロイメライ(夢)」 ルービンシュタイン
http://www.youtube.com/watch?v=Ta11iuAWEBY&feature=related
 同上 Mischa Elman バイオリン 
http://www.youtube.com/watch?v=Hc5ol6Jm15M&feature=related

アラベスク ルービンシュタイン
http://www.youtube.com/watch?v=jjlqI_YPE10&feature=related

ソナタ第2番 アルゲリッチ
http://www.youtube.com/watch?v=RMeVCb5Fslg&feature=related 以下
ソナタ第3番 ホロヴィッツ
http://www.youtube.com/watch?v=9aCcXBc3PIg&feature=related 以下
ソナタ・ト短調 アルゲリッチ
http://www.youtube.com/watch?v=147-ttSq4tg&feature=related 以下

Fantasiestucke マイスキー(Mischa Maisky。チェロ)+ アルゲリッチ(ピアノ)
http://www.youtube.com/watch?v=rTclJ-uX6ok&feature=related

チェロ協奏曲 ロストロヴィッチ バースタイン(フランス国立管弦楽団)
 ロソトロヴィッチ、畢生の名演奏だ。
http://www.youtube.com/watch?v=UwOisqjXUEo&feature=related 以下

(続く)
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太田述正コラム#4220(2010.8.28)
<どうしてイスラム教は堕落したのか(その2)>

→非公開