太田述正コラム#4103(2010.7.1)
<皆さんとディスカッション(続x879)>

<ωΒωΒ>(「たった一人の反乱」より)

≫ハセガワは日系アメリカ人だ。≪(コラム#4101。takahashi)

 ハセガワは日系アメリカ人じゃなくて、在米日本人研究者じゃね。
 どっちでも大意としてはわかるからどうでも良いけど・・・・・・。
http://en.wikipedia.org/wiki/Tsuyoshi_Hasegawa

<takahashi>(同上)

 ハセガワは日系アメリカ人○世かと勘違いしてたよ。
 南部陽一郎と同じくアメリカ国籍は取得しているんだな。
 いずれにせよ、英語で書いて主張しなければ、アメリカ人の歴史認識を改めるのは難しそうだ。
 アメリカ留学が減っている日本人には絶望的な壁のような気がする。

<ωΒΒω>(同上)

≫ハセガワは日系アメリカ人だ。・・・≪(コラム#4101。takahashi)

 学者がそんな理由で真実を語れないなんてやっぱり歴史問題に関しては発言の自由が無い風土なんだな。
 日本だったら外国人だろうが日本人だろうが昔の政治に駄目出しすることなどいくらでもあるけど。

<ΒωΒω>(同上)

 加筆されているそうだけど、太田さんは邦訳版のほうも読んだんですかね?

「英文で書かれたものと日本読者向けに和文で出版されたものについては、内容が微妙に異なる箇所が散見される。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E6%AF%85
「この本の原著は"Racing the enemy"という題で、2005年に出版されている。
日本版は著者自身の和訳で、著者の私見や、新しい資料、新しい解釈も加えてほとんど書き下ろしになっているという。」
http://atamanisutto.livedoor.biz/archives/51156314.html

≫それをやるのは日本にいる我々の責務でしょう。≪(コラム#4101。太田)

 麻田貞雄と「激しい論争」をしたそうです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BA%BB%E7%94%B0%E8%B2%9E%E9%9B%84

http://en.wikipedia.org/wiki/Debate_over_the_atomic_bombings_of_Hiroshima_and_Nagasaki#cite_note-asada-105
からリンクされてましたが、麻田は「Hasegawa’s counterfactual history(事実に反する歴史)」「without evidence(根拠なし)」と斬り捨てたようで。
http://www.hnn.us/roundup/entries/28318.html

 米国の歴史家たちとも「Racing the Enemy」等で、色々やりあったようで。
 ブログには書かれていないアドレスだったけど、チェック済みですかね?
 私は量が多く読んでません。太田さんに丸投げします(笑)
http://www.h-net.org/~diplo/roundtables/#hasegawa
http://www.h-net.org/~diplo/roundtables/#3.1
http://www.h-net.org/~diplo/roundtables/#vol11no28
http://www.h-net.org/~diplo/roundtables/#vol9no10

<太田>

 日本の論壇は全然フォローしてないんで、当然訳本が出たのも知らなかったし、日本内での「論争」も知らない。
 そのうち読ませてもらおうかな。
 やっぱ、助手いないとつらいねえ。

<ΒωΒω>(同上)

>学者がそんな理由で真実を語れないなんてやっぱり歴史問題に関しては発言の自由が無い風土なんだな。

 世界で片手しか理解できなくても成り立つ数学や理論物理なんかと違って、新奇で特異すぎる解釈は、歴史学がはらむ政治的性質からして、むずかしいんでないの。
 日本降伏ソ連説を書いただけで、「assail」されたそうで。

 「Although generally my book has been received positively, there are a number of critics who assail my book as “biased,” “one-sided,” work which “consistently misrepresents and distort sources.”」
http://hnn.us/articles/24566.html

 「To attack verbally, as with ridicule or censure」
http://www.thefreedictionary.com/assail

<takahashi>

 勘違いかもしれませんが、太田さんのアメリカ論に武装民兵「ミリシア」についての言及がないように思うんですが・・・。
 太田さんのアメリカ論にピタリとはまる気がします。
 戦闘モード、クレイジーモードといい、アメちゃんらしさ全開のような気がするこの集団。アメリカを占領するのは火星人でも無理ですね。
http://hexagon.inri.client.jp/floorA6F_hc/a6fhc500.html#10
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=215647

 民兵は世界中にある組織のようですが、アメリカはひと味違うようですので、太田さんに論評をお願いします。
 それにしても英語がガンガン読める人はいいねー。

<太田>

 「米国は、・・・植民地時代においては常備軍を維持することができず、独立後には常備軍を維持する必要がなくなったというユニークな歴史を持つ。
 <北米の英領植民地は、スペイン、フランス、オランダ、スウェーデンの各植民地との間や、>先住民の諸部族との間で、・・・日常的に生死をかけた戦争状態にあった。
 <そのために、>常備軍を維持することは、一、成年男子人口が少ないために不可能であったし、二、仮に常備軍を設けたとしても戦場までの距離が遠すぎて無意味、であった。英本国の常備軍自身、17世紀にはまだ建設途上にあり、植民地の面倒までは到底見ることができなかった。そこで、英国に由来する民兵制度(住民総武装に近い)が英領植民地では活用された。」(拙著『防衛庁再生宣言』155〜156頁)

<Fuku:翻訳>

コラム#4099より。
 米国で、最高裁の判決により銃所持賛成派が大きな法的勝利を得たようです。(コバ)↓

 米国の銃所有権賛成派は、今日、大きな法的勝利を得た。最高裁が、憲法によって認められた個人の銃所有権は米国50州の隅から隅まで適用される、と判定したのだ。


 この最高裁判決の解釈は、何が多数意見なのか必ずしも明確ではないこともあり、一筋縄ではいかないようです。(太田)

 NYタイムスとワシントンポストは、どちらもいささか歯切れの悪い判決批評を載せました。↓

 この問題は2年前に始まった。最高裁が憲法修正第2条の明快な文言を無視し、修正第2条は州兵のみならず一般のワシントン市民にも武器の携帯を認めていると判定し、同市の拳銃所持禁止を覆したのだ。最高裁は穴のある論理に基づいて、今や修正第2条は全ての州と都市に適用されると述べ、シカゴの拳銃所有禁止は強制できないとした。・・・
 ワシントン市でのケースと同様に、最高裁は、修正第2条は「どんな武器でもどんな方法でもどんな目的でも保有し携帯できる権利」を与えたわけではないと認め、容認できる例をいくつか挙げている。例えば、凶悪犯罪者や精神病者の銃所有規制や、学校や政府の建物などセキュリティに敏感な場所での火器携帯禁止や、銃売買に条件をつけること、などである。・・・(NYタイムス)

 ・・・最高裁の決定は適正だが面倒な事態を起こす可能性もある。最高裁の一般的傾向として、権利章典の修正条項は憲法修正第14条の法の適正手続き条項を通して、<一般に>州や地方自治体に適用される、と判断してきたので、今回の決定も適正である。
 しかしこの裁定はやっかいな事態を起こすおそれもある。というのは、裁判所が、公共の安全の観点からある程度の銃所有規制を必要する、という妥当な法的判断を覆す恐れがあるからである。・・・(ワシントンポスト)


 翻って属国日本ですが、政権交代しても、米国からの軍事・外交的に独立する議論も機運も全く生まれず、米国幕府さまやそのエージェントたちに全てを委ねて、その異常性から目を背けて、服従して恥じないその心根を変えるためには一体どうしたらいいのでしょうか?
 屈折したダメ市民ですが、米国や無責任な吉田ドクトリンを盲従的にまつろうことがないように心がけたいものです。(コバ)↓

 他国と違って、日本には武器所有権を要求する強力な利益団体がない。首都大学東京で刑法を研究している前田雅英教授は、銃刀法の強化は、自身で武装するより必要なときは当局に頼ろうという、日本人の考えを反映していると言う。

<太田>

 3+12+7+4=26、で26ポイントですね。

<YS>

 ・・・<私は、>元々はイギリス論や歴史といった人間集団を扱った大局的な記事が好きなのですが、最近は人間科学シリーズなどの人の挙動そのものを扱った記事もおもしろく感じます。鬱の話は2、3回読み返してなるほどとうなってしまいました。
 それではまた半年お世話になります。

<太田>

 引き続きどうぞよろしく。

 それでは、記事の紹介です。

 アフガニスタンの王制の復活が提案されているが大賛成だ。
 イラクだってそうしない限りは、そう遠くない将来、空中分解しかねない。↓

 ・・・ if the mission is still about ensuring that Afghanistan - as a relatively cohesive state ? remains free from Taliban and Al Qaeda, then the West should be willing to consider a dramatic step: reinstatement of a constitutional monarchy.
 Pushing for a constitutional monarchy runs counter to America’s traditional antipathy toward monarchies as a form of governance, but in the case of Afghanistan, it’s probably now the only alternative to the Taliban rule that seems almost inevitable once NATO forces withdraw.・・・
 Afghans at the Bonn Conference in 2001, which was set up to plan the future of Afghanistan’s government, clamored to reinstate Zahir Shah and the 1964 Constitution that set forth equal rights for all Afghans before the law.
Yet this broad desire was stymied. ・・・
 Afghan-American kingmakers thrust Hamid Karzai as the new head of government・・・
 It requires holding another Afghan loya jirga (grand council) to determine if Afghans want a constitutional monarchy reinstated under a charismatic descendant of Zahir Shah. ・・・
http://www.csmonitor.com/Commentary/Opinion/2010/0630/Bold-move-to-save-Afghanistan-Bring-back-a-king

 フランスのエリート教育システムを少数民族に開放しようという試みが行われようとしている。↓

 ・・・“In France, families celebrate acceptance at a grande école more than graduation itself,” said Richard Descoings, who runs the most liberal of them, the Institut d’Études Politiques de Paris, known as Sciences Po. “Once you pass the exam at 18 or 19, for the rest of your life, you belong.”
 The result, critics say, is a self-perpetuating elite of the wealthy and white, who provide their own children the social skills, financial support and cultural knowledge to pass the entrance exams, known as the concours, which are normally taken after an extra two years of intensive study in expensive preparatory schools after high school.
 The problem is not simply the narrow base of the elite, but its self-satisfaction. “France has so many problems with innovation,” Mr. Descoings said. Those who pass the tests “are extremely smart and clever, but the question is: Are you creative? Are you willing to put yourself at risk? Lead a battle?” These are qualities rarely tested in exams. ・・・
 Because entrance to the best grandes écoles effectively guarantees top jobs for life, the government is prodding the schools to set a goal of increasing the percentage of scholarship students to 30 percent - more than three times the current ratio at the most selective schools.・・・
http://www.nytimes.com/2010/07/01/world/europe/01ecoles.html?hp=&pagewanted=print

 アフリカ経済が大変好調だという記事を紹介(コラム#4089、4095)したばかりですが、中南米経済も好調のようです。↓

 While the United States and Europe fret over huge deficits and threats to a fragile recovery, this region has a surprise in store. Latin America, beset in the past by debt defaults, currency devaluations and the need for bailouts from rich countries, is experiencing robust economic growth that is the envy of its northern counterparts. ・・・
 ・・・Venezuela, and to a lesser extent Ecuador, another oil-dependent country・・・lags behind its neighbors in growth, seem to be exceptions to a broader trend. ・・・
 Latin America’s growth largely reflects a deepening engagement with Asia, where China and other countries are also growing fast. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/07/01/world/americas/01peru.html?ref=world&pagewanted=print

 この記事は、英語のできる人は全部読むことをお奨めします。
 涙なしには読めない、ナチスと「戦った」一人の英雄の物語です。↓

 Johann Trollmann was a young boxing star when the Nazis came to power. The highpoint of his career should have been winning the light-heavyweight title in June 1933. But Trollmann was a Sinti(ジプシー) and he was soon stripped of his title. Before long, he would fall victim to the Nazi genocide.・・・
http://www.spiegel.de/international/zeitgeist/0,1518,702938,00.html