太田述正コラム#4104(2010.7.1)
<米国でのロシア・スパイ団摘発について>(2010.8.1公開)

1 始めに

 例のロシア・スパイ団摘発について、米英では、依然として話題が尽きない感じです。
 夏にはこういう肩のこらない話題がふさわしい。
 さっそく、本日目にした記事のご紹介と行きましょう。

 まずは、目の保養に、米国内でつかまった10名中最も魅力的と騒がれている、女性スパイ、アンナ・チャップマン(Anna Chapman)の勇姿をご覧あれ。

 写真集はこちら。↓
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/gallery/2010/06/29/GA2010062904907.html?sid=ST2010062905524

 ビデオはこちら。↓
http://www.youtube.com/results?search_query=anna+chapman&aq=f

 もっとも、実のところ、私には全くビビっとは来ませんでしたが・・。

2 スパイ団について

 「・・・私は、彼等に与えられていた指示は、かつてKGBの一員であった者が多いところの、現在のロシアのエリート達の心情を反映していると思う。
 当時、KGBは、選挙が本当に自由であり得るとは信じていなかった。
 「ブルジョワ民主主義」はいつもフィクションであると考えられていた。
 現在のロシアの支配階級の一部だってそう思っているわけだ。
 <また、>当時、KGBは情報の自由な流通など信じていなかった。
 いわゆる「自由な報道機関(press)」は、常に資本家による搾取の道具と思われていた。
 現在のロシアの支配階級の一部だってそう思っているわけだ。
 逆に、古いKGB的なものの考え方によれば、秘密情報は、米国政府が公にするいかなる情報よりも、もっと良いか少なくとももっと信頼できるわけだ。・・・」
http://www.slate.com/id/2258128/
(7月1日アクセス。以下同じ)

 「<三者の馴れ合い芝居は次のとおりだ。>
 ・・・第一に、<キプロスで捕まった1人を含む>11人のスパイ達自身<、この状態が続いて欲しいと思っていた。>・・・そうすれば、<彼等は、>モスクワから給与小切手をもらい続けられる<からだ。>・・・
 次には、ロシア対外情報庁(SVR)・・ロシア共和国においてKGBが改名したもの・・の快適なイスに座っているスパイの元締め達だ・・・。
 彼等もまた、このみえすいたまねごと(charade)を永続させることに既得権益を有していた。・・・
 最後に、FBIの機関員達にとっても、このスパイ達は、やはり神からの贈り物だった。・・・」
http://www.slate.com/id/2258658/

 「・・・米国の国家安全保障に計り知れない損害を与えたところの、アルドリッチ・H・エイムズ(Aldrich H. Ames<。1941年〜。1994年にソ連/ロシアのスパイとして告発されたCIAの対諜報担当官
http://en.wikipedia.org/wiki/Aldrich_Ames (太田)
>)やロバート・P・ハンセン(Robert P. Hanssen<。1944年〜。2001年にソ連/ロシアのスパイとして逮捕されたFBI機関員
http://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Hanssen (太田)
>)のような有名なスパイとは違って、今週告発された者達は、秘密のデータを求めよとは命ぜられてはいなかった。・・・
 彼等は、<米国内において>深く潜行してきたのだ。
 ロシアの諜報機関に何らかの必要が生じた場合に備えて・・。・・・
 彼等は極めて米国化されるであろうことから、誰も彼等とロシアとのつながりを見つけることなどできなるなる、というアイディアであったわけだ。・・・
 合計8人の男女がロシアの諜報機関によって結婚したカップルとして「番わされ」、この4つのカップルのうち3つは米国で子供をつくった。・・・」
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/06/29/AR2010062905401_pf.html

 「・・・調べた範囲では、ロシアのスパイとして非難された4組の両親達は、計7名の子供達を何の過失もなく育て上げた。・・・」
http://www.nytimes.com/2010/07/01/nyregion/01children.html?pagewanted=print

 「・・・<ある諜報問題専門家は、>このロシア人達が逃げだそうとしていたから捕まえる必要があったという主張について懐疑的だ。
 「彼等が国家安全保障にとって差し迫った脅威であったという理由で彼等を一網打尽にしたというのはいささか誇張がある」と彼は言う。
 「ここに陰謀があったとすれば、それはロシア側ではなく、むしろ我々側にあった」と。」
http://www.time.com/time/nation/article/0,8599,2000732,00.html

3 終わりに

 ロシアの諜報機関と米国の治安機関がそれぞれ仕事をしているフリをするため、「協力」して猿芝居を続け、それにロシアのスパイ達も自覚的に踊らされてきた、というわけですが、一番可愛そうなのは、このスパイ達の米国で何一つ知らされずに育った子供達ですね。