太田述正コラム#4067(2010.6.13)
<皆さんとディスカッション(続x862)>

<太田>(ツイッターより)

 (コラム#4000に関し、)戦前・戦中の日本は、ただ単に大英帝国を崩壊させただけでなく、米国の帝国主義を根本的に変容させるとともに、半世紀後の中共による新経済体制採択とをもたらす、という画期的な「成果」を人類にもたらしたわけさ。

<Fat Tail>

 --太田述正観察日記II:編集後記 其の弐--

四、「ガゼル論争」に思う
 軍事愛好家からの指摘に端を発した、「ガゼル論争」については、「防衛庁再生宣言まとめ」シリーズに記載がある通りだ。しかし、太田(中将)がガゼルを「対戦車機動攻撃力」にカウントしたことに噛み付いた読者はいても、「第一次日本・アングロサクソン同盟」の成立が1世紀もずれていたことを指摘した読者はいなかったことは大変面白い(「太田述正コラム#1804(2007.6.12)」参照)。
 私も『防衛庁再生宣言』を斜め読みしていれば(と言ってしまうと、私が本書を読んでいないことが露見してしまうが)、気付かなかった可能性大だが、太田(中将)の著書・コラム読者(当時)の偏在ぶりを示しているのか、あるいは読者の母集団たる日本人の偏「脳」を物語っているのか。他の読者のご意見はどうだろう。


五、「本来的業務」がないのに仕事熱心だった太田(中将)
 公開され、かつ可愛さたっぷりの太田(中将)が書くコラムとくれば、ちょっかいを出してくる悪戯小僧達(何故かいつも男性)が寄ってくるのは無理なからぬことであるが、それに対し時にあしらい、時に粉砕し、いちいち相手をしている太田(中将)の生真面目さといったらない。
 見かねて読者が無視するように助言したこともしばしばあることをご記憶の方も多いだろう。
 これは私見だが、恐らく太田(中将)は、包装用の発泡スチロールのプチプチを潰す感じで、心底楽しんでやっているのではないか。
 こんな何事にも真面目に取組む太田(中将)が、吉田ドクトリン下で「本来やるべき仕事」がない(あるいはやらせてもらえない)防衛庁で、せっせと仕事に励んでいたと思うと、さぞや周囲の白い眼が少なくなかっただろうと想像してしまう(該当コラムは多いが、例えば「太田述正コラム#2213(2007.12.3)」や「太田述正コラム#3125(2009.3.1)」を参照)。
 それとも、当時は第二次冷戦時代下にあり、かつ久保卓也氏が考案し残した基盤的防衛力構想という遺産のおかげで、キャリア官僚を始めとする防衛庁職員の士気は、90年代以降を除けば相当程度高かったのだろうか(「太田述正コラム#0160(2003.9.26)」参照)。

六、とどまることを知らない太田(中将)の守備範囲
 初めて読むコラムによっては、高尚な「エロ専門コラム」かと勘違いしてしまう初心な読者もいそうな程、太田コラムが扱う話題は幅広い。
 太田(中将)の人間と人間によって構成される社会全般、及び文明に対する深い関心と鋭い洞察力を窺わせる。
 紹介されているGuardianやNYTのリンク記事をこれまで全て読んでいる読者はまずいないと言って良いだろうが、守備範囲が広い分、必ず自分の問題意識に合致する話題が紹介されるところも、太田コラムを読む楽しみの一つだ。
 私が読んだリンク記事の中で、最も気に入ったものの一つが、「太田述正コラム#1895(2007.8.6)」で紹介された、山本五十六連合艦隊司令長官を扱ったSlateの記事である。
http://www.slate.com/id/2164374/pagenum/all/#page_start

 大日本帝国陸軍に比して、帝国海軍に対する太田(中将)の評価は低い(「太田述正コラム#3075(2009.2.4)」における「Nelson」氏とのやりとりを参照)のだが、このコラムで太田(中将)が抱く山本五十六への想いを、私は垣間見た気がする。
 パール・ハーバーにエンタープライズとレキシントンの二隻の空母が確認されないとの報告を、長門で受け取った山本五十六長官の胸中に去来したものは落胆だったであろうか、それとも来るべき第二戦に向けた闘志であったろうか。
 恐らく決して周囲の部下に気取られることはなかったであろう長官の心中に、私は思いを馳せながら記事を読んだ。

(終)

<太田>

 これで完結とは残念。
 また、折に触れて投稿して下さい。

<Fat Tail>

 中将、『防衛庁再生宣言』はお手許の在庫も全部はけてしまいましたか。

<太田>

 「中将」なんて、「先生」以上に勘弁して欲しいが、まだたくさんあります。
 太田ブログ管理者のタテジマさんが、マーケティング上、余り在庫がないようなことを書いてんじゃなかったかな。
 (コラムそのものは別にして、太田述正フランチャイズの様々なサイトは、ボランティア支援者たるそれぞれの制作者/管理人の運営に委ねられているので、その中での記述すべてに私が責任を負っているわけではないことにご注意。)

<ψβψβ>(「たった一人の反乱」より)

 今の民主党って太田の理想なのかな。
 小沢が地下にもぐったし。

<太田>

 あの産経までも、民主党へのゴマスリ記事を掲載するに至った。↓

 「・・・枝野幸男衆院議員<は>・・・自著「それでも政治は変えられる」で・・・小沢氏と都内の中華料理店で会食した・・・<時の印象を踏まえ、>「改革を言っていますが、それは権力を握るための道具でしかない。本当に改革する気はないのではないか。これは今も変わらない、私の小沢氏への評価です」<と記している>。この書籍は、<今から12年前の>平成10年5月に出版されている。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100613/stt1006131201000-n1.htm

 この機に、とにかく、(自民党そのものを含む)自民党的なものの徹底的駆除を菅民主党にやらせたいね。
 結論的には、今度の参院選では民主党に票を投じようってこと。

<takahashi>(同上)

 押井守のアニメが受けたのは映像表現が斬新だったからだろう。
 '現代テクノロジーが社会理念や倫理に先んじて進んでしまった結果生まれたテクノロジーによる弊害’なんてものはSF映画につきもののテーマだ。
 要するにただの娯楽だ。
 押井守の映画で、哲学だとか思想を語る価値などない。
 評論家やオタクには小難しい屁理屈をつけたがる人がいるものだ。
 黒澤明の『用心棒』は、三船敏郎ふんする浪人が二組のやくざ組織を対立させ、壊滅させる物語だが、この映画を米ソの冷戦になぞらえた映画評論家がいた。
 佐藤忠男だったと思う。
 ただの娯楽映画にすぎないのに・・・。
 押井守の映画に意味を探る行為は、ドイツ観念論を研究して徒労に終わることによく似ている。

 「『スカイ・クロア』本作はヴェネチア国際映画祭で反響があり多くの海内メディアから取材を受けたが、主な質問は物語そのものではなく、「現実に少年少女が兵士として徴用され、命を散らしているのに、「生を実感するため」などという空虚な理由のために戦うなどという作品は、フィクションであるとしてもどうか」など世界観についてであった。」(Wikipediaより)

↑『スカイ・クロア』の映画化は原作者の依頼によるものなので、厳密には押井守の思想とは断定出来ませんが、ヴェネチア国際映画祭では一般客が途中で退席、新聞は酷評。
 こんな内容では、そんなの当たり前ではないですか?

 最新作は『ASSAULT GIRLS』、〈アヴァロン(f)〉と呼ばれる仮想空間と、そこで飽くことなく繰り返される“狩り”という名のプレイ。見渡す限りの大荒野と、砂煙をあげて疾走する巨大モンスター〈スナクジラ〉の群れ。迷彩戦闘機を操るスナイパー、変幻自在に姿を変える女魔導師、馬を駆りアサルトライフルを抱えた女戦士。
 対戦車砲をかついで荒野をさすらう大男。そして、彼女たちを空中から監視し続ける〈ゲームマスター〉……。(公式サイトより)

↑この映画は見たことないけど、中身はTVゲームだよな。

 同じ娯楽作品でも
 『アバター』    →アメリカ人の偽善性、高慢さ
 『パトレイバー2』 →日本人のオタクのカラッポぶり

 この<太田サンによる>批評は、本質をついていると思う。
 押井ファンにはきついとは思うけど・・・。

<太田>

 最後のところ、勝手に「<太田サンによる>」を入れさせてもらった。
 それで正しいという前提の下、お褒めいただいたことに感謝申し上げる。

<セイヤアド・イブラヒム>

 <コラム#679>「パキスタン(その2)」<を読み>ました。
http://blog.ohtan.net/archives/50955154.html#comments

 私は名古屋にすんでいるアハマディー<(Ahmadi)(コラム#4037)>なのですがここに記載されてる情報は正確ではありません。
 私たちはモハマド預言者を信仰していますしモハマド預言者が最後の預言者だということも信じています。
 モハマド預言者は亡くなる前救世主(メシア)到来のを明確なしるしとともに予言なさいました。
 世界が再び乱れるときに彼が誕生し、人々を愛と平和へ導くだろうと。そして予言どうりメシアは出現しました(<ミルザ・グラーム・アハマド(Mirza Ghulam Ahmad。>1835〜1908<年>))。
 彼が誕生する月に日食と月食が起きるというしるしどおりに(実際彼が自身をメシアだと宣言した後にインドで日食と月食がたてつづけに一月内に見られました。)。
 今日ではアハマディアの信者は世界中で2億人ほどいます。
 ヒューマニティーファーストというボランティア団体も設立し、スマトラ沖地震やパキスタン地震、アメリカのハリケーンの時も現地へ赴き災害援助などを行いました。
 日本にもアハマディアの支部があり阪神淡路大震災や新潟中越地震の時も現地で長期にわたり災害援助をおこない、新聞やテレビにもとりあげられました。
 アハマディアはイスラム本来の教えを守ります。
 なのでお酒は飲みません。
 そしてジハードの本当の意味は自分の中にある悪い部分を直すことです。
 つまり自己改革です。
 信仰のために武器を使うことははっきりと禁止されています。
 アッラーは人ではありません、よってイギリス人でもありません(イギリスに<アハマディーの>代表者は住んでいますが)。
 蛇足ですが、私たちは正式にアフマディーと呼ばれる者です。
 カディアニーとは原理主義者たちの私たち対する呼び名であり、れっきとした差別用語です。

 詳しい情報はこちら→http://www.alislam.org/japan/

<太田>

 投稿ありがとうございます。
 先だってのパキスタンでの同門の方々の虐殺(コラム#4037)、お悔やみ申し上げます。

 お言葉ですが、ミルザ・グラーム・アハマド自身が、(彼の死後論争になってますが)自分は預言者であると言っていたようですよ。↓
 Mirza Ghulam Ahmad・・・use<d>・・・the terms “Nabi” (prophet) and “Rasool” (messenger) when referring to himself.
http://en.wikipedia.org/wiki/Mirza_Ghulam_Ahmad

 アラーをイギリス人としているとか酒を飲むとかについては、上記ウィキに言及がないこともあり、この際、判断を保留させていただきます。
 ウィキペディアのような客観的な典拠をお示しいただけるとありがたい。
 
 それでは、記事の紹介です。

 キルギスタンで新たに発生した内紛の背景が説明されている。↓

 ・・・President Roza Otunbayeva acknowledged that her government had lost control of Osh, Kyrgyzstan's second-largest city.・・・
 The region is a Bakiyev stronghold and a cauldron of ethnic and religious tensions, part of a densely populated, richly fertile valley divided between Kyrgyzstan, Uzbekistan and Tajikistan along largely arbitrary Soviet-era borders. ・・・
 As many as 1 million Uzbeks live in Kyrgyzstan, many of them recent migrants who have taken over farms abandoned by an equally large number of Kyrgyz who have moved to Russia to find jobs. Tensions in the south have been running high since Bakiyev was ousted in a bloody uprising April 7, with Uzbeks seeking a greater role in the new political order and many Kyrgyz there continuing to back the deposed president. ・・・
 Russia turned down an appeal for peacekeeping troops from the fragile interim government of Kyrgyzstan・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/06/12/AR2010061200750_pf.html

 38度線越しの宣伝放送の再開をめぐって、南北間で舌戦が繰り広げられている。↓

 ・・・North Korea renewed its threats on Saturday to destroy South Korean propaganda loudspeakers, vowing a “merciless strike” that could turn Seoul into “a sea of flame.”・・・
 The threats, which were carried by the state-run Korean Central News Agency, came a day after South Korea’s defense minister told Parliament that the loudspeakers would begin broadcasting after the United Nations Security Council decided on new measures against the North. ・・・
http://www.nytimes.com/2010/06/13/world/asia/13nkorea.html?ref=world&pagewanted=print

 NATOの東方拡大はしないと米国政府がソ連政府に約束したシチュエーションが描かれている。↓

 ・・・NATO expansion proved all the more offensive to Russia because Western leaders had given assurances to their Soviet counterparts that the alliance would not move eastward. Matlock was present when U.S. Secretary of State James Baker conveyed such an assurance to Soviet leader Mikhail Gorbachev in February 1990.・・・
http://www.foreignaffairs.com/print/66343

 「サンライズ瀬戸・出雲」号の大きな記事が出てた。ノビノビ・シートの話も出てくる。
 消耗したけど、神戸オフ会の帰りに乗っといてよかった!(コラム#4054。未公開)↓
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/100613/sty1006131201004-n1.htm
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 昨日の「一人題名のない音楽会」のギレルスに言及した箇所を以下のように差し替えて下さい。(ブログは差し替え済み)

 ギレルス(Gilels)演奏 同じ曲ですが、高音質なので収録しました。
http://www.youtube.com/watch?v=Beg6xsoCkfY
http://www.youtube.com/watch?v=84O8O5ywibg&feature=related
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<べじたん:翻訳>

コラム#4061より
 中共は、台湾に関しては本気で米国に喧嘩を売っているようだ。
 中共サンよ、まだ、ウン十年早いぞ、・・ちゅうより、永久にそんなこと諦めた方がいいぜ。
 逆立ちしたって米国を含む先進自由民主主義陣営にゃ勝てないからさ。
 モチ、自由民主主義化すりゃ、話は別だけど、今度は台湾問題なんて根っこから解消するもんな。↓

 ある中国軍部高官が、先月訪中した65人の米政府関係者に3分間の「大言壮語」をした。そこで、彼は、米国の台湾への武器輸出はワシントンが中国を敵と見なしていることを証明した、と言った。
 その後、米外交筋及び米国国防長官ロバート・ゲーツは、關友飛少将による上記発言が他の中国政府関係者の考えと対立している、と描写しようと試みた。
 しかし、ワシントンポストのジョン・ポムフレット記者が中国の専門家、政府関係者及び軍部関係者を広範囲に渡って取材したところ、彼らは、2日間の米中戦略・経済対話の一環として行われた5月24日の關友飛のスピーチは中国共産党の見解の主流である、と説明した。・・・
 關友飛の言葉を繰り返して、朱成虎将軍もゲーツに「貴方たち米国人は中国を敵国と見ている」語った。
 朱成虎は、中台間で戦争になった場合、もし米国が台湾を防衛するならば、中国政府は核の「先制不使用」政策を放棄し、米国を攻撃するであろう、と警告した言葉で、2005年に中国で有名になった人物だ。

#Rear Admiral、Major General、辞書で調べると、どちらも少将でしたが、朱成虎の方が階級が上のようで、「将軍」と書いた記事があったので、朱成虎将軍としました。

>關友飛
 「『ワシントン・ポスト』〜中国国防外事弁公室副主任・関友飛少将は、5月末に北京で開催された米中戦略・経済対話で、米国による対台軍備供与計画決定などの中国に敵対する行動を批判した。」
https://www.jptwbiz-j.jp/bizkoryu_j/cgi/geppo_viewer.php

>朱成虎
 「今月、シンガポールで開催されたアジア安全保障会議の席上、中国人民解放軍の朱成虎(ジュー・チェンフー)将軍は、米国の中国敵視政策を強く批判した。」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100612-00000002-rcdc-cn
 「7月14日、中国の国防大学防務学院院長でタカ派として知られる朱成虎少将は、米軍が台湾紛争に介入してくれば、アメリカへの核攻撃も辞さないと発言して世界を驚かせた。」
http://www.foreignaffairsj.co.jp/essay/201005/China_military.htm


コラム#4063より
 国連安保理がイラン制裁強化を決めたが、オバマ政権は、米議会が張り切りすぎるのを抑えるのに四苦八苦してるみたいね。↓

 オバマ政権は、国連による厳しい対イラン制裁を新しく課すために何ヶ月も苦労したのだが、今は逆方向に進むように米連邦議会に圧力をかけているところである。というのは、米連邦議会が(イランとビジネスをする欧州、ロシア及び中国企業を罰する)制裁法案を作成しているのだが、ホワイトハウスはそれが行き過ぎではないかと懸念しているためだ。・・・
 ・・・オバマ政権は、(米連邦議会が作成中の)制裁法案が、国連制裁で米国に協力した欧州、ロシア及び中国との関係を損なう可能性があると懸念している。
 この可能性を避けるために、オバマ政権は、イランに協力してきた各国企業への米国による懲罰を控える権限が(行政府に)付与されるよう望んでいる。


 #全体的に訳しにくかったです。

<太田>

 お疲れ様です。
 「後者の方ですが、「ホワイトハウスの(イランに対する)懸念が行き過ぎかも知れないためだ。」→「ホワイトハウスはそれが行き過ぎではないかと懸念しているためだ。」と訂正しました。
 よって、15+9−10=14で14ポイントです。

 前者の記事に関連しますが、このところ、オバマ政権は、上下一体となって、人民解放軍に対する強硬路線を展開しているって感じですね。↓
http://www.asahi.com/international/update/0612/TKY201006120006.html
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太田述正コラム#4068(2010.6.13)
<インディアンの最後の栄光(その1)>

→非公開